第4回座談会・講演会企画
Siau ONWONA-AGYEMAN氏
2025.09.23
Siau ONWONA-AGYEMAN氏
2025.09.23
2025.05.09
5月9日(金)、 「ガーナの農業の課題と取り組み 〜日本・アフリカ両方の経験を交えて学ぶ〜」をテーマに、東京農工大学グローバル教育院准教授であるSiau ONWONA-AGYEMAN教授にご講演いただきました。
AGYEMAN先生は、乾燥地農業、森林保全、水・土壌資源の持続的利用をテーマに、アフリカ・アジア・南米で30年以上にわたり国際的な研究協力活動を行ってこられました。
本講演では、ガーナと日本の違いにも触れつつ、間伐材を使ったバイオマスボード(以下、アグリマット)の開発についてご紹介いただきました。アグリマットとは、接着剤を使用せず、木材チップを蒸して圧縮することで板状にしたもので、土壌の流出防止、保水、雑草抑制などの特性を持つマルチ資材としての活用が試みられています。特に、ガーナの乾季における実験で、オクラの収穫量が雨季並みに達したという結果は非常に印象的でした。肥料とマルチが一体化したこの資材は、環境への負荷を軽減しつつ、持続可能な農業を実現する可能性を秘めていると感じました。
また、アグリマットに肥料を混ぜて使用する実験も行われており、栃木県の杉林地帯においても雑草対策に効果があることが実証されました。
さらに、ガーナにおける農薬の誤使用による健康被害や、鉱山開発に伴う水銀汚染、土壌侵食といった、農業を取り巻く社会的・環境的課題についても言及がありました。これらの話を通して、技術と社会課題の関係性について深く考えさせられました。
AGYEMAN先生の探究心と行動力に触れることで、自分自身の視野が広がりました。特に、地域資源を活かしたアグリマットの活用によって、持続可能で循環型の農業が実現できるという未来に、大きな希望を感じることができた講演でした。
実際の講演会資料