2024年
探究を探究する日記
探究はとても難しい。教員も探究が何かわからない。だからこそ、教員も探究や探究の支援の方法をを探究する。このページはそんな教員の奮闘を記録したものです。
探究はとても難しい。教員も探究が何かわからない。だからこそ、教員も探究や探究の支援の方法をを探究する。このページはそんな教員の奮闘を記録したものです。
本校の探究がベネッセの「ミライシードAWARD2024 地域賞(関東)」を受賞しました。
以下、いただいたコメントです。
「調べ学習から探究学習への昇華」という課題に対し、学校全体で「探究」されています。授業内外の多様な場面で施策を実施し、教職員全員が同じ方向に向かっている点が評価されました。取り組みの成果として教員や児童の意識の変化を定量的に検証されており、同様の課題をお抱えの学校にとっての再現性も高く評価されました。
教科に準拠した探究
本校の探究は、「教科に準拠した探究」です。本校では、探究を総合的な学習の時間の目標に則っています。つまり、各教科で育成した力を発揮する場として探究があります。そのため、探究と各教科の学びを往還できるように、各教科に準拠して探究を位置付けています。
ポイントは、1つの教科だけでなく、複数の教科に準拠しつつ、軸となる教科を位置付けることです。
好きをトコトン
本校の探究は、「好きをトコトン追究する」をテーマにしています。これは児童が主体的に学びに向かうことを意図したものです。探究では、学ぶ内容(コンテンツ)ではなく、探究の過程で育成される資質・能力(コンピテンシー)の育成をねらいとしています。
ポイントは、探究の過程を見える化して、それを振り返る場を設定することです。本校では、「EX-Sheet」と呼んでいるスプレッドシートを利用してこの過程を見とりました。
個別最適と協働
個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実をする授業改善が求められている今日、本校の探究ではこれらを児童が自分で選択することを目指しています。そこで、意図的に児童が個別最適な学びと協働的な学びを選択することができるような場を設定しています。
本校でもこれは試行錯誤している段階にあり、より良い場を設定できるように研究しています。
学習過程をみとる
探究を学びとして成立させるためには、教師と児童が納得する形で学習過程を捉えることができ、児童がそれを認識していることを教師がみとることができていることが必要であると本校では考えています。
そこで、本校では、瀬戸SOLAN小学校および教育システムのまなポートを参考に、スプレッドシート(EX-Sheet)を用いて、学習計画や振り返りを含めた児童の学習過程を見える化し、教師と常時共有しましたが、トラブルが続いていました。第2クールでは、この改善に取り組みます。
まずは教員がやってみる!
探究を進めるにあたって、一番難しかったことは、「教員が探究をわからない」ということでした。
そこで、本校では1学期の反省を踏まえて、夏休みの期間に有志の教員が自分でテーマを設定して探究をしてみることから始めました。
具体的には3人の先生が自分の探究を発表してくれました。6年生担任の先生は「結婚するとなぜ苗字は変わるのか」について【調べる+比較】で発表しました。1年生担任の先生は「 SUP速くなりたい→なぜ足が筋肉痛?→体幹って大切では?」について【好き+経験+探究】で発表しました。支援級担任の先生は「ジェラート」について【好き→イタリア→作ってみる】で発表しました。
児童はとても目を輝かせながら、先生たちの発表を聞いていました。
いざ フィールドワークへ!
探究を教員がやってみると、『探究のタネ』は自分がそれまでに経てきた経験から始まっていることが多いことがわかりました。
「『探究のタネ』を探すためには経験が必要で、その経験をするにはフィールドワークが良い」と瀬戸SOLAN小学校副校長の三宅先生に教えていただきました。
そこで、すぐに本校の近くにある東京理科大学に足を運び、本校の児童が見学できるようにお願いをしに行きました。快諾していただきました。さらに、児童の『探究のタネ』につながる経験を得られそうな学校近くの場所にフィールドワークのお願いをして回るとさまざまな場所が快諾してくださいました。
フィールドワーク計画書
フィールドワークは「ただ行きたい場所に行くあそび」ではありません。フィールドワークは学習です。
そこで、フィールドワークで何を学びたいのかを計画書に記入することを児童に求め、フィールドワーク先への自分の興味や想いを表現してもらうことにしています。
この試みも試行錯誤しながらですが、児童が自分で『探究のタネ』を見つけることにつながることを目指します。
1学期以上に先生の探究を真似て児童はいろんなテーマで、いろんな方法で探究に向かおうとしている姿が見られました。どんなテーマが決まり、探究が進んでいくのか楽しみです。
探究計画書とルーブリック
第1クールでは、教員の得意をもとにクラスを編成して行いましたが、児童の名前や能力を把握していない状態での探究の指導はとても難しかったです。
そこで、1学期を終えて教員が夏休みに入る前に、反省を出し合い、2学期に備えました。
そして、児童が主体的に探究に臨むことができるように、発達段階に応じて児童とともに、または、児童がルーブリックを作成することを目指すことにしました。現在奮闘中です。
『5W1H』で「課題」に
「調べ学習」にならないためには、「調べて、はい、終わり」とならないことが大切です。しかし、どうしたら「調べて、はい、終わり」とならないのでしょうか?
そこで、 本校では「〜について」というテーマではなく、"When(いつ)・Where(どこで)・Who(誰が)・What(何を)・Why(なぜ)・How(どのように)"からはじまる「課題」を探究することで、「調べ学習」にならないのではないかと考えました。
では、どのようにテーマは「課題」になっていくのでしょうか?
「好き」の向こう「課題」へ
1学期をかけて児童たちは自分の「好きをトコトン」探究してきました。しかし、これは「好きなことについて」というテーマです。
そこで、『5W1H』からはじめることで、この「好き」の向こうにある「課題」になるのではないかと考えました。
具体的には、電車が「好き」で「電車について」をテーマにしている児童がいました。この児童は電車について調べていました。さらに、自分の知っていることから、調べたいことを考えました。そして、電車が発車するときに風を感じることに気が付きました。そこで、 「課題」を「どうして("Why")電車が動くと風がくるのか」にしました。
学年や学級によって違いが…
まるで『5W1H』からはじめることで「課題」にすることでうまくいったかのように書いてきましたが、そうではありません。実は『5W1H』で「課題」にしようとしている学年や学級と、そうでない学年や学級があることがわかりました。これは反省です。つまり、「調べ学習」を脱却できるかどうかにおいて、先生たちの共通認識の有無が大切だったのです。
この学年間・学級間の違いをなくしていくには、教員同士で意見を見える化し共有することが必要になりました。教員同士で意見を見える化し共有するために、Googleフォームを作成して、授業後すぐに教員が今日の探究を振り返りました。
教員もどうしたらよいか探究
この振り返りから、教員間で探究の捉え方や課題の設定の仕方に違いがあることやどこに悩みや疑問を抱えているか把握することができました。次の探究までに教員もどのように授業を改善できるか探究します。
「どのように課題の設定を支援したらよいのか」だけでなく、「どうしてICTから紙(プリント)へしたことによって児童に書く負担が過度に強いられているのか」や「どのようにプリントを保管したらよいのか」「ピンポイントの課題と範囲の大きな課題はどちらがよいのか」など新たな課題が見つかりました。教員も児童とともに探究していこうと思います。
課題が決められない
課題が5W1Hになることを目指してきましたが、やはりそう簡単にはいきません。5W1Hの形にはなっているけれど「インターネット検索すれば終わり」の課題が多くあり、難しい状況でした。
課題が決められない難しさはどのように克服することができるのでしょうか。こればっかりは悩んでみたり、調べてみたりしたことを誰かに相談してみないと進まないことがわかってきました。
相談相手の必要性
うまく課題が決まり探究がうまく進み始めた児童となかなか課題が決まらず進まない児童に分かれ始めました。そこで、教員はそれぞれ色々な手立てを考え、講じ始めました。
例えば、3・4年生の教員は児童全体に対しては導入の5分間でどのように進めればよいのかを示し、残りの時間はうまく進まない児童の対応に充てていました。具体的には、答えを教えるのではなく、問い、共に悩む「相談相手」となりました。
調べてみないとわからない
ここまで進めてきて改めて課題を見返してみると、インターネットで検索したらわかる5W1Hの課題があることがわかりました。つまり、探究で行き詰まったときは「調べてみないとわからない」ことです。
児童には「学習計画を立てて進める力」が必要だと考え育成をしてきました。しかし、探究ではこの力とともに、VUCAの時代に必要な「素早く変化に対応する力」の両方を育成することにつながると気付くことができました。
生成AIにも相談
この「相談相手」を児童同士で行おうと最初は試みていましたが、どうやらこの「相談相手」はかなり難しいことがわかりました。専門性が高く、大人でもなかなかに難しいことでした。そこで、はじめは先述したように、教員が「相談相手」となっていました。
しかし、教員の人数が足りませんでした。そこで、高学年の一部のクラスではコニカミノルタのtomolinksの学習用生成AIの機能を活用し、システムメッセージに「相談相手」としての立ち振る舞いをプロンプトとしていれました。つまり、生成AIに「相談相手」をしてもらいました。
情報収集の方法とは?
探究と切っても切り離せないものが情報収集です。生成AIやインターネット、本、インタビューやフィールドワークなど情報収集にはさまざまな方法があります。どの情報収集の方法を選んだにせよ、大切なことの一つに「ファクトチェック」があります。
このファクトチェックの方法には1)公的機関の情報と照合、2)1次情報との照合、3)最新情報との照合、4)複数の情報と照合などがあります。これらの方法をすべてやることはとても難しいので、児童には、「情報元を確認し、複数の情報を調べる」という方法を徹底して指導することにしました。
学習センターの活用
小学校にある情報収集をするための施設といえば、学校図書館(図書室)が挙げられると思います。本校ではこの学校図書館を「学習センター」と呼んでいます。学校図書館の役割は「読書センター」と「学習・情報センター」があります。この情報収集の方法を児童に身に付けさせるために、本校では「学習センター」を活用することにしました。
学習センターの良さは次の2点が挙げられます。1)日本十進分類法に基づいて資料が系統立てて整理されているため、必要とする資料を探しやすい点、2)レファレンスサービスを専門とする「学校司書」がおり、レファレンスサービスを受けられる点。
本には本のよさがある
本には本のよさがあります。特に学習センターに保存されている本のよさは次の2点があります。1)児童向けの本は児童が読んで理解することができるように、読み仮名や振り仮名があり、言葉も児童にわかりやすい表現で記述されている点、2)その本が発行された時点で正確な情報が記載されている点。
児童がインターネット等で情報を収集した際の懸念点は児童がインターネットで検索した文章の意味を理解せずにコピー&ペーストをしてしまい、理解していない言葉を使用してしまう点です。これを本を使用することで避けることができます。一方で、本の情報は最新の情報ではない点には留意する必要があります。
収集した情報の取り扱い
情報収集について細かく記載してきましたが、探究における情報収集として「調べたことをスライド等に記載して終わり」では、「調べて終わり」となってしまいます。
そこで、3・4年生は日常的に授業で活用しているオクリンクプラスのカードを活用して、児童に収集した情報を自分の言葉で記述するように指導を徹底しました。そして、すぐにスライドにまとめるのではなく、一度収集した情報を整理するように指導しました。この方法だけが正解ではありませんが、児童の発達段階に配慮した「調べて終わり」にならないようにする工夫となっていると考えています。
情報に自分の言葉+意見
収集した情報をもとに探究するにはどのようにしたらよいのでしょうか。本校は情報を収集して自分の言葉でその情報を言い換えて、そこに自分なりの意見をもつことで探究に生かせるようになると考えました。
そこで、各学年で児童の実態に応じて2つの手法を導入しました。1つ目は5・6年生が活用している情報カードです。2つ目は3・4年生が活用している思考ツール「フィッシュボーン」を用いたオクリンクプラスのカードです。
情報カード
5・6年生が活用している情報カードは、次の4つの要素から構成されています。1)調べたいこと、2)参考にした資料、3)わかったこと(自分の言葉で)、4)思ったこと・考えたこと。ここで大切なことは、情報を自分の言葉で記述し、それに対して意見をもつことです。
情報カードは紙媒体を最初は用いていましたが、インターネットで検索した際に、URLを貼り付けることは難しいため、Googleスライドで作成して、蓄積し共有できるようにしました。
フィッシュボーン
3・4年生が活用している思考ツール「フィッシュボーン」を用いたオクリンクプラスのカードは、3つの要素から構成されています。1)課題、2)知りたいこと、3)調べる方法。ここで大切なことは、課題と調べることをつなげ、どのように調べるのか記録することです。
このフィッシュボーンからさらに、オクリンクプラスの別のカードに調べたことを記録します。ここでは大事な文を選び、難しい言葉は辞書を使って調べて記録することを徹底しています。
収集した情報を自分のものに
3・4年生や5・6年生で活用しているツールは異なりますが、共通していることは、情報を自分が理解できる言葉に置き換えて記録することです。これは情報を収集する上で必要な指導かもしれません。
さらに、探究の観点から考えると、収集した情報を自分のものにしてさらに発展させることが必要になってきます。そのためには収集した情報をそのままではなく、その情報に意見をもつことも大切になってきます。
東金FWに行くために
フィールドワークは遊びではありません。フィールドワーク先には、夏休みまでに教員で手分けをしてアポイントメントをとりました。「子どもたちのためなら」とご協力していただけました。そして、フィールドワーク先は9/4(金)に児童に共有しました。
だからこそ、「授業をサボれるから」「探究テーマとは違うけど…」という児童にフィールドワークには参加させないようにしました。具体的にはフィールドワーク企画書を10/4(金)までに作成し、担任のチェック、学校長のチェックを受け、承認された児童だけが行けることになりました。
8つの場所へ!いざ、FW!
次の8つの場所へフィールドワークに行きました。1. 水元公園、2. 東京理科大学、3. 帝釈天、4. 寅さん記念館、5. 葛西神社、6. えびす満願どら焼き、7. 葛飾プラネタリウム、8. 東京メトロ。
もちろん行き先が複数あり、全員が行くわけではないため、とても難しいのは安全確保と人員の分配でした。そこで、本校では保護者の方へ協力を仰ぎ、人員を確保して分配することで安全を確保しました。さらに、学校に残っている児童も教員がいない教室を作らないように、教室や学習センターに移動して探究を続けました。
FWで溢れる意欲・関心
フィールドワークでは教員が代表して写真や動画を撮影し、著作権や肖像権に配慮したり許可を得たりしてからドライブを介して児童に共有しました。
例えば、東京理科大学では職員の方が大学案内をしてくださいました。加えて、保原浩明准教授が当日、アポイントメントを取っていなかったにもかかわらず、ご厚意で研究室内を案内してくださいました。機能と美しさを両立したデザインの研究室や最先端の設備、パラリンピックでも使われた義足などを見せていただきました。児童たちはこの経験から「もっと算数や理科を学びたい」「どうしたらあんな研究ができるのか知りたい」「大学に行きたい」と意欲・関心が溢れるようでした。
保原先生をはじめ、フィールドワークにご協力いただきました、施設や企業、大学などのみなさま、保護者のみなさま、誠にありがとうございました!
まさに1日探究Day!
午前中にフィールドワークから帰ってきた児童たち。給食を食べて、一息ついてから午後も東金Explorer(探究)です。まさに探究Dayでした。FWで高まった意欲・関心からさらに知りたいことを探究している様子が見られました。
次回はパナソニック教育財団特別研究指定校としての発表会がある10/22(火)です。そしてこの日は、実験Dayです。実験Dayでは一部の児童が事前に提出した申請をもとに、特別教室で実験や動画撮影ができる日です。さまざまな場所でさまざまなスタイルで探究へ向かう児童をご覧いただけるかと思います。
実験Dayとは?
研究発表会を行った10/22(火)は実験Dayでした。実験Dayとは、希望する児童が図工室や理科室、校庭など特別な場所で場所で探究することができる日です。本当は毎回の探究でできればよいのですが、教員の数と安全確保の関係から、日程を決めて事前申請で行いました。それでも教室が人手不足となる、情報共有が甘いなど課題は残りました。
実験をしていた児童として、ある児童は月面探索機のタイヤには柔軟性と頑丈さの両方を兼ね備える必要があるので、その素材として「ダイラタンシー」が使えるかどうか確かめたいと実験の許可をえていました。
目的をもって調べる
目的をもって調べることが大切です。この目的が実験Dayでは顕著に出ます。事前申請で目的が不明確な場合は許可を出しません。そのため、「〇〇したい(目的)から、実験させてほしい」と目的が明確になります。
実験の有無に関わらず児童は目的をもって探究をしています。目的を追究していたら論文検索サイト「J-Stage」に辿り着き、論文を読んでいる児童もいました。これには驚かされました。
友達と(3,4年生)
3・4年生では友達という相手を意識して探究を進めました。これはインターネットや書籍で調べた内容をコピペさせないためです。調べたことをそのままコピペしても言葉が理解できないこともあり、学びにはなりません。
そこで、友達に「自分の言葉で」「わかりやすく伝える」ことをルールに互いに探究していることを共有してもらいました。相手がいることこれらのルールを意識するので、調べたことを理解しようとする児童が増えた気がします。
整理して考える(5,6年生)
5・6年生は3・4年生と同様に、どうしたら調べたことを自分のものにできるのか、手立てを考えました。手立ては大きく「友達」と「AI」の2つです。ここでは「AI」について説明します。
Chat GPTは13歳未満の使用は禁止されていますが、コニカミノルタのtomolinksは年齢制限がなく利用が可能です。
さらに本校では、各教科に準拠した探究を行っているため、指導要領解説の各教科の見方・考え方を事前にプロンプトとして生成AIに学習させて、各教科の見方・考え方から児童の質問や相談に乗るように設定しています。
人に手伝ってもらう
本校の探究「東金Explorer」は3〜6年生の全ての児童が取り組みます。ここには特別支援学級の児童も含むます。
この状況で児童が身に付けた技の1つに「人に手伝ってもらう」があります。探究は一人ひとりテーマが異なりますが、先生は一つのクラスに複数の教員がいるのでタイミングが合えばお手伝いしてもらうことができます。
素朴な疑問を追究する
世の中にはいろんな不思議があります。その不思議も実は追究すると素朴な疑問になり、探究するに値するものになります。
ある児童はインスタントラーメンについて考えました。よくよく考えれば、なぜインスタントラーメンはお湯を入れる前は固いのでしょうか。この疑問に気付けるようになり、追究しようとする児童が少しずつ増えてきた気がします。
翻訳する(中国語)
本校には多様なルーツのある児童が在籍しています。その中でも多いのが中華人民共和国(中国)にルーツのある児童です。彼ら彼女らは、日本語が堪能な児童もいれば全く話せない児童もいます。
そんな彼ら彼女らが調べながら身に付けた技の一つが「翻訳する(中国語)」です。提出物を日本語にするために中国語で考え、翻訳して日本語にすることで、探究以外の教科でもわからないことがあれば翻訳しながら授業に参加する児童の姿が見られるようになりました。
翻訳する(英語)
同様に本校には多様なルーツのある児童が在籍しています。日常会話では全く問題のない児童もルーツや生活の中で「学習する言語」としての日本語を習得することができていない児童も多くいます。
そんな彼ら彼女らが身に付けた技の一つが「翻訳する(英語)」です。調べる時は日本語で調べますが、検索結果を翻訳で英語にして理解します。理解した内容を改めて日本語で表現します。このように英語と日本語を往還することで、学習する上でわからない言葉も理解しながら学ことができるようになってきました。
白熱する議論
論破することは目的ではありません。しかし、真剣にやっているからこその意見の衝突はあります。
今日はとても珍しい児童の姿が見られました。普段はあまり自己主張を自己主張をし合うことのない6年生の児童同士が白熱した議論をしていました。「カップ麺について調べているなら、お湯を入れるとなぜ柔らかくなるのか教えてほしい」「それも気になることだけど、僕はカップ麺はなぜお湯を入れる前が硬いのかを探究している。だからそれは僕の探究ではない」。つまり、人の知りたいことを調べることが探究ではなく、自分の知りたいことをトコトン追究していくことが探究だと児童は認識していました。
結局、この議論は自分の探究はそのままに、それが終わったら自分も気になるから調べてみるということで落ち着きました。
原典まで遡る
探究は調べ学習と何は異なるのでしょうか。異なることはわかるけれど、何が違うのか私たちも今探究しています。ただ、「調べてまとめて終わり」は探究ではなく、調べ学習だと思っています。調べてわかったことに対する自分の考えからまた調べる、この繰り返しが探究かなと思っています。
これを繰り返していくとどうなるのか。最近の児童の様子を見ているとわかったことがあります。ひとつは「原典まで遡る」ことです。研究には原典があります。ざっくりいうと、引用の大元です。一番わかりやすいものに「定義」が記されている論文があります。
ある児童は探究していく中で「生き物」の定義について悩み、論文をGoogle Scholarで検索していました。論文の内容はまだ理解できていないても、大学の卒業研究と同様の手順で学んでいる児童の姿を見ることができ、嬉しく思います。
中学年の探究
先ほどの2つの例は6年生です。では、最高学年の姿が「自分事として探究を捉えて追究し、原典まで遡り、さらに問い続ける姿」とすると、中学年ではどのような学びが必要になるのでしょうか。
まだ本校でもその答えは出ていませんが、児童たちがその手がかりを見せてくれています。
4年生の児童は情報収集し、それを出典を明記した上で、分かったこと・考えたことを自分の言葉でオクリンクプラスのカードに蓄積しています(情報収集から整理・分析)。そして、それをもとに自分が友達に伝えたいことが伝わるように工夫してまとめます(整理・分析からまとめ・表現)。
まさに探究のサイクルを繰り返しています。この学習の中から探究に必要な力を養っているように思えます。中学年の児童たちが6年生になったときの探究が楽しみです。
情報活用能力の育成
本校の探究も「ただの調べ学習」にしか思えないという方もいると思います。私たちもその疑念を抱きながら児童に学びを託し、その学びを支えながら進んできました。「進んできた」と言えるのは、児童の情報活用能力が育成されてきたことを実感しているからです。
本校は校舎の建て替えや学区域の再編成などによる児童数の増加などで毎年多くの教員が入れ替わっています。しかし、本校を対象にした研究では、本校の教員のICT活用指導力は高く、本校の勤務年数と正の相関があることがわかりました。さらに、若手教員へのインタビューから、この要因の1つに児童たちが教員にICTについて教えてくれることがわかりました。今日もGoogleスライドをどうやって教員に共有するのか、3年生のICTが得意な児童がクラス全体にレクチャーしてくれました。児童の情報活用能力は着実に育成されていると実感しています。
計画とポートフォリオ
2学期の探究では、最初の2〜3時間で計画を立てます。この計画はあくまで予定ですが、学習計画を立てることを通して、学びに見通しをもつ力や時間の見積もりをする力を養おうと考えています。
ポイントはできる限り具体的に書かせることと探究をはじめてからでも臨機応変に計画を変更することの両立です。具体的に書かなければ学びに見通しをもったり、時間の見積もりをしたりすることは難しいです。しかし、この計画を具体的に立てて忠実に実行していこうとすると予想の範囲内に収まる「面白くない探究」「広がらない探究」「深まらない探究」になりかねません。そこで、やってみてダメなら臨機応変に対応することが大切です。やってみて新たな問いが生まれることも少なくありません。だからこそ、具体的に書こうと試みますが、全ての日程を具体的にするのではなく、書けるところは具体的に書き、まだ書けないところはそのままにして、やってみてから臨機応変に対応することが大切だと考えています。
板書する探究
本校の探究と他校の探究を比べると異なることがあることに気が付きました。それは本校の探究は板書をすることです。
たしかに、探究は児童主体、学習者主体であることを考えると、進捗が異なるので一斉指導の典型例である板書はマッチしていないように思えます。しかし、本校の教員はなにも最初から板書をしていたわけではありません。
はじめは板書はありませんでした。しかし、児童一人ひとりに対応していく中で、児童に対する声かけや支援は全体に共通するものと、個別に異なるものに分かれることに気付きました。そこで、個別に異なるものへ個別に対応する時間を増やすためにも、全体に対して共通するものは事前に板書し、共有することにしました。このような板書の工夫によって、何をしたらいいのかわからない児童の数が大きく減少したように思えます。さらに、板書に何を書くのか学年や中学年グループ、高学年グループで話し合うことを通して、教員の探究への理解が深まったように思えます。
試行錯誤から学ぶ
先ほどの計画に通じるものがありますが、やってみてわかること、やってみたからこそ次は工夫することがあります。これが探究を通して学ぶことの1つだと思います。
今日は2学期最後の実験Dayです。実験Dayでは、計画を立てて教員から許可をもらった児童が家庭科室や理科室、図工室などの特別教室や体育館、校庭を活用して実験をします。その中で、前回の実験Dayに引き続き家庭科室で実験をする児童がいました。児童たちは前回はフルーツゼリーのようなものを作り、今回は琥珀糖を作ろうとしていました。つまり、液体をゼリー状にする実験です。そこで,今回児童が用意したものに注目しました。児童たちが味付けのために用意したものは「100%」のフルーツジュース。なぜ「100%」にこだわるのか尋ねると、前回は果汁の含有率にはこだわらずにつくったところ、「100%」以外は薄い味付けになったそうです。
このように前回の実験という試行錯誤から学ぶというのも探究を通して学ぶことの1つだと考えています。普段の学校の授業では時数や学習目標との関連でなかなか失敗することができない児童たち。探究では失敗するとわかっていても、危険なときを除いて、「グッと我慢して見守ること」も大切な支援かもしれません。
探究の支援
本校で大切にしている探究への支援を2つ述べます。1つ目は、各教科の学びと往還することです。例えば、発表の仕方は探究において大切な要素の1つです。しかし、発表の仕方にこだわるのが探究のねらいではありません。そもそも、本校では探究は教育課程上、「総合的な学習の時間」として設定しているため、目的は総合的な学習の時間に準拠します。つまり、各教科での学びを統合して発揮する場です。だから発表する力が不十分と判断すれば、国語や各教科での言語活動で補うようにします。探究でも言語活動として発表の場は設定しますが、そこで発表の仕方を目的とすることありません。
2つ目は、情報活用能力と関連した支援です。先ほど、発表の仕方を目的とした指導はしないと述べました。一方で、情報活用の方法については指導や助言をします。これは探究のねらいと必ずしも直接的に合致するわけではありませんが、本校では情報活用能力の育成に力をいれています。そこで、各教科だけでは十分に指導しきれない情報の指導を道徳教育における道徳のように「補充」としての役割で探究を活用します。例えば、今日の実験Dayでテープの粘着性に着目して実験している児童がいました。その児童はさまざまなものを塗ったところに絆創膏が張り付くかどうか実験をしていました。そこで、この結果は「表でまとめるとわかりやすい」と助言をしました。本来は社会や算数など様々な教科の中で「マトリックス(表)」の効果と使い方については指導しますが、各教科でその習得が目的となることはありません。各教科で学んだことを実際に活用する情報活用能力の育成のための「補充」として探究が機能しています。
探究計画の修正
2学期は3学期制の中で1番探究に時間を充てた時数が多いです。つまり、児童が探究をする時間が長いというです。このように長い時間をかけて探究を進めていくと児童の探究は計画通りにはいかなくなってきます。
このようなとき、私たちはチャンスと捉えて児童に計画の修正をするように促します。時数が限られている各教科の学びでは、計画を立ててその通りに実行することが大切になり、あまり計画を修正する機会を得られることはありません。しかし、本校は「アジャイル学習」として、学習計画を立ててそれを臨機応変に修正する力を育もうとしています。
計画をただプリントに書くのではなく、書いたものをどのように修正したのかその過程も残していくことで自身の学びの軌跡を残していくことができます。
表現①:模造紙
探究では様々な表現方法をしたいと児童は発信します。共通のフォーマットやテストのように点数化する評価方法が先に定められているとき、この表現方法はなんとなく定められているような気がします。
そこで探究の時間ではルーブリックで自己評価は自分の学びを振り返るためのツールとして活用しますが、自分と誰かを比較することはありません。そのため、児童に特定の表現方法に絞ることは指示していません。そのためこの写真のように、模造紙に紙とペンで探究した内容を蓄積していく児童もいます。
ただ、このときどの方法でも良いですが、それぞれの方法のメリット・デメリットを知っていく必要があるかもしれません。
表現②:Googleスライド
よくある表現方法としてGoogleスライドの活用があります。Googleスライドの活用のメリットは共有のしやすさや写真を挿入する手軽さ、何度でもやり直せる「間違いへの寛容さ」などにあります。
一方で、デメリットとして一覧性は模造紙と比較すると低く、発表全体の筋が通っていないと発表の流れがわかりにくかったり、検索した内容のコピペで終わってしまったりすることがあります。
とりあえず調べた内容をGoogleスライドでまとめるということが往々にしてありますが、児童にどのように調べた情報を整理・分析させるか工夫が必要かもしれません。本校の探究ではその工夫をBenesseのミライシードのオクリンクプラスでフィッシュボーンを活用して、調べるだけにならないような指導を試みています。
表現③:Web上でCAD
児童はときに私たちが思うよりも難しいことをします。ある6年生の児童は授業では1度も扱ったことがないにも関わらず、Web上でCADが使えることを知り、それを活用して自分の目指す家づくり、部屋作りを考えました。
どこで操作方法を覚えたのかもわかりませんが、うまく活用しています。このように教員の想定を超えた学びを児童がするとき、私たち教員がするべきことは、使用を禁止することでも、そのアプリケーションを児童と同じレベルで操作することでもないと考えています。
そのアプリケーションの利用規約を把握し、そもそも使用しても良いアプリケーションなのか確認し、もし使用不可なら他の方法を考えるように促し、使用可能な場合はどのような学びが生まれるか考えることだと考えています。
課題にもどる
今日は2学期最後の東金Explorerでした。2学期だけで12回も児童たちは探究を継続してきました。このように長く探究をしていると、いつからか手段が目的となってしまうことも少なくありません。
そこで、探究では最初の「課題にもどる」ことが大切だと、様々な学年の探究を見ていて教務の先生は気付きました。発表やスライドの準備を進めていく中で、スライドにまとめることが目的になってしまうことがあります。ここでのポイントは、課題にもどり、課題を説明するようなスライドや発表になっているかにあるのではないかと考えています。
先輩や同学年からの助言
本校では、瀬戸SOLAN小学校を参考に個人探究に挑んでいます。そのため、児童一人ひとりで探究テーマも課題もプロセスも異なります。メリットは自分ごととして主体的に探究ができることです。一方で、デメリットは行き詰まったときに誰も助けてくれる人はいないことです。
そこで、ある学級では児童のポートフォリオから児童の行き詰まり感を見取り、個人探究をしつつもアドバイスをもらえる環境を設定しました。具体的には、1学年上や同学年の児童たちへ、自分の発表で気を付けたことを明記してから発表し、アドバイスをもらいにいきました。
実物や表で「比べる」
探究を通して身に付けてほしい思考の1つに「比べる」があります。調べ学習と探究学習の大きな違いは収集した情報を「整理・分析」しているかにあります。「整理・分析」していないものが調べ学習で、しているものが探究学習です。
この「比べる」の思考をする際に活用するシンキングツールの1つに「マトリクス(表)」があります。この思考自体は各教科・領域の指導で育成するものですが、それが自然と学習の中で表出することを総合的な学習の時間では目指したいところです。ある児童は「マトリクス(表)」を活用して、様々なテープを長所・短所の観点から「比べ」、さらに実物を貼って「見比べる」ことをしながらまとめていました。
ICT活用で情報を整理する
先ほどは情報の「整理・分析」の例としてポスターの「マトリクス(表)」を紹介しました。このように情報の「整理・分析」は、ICT活用の有無は問いません。児童一人ひとりが活用しやすいものを選びながら情報を「整理・分析」することができればよいと考えています。
ICTを活用した情報の「整理・分析」についても紹介します。ある児童はGoogleキープを活用して情報を「整理・分析」していました。Googleキープの良さは、色分けしながら、短い文章でを簡単に順番を変えたりすることができます。まだスライドの作成までいかないけれど、構成を考える上ではとても効果的なツールだと児童は感じていました。
課題を解決しているか
2学期最後の探究では、「改めて自分たちが行ってきた探究が、最初に解決しようとしていた課題を解決するものになっていたのか立ち返る」ことが重要だと気付きました。
そこで、本校の探究の特徴の一つである教師が板書で一斉指導をする際にこのポイントを共有しました。児童たちは自分たちの課題を再確認して、その答えが発表資料に含まれているか考えていました。
できた!と思ったら……
児童の進捗状況は一人ひとり異なります。中には、再確認してみても「できた!」「終わった!」という児童が出てきます。
そこで、「できた!と思ったら……友達や先生に発表してみる」ことにしました。友達や先生からのアドバイスや発表を通して、気付いたことから、また探究がはじまっていた児童の姿も見られました。
後輩へ発表しに行く
ある程度発表が形になっていると感じている児童が多くいた5年生には、実際に下学年に発表に行ってもらいました。ホチキスについて探究していた5年生の発表では、「へぇ〜」「ホチキスって人の名前からきているんだ!」など驚きや新たな発見があったり、「そのフォントにどうやって変えるの?」のような技術面で気になることもある様子でした。
探究における教師の役割とは
校ではさまざまなアンケートを継続的に行っています。その中に、探究に関するアンケートがあります。本校では、「おさえるべきところは教師が抑えるが、児童主体の学びをつくっていきたい」認識の教員が少しずつ増えてきました。しかし、一定数探究には否定的な教員もいます。この背景には、教員があまり支援や指導をすることがない探究に手持ち無沙汰だと感じているようでした。探究における教師の役割について、今後も教職員で話し合いながら探究していこうと思います。
一斉指導するための板書
本校の探究の特徴は度々掲載しているように、教員による板書です。この板書は一人ひとり異なる探究に寄り添うために、時間を捻出するために教員が編み出した工夫です。まず全体に共通する指導をしていくことで、個別に対応する必要のある児童に寄り添う時間を捻出しまう。
どうする?と声かけ
一斉指導で捻出した時間を活用して児童に声をかけます。ここでポイントは、「〇〇しよう」ではなく、「〇〇みたいだけど、どうする?」と声をかけることです。このように答えを教えるのではなく、問いかけをして考えさせる声かけをします。
発表する場を設定
それでも全ての児童に教員が関わることは難しいです。そこで、児童が児童に教え合い、学び合う場を設定することにしました。たとえば5年生では、NHK for Schoolを参考にプレゼンの基準を作成し、互いに練習し合う場を設定しました。
フィードバックをする
本校では成果物だけではなく、探究の評価を学びの履歴の蓄積でします。具体的には毎回探究終了後、振り返りを書きます。そして、そこに教員がS・A・Bで評価し、必要な児童にはフィードバックします。たとえば、まとめ方で悩んでいる児童に「表でまとめるとよい」とフィードバックをしました。
出張で担任がいなくても…
教員による板書の効果に担任が出張でいなくても、板書さえ残しておけば引き継ぎができるということがありました。公立小学校で教育研究をしていく上で、誰が入ってもできること、引き継ぎができることは重要な要素だと思います。他の先生の板書から学ぶこともあります。
原稿を準備
4年生では発表の原稿をスピーカーノートではなく、原稿用紙に書くことにしました。これは「書く」の指導と、国語の原稿用紙の使い方の補助指導としています。これによって、発表で下を向くことなく前を向いて、原稿を見ずに発表できる児童もいました。
発表原稿の添削
教員はこれまで児童の書いたものを添削するということは何度も行ってきています。また、自分の言葉になっているかも、その児童を見取り、判断することができます。発表原稿が紙となることで、従来の教員の専門性が発揮されます。
フィードバックをする
今回のメインは、児童が児童の発表を聞き、改善点や良かったところをフィードバックし合うことです。この結果、互いの発表をよく聞くとともに、自分が自分の探究を理解することができているかを改めて確認することができました。発表に向けて、児童は修正と改善に励みます。
調べたことを自分の言葉で
本校では、調べ学習と探究の違いのひとつに自分の言葉でまとめるというものがあります。
ある児童は自分の言葉で発表するためにスライドの左下に、辞書で調べ自分なりに理解できた言葉に説明を加えて発表していました。どの児童の発表を素晴らしく、学校公開「オープンデイ」に参加されたみなさんに驚いてもらえました。
友達の発表にフィードバック
発表だけでなく、友達へのフィードバックもしています。特に今回の学校公開「オープンデイ」では、参観された大学生や社会人の方だけでなく、異学年の児童も友達の発表にフィードバックをしました。気になるスライドの写真と一言フィードバックをオクリンクプラスを用いて収集・共有しました。
大学生のホンモノの研究
探究は小・中学校では総合的な学習の時間、高等学校では総合的な探究の時間となります。これらは大学になると研究になります。そこで、本校に教育実習に来てくれた大学生と本校の職員で大学に在学している方に、「ホンモノの研究」を見せてもらえるように依頼しました。
自分たちの探究は将来このような研究につながるのかと、児童はイメージを膨らませていました。
大人顔負けの探究
体育館では、各クラスの希望者の児童が参観された大学生や社会人、大学の先生を相手に、探究を発表しました。どの発表も素晴らしく、中には大人顔負けの発表がありました。例えば、小学校3年生は「感情が変わるとき人はどのような状態に変わるのか」という課題を探究していました。正直、インターネットで調べただけでコピペでは?と疑っていましたが、しっかりと自分で理解し、自分の言葉で理解したことを発表してくれました。
さまざまな探究を知る
前回体育館で発表した児童の発表が素晴らしかったため、今回は探究をしてきた全ての児童を体育館に集めて、発表をしてもらいました。
写真をつなげて動画にしテロップをつけて発表する方法や自分の「好き」をとことん追究して探究の発表につなげていく方法、クイズを間に挟みながら飽きずに聞いてもらう方法など、多くのことを他の人の発表から気付いている様子が見られました。
ポスター発表ときっかけ
「アンミカさんが言っていた『白って200色あんねん』をきっかけに、色について探究しました」。色について探究した児童のきっかけでした。さらに、インターネットで検索して分かった「男女の色の見え方が異なる」ということに対する疑問から、本当にそうなのか調べていました。そして、それをポスターにまとめて発表しました。
自分の探究にどうつなげるか
発表を終えて、児童はいろんな刺激を受けました。児童によって気になった探究は異なり、「魚が多くいる場所の探究が気になった」「感情と表情は難しいけど面白かった」など、それぞれの児童が他の人の探究について興味をもっているようでした。さらに、異学年の探究から刺激を受けて、「3年生なのに4年生よりすごい」「6年生の探究はすごい」など刺激を受け合っていることがわかる発言も多くありました。
振り返りとフィードバック
体育館から帰ってきてから、児童はポートフォリオに自分たちが探究の「発表を聞いて」「次やってみたいこと」を振り返っていました。その際、「S:発表を聞いて、自分が次にやりたいこと・生かしたことを見付けることができた」「A:友達の発表を聞いて、良いところ・面白いところを見つけることができた」というルーブリックを活用しました。さらに、教員はそれをできる限りその場で机間指導をしながら即時フィードバックを行いました。