EXPO2025 大阪・関西万博
2025.08.15
2025.08.15
2025.06.06-07
EXPO2025大阪・関西万博の「食と暮らしの未来」ウィークに際し、2025年6月7日(土)に国連パビリオン内にて、「ユースが切り拓く、食品ロス問題への国際的なアプローチ」を開催致しました。
本イベントは、世界各地の食品ロス問題について理解を深め、意見を交わす参加型イベントです。IYCJメンバーによるリサーチ発表を行った後、農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 外食・食文化課 食品ロス・リサイクル担当室 課長補佐(食品ロス削減・リサイクル担当)の速見基弘様と、独立行政法人 国際協力機構(JICA) 経済開発部 農業・農村 第二グループ 第四チーム 特別嘱託の渡辺裕史様にご登壇いただき、ご来場いただいた皆様と共に食と農、そして地球の未来について考える時間になりました。
イベントに向けて福岡県立小倉高等学校の生徒さん4名も加わり、4月から毎週オンラインミーティングを実施してきました。
ミーティングでは、各自が興味のある国の食品ロスの現状について調べたり、アジアやアフリカで食品ロスの問題に取り組まれている国際農業開発基金(IFAD)の職員の方にご講演いただいたりすることで、世界の食品ロス問題について理解を深めました。
そして、[アフリカ・中南米班]と[アジア・パシフィック班]に分かれて、それぞれの地域の食品ロスの現状や課題についてメンバーが議論し、これからユースとして私たちができることや、皆さん自身が取り組めることを考えました。
イベント直前には、週1回の全体でのミーティング以外の時間も用いて、IFAD職員にアドバイスを頂きながら、どのようにしたら食品ロスの現状を理解していただき、オーディエンスの心に響く発表になるのか、試行錯誤を重ねながらリサーチやディスカッションを進めました。
以下、各班のリサーチ成果です。是非最後までお読みください✨
アフリカでは、食品ロスの多くが収穫後の段階で発生しています。主な原因は3つあります。1つ目は、「保存技術の未発達」です。電力供給が不安定な地域では冷蔵設備が使えず、農作物が腐ってしまいます。2つ目は、「知識不足」です。アフリカの小規模生産者へは保存や加工技術に関する教育や情報が行き届かず、研修機会も限られています。3つ目は「非効率なサプライチェーン」です。道路や保管施設が未整備であり、輸送中に農作物が傷んでしまいます。こうした課題が改善されない背景には、農家の生活の厳しさや外部支援が短期的で持続可能な仕組みになっていないことがあります。
このような状況に対し、国際農業開発基金(IFAD)では、モロッコでリンゴをリンゴ酢に加工する女性主導のプロジェクトを支援するなど、地域の知恵と伝統を活かした持続可能な取り組みを行っています。また、Richard Abila氏にケニアでは漁業のフードロス削減を目指し、農業と漁業の統合や保冷・加工支援、選択的漁具の導入などを進めていることを教えていただきました。
さらに、現地のユース団体による取り組みも行われています。南アフリカのユース団体である「SAハーベスト」は余剰食品を回収し、6400万食以上を慈善団体に届けています。ケニアの「Vision Bearerz」は、元ギャングの若者が廃棄物処理場を水耕栽培農地に変え、収益で子どもたちに無料の食料を提供しています。
これらを踏まえて、IYCJの今後のアクションとして、2つのことを提案しました。
1つ目はアフリカと日本のフードロスのつながりを契機としたSNS等での発信です。例えば、日本はアフリカからタコなどを多く輸入していますが、Richard Abila氏に教えて頂いたとおり、漁業でも様々なロスが出ています。日本の売り場にたどり着くまでにどのくらいのロスが出ているのかをその売り場に掲示して意識を高め、SNS等を通して情報発信や#を用いた参加型の企画を行い、食品ロスについて自ら考えることや取り組むことを促します。
2つ目は、途上国のフードロスに関する教育機会の提供や情報発信を行うということです。近年食品ロスについて様々な所で取り上げられるようになってきていますが、途上国の生産地ではまた別のプロセスで食品ロスが生まれていることを知らないユース世代も多くいます。そのため、日本の小中高生を対象としてゲームを作成し、楽しみながら食品ロスの実態やIFADの取り組みについて知っていただき、自分たちは何ができるのかといったアクションに繋げてもらいます。
食品ロスの削減は、私たちの暮らしにも影響します。1人1人の小さな行動が、企業や政府、そして世界を動かす大きな力につながると感じました。
アジア・中南米では、低所得国と中・高所得国で食品ロスの発生段階が異なることが分かりました。
まず低所得国では、農業技術の不足や気候変動、インフラの未整備、包装・加工技術の未発達により、生産・流通段階で食品ロスが多く発生しています。その背景には、小規模農家が多く、資金や情報が十分に届かないといった根本的な課題があります。こうした課題に対し、国際農業開発基金(IFAD)は農村のインフラ整備や農業技術支援への投資を通じて小規模農家を支援しています。実際にベトナムの事務所に駐在しておられるラケーレ・アルチェーゼ氏にもお話を伺い、ラオスで実施されている「PICSA」(灌漑整備による生産性向上や販売事業改善などを含むプロジェクト)や「AFN II」(食料栽培や栄養等に関する教育を通して食品衛生や健康的な食事を目指したプロジェクト)といったプロジェクトが食品ロス削減にも繋がっていることを教えていただきました。
一方、中高所得国では消費段階での食品ロスが中心です。食べ残しが文化的に容認されていたり、賞味期限への理解不足により、まだ食べられる食品が廃棄されるケースが多く見られます。中高所得国における食品ロス削減では、ユース団体による消費段階でのアプローチが目立っています。インドネシアでは学生主導のフードレスキュー活動「Garda Pangan」が、結婚式場などから食品を救出し、貧困層へ届けています。チリではスタートアップ「Good Meal」が、余剰食品を割引価格で販売するマッチングアプリを運営しています。これらの取組にはSNSの活用や柔軟な発想、ネットワーク形成といったユースならではの強みがあります。
これらを踏まえ、私たちIYCJユースは、食品ロス削減に向けて2つの提案を行いました。
1つ目は、国や地域ごとの課題に応じた食品ロスに関する教育コンテンツをSNSで発信することです。低所得国では、農村の若者や女性が簡単に情報にアクセスできるよう、現地ユースと、安価な技術導入で食品ロスを減らす具体例、協働のメリット、成功事例などをSNSを通して母語で紹介し、情報格差の解消を目指します。日本に対しては、意識改革のために食品ロスの現状や低所得国の食ロス原因等を発信します。また、低・中・高所得国共通で、お互いの活動の様子を投稿し、チャット機能で意見交換ができるようにすることで、食品ロスに取り組んでいるユース同士の連携を促進します。
また、2つ目は、取材や調査をもとに「オープンロスマップ」を作成し、食品ロスの実態を可視化して政策や企業活動の行動変容を促す取り組みです。
これらの行動を通じて、私たちユースにも食品ロス削減に貢献できる可能性があると感じました。大きな資金がなくても、情報共有や人をつなぐ力を活かして、小さなアクションから変化を生み出していきたいと思いました。
2ヶ月間にわたるこのプロジェクトを通してメンバーからは以下のような感想が上がりました。
オンラインで意見交換できたことでとても勉強になり、多くのことを吸収できました!また高校生と活動する機会はあまりないので、刺激を受け、新鮮な気持ちで取り組めたのが楽しかったです。
最初はオンラインでうまく連携できるか不安がありましたが、2か月間のミーティングやリサーチを経て一つのプレゼンテーションが作り上げられ、万博にてチームで発表した時には達成感がありました。
今回のリサーチ活動で現地ユースの取り組みを知っただけでなく、現地でのIFADの活動についても理解を深めることができました。特にIFAD職員の方から直接お話を聞き、現地の文化を尊重し、現地のユースと共に活動に取り組んでいることを学びました。
この2ヶ月間で、メンバーは、九州から、関西、関東まで様々なところから、オンラインでつながり一つのイベントを作り上げることができました。
さらに、大学生・高校生の垣根を越えて互いに刺激し合いながら活動でき、最後には良い仲間になり、輪を広げることができました。
今回のイベントをサポートしてくださった全ての皆様に感謝申し上げます。
これからもこのご縁を大事に活動していきたいと思います✨
→イベント紹介及びイベントレポートはこちらから(EXPO公式HP)
▲登壇者全員での集合写真
▲当日の会場の様子
また、前日の6日には、IFAD主催の「美味しいコーヒーを飲み続けられる世界を目指して~持続可能なコーヒー生産のために、公共セクター・企業・生産者・消費者が協力してできること~」が開催され、IYCJからは、リーダーがユース/消費者の視点からのパネリストとしてパネルディスカッションに登壇し、メンバーもボランティアとして参加しました。
パネルディスカッションでは、持続可能なコーヒー産業の構築における、官・民・生産者・消費者間の連携の可能性について活発な意見交換が行われ、来場者の関心を集めました。当日は多くの方にお越しいただき、イベント後のコーヒーの試飲会ではUCC上島珈琲株式会社さんよりタンザニア産キリマンジャロコーヒーが振る舞われ、登壇者と参加者の交流も多く見られました。
→イベント紹介及び実施レポートはこちらから(EXPO公式HP)
▲当日の様子と関係者集合写真
(藤野、佐藤、木下、宇多川)