研究テーマ

臨床研究

放射性同位元素内用療法における定量解析の標準化と新しいバイオマーカーの確立

  • 令和2年度~:科学研究費 基盤C「甲状腺癌放射性ヨウ素内用療法における定量解析の標準化と新しいバイオマーカーの確立」(研究代表者:小西憲太)の研究代表者、研究分担者として、SPECT/CTによるSUVやkBq/ml等の定量的評価を新たなバイオマーカーとして確立することをめざす研究を行っています。

人工知能を使った予後予測法の開発

  • 平成29年度~ 令和元年度:厚労省科学研究費補助金臨床研究棟ICT基盤構築・人工知能実装研究事業「ビッグデータからの機械学習による前立腺癌小線源療法の予後予測法の開発と均てん化への応用」(研究代表者:中村和正)の研究代表者として、AIによる放射線治療の予後予測法の研究開発を行っています。

粒子線治療に関する研究

  • 日本医療研究開発機構革新的がん医療実用化研究事業「新たな根治的粒子線治療を実現する吸収性スペーサーの適応拡大と実用化研究」(研究代表者:佐々木良平先生)の研究分担者として、粒子線治療の照射法の研究を行っています。

  • 重粒子線治療多施設共同臨床研究組織(J-CROS)運営委員会 泌尿器腫瘍分科会の委員として、前立腺癌等の重粒子線治療の評価に携わっています。

  • 九州国際重粒子線がん治療センター重粒子線がん治療泌尿器腫瘍検討班 班員として、同センターで治療された症例の評価に携わっています。

前立腺癌放射線治療に関する研究

  • 前立腺癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)および画像誘導放射線治療(IGRT)を使った寡分割照射法の研究:厚生労働省科学研究費補助金がん臨床研究事業「放射線治療期間の短縮による治療法の有効性と安全性に関する研究」の分担研究 として、高精度放射線治療を使って前立腺癌の外部照射の回数を少なくする方法(寡分割照射法)が有効かどうかを全国約20施設と共同して研究しています。

  • 日本医療研究開発機構革新的がん医療実用化研究事業「局所限局性前立腺癌中リスク症例に対する陽子線治療の多施設共同臨床試験と局所限局性前立腺癌に対する強度変調放射線治療の多施設前向き観察研究」(研究代表者:櫻井 英幸先生)にて、前立腺癌の陽子線治療およびIMRTの多施設前向き観察研究を行っています。

  • 日本における前立腺癌に対するヨウ素125密封小線源永久挿入療法に関する前向きコホート研究(J-POPS)に分担研究として、密封小線源療法の実態、施設差などを研究しています。 J-POPS研究は、Nature Outline前立腺がん特集にて紹介されました。

各種疾患の放射線治療成績の解析

  • 当科にて放射線治療が実施された頭頸部癌、子宮頸癌などの種々の疾患の治療成績を解析し、より良い放射線治療を目指しています。

  • 日本放射線腫瘍学研究機構(Japanese Radiation Oncology Study group, JROSG)の泌尿器腫瘍グループの委員長として、泌尿器腫瘍の放射線治療の臨床試験等の各種研究を推進しています。

  • JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ) 放射線治療グループに参加し、子宮頸癌術後の強度変調放射線治療の臨床試験、肺癌に対する体幹部定位放射線治療の臨床試験に参加しています。

機器開発

体幹部定位放射線治療の固定法・固定器具の開発

  • これまで、Carbon plateを使ったBody frame、三層強下段ボールを使ったBady frame、分離型のBody frameを開発してきました。これらの固定具は多くの施設で使用していただいています。現在、分離型のBody frameは、トモセラピーによる全身照射の固定具としても有用性を発揮しています。


Nakamura K, et al. Corrugated Fiberboard as a Positioning Insert for Patients Undergoing Radiotherapy. J Radiat Res 51(1), 87-90, 2010.
中村和正, 小西憲太, 小松哲也, 石場 領, 佐々木智成, 福山幸秀, 寺嶋廣美. トモセラピーによる全身照射の疑問点と文献的考察. 臨床放射線64:1041-1047,2019

頭部・頭頸部放射線治療における新しいマウスピース開発

  • 頭部・頭頸部放射線治療では、シェルおよびスペーサーが使われていますが、シェル内でわずかの動きが生じる、口呼吸ができない、などの欠点があります。これらの問題点を解決するマウスピースを浜松の企業と共同開発しました。


若林紘平、他.「頭部および頭頸部放射線治療における新しいマウスピース開発」日本放射線腫瘍学会 第32回高精度放射線外部照射部会学術学会 2019.03.02 東京

呼吸性移動の制御を目指した機器開発

  • 呼吸性移動を伴う臓器への照射では、いかに呼吸性移動を把握して、ある決まった呼吸位相にて照射することが重要となります。 これまで、CCDカメラを使った呼吸性移動のモニタ装置を開発し、数施設で使用されています。


Nakamura K, et al. Reproducibility of the abdominal and chest wall position by voluntary breath-hold technique using a laser-based monitoring and visual feedback system. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2007 ;68(1):267-72.
  • 呼吸性移動の抑制を目指した腹部圧迫用エアバッグシステムの開発を行い、臨床使用を開始しました。


池之平勉、他.「呼吸性移動の抑制を目指した腹部圧迫用エアバッグシステムの開発」日本医学放射線学会第166回中部地方会. 2019.07.13-14 金沢

注射剤漏出の早期検出を目指した機器開発

  • 医療において、血管内に薬液を注入する行為は、必要不可欠ですが、血管外漏出は頻繁に発生し、時に重篤な有害事象を引き起こします。放射線科領域では造影剤の注入漏れや、核医学検査・治療薬の漏れなどが問題となりますが、現在、血管外漏出を検出する技術は十分とは言えません。血管外漏出を早期に検出するための技術開発をおこなっています。 高感度サーモグラフィーを使って血管外漏出を検出できるかの研究をおこなっています。


Nakamura, K, et al. Thermographic visualization of the superficial vein and extravasation using the temperature gradient produced by the injected materials. Infrared Phys. Technol, 67:514-520, 2014.
  • 静岡大学工学部との共同研究としてマルチタップCMOSイメージセンサを用いた近赤外線イメージングシステムが血管外漏出を検出できるかを検討しています。


石場 領、他. 「赤外線/近赤外線イメージ技術を用いた血管外漏出早期検出の研究」日本医学放射線学会第166回中部地方会. 2019.07.13-14 金沢中村和正. 「放射線科からのニーズとイメージセンシング ―血管外漏出検出を含めてー」(招待講演)映像情報メディア学会情報センシング11 月研究会. 2019.11.08 東京

機械学習・汎用知的音声合成システムを利用した放射線治療説明システム開発

  • 患者に放射線治療のより良く理解していただき、あわせて医師の業務効率化を図るため、汎用知的音声合成システムを利用した放射線治療説明システムの開発を行っています。また、学生実習の効率化にも役立てています。この試みは、日立ソルーションズクリエート様のホームページで紹介されています。

国際交流

日本スカンジナビア放射線医学協会