地球システム・倫理学会の「研究例会」
地球システム・倫理学会の「研究例会」
■日 時:2026年03月28日(土)16時00分〜18時00分(開場:15時40分)
■会 場:麗澤大学新宿キャンパス(東京・西新宿「新宿アイランドタワー」4階)およびZoom
■講 師:佐藤 洋一郎 ふじのくに地球環境史ミュージアム館長
■テーマ:飲食文化学のすすめ―学際研究から超学際研究へ
■要 旨:「学術の動向」誌は2003年に、「新しい学術の動向― 社会のための学術と文理の融合」と題する特集を組んだ。そこで社会学者の吉田民人が展開したのが近代科学のメタパラダイム転換の試論であった。吉田は、日本学術会議の分科会で討議された、学術を「認識科学(基礎科学)」と「設計科学(応用科学)」に分ける議論を再掲している。設計科学とは文字通り世界や社会のデザインを考える学問分野で、日本では明治以来実学と呼ばれてきた。農学、薬学、工学などがこれにあたる。価値判断する学術の分野といってよい。飲食文化学という名称は飲食を巡る社会課題の解決に資する学問分野を創設したいという欲求に基づくもので、食文化研究の泰斗石毛直道氏との対話を通じて生み出された造語である。将来の人類の飲食のあり方を考えるという、これまでの学術にはなかった新しい学問分野を立ち上げようという目論見である。
飲食文化学は、職業研究者だけで完成する分野ではない。飲食という営みが、生産者、加工業者、料理人そして消費者と、文字通り全人類をステークホルダーとする営みだからである。つまり、飲食を巡る「知」は、認識科学に関する知が図書館やキャンパスの研究室に集中しているのとは異なり、社会の至るところに散在している。フィールドワークの方法を方法論の基礎におかなければならない。「見る」「聞く」「味わう」といった五感を動員した方法が、略画的(『知の構築とその呪縛』、大森荘蔵、1996)ではありながらも有効であると考えられる。
これまでの学問体系にこうした枠組みが存在しなかったのは、認識科学がデカルト以来細分化の道をたどり、研究成果に横串をさす統合の努力を払ってこなかったからだ。けれども、認識科学は分析科学と呼ばれるように、本質的に縦割りの構造をもつがゆえに(だからdisciplineと呼ばれる)、分野間の交流には大きな困難がある。わたしは大学共同利用機関である総合地球環境学研究所で、「農業が環境を破壊するとき」という、文系・理系協働型のプロジェクトを運営したが、5年の研究期間の最初の4年は共通の言語をみつけるのにも苦労した(cf. Snow, “Two Cultures, 1956)。
学術社会に内在する学術的課題の解決には異なる学術分野が連携するいわゆる学際研究(inter-disciplinarity)が近年盛んに行われるようになったが、社会課題の解決には学際研究では不十分で、多様なステークホルダーを加えた超学際研究(tans-disciplinarity)としての歩みが必要と思われる。対話は、学際研究に比べてはるかに困難ではあるが、これを乗り越えない限り、学術が社会課題の解決に資する大きな力を発揮し得ないであろう。
■略 歴:1952年和歌山県生まれ。京都大学農学部卒。同大学院博士後期課程中退。農学博士。京都市文化功労者。高知大学、国立遺伝学研究所、静岡大学などをへて、2003年総合地球環境学研究所教授、のち副所長。人間文化研究機構理事、京都府立大学特別専任教授などをへて、ふじのくに地球環境史ミュージアム館長。パソナ・シェフスコーラ校長。和食文化学会、南アルプス学会の初代会長を歴任。
■「研究例会」には、当学会に未加入の方も、来場ないしはオンラインで参加頂けます。当学会に未加入の方が来場して参加される場合は、当日、会場受付にて資料代として1,000円お支払いください。(ただし学生・院生は無料です)
■「研究例会」に先立ち、14時30分から15時30分まで「理事・評議員会」を開催します。「理事・評議員会」は、当学会の理事・評議員のみの参加となります。
■「研究例会」および「理事・評議員会」への出欠を、こちらのフォームで、2026年03月19日(木)までにご回答下さい。03月20日(金)以降に参加を申し込まれる場合は、学会事務局長(犬飼孝夫)宛にメールでご連絡ください。メールアドレス:tinukai@reitaku-u.ac.jp
■オンライン(Zoom)で参加希望の方には、開催前日までにZoomのURLとパスコードをお届けします。前日までにURLとパスコードが届かない場合は、学会事務局長(犬飼孝夫)宛にメールでご連絡下さい。メールアドレス:tinukai@reitaku-u.ac.jp
■来場に際しては感染症防止に十分ご留意下さいますようお願い申し上げます。
更新日:2026年03月05日