地球システム・倫理学会の「研究例会」
地球システム・倫理学会の「研究例会」
■日 時:2024年10月05日(土)16時00分〜18時00分(開場:15時45分)
■会 場:麗澤大学新宿キャンパス(東京・西新宿「新宿アイランドタワー」4階)およびZoom
■テーマ:地球時代と平和への思想
■講 師:堀尾 輝久 東京大学名誉教授
■要 旨:
講演のテーマは近著の表題と同じ「地球時代と平和への思想」にしました。本書(2023)は地球時代とはなにか、いつからか、そこでの主要な課題はなにかを考えてきた作品です。そしてとりわけ戦争と平和の問題を軸に、国連憲章と日本国憲法が象徴する、戦後の世界と日本の改革の理念と現実の問題、それに私自身の自分史を重ねて考えてきたものです。
1933年生まれの私は、日中戦争で父が戦死、「誉の家」の軍国少年として育ち、中一で敗戦(小倉は原爆の目標)、その後の青年期から現在まで、法学部と教育学部大学院で学び、政治・教育思想史と人間学としての教育学研究を続け、発達教育学と人権としての教育の思想を深め、その仕事と平行しつつ、日本と世界の平和思想・運動に学び、連帯しながら、安倍内閣での集団的自衛権の容認と安保法制強行に対する違憲訴訟の原告に加わり、さらに、憲法9条の理念で地球平和憲章を創る活動に取り組んで来ました。
平和を戦争のない世界だけでなく、核抑止力、軍事力に頼ることの愚かさと危険性、さらに一さいの暴力を無くし、持続可能な地球環境のもとで、全ての人が尊厳をもって平和に生きる権利の思想を深める活動なのです。その思考の跡を辿り、現在の思いを綴ったのが本書です。
第一部は地球時代とその課題を問う論稿,第二部は地球平和憲章ヘの取り組み、第三部は平和への思想として、さまざまな視点からのエッセイ風のもの。憲法9条と幣原喜重郎、丸山真男の平和思想、アインシュタインとフロイト、クストーと服部英二、沖縄と福島にどう向き合うか、安保法制違憲訴訟の原告としての陳述(地裁・高裁)も入れました。最後は地球憲章に取り組む者にとってのウクライナ戦争の問題、そこからの教訓だとする日本政府の日米安全保障強化による国防論と大軍拡についての批判も加えておきました。
「幻想をもたず 希望をつむぐ!」をモットーに、今こそ9条と地球平和憲章の出番ではないかという思いでまとめました。
本講演は本書をもとに、日本の平和憲法を平和への思想史のなかに位置づけ、地球時代の視点から読み直し、戦争の危機のなかで核兵器禁止条約を成立させた世界の平和への願いと、ウクライナ、ガザ(パレスチナ)の人々の平和ヘの希求に繋いで、平和憲法の現代的意義と価値について考えたいと思います。
■略 歴:堀尾 輝久(ほりお・てるひさ)1933年、小倉生まれ。1955年、東京大学法学部政治学科卒。1962年、同大学院人文科学研究科修了。教育学博士。同年、東京大学教養学部専任講師(教育学部併任)、1993年、東京大学退任、名誉教授。1994〜2003年、中央大学教授。この間、フランス・イギリス留学。米、英、仏、独、中、韓、スペイン、チュニジア等で講演。フランス政府パルム・アカデミック賞、フランス・トウールズ大学名誉博士。日本教育学会・日本教育法学会・総合人間学会各会長、学術会議会員(13・15・16期)民主教育研究所代表、国連子どもの権利市民・NGOの会代表、9条・地球憲章の会代表。著書『現代教育の思想と構造』岩波書店、『人権としての教育』岩波、『人間形成と教育』岩波、『教育入門』『現代社会と教育』岩波新書、『日本の教育』東大出版、『地球時代の教養と学力』かもがわ出版、『未来をつくる君たちへ 地球時代をどう生きるか』清流出版、『地球時代と平和ヘの思想』本の泉社、『平和へのねがいと音楽のちから』私家本、Thoughts, Ideologies and Structures of Modern Education in Japan and West. Univ. of Tokyo Press. 2024. L’education au Japon tra, J・F・Sabouret Press de CNRS, 他。
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■「研究例会」には、当学会に未加入の方も、来場ないしはオンラインで参加頂けます。当学会に未加入の方が来場して参加される場合は、当日、会場受付にて資料代として1,000円お支払いください。(ただし学生・院生は無料です)
■「研究例会」への出欠をこちらのフォームで、2024年10月01日(火)までにご回答下さい。(10月02日(水)以降に参加を申し込まれる場合は、学会事務局長(犬飼孝夫)宛にメールでご連絡ください。)メールアドレス:tinukai@reitaku-u.ac.jp
■オンライン(Zoom)で参加希望の方には、開催前日までにZoomのURLとパスコードをお届けします。前日までにURLとパスコードが届かない場合は、学会事務局長(犬飼孝夫)宛にメールでご連絡下さい。メールアドレス:tinukai@reitaku-u.ac.jp
■来場に際しては感染症防止に十分ご留意下さいますようお願い申し上げます。
■「研究例会」に先立ち、14時30分から15時30分まで「理事・評議員会」を開催します。「理事・評議員会」は、当学会の役員(理事・評議員)のみの参加となります。
更新日:2024年09月07日