岩村入吹 Ibuki Iwamura
JAIST M2 (橋本研)
Japan Advanced Institute of Science and Technology
Hashimoto Lab, Master's course
言語表現に一切興味ない言語学徒
My research interests lie at the intersection of linguistic theory and cultural evolution. I am also interested in all aspects of cognition, particularly through the lenses of phenomenology and autopoiesis.
キーワード:言語進化/言語起源・構成性・自己家畜化・ニッチ構築・複雑系・創発・社会統語論・容認性・4E認知・オートポイエーシス・エナクション・内部観測
専門分野(中心的な研究対象)
進化言語学/言語進化学 (evolutionary linguistics):言語の起源と進化・生物/文化進化・複雑適応系
理論言語学 (theoretical linguistics):言語理論/モデルの科学哲学・文法性と容認性
社会統語論 (sociosyntax):共同幻想としての文法の創発・規則/規範の創発
生命理論としての認知科学と現象学:オートポイエーシスとエナクションと現象学の統合
周辺分野(かじるレベル)
(生態)進化(発生)生物学・社会生物学・思弁的実在論・人類学・複雑系科学・科学哲学・現代批評・自由エネルギー原理・圏論・動物行動学・計算論的神経科学・逆ベイズ
研究テーマ
修論の方向性:話者の主観的な意味が言語形式に反映できる言語がどのように創発するのか調べようとしています.「反映」という言葉が厄介ですが,語順交替(移動・変形)による反映に限定しようかと思っています.接辞や格(変化・屈折)など,新たな形式を加えることによる反映は考えないこととします.その方が,文法という現象を考えるのに適していると考えるからです.次に「主観的な意味」ですが,これは認知言語学でずっと言われているような,特定の捉え方(construal)が採用されて概念化(conceptualization)した結果形成される意味のことを念頭に置いています.少なくとも,客観的世界に存在する意味要素の集合ではありません.意味要素同士を「関係づけ」て構築される意味を主観的意味と呼びます.ヒトはこの主観的意味を伝達しています.決して,外部世界にある対象を名付けたりする,いわゆるName game や reference game ではありません.このような思想的背景のもと,シミュレーションを使って実験しようとしています.
ILMの意味論:言語の文化進化を構成論的手法で解明する繰り返し学習モデル(Iterated learning model: ILM)(Kirby, 2002)を採用し,ヒトの表象(事態把握/認知・他動性認知)を脱理想化することで,それに伴う意味の非決定性の状況下において,他動詞的性質の形式が安定的に創発する条件を探る.
ILMにおける単純化の阻止:繰り返し学習によって構造が失われて単純化していく流れに逆行し,複雑さを保存する要因として,長寿・権力者・人気者という社会構造の偏りを脱理想化することで,ILMが扱う言語形式をより現実の言語の様子に近づけ,言語変化の要因を探る.
自己家畜化と言語進化:仮にヒトの自己家畜化仮説を受け入れた場合,その人類進化と生態学的環境の変化が,言語の性質にどのような影響を及ぼしたかについて,考察する(つもり...)
文法性と容認性の狭間:進化言語学分野で,言語起源において「何が」進化したか? 言語変化において「何が」変化したか? 心理言語学分野で,「何を」テストしているか? 理論言語学(GG, CL)分野で,「何を」能力として見ているか?を整理して探る.その上で,容認性判断のみが存在し,文法性判断並びに文法は社会的幻想及び言語学者の理論的構築物であることを論証する.
社会統語論の再解釈:社会統語論で想定されている概念を複雑系の概念に移し替え,その上で言語進化の問題を扱えるモデルに変える.
Autopoietic Enactivismと言語理論:生命理論のオートポイエーシスは反表象主義を掲げる4E認知,その中で特にEnactionと急接近している.(強い)反表象主義がヒトの言語活動を説明することができるか?という問題から議論を始める.最終的に,生命理論としての言語理論を構築することを目指す.
郡司ぺギオ幸夫のベイズ推論・逆ベイズ推論は,推論(学習)と予測のループを計算論的に実現することで,世界の確率的な変動にロバストに対応することができる(「生命,微動だにせず」より).これは,近年の,予測符号化/自由エネルギー原理とモデルの大枠は同じであると考えてよさそうだ.しかし,その違いや関係はなにか?
業績(?):論文&発表<公式?なものに数字振ってます>
②Ibuki Iwamura, Hayate Funakura, Takashi Hashimoto. "Compositionality as One of the Enabling Factor to Communicate Conceptualized Meaning". @EvoLangXV conference. (poster).
言語処理学会第30回年次大会(NLP2024)テーマセッション「言語とコミュニケーションの創発」オーガナイザメンバー. [link]
→発表しない謎のオーガナイザとして参加しました.来年は必ずや発表して貢献したい...!
岩村入吹. 2023. "ILMの意味論". 第24回沖縄複雑系研究会.
① 上田亮・谷口忠大・鈴木麗璽・江原広人・中村友昭・岩村入吹・橋本敬. 2023. "言語とコミュニケーションの創発に関する構成論的研究の展開", 認知科学, 2024, 31巻, 1号, p. 172-185.[paper][pre-print]
→3.1節 "繰り返し学習(ILM)"のところだけ書いたよ〜.ダウンロードして読んでくださいませ!
岩村入吹・吉川正人. 2023. "進化言語学の環境問題を考える". 言語学フェス2023. ポスター発表. (査読なし)
→学部時代に一番お世話になった先生と共同発表しました.下北沢のスタバで4回ほど打ち合わせしてました!
岩村入吹. 2022. "社会統語論から見る言語起源". 言語学フェス2022. ポスター発表. (査読なし)
→少しだけパブリックな場での初発表.タイトルに統語論と入ってるだけで生成文法学者が群がってしまい,集中砲火を受けました...あぁ〜怖かった〜涙
学問的背景
言語/ヒト/貨幣/宗教/虚構/感情/性などの進化的起源と社会文化的側面に興味があります.
現在はたまたま,言語進化に取り組んでいる,って感じ〜
モデルにおける理想化の正当性と脱理想化の妥当性について考えてる〜
所属:全て非公式の研究会・勉強会
全国の言語学徒が40人程集まるLine&discordグループ.年2回の研究発表会の運営をしています.そもそもの発起人は,東北にいるエグ優秀な方.
蟹グルサイゼ会(終了):議論吹っかけ屋・問い投げ屋
Carnieの"Syntax"(500ページも!)を読んだ読書会.夜な夜な電話で議論しています.先日,初めて対面で会って,みんな大好きサイゼリヤでワイン片手に色々話しました.
文法性と容認性の桶狭間(終了):主催
最近(2023/06/13???)立ち上げた研究会. 文法の正体を探ります.
共創言語進化学若手の会・言語進化読書会/ゲーム理論(終了):参加者
学部3年の時に入ってから,ずっとお世話になっていました.僕が言語進化学を真面目にやっていこうと決意?したきっかけの読書会です.本当に多くのことを学ばせていただき,本当に親身に相談に乗っていただきました.JAIST受験を提案してもらい,のらりくらりして,いまJAISTにいます.
関連性理論(2024/2月〜)(離脱...):参加者A
Sperber & Wilson (1995) “Relevance: Communication and Cognition, 2nd edition”を読む.
認知言語進化(2024/4月〜)(終了):レジュメ担当
Michael Pleyer and Stefan Hartmann. 2024. "Cognitive Linguistics and Language Evolution"の読む会(3-4名)
類像性と文化進化(2024/3月〜):参加者A
Lo ̈ıs Dona and Marieke Schouwstra. 2024. Iconicity in the evolution of language: computational models and laboratory experiments.
学歴
2023年. 4月. 北陸先端科学技術大学 知識科学専攻 修士課程 入学(橋本敬研究室)
2023年. 3月. 慶應義塾大学 文学部 英米文学専攻 卒業(井上逸兵ゼミ)
2019年. 4月. 慶應義塾大学 文学部 入学
連絡先
ibuki_iwamura回jaist.ac.jp(回→@)
jazzpf0715回keio.jp(回→@)