第2回 講義動画 (YouTube)
🔬 無機化学講義 第2回まとめ
基底状態と電子配置 🧩
原子の最も安定な状態
電子が存在する領域=「原子軌道」
主量子数 (n) 🔢
自然数 (1,2,3,4...)
殻 (K, L, M, N...) に対応
方位量子数 (l) 🌀
主量子数 n に依存 (0 ~ n-1)
軌道の種類を決定 (s, p, d, f)
磁気量子数 (ml) 🧭
方位量子数 l に依存 (-l ~ +l)
軌道の数を示す (p 軌道: 3つ, d 軌道: 5つ)
スピン量子数 (ms) 🔄
電子のスピン方向 (+1/2, -1/2)
電子配置の原則 📜
構成原理 → 低エネルギー軌道から埋める
パウリの排他原理 → 1つの軌道に最大2電子 (異なるスピン)
フントの法則 → 同じエネルギー準位では1つずつスピンを揃えて配置
カリウム (K, Z=19) の電子配置 🏗
最後の電子は 4s 軌道に配置
1s² 2s² 2p⁶ 3s² 3p⁶ 4s¹
📌 講義内容まとめ
🔹 電子配置と公成原理の例外
- 公成原理に従い電子はエネルギー順位の低い軌道から埋まる
- 例外的に反閉殻(半分埋まった状態)や閉殻(完全に埋まった状態)が安定することがある
🔹 電子の入り方のルール
- ⚖ パウリの排他原理:1つの軌道には2個まで電子が入る
- 🔄 フントの法則:同じエネルギーの軌道には、まず1個ずつ電子が分かれて入る
🔹 電子配置の例外となる元素
- クロム(Cr, 24番):4s² 3d⁴ → 4s¹ 3d⁵(反閉殻の安定性)
- 銅(Cu, 29番):4s² 3d⁹ → 4s¹ 3d¹⁰(閉殻の安定性)
🔹 電子配置の書き方
- 通常表記:1s² 2s² 2p⁶ ...
- 希ガス記法:内殻電子を希ガス記号で省略(例:[Ar] 3d⁵ 4s¹)
🔹 エネルギー順位の変化
- 原子番号が増えると、1s軌道のエネルギー順位は低下(より安定)
- 理由:原子核の正電荷が増加し、電子が強く引きつけられるため
📌 遮蔽効果と有効核電荷
🔗 電子間の相互作用: 原子核と電子の間には引力が働くが、電子同士は反発し合う。
🛡️ 遮蔽効果: 内側の電子が外側の電子への引力を遮ることで、核電荷が小さく感じられる。
⚡ 有効核電荷: 実際に外側の電子が感じる核電荷の大きさ。
📌 軌道と電子密度
🌐 電子雲: 電子の存在確率を示す概念で、最も密度の高い部分を線で表す。
🔄 貫入: 高い主量子数の軌道電子が、内側の軌道にまで入り込む現象。
📊 軌道ごとの貫入度合: s軌道 > p軌道 > d軌道の順で加入しやすい。
📌 スレーターの規則
🧮 有効核電荷の近似計算: 原子核の電荷から、内側の電子による遮蔽効果を引いて求める。
📏 軌道の分類: s・p軌道とd軌道で遮蔽の度合いが異なるため、別々に計算する。
📌 スレーターの規則の計算手順
🔢 電子配置の確認: 原子の電子配置を特定
🏗️ グループ分け: 内側と外側の電子グループを分類
🔍 遮蔽効果の考慮:
同じグループの電子 → 0.35 × (対象電子を除く電子数)
直下の層の電子 → 0.85 × 電子数
さらに内側の電子 → 遮蔽定数 1
🧪 炭素 (Z=6) の 2p 軌道の有効核電荷
同じグループ (2s, 2p) の遮蔽: 0.35 × 3
1s 層の遮蔽: 0.85 × 2
有効核電荷: 3.25
🔬 亜鉛 (Z=30) の 4s 軌道の有効核電荷
同じグループの遮蔽: 0.35 × 1
直下の層 (3s, 3p, 3d) の遮蔽: 0.85 × 18
さらに内側の電子 (1s, 2s, 2p) の遮蔽: 1 × 10
有効核電荷: 4.35
🌀 亜鉛 (Z=30) の 3d 軌道の有効核電荷
同じグループの遮蔽: 0.35 × 9
内側の電子の遮蔽: 1 × 18 (外側の殻の電子の影響は無視)
有効核電荷: 8.85
🔑 結論: イオン化の傾向
4s 軌道の有効核電荷 (4.35) < 3d 軌道の有効核電荷 (8.85)
外側の 4s 電子が先に除去され、Zn²⁺ イオンが形成される
📌 要点まとめ
🔹 メタンの構造 🧊
メタン (CH₄) は 正四面体構造
炭素の中心 に 4つの水素 が結合
🔹 混成軌道 (Hybrid Orbital) 🌀
炭素は sp³ 混成軌道を形成
等価な4つの軌道 を作るために電子が再配置
🔹 結合の種類 🔗
シグマ結合 (σ結合) → 軌道が 正面から重なり 強固
パイ結合 (π結合) → 軌道が 横から重なり 弱い
🔹 VSEPR理論 📐
電子対の反発を最小にする構造が 最も安定
メタンは 109.5° の角度 で正四面体形状をとる
🔹 電子配置とエネルギー ⚡
基底状態 の炭素 → 1s² 2s² 2p²
結合のために電子が再配置され sp³ 混成軌道 を形成
📝 VSEPRモデルと分子構造の要点
🔬 VSEPRモデルとは?
原子核周囲の電子対の反発を最小限にする分子構造を予測する理論
⚡ 電子対の反発の種類
🌀 非共有電子対同士(ローンペア同士)の反発 → 最も強い
🔗 共有電子対(結合電子対)と非共有電子対の反発→ 中間
🔀 結合電子対同士の反発 → 最も弱い
🏗 メタン(CH₄)の構造
結合角:109.5°(正四面体構造)
すべての結合電子対の反発が等しいため均等な形
🔬 アンモニア(NH₃)の構造
結合角:107.8°(メタンより小さい)
非共有電子対(ローンペア)の影響で、結合角が圧縮される
このように、ローンペアの存在が分子の形状に影響を与えることがVSEPR理論で説明される。
窒素原子の電子配置🔬
原子番号7、電子配置: 1s² 2s² 2p³
2sの2つ、2pの3つの電子が化学結合に関与
NH₃の分子構造💧
窒素と3つの水素が結合し、3つの等価なNH結合を形成
シグマ結合:軌道がオーバーラップして電子を共有
シグマ結合の考え方⚡
2つの電子を共有する結合
A原子とB原子が1つずつ電子を出して結合
A原子2電子供与しB原子は受け取るだけの結合(配位結合)
原子軌道のオーバーラップ🌀
原子軌道同士がしっかり重なり、シグマ結合を形成
混成軌道の概念🧬
s軌道とp軌道を混ぜて新たな方向性を持った軌道を作る
sp, sp2, sp3等、ハイブリッド化が必要
アンモニア分子の構築🏠
3つの等価なNH結合を作るために、sp2またはsp3混成軌道が必要
sp2混成では平面型、sp3混成では三角錐型
sp2からsp3への転換🔄
sp2根混成では平面型に、sp3混成に変更すると三角錐型に
結合角が変化し、反発を防ぐ
アンモニアの安定性🔒
反発の最小化を図るため、sp3混成で三角錐型に配置される
ローンペアと結合電子の反発が影響
結合角の調整📐
NH₃の結合角は109.5°より小さくなる(ローンペアの影響)