地球システム・倫理学会の「研究例会」
地球システム・倫理学会の「研究例会」
■日 時:2024年09月07日(土)16時00分〜18時00分(開場:15時45分)
■会 場:麗澤大学新宿キャンパス(東京・西新宿「新宿アイランドタワー」4階)およびZoom
■テーマ:戦争の時代における共存の条件〜リベラルな国際秩序とその限界
■講 師:藤原 帰一 順天堂大学国際教養学研究科特任教授、東京大学名誉教授
■要 旨:
二つの戦争が続いている。ロシアのウクライナ侵攻が膠着するなか、ウクライナはロシア本土への反攻を開始した。ハマスの侵攻を契機としたイスラエルによるガザへの全面的攻撃に加えてヨルダン川西岸制圧拡大が展開している。アメリカとの対立を深める中国はロシアとの連携を拡大し、アメリカとその同盟国を一方、ロシア・中国・イラン・北朝鮮を他方とした世界の分断が進んでしまった。戦争の時代と呼ぶほかはない。
第二次世界大戦後に生まれた国際秩序は、国際連合において主権国家の独立を互いに認めるとともに、世界人権宣言において国家を横断する原理としての普遍的人権をうたいあげた。ここに見られる主権国家体系としての国際政治と普遍的人権を基礎とする世界秩序との間には常に緊張が見られたが、欧米諸国の求めるリベラルな国際秩序を新たな国家の参入に開くことによってその緊張を乗り越える機会は提供していた。
現在の世界では、リベラルな国際秩序とアメリカを中心とする同盟が重なり合い、その秩序に加わっていない諸国は軍事的・経済的脅威として見なされる状況にある。それでは世界各国が共存する条件とは何か。共存とは主権の名の下に普遍的原理を拒むことと同じ意味なのか。また、国際政治における正義とは覇権国家とその同盟国の掲げるイデオロギーと同じものなのか。国際政治における力と正義の分裂は避けることができないのか。これらの困難な問いに対し、少しでも説得力のある回答を探ることがこの報告の目的である。
■略 歴:藤原 帰一 (ふじわら・きいち)
千葉大学国際高等研究基幹特任教授・東京大学名誉教授・未来ビジョン研究センター客員教授。専門は国際政治・比較政治・東南アジア政治。1979年東京大学法学部卒業。フルブライト奨学生としてイェール大学大学院博士課程に留学。1984年同大学院博士課程単位取得中退。東京大学助手、千葉大学助手・助教授、東京大学社会科学研究所助教授を経て、1999年から2022年3月まで同大学院法学政治学研究科教授。フィリピン大学アジアセンター客員教授、ウッドローウィルソン国際学術センター研究員、ジョンズ・ホプキンス大学国際高等研究院客員教授、東京大学未来ビジョン研究センター長などを歴任。主な著書には『戦争を記憶する』、『デモクラシーの帝国』、『平和のリアリズム』(第26回石橋湛山賞受賞)、『国際政治』、『戦争の条件』、『不安定化する世界』、『「正しい戦争」は本当にあるのか』などがある。『朝日新聞』に「時事小言」を連載中。『映画のなかのアメリカ』、『これは映画だ!』など、映画に関する著作もある。(2023年5月現在)
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■「研究例会」には、当学会に未加入の方も、来場ないしはオンラインで参加頂けます。当学会に未加入の方が来場して参加される場合は、当日、会場受付にて資料代として1,000円お支払いください。(ただし学生・院生は無料です)
■「研究例会」への出欠をこちらのフォームで、2024年09月03日(火)までにご回答下さい。(09月04日以降に参加を申し込まれる場合は、学会事務局長(犬飼孝夫)宛にメールでご連絡ください。)メールアドレス:tinukai@reitaku-u.ac.jp
■オンライン(Zoom)で参加希望の方には、開催前日までにZoomのURLとパスコードをお届けします。前日までにURLとパスコードが届かない場合は、学会事務局長(犬飼孝夫)宛にメールでご連絡下さい。メールアドレス:tinukai@reitaku-u.ac.jp
■来場に際しては感染症防止に十分ご留意下さいますようお願い申し上げます。
■「研究例会」に先立ち、14時30分から15時30分まで「理事・評議員会」を開催します。「理事・評議員会」は、当学会の役員(理事・評議員)のみの参加となります。
更新日:2024年08月21日