第一回の卒業生によせて
東玉川小学校初代校長 小木曽 四郎
最上級生としての三ヵ年、福田、秋山、両先生を中心に、何から何までほんとうによくやって下さいましたね。皆さんにとっては大変迷惑であり、おしつけがましい数々でしたね。
それなのに、何の不満らしい様子もなさらず、立派な学校に育てるため、進んでやってくださいました。それだけに一層すまないと思うのです。でもお願いする以外になかったのです。しかし、それが東玉川小学校の大事な基礎を作って下さった事をお考え下さい。
私達は四年前の東玉川小学校開校当時を思い出す事は出来ますね。そうしたら皆さんのお力の程がよく判って頂けると思います。それと同時に、皆さんのお父さまお母さま方、先生方のことも共に思い出してください。
卒業生のみなさん、ほんとうに有難度う、心から感謝致します。
そのみなさんの卒業の時が来てしまったのです。私としてはどうしてもお別れしたく有りません。なぜ、なんてお聞きにならないで下さい。私にも、なぜだかわからないのです。ただ、お別れしたくないのです。
音楽室から流れてくるみなさんの「仰げば尊し」の歌声を耳にするごとに、私の心は暗くなるのです。「そんな無茶を言うな」などと言わないで下さい。これが私の本当の気持なのです。
でも、それは許されません。やはりお別れしなくてはなりません。これからの御活躍こそ、東玉川小学校を立派に育ててくださる、より大切なことになるのだと思います。
どうぞお健康で、各自の持味を充分発揮して下さい。失敗にくじけないで下さい。つまづきこそ偉大な人間を作り上げて下さるしれんです。幸運を夢見ることは、つまずきに打ちしおれる人です。努力は目に見えぬ前進です。「苦あれ。苦あれ。」これを打ち抜く「努力あれ。努力あれ。」です。
(東玉川小学校第一回卒業生記念 「思い出」より)
第一回卒業生を送る
初代PTA会長 土肥晋一
皆さんは第一回卒業生として愈々此の東玉川小学校を卒業される事になりました。御目出度うございます。皆さんもきっと嬉しい様な悲しい様な複雑な気持ちでしょう。
小父さんも感無量です。皆さんが奥沢小学校の三年生の時に、二部授業をなくするために、奥沢小学校分校建設協讃会という長い名前の会が出来たのを憶えている人もあると思います。そして区役所の方や先生方や土地の親切な方々や皆さんの御父兄の方々の大変な御協力と努力で昭和二十六年四月に目出度くこの学校が出来、東玉川小学校と名付けられたのでしたね。ほんとうに早いものです。
あれから三年過ぎて皆さんは見事に成長され、立派にご卒業になりました。小父さんは嬉しくて仕方がありません。皆さんは四年生の時から何時も最上級としてその責任と名誉の為に実に懸命に努力され何事もよくやりとげたので何度かよその人々を感心させました。その度に小父さん迄どんなに嬉しかったか分かりません。何でも第一回目とか最初とかいうものは大切なものです。
皆さんが中学へ進んでからの行いや勉強のやり方は、皆さん自身の事であると同時に、皆さんの母校、東玉川小学校の事にもなる訳ですから第一回卒業生である皆さんは在学中の様に、或はそれ以上に確りやって下さい。
慈父の様な校長先生、又三年間陰に陽に皆さんと一体となって教え導いて下さった受持の先生、その他学校中の先生方の温かいまなざしはこれから先何時迄も、皆さん方を見つづけていらっしゃる事を覚えて、一人一人の心の灯として進んで下さい。
不自由の中を手を取り合って築きあげた今日の東玉川小学校を忘れずに、事ある毎に又折にふれ訪ねて下さい。
では皆さんどうぞ御元気で、亦道で逢ったら挨拶しましょう。
さようなら。
ゆく群鳥を名残惜しげに見上げけり。
(東玉川小学校第一回卒業生記念 「思い出」より)
開校50周年を迎えて
第16代校長 金井 紀男
東玉川小学校は、戦後の復興期の昭和26年4月に開校されて、21世紀の幕開けの本年、記念すべき50周年を迎えることができました。開校に至るまでの地域の方々の並々ならないご努力と熱意、関係当局の方々の深いご理解と判断と共に、その後の50年間の本校の歴史を支え、惜しみないご支援ご援助をくださった皆様に心より感謝申し上げます。
この間卒業生の総数は4140名、現在社会の各方面にて活躍し我が国の発展を支え、また、21世紀を担う若者が学業に励んでおります。改めまして本校の果たす役割の重さを感じないではいられません。そして、日々楽しく生き生きと活動する多くの子どもたちとともに、記念すべきよき年にめぐり合わせた幸せを噛みしめております。
本誌は、地域とともに歩んできた本校の歴史を振り返るとともに明日の学校づくりの礎に、また、子どもたちの心のふるさと「ひがたま」を学ぶ教材として活用できるよう編集しました。普段何気なく過ごしている学校・地域を見直すことで、数多くのよさや新しい発見をし、よりよい学生生活・地域での活動に生かしてほしいと願っています。また、家庭での話題にご利用いただければ幸いです。
校歌には、「すくすくと若草のびて、やさしくも豊かな心」とあります。心豊かな人間の育成を目指して、児童、教職員が一体となり努力してまいります。今後とも変わらぬご支援・ご協力をお願い申し上げます。
(東玉川小学校開校50周年記念誌より)
開校60周年を迎えて
第18代校長 新村 出
本校の開校60周年にあたり、まずは、地域・保護者・教育委員会・歴代教職員等、皆様のご尽力に深く感謝申し上げます。
かねてより、地域・保護者と連携した教育活動に取り組んできた本校は、平成17年4月、我が国で2番目に地域運営学校(コミュニティ・スクール)に指定され、本区教育ビジョンの柱のひとつである「地域とともに子どもを育てる教育」を積極的に推進しているところです。本校の特色にもなっている学校運営委員会の四つのプロジェクトは、前黒澤幸子校長の下でSWOT分析という手法を用いて原案が作成されたものです。当時、主幹職として、私もその分析の段階からかかわりましたので、プロジェクト活動の発展に接する時、我が子の成長を見るがごとき喜びがあります。
平成22年度には、奥沢・東玉川地域で子どもたちが明るく元気に力を伸ばすことができるよう、近隣の奥沢小学校・奥沢中学校とともに「和みの学び舎」を構成いたしました。平成23年度には世田谷9年教育パイロット校の指定を受け、3校が共通して取り組む「学び舎ミニマム」や、統計学的な手法を取り入れての学習取得状況の分析等に取り組んでいます。個々の児童の豊かな人間性・豊かな知力・健やかな身体の育成をめざし教職員一同力を合わせて参ります。
子どもたちが大きくなった時、心のふるさとになるような学校をつくって参りたいと思います。今後とも皆様のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
(東玉川小学校開校60周年記念誌より)
訃報:第10代校長 藤田先生ご逝去
東玉川小学校第10代校長 藤田喜代子先生がご逝去されたと、令和3年2月12日に東玉川小学校から連絡がありました。
なお、ご葬儀はすでに済まされたようです。
先生は昭和55年4月1日に赴任、昭和61年3月31日までの6年間在籍し、第28期~第33期までの卒業生をお世話しました。3,4年前までは、同窓会総会や新春奥沢地区祭り等で、お元気な姿を拝見していました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
訃報:第9代校長 下山先生ご逝去
東玉川小学校第9代校長、下山 宏先生のご子息から東玉川小学校奥山校長先生宛に、平成30年5月16日に下山先生が永眠されたとの寒中お見舞いの手紙が届きました。
先生は昭和52年4月1日に赴任、昭和55年4月1日に第10代校長、藤田喜代子先生に引き継ぐまでの3年間、東玉川小学校のためにご尽力されました。その赴任期間、第3期校舎増築工事を完成させ、図書室、視聴覚室、特別室等を今の校舎配置にしました。
第25期~第27期までの卒業生の方は、大変お世話になったかと思います。
ご冥福をお祈りします。