アスベスト(石綿)とは:現在は禁止されている超危険な建物材料です(法律でいう毒とは違います。)。以前は断熱のためなどに使用されていました。古い建物には使用されていることがよくあります。これを吸い込むと長い潜伏期間の後,中皮腫という病気(生存率が低く,猛烈な痛みを伴う!)にかかる危険性があります。中皮腫の死亡者は年々増加しており,2021年の1年だけで1635名の方が亡くなっています。
2015年に行われた尾道市向島中央小学校の解体工事現場において,長期間に渡りアスベスト(石綿)が飛散する事故が発生しました。しかし,大気汚染の状況を周知する義務を負う広島県は,義務を果たさずこの事故を隠蔽しました。また,このような重大事故の再発防止のために,解体現場の立入指導や周知活動を強化すべきでしたが,このような再発防止策も十分講じませんでした(2018年度時点。その後の状況は現在公文書開示請求により調査中。)。
広島県は豪雨災害の教訓を踏まえて,速やかに土砂災害警戒区域などの公表に踏み切りましたが,災害発生前に行っていたら,死傷者の数はずっと少なかったでしょう。広島県は大勢の死傷者が出ないと動かないのか。そんな後手後手でいいのか,という思いを胸に,以下,広島県が隠蔽した石綿飛散事案について時系列に沿って説明します。
尾道市の向島中央小学校で,解体工事の途中で,石綿が見つかったとの連絡を受け,後輩を伴って二人で現地の確認を行いました。
当時の悲惨な現状を記録した資料がこちら(この工事の立入復命書案)です
解体工事現場では,剥離した石綿の一部がブルーシートに包まれていましたが,ブルーシートがされていない地面にも大量の石綿が散らばっていました。
6月30日のアスベスト飛散事案の対応方針を定めるために,私はこのような対応方針案を作成し,上司の河村敏成課長に相談し,所長にこの事案の公表について相談したい旨申し入れました。当時の私は大気汚染防止法を担当したことがなかったので,県に公表の義務があることは知りませんが,公表する必要性があることなど誰にでも理解できます。法律の根拠が仮になかったとして,県の裁量で公表することは可能です。しかし課長には渋い顔をされました。
左の資料の内容について,3点説明を加えます。
・この資料中の「解体工事の振動等により石綿が飛散する恐れがある」とあるのは,「解体工事の振動等により石綿が飛散する」の誤りです。現場で確認された石綿は,”発塵性が著しく高い”レベル1の石綿であり,この石綿は解体工事に伴う強烈な振動により,確実に飛散します。
・解体工事の着工から既に約2ヶ月が経過しており,数週間から1ヶ月以上に渡り石綿がなんら飛散防止措置が講じられないまま飛散したと考えられます。
・解体工事現場には開校中の小学校が隣接しており,多数の児童や関係者が石綿に暴露したことに疑いの余地はありません(解体工事の作業員のみなさまの健康を守るのは労基署の仕事ですが,労基署は多忙を理由に現場にこなかったそうです。)。
河村課長は,私の公表すべきとの意見を無視し,このような資料を自ら作成し,私の確認を受けず,また私を伴わず,東部厚生環境事務所長に説明を行い,事案の非公表の方針を定めました。
担当を介せず,課長自ら資料を作ることは,当時の職場では異例のことであり,私は課長に担当を飛ばしたことを強く抗議しました。すると「お前は私の敵か!」とすごい剣幕で凄まれ,抗議は突っぱねられました。なお,課長の作成資料は,私の作成した原案と次の点が異なります。
・5月7日に着工されていることが削除され,解体工事の着工から既に2ヶ月弱経過していることが分からないようになっています。
・課長が聞き取ったと思われる教育委員会の見解が追記されています(既に撤 去された校舎部分に吹付け石綿が使用されていたおそれはない 等)
・文書指導を行うという案が,「必要に応じて」行うように変更されています。公文書による指導通知を行おうとする私の起案は却下され,大した事故では無いかのような処理がされました。
また,私が「石綿の飛散のおそれ」と誤った表現をした部分は訂正されず,そのまま踏襲されています。大気汚染についてある程度勉強した職員であれば見逃さないようなこのミスをなぜ放置したのか。その方が非公表の方針で所長に話をするには都合が良かったからでしょう。
「既に撤 去された校舎部分に吹付け石綿が使用されていたおそれはない 」という教育委員会の判断の信用性は0です。既に撤去された校舎部分に吹付け石綿が使用されていた可能性は十分に考えられます。市教委に十分なアスベスト調査の能力があるのであれば,そもそも石綿飛散事故は起きていません。既に解体撤去された部分に石綿が吹き付けられていて,知らないうちに全部撤去してしまった可能性は十分考えられます。現場の状況から判断して,発注者も受注者も関係者全員が石綿飛散防止対策についての認識と知識が乏しかったことは明らかです。
通常このようなケースで行われる「アスベストの実態調査」とは,非破壊的な調査であり,天井裏等,破壊調査でしか確認できない箇所は,アスベストの存否不明とされます。そしてもし専門家により破壊的調査まで行われていたのであれば。この度確認された階段室の天井裏のような,比較的よく石綿が使用される箇所は見落とされません。環境分野の経験が長い河村課長であれば,そのようなことは重々承知していたはずです。
また,この資料では「階段室床面に吹き付け石綿が放置されており,大気環境中に飛散するおそれがある」とされていますが,飛散するのはおそれ(可能性)ではありません。確実に飛散します。
しかし,河村課長は,通常方針を定める文書の起案者となるべき担当者の私を回避して,意図的に問題を小さく表現した上記の資料により,課長の上司の所長へ報告しました。これは公文書の偽造や捏造に類する行為であり,信頼失墜行為というべきでしょう。しかし現実にはこういう姑息な行為は,気が利いた対応と評価されるのが,事なかれ主義が蔓延した広島県庁では常識です。さまざまな管理職の発言の端々や人事評価の結果,昇任人事などをみていると大体わかります。逆に,事実や問題をありのままに,公文書に書き込もうとする私のような職員は,重要な文書の作成や,事案対応の担当から,あの手この手で排除され,隅に追いやられることになります。霞ヶ関では嘘の答弁をした功績で国税庁長官になったと噂される人がいますが,広島県庁にも似たようなところがありますね。
法的には,石綿飛散事故の周知の責任は,実は,私が所属していた厚生環境事務所(県内各地に7つある)ではなく,これらの事務所を統括する環境保全課にあります。当時の環境保全課長は梅村幸平氏でした。河村課長と梅村課長は懇意の仲で,この事案の情報は一も二もなくすぐに伝わっていたでしょう。非公表を決定したのは実質的にこの人のはずです。梅村氏はこの事故の翌年環境部長に昇進します。環境の専門職出の部長誕生を,多くの環境専門職が喜んでいましたが,私は,全くそういう気になれませんでした。一体何を評価されたというのでしょう。
戸河内小学校解体工事において,給食室の梁に吹き付けられたアスベストの飛散事案発生を確認しました。町教育委員会からの報告内容から,4月29日から5月13日までの間,アスベストが飛散したものと考えられます。原因は解体工事前の事前調査の不備等であり,町が行った事前調査は,非破壊的なものであり,天井ボードの裏などは確認していませんでした。
向島中央小学校の石綿飛散事案が公表されていれば,防げたかもしれない事故です。
大気汚染の業務は,県庁の環境保全課(●)が統括しており,石綿飛散事故の公表や広報資料の作成はここが担当することになります。この日は,環境保全課に,解体工事での石綿飛散を呼びかける広報活動のための協議に行き,あり得ない塩対応をされました。聞取票にはこのような内容が記録されていました。
○(茂田)A協会(産廃業者の境界)に,会員へチラシの配布を依頼したいと考えている。このチラシは,石綿の調査結果に関する記載をより詳しく記載するように変更したことを伝えるためのものである。つてがあるので,こちらから直接話をしてみようと思っているがどうか。
●周知をする必要があるとは思えない。A協会に参加している解体業者は少ない。
○廃棄物処理業者の皆さんは,解体業者さんから仕事を受けていることも多い。運搬する廃棄物へ石綿が混入するのは,処理業者さんにとっても困ることなので,お客さんへの周知には協力してもらえる期待がある。
●答える立場にない。
○こちらの判断に任せるということか。
●そういうことは言っていない。
○周知はしないでもらいたいということか。
●そういうことも言っていない。
○協議にも応じないということか。
●忙しいので帰ってくれ。
先日訪問したら帰れ,と言われたので,この日は電話で環境保全課(●)に相談をしました。これはその際の聞取票の内容です。
○(茂田)そちらで作成したチラシの配布を西部建設事務所に依頼したところ協力してもらえることになった。 先方の希望により,チラシのp2とp3を割愛して4pものに変更したものを配布してもらうようにしたい。
●そこまでして配布する必要はないのではないか。
○解体工事の元請け業者のうち9割以上が改正大防法について知らないので,周知は喫緊の課題である と考えている。改正大防法の周知先で最優先なのは解体業者であり,解体の届出を提出する者に配付できるのは非常に意味のあることである。
●チラシの改変はやめてもらいたい。さまざまなものが流通するのは望ましくない。
●そもそもなぜそちらの事務所が単独で動いているのか。
○事務所同士での連携があるので,個別に協力を依頼した。
●実は建築部局にチラシの周知に依頼に行くことも考えているので,配布はちょっと待っていただきた い。
○建設業者への周知は,県庁からやってもらいたいと6月ごろからお願いしているが,どこまで話が進 んでいるのか。
●まだこれからだ。
○西部建設事務所は配布に同意してくれている。そちらが本庁同士で協議して,配布を断られたらどう なるのか。西部建設事務所で配布してもらい,既成事実を作っておいた方が,話が通りやすいのではな いか。
●チラシの配布については初めて聞いた話だ。いきなり言われても困る。
○先日話に行ったら貴方は帰れといった。それについては どう思うのか。
●あなたはストレスになる。
○なにが問題なのか具体的に指摘してもらいたい。
●電話を切らせてもらう。
環境保全課の担当者のこの失礼極まりない対応ののち,環境保全課から私の上司にクレームがあり,私は上司の渡邉課長から理不尽にも叱責を受け,環境保全課への連絡を禁止されます。一体私が何をしたというのでしょうか。環境保全課の仕事で,大勢の死者が出ている石綿の問題より優先すべき仕事などないはずなのに,他の何を優先させていたというのでしょうか。
ちなみにこの年の環境保全課長は重野昭彦氏でした。重野課長は,前任の梅村課長の「石綿飛散事故は隠蔽」の方針を継承し,危険性の周知活動をも疎かにしました。
2年連続で公共工事での石綿飛散事故を経験し,他の民間の現場はもっと酷いかもしれないという思いがある一方,肝心の環境保全課には相手にもされない状況なので,環境保全課長の上司の森永智絵環境局県民局長にメールで対応を求めることにしました。環境保全課長のすぐ上は前出の梅村環境部長がいますが,通報したところで結果は見えています。森永局長は環境の専門職ではなく,フラットな目で判断してくれるかもしれないという思いで通報先に選びました(結局は梅村部長に丸投げとなったようですが)。以下通報内容です(一部省略。一部誤記を修正)。先に言ってしまいますが,通報への回答は梅村部長からであり「県の対応は問題ない」でした。
【通報内容】
各厚生環境事務所及び環境県民局では、県民の健康被害に関わる情報を入手しておきながら、これを公表したり、必要な措置を講じたりすることをせず、県民の健康被害のリスクを低減させる努力を怠っている事例が散見されます。このことにより、県民は自ら自衛措置を講じる機会を失し、行政機関等へ必要な施策の実施を求めることや、加害者への損害賠償を求めることもできない等の問題が生じています。この具体例については、次に3つ示します。これらの問題は、局の存在意義に関わる重大な問題であるとも考えますので、これらの事例について事実関係を確認の上、問題の有無等、貴局の見解をお示しくださいますようお願いします。
(1)石綿飛散事故が公表されなかった事例
平成27年6月に、東部厚生環境事務所が実施した向島中央小学校の解体現場の立入検査において、当該工事は、飛散性の高い石綿の存在に気づかないまま当該解体工事が実施され、剥奪した石綿が、一方の壁が完全に撤去された吹き晒しの状態にある場所に、数日間に渡り放置され、相当量の石綿が飛散したことが確認された。また、平成28年5月に、西部厚生環境事務所広島支所が実施した戸河内小学校の解体現場の立入検査においても同様の事案が確認され、平成29年7月にも、西部厚生環境事務所広島支所が実施した芸北中学校の解体工事の立入検査において、飛散性の高い石綿を一部見逃したまま解体工事が行われており、当該立入検査が行われなければ、同様の石綿飛散事故が発生する状況であったことが確認された。
上記の石綿飛散事故が発生した解体現場の周辺には、小学校や住宅が隣接しており、石綿飛散事故の事実を速やかに公表することのより、これらの県民は石綿に暴露しないようにするための回避行動をとることが可能であった。また、石綿被ばくのリスクに晒されたことについて、原因者に損害損賠を請求することも可能であった。本県は、大気汚染に関し、国民の健康保護すること及び事業者の損害賠償責任を定めて被害者の保護を図ることを目的とした大気汚染防止法を所掌しており、大気の汚染状況をモニタリングし、これを公表する事務を行っている。それにも関わらず、上記のような石綿飛散事故が発生していることを把握しながらこれを公表しないことは、県民の知る権利の侵害等の理由により、不作為の不法行為に当たると考えられる。
(2)解体工事の石綿飛散防止対策を講じられない事例
別紙1(ここでは省略)の2に記載のとおり、広島支所で実施した立入検査において、解体現場の約9割において石綿の調査が事前に適切に実施されていないことが確認された。また、(1)に記載のとおり、公共工事においてすら、石綿の飛散事故が続発している。これらの事実から、解体工事や、解体工事で発生する廃棄物の処理の過程等で相当量の石綿が飛散していることが容易に想像できる。広島県において、石綿が原因で発症する中皮腫という難病が原因で、毎年50人〜60人が亡くなっており、これをどこまで減らすことができるかは、解体現場の立入検査をいかに効果的に行うかにかかっていると言っても過言でない。環境県民局の課題のうち、健康被害に直結するような問題はほとんど扱っていない中で、解体工事に伴う石綿の飛散防止対策は、他のほとんどの事務よりも優先的に取り組むべき課題であることは明白である。また、この対策として、広島支所で行っている解体現場の立入検査が有効であることが、別紙1の2に記載のとおり既に実証されている。しかし、未だに解体現場における飛散防止対策は全庁的に講じられておらず、検討しているという話も聞こえてこない。このような問題が生じていることも公にされていない。本県は、先述のとおり、大気汚染に関し、国民の健康保護することを目的とした大気汚染防止法を所掌しており、解体現場への立入権限が付与されている。それにも関わらず、この権限を行使せず、抑えられる石綿暴露リスクを高い水準のままに放置していることは、不作為の不法行為に当たると考えられる 。
(3)地下水汚染の事実の公表や必要な調査等が行われない事例
(省略)
以上の3事例は、いずれも私が担当者として携わったものです。私は、担当者として県の対応は県民の負託に背をむけるものであり、憲法違反に当たり得るものである事を指摘し、対応を改めるよう何度も所属や県庁の担当課に問題提起しましたが、提案が受け入れられることはありませんでした。
また、私のこのような度重なる問題提起に対しては、「お前は裏切り者だ」、「組織人として失格だ」、「相手の立場に立って考えろ」、「そんな事を言っていると今後仕事ができなくなる等と批難されたり恫喝されたりする等、理屈ではなく、不当な手段で発言を押さえつけられました。(中略)この照会への回答の他、上記の問題について、環境県民局として改善に取り組んでくださるようお願いします。
その後あれこれ,自分なりに内部での働きかけを行いましたが,一向に環境保全課が抜本的に対応を改める気配が見えないため,一念発起し,知事に次のような趣旨のメールを送りました。
「環境県民局長に対して環境部門の隠蔽体質(上記の内容)について問題提起をした結果,県の対応に問題はない旨回答がありました。回答に当たり,私への質問は一切なく,どのような調査を行ったのか等,回答の根拠についての説明はほぼありませんでした。唯一の説明は環境保全課の説明を聞いて確認したということであり,被疑者の口頭での説明を鵜呑みにしたものだと思います。第3者による調査が必要だと思います。」
有難いことに,私の通報に対して,第3者による調査が行われることになりました。しかしこれはぬか喜びに終わります。
知事の指示を受けた沖邉竜哉行政経営部長より,尾崎法律事務所により調査が行われる旨の連絡があり,この調査に協力することとなりました。一時は協力に応じましたが,2019年1月16日時点で,調査への協力を打ち切ることにしました。理由は後述します。
知事に対して,次のような理由により,尾崎法律事務所の調査への協力を打ち切る旨連絡しました。
一つは,当初私は私の通報に関する調査が尾崎法律事務所によりやり直されるものと理解していたが,
実際は「私の通報に対して県が行った対応の合法・違法に関する調査」であり,騙されて調査に協力させられていたと考えること。
二つ目は,
当事務所が選ばれた経緯,委託内容,調査の目的,内容等について具体の説明がなく,県の責任を回避したり隠蔽するための調査である疑いが拭えないこと。
三つ目は,
調査の仕方や,当事務所の能力等に深刻な問題があり,十分な調査が行われるとは到底思えないこと。
不祥事の第三者調査は,客観性,中立性,専門性などの面で大きなメリットがあるが,
一方で,その調査方法や調査結果に疑念が持たれる第三者調査も多く確認されるようになり,社会問題となっている。
この問題を踏まえ,日弁連は,第三者委員会のベストプラクティスを取りまとめた「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」を,日本取引所自主規制法人は,不祥事に直面した組織に 強く期待される対応や行動に関する「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」を策定している。
また,有志弁護士等による「第三者委員会報告書格付け委員会」が,第三者委員会報告書の評価結果を公表している。
・企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン(ガイドライン):
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/100715_2.pdf
・日本取引所自主規制法人は「上場会社における不祥事対応のプリンシプル(プリンシプル):
https://www.jpx.co.jp/regulation/public/nlsgeu000001igbj-att/1-01fusyojiprinciple.pdf
・第三者委員会報告書格付け委員会:
http://www.rating-tpcr.net/
尾崎法律事務所の調査は,このガイドライン等を参考に評価すると,次のように多数の問題がある。
(問題1)
尾崎法律事務所には,環境行政に関する事案及び行政の公益通報調査に関する業務の実績がないだけでなく,公益者保護法に関しても素人と思われ,この度の関連法令の素養があるとは到底言えない(第2部 第5.1.(2))。
(問題2)
調査対象が,法的責任に限定され,「ガイドライン、企業の社会的責任及び行政倫理違反,疑いの程度を明示した灰色認定」が調査対象となっておらず,ガイドライン等も参考にした,ステークホルダーの視点に立った事実評価、原因分析を行うこととなっていない。(ガイドライン 第1部 第1.1.(3),第2部 第1.1.(3))
(問題3)
通報者への調査結果の開示の有無が決定さらえておらず,まず県に対して調査結果が報告されることが確定している。(ガイドライン 第1部 第2,第2部 第1.2.,第2.3.)
(問題4)
尾崎法律事務所は,県から調査に対する全面的な協力を得ていない。県は同事務所への関係資料,情報,職員へのアクセスを保証しておらず,職員に調査への協力するよう職務命令を発していない。また,証拠の破棄,隠匿等に対する懲戒処分が明示する等の調査対象となる証拠の保全,証拠の散逸,隠滅を防ぐ手立てが講じられていない。(ガイドライン 第1部 第3,第2部 第3.1.,第6.1.)
(問題5)
尾崎法律事務所の調査は,各職場で保管している公文書や文書管理システムや共有サーバー等の電子情報が調査対象となっておらず,調査の目的を達成するために十分な調査手法が取られていない(第2部 第1.1.(1),第2部 第6.1.)
(問題6)
調査委託先選定プロセスや委託内容が秘匿されており,調査の客観性,中立性を担保するための措置について,対外的に説明できるものが一つもないため,安易で不十分な調査に,客観性・中立性の装いを持たせようとしているのではないかとの疑念を持たざるを得ない(プリンシパル 2(2))
沖邉部長より尾崎法律事務所の調査結果「公益通報に対する県の対応の適切性に関する第3者委員会調査報告書 平成31年3月1日」の送付を受けました。以下に詳しく説明しますが,第3者というのは偽りで,実質的には広島県の弁護をする体での報告書となっています。
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