Keyword:家畜遺伝学
1.ジェネティクスとは
ジェネティクス(遺伝学)は、生物が親から子へと受け継ぐ「遺伝子」の情報や、そのはたらきの仕組みを解き明かす学問です。
見た目や性格、成長のスピード、病気への強さなど、私たちを形づくる多くの要素が、実は遺伝子の「わずかな違い」から生まれています。こうした違いを分子レベルで探ることで、生命のしくみや個体差の理由が見えてきます。
2.成長のカギを握る「遺伝」と「栄養」
私たちは、子牛の生まれ持った遺伝的な違い(SNP:一塩基多型)と、新生児期に与える栄養の違いが、その後の増体(体重の増加)や発育にどう影響するかを調べています。
これにより、以下の問いに答えることを目指しています:
生まれながらに成長しやすい体質の子牛とは、どんな遺伝的特徴を持つのか?
育て方(特に初期の栄養管理)は、どのように成長に影響を与えるのか?
遺伝情報と飼養環境の最適な組み合わせとは何か?
このような研究は、遺伝と環境の“相互作用”に着目し、より実践的かつ現場に活かせる知見を得ることを目的としています。
3. 目指す未来 ─ 放牧に適した牛のゲノム育種へ
本研究の成果は、将来的に放牧に適した牛の選抜や育種(ゲノム育種)に役立つと考えています。
放牧牛は自然環境下で飼育されるため、成長や健康に影響を与える因子が多く、より「丈夫でよく育つ個体」を見極める力が求められます。
そのためには、単なる「見た目」や「血統」だけでなく、科学的根拠に基づいた遺伝情報の活用が重要です。ゲノム情報と飼養データを組み合わせることで、個体ごとの成長特性を事前に予測し、より効率的で持続可能な放牧経営の実現に貢献できると期待しています。