陽電子放出断層撮影(PET)は、放射性医薬品から放出された陽電子が電子と対消滅する際に発生する2本の511 keVγ線を同時に検出し、体内の放射性医薬品の分布を画像化する核医学診断技術です。従来のPETでは、主に2本の消滅γ線がそれぞれ検出器内で全エネルギーを付与するイベントを利用していますが、コンプトン散乱などによって十分に利用されていないイベントも存在します。
本研究グループでは、コンプトン散乱を伴う3ヒット以上のイベントを画像再構成に活用することで、PETの検出感度向上を目指しています。これにより、放射性医薬品の投与量低減による患者の被ばく低減や、検査時間の短縮が期待されます。
現在、Geant4を用いたモンテカルロシミュレーションによって、多重ヒットイベントの利用可能性を評価するとともに、検出器の結晶配置の最適化や再構成画像の画質評価を進めています。将来的には、独自に開発した信号読み出しシステムを用いたプロトタイプ装置の製作と実証試験を目指しています。