フードエコロジーセンター
2025.10.01
2025.10.01
2025.09.12
ヨコハマ未来創造会議さんの中の分科会の一つ、しょくのわさんとのコラボの一環として、
9月12日に神奈川県相模原市にある株式会社日本フードエコロジーセンターへ社会科見学に訪れました。
同社は、食品工場などで発生する食品ロスを「食品循環資源」として受け入れ、養豚用飼料へとリサイクルする事業を展開しています。
現代のごみ処理の課題として、大量の食品廃棄物、焼却による税金の投入、化石燃料やCO₂の問題などが挙げられます。さらに全国の廃棄物処理費用は年間で増加傾向にあります。また畜産経営の面では、家畜飼料の海外依存や穀物価格の高騰などの課題があります。
こうした課題に対して、同社では「リキッド発酵飼料」という手法を採用し、多様な食品を受け入れながら低価格な飼料を製造することで、環境負荷を抑え、税金の無駄遣いを軽減するだけでなく、養豚農家の生産意欲の向上にもつながる事業を展開しています。「持続可能な消費と生産」を推進し、さまざまな課題解決に寄与しています。
▼循環の流れ
食品関連事業者:30社以上の余剰食品を収集運搬業者によって食品循環資源として搬入
フードエコロジーセンター:食品循環資源を受け入れリキッド発酵飼料を製造(1日42トン、最大49トン/日)
養豚農家:リキッド飼料を給餌(関東近郊・東北に12戸)
この会社の取り組みで特徴的なのは、食品廃棄物を原料にした液体状の発酵飼料を製造している点です。液体状である利点として、ヨーグルト製造時に出るホエイなど水分を多く含む廃棄物を有効活用できること、また搬入時に水圧洗浄で使用する水分も飼料に取り込めるため、水分のロスが少なくなることが挙げられます。さらに、飼料の製造段階で発酵処理を行うことで栄養価の高い飼料となり、環境負荷の軽減と栄養価の向上を両立しています。この飼料で育った豚は、契約養豚生産者と協力して「優とん」というブランド豚として、各地のスーパーなど食品関連事業者で販売されています。
一方で脂質や塩分が多く飼料に適さない廃棄物は、隣接する「さがみはらバイオガスパワー株式会社」でバイオ燃料として活用されています。液状の食品循環資源をメタン発酵させてバイオガスを生成し、エネルギーとして再利用することで、廃棄物の無駄を極限まで減らす取り組みが行われています。
このバイオガス発電によって電気自動車の充電や、約1,000世帯分の電力供給が可能となっており、災害時にも強いインフラとなっています。また発電の過程で生じる脱水後の汚泥は乾燥させて肥料原料として販売しています。
■なぜ豚の飼料なのか?
🐄牛には飼料安全法によって動物性たんぱく質を含むものを与えることが禁止されています。
🐓鶏は液体状の餌が苦手で、水分を飛ばすにはコストがかかり、環境負荷も増加します。
一方、🐖豚は人間と消化器官が似ていて、何でも食べられる上、pH3.8〜4.8程度の少し酸っぱい味を好むため、発酵した液体状の飼料が適しているのです。
またフードエコロジーセンターでは、賞味期限が迫った災害備蓄用食品なども受け入れています。しかし災害用食品は1つずつ個包装されており、災害時や衛生面では便利ですが、使われなかった場合にセンターへ搬入される際には、箱やビニール袋から1つずつ取り出す手間がかかります。そのため災害備蓄品が使われなかった場合の対処方法に工夫が必要であるという新たな課題を知ることができました。
このように食品ロス削減・環境負荷の軽減・再生可能エネルギーの創出といった社会課題に取り組み、それを先進的なモデルとして事業化し、株式会社として成立させている点が持続可能な社会に向けた新しい可能性を示していると感じました。
今後も引き続き、様々な団体への取材活動を行っていきますので、お楽しみに!
~当日の写真~
外観
実際に作業されている様子①
実際に作業されている様子②
株式会社フードエコロジーセンターのHPはこちらからご覧いただけます。