コンプトンカメラは、放射性物質や宇宙から飛来するガンマ線の到来方向を可視化(イメージング)する装置です。ガンマ線は一般的なカメラのようにレンズで集光することができません。そこでコンプトンカメラでは、ガンマ線が検出器内で起こす「コンプトン散乱」という物理現象を利用し、ガンマ線の発生位置や分布を画像として再構成します。
① ガンマ線が検出器内で散乱・吸収された位置とエネルギーを測定し、
ガンマ線の散乱角を計算
② 信号を検出した検出器の位置と計算で得た散乱角からコンプトンコーンと
呼ばれる円錐を描き、ガンマ線の到来方向を円環で推定
③ 多数のガンマ線を測定して円環を重ねることで、放射線源の位置や強度分布を
画像として表示
一度に全天観測可能な広視野を実現
同じ構成の検出器を対称できな配置に設置することにより、それぞれの検出器が散乱体にも吸収体にもなり得る構成となっています。これにより、どの方向にも対称な検出感度を保つことが可能で、一度の測定で360度全天方向を測定可能なコンプトンカメラを実現しました。
装置の回転により再構成画像における虚像を低減
既存のコンプトンカメラでは、ガンマ線再構成図において円環の重ね合わせによる虚像(線源がないのにあるように見えてしまう問題)が発生しやすかったですが、コンプトンカメラ全体を回転させることにより、少ない検出器数でも虚像が低減され、装置のコントラスト対ノイズ比 (CNR)の向上に成功しました。
エネルギーによって結晶の種類を使い分け
コンプトンカメラはコンプトン散乱が起こりやすい250 keV 以上のガンマ線の測定に適しているとされ、CsI(Tl) 結晶を搭載して装置開発を行ってきました。しかし、核医学分野では 250 keV 以下のガンマ線も多用されることから、原子番号の小さいCaF2 (Eu) 結晶を採用し、250 keV 以下の低いエネルギーのガンマ線モニタリングに適したコンプトンカメラの開発に成功しています。
結晶シンチレータからのアナログ波形の読み取り用に開発された既存の16chADC-SiTCPボード(γI-SiTCPで開発)を32chに拡張したボードを新たに開発し、更に複数枚のボードを接続して1つの読み出しモジュールとして使用(最大1000ch程度を想定)できるように開発を進めている。