Cグループ活動報告
(奨学金)
(奨学金)
Cグループは日本学生支援機構(以下、「JASSO」)奨学金や2020年度からスタートした国による高等教育の修学支援新制度(以下、「高等教育修学支援制度」)、大学独自の奨学金、民間団体の奨学金等の情報共有を行うグループとなります。2024年度は22名の会員が活動していました。
近年はJASSO奨学金の改変が著しく、高等教育修学支援制度の変更(第4区分創設、多子世帯への支援拡充、適格認定基準(学業)の厳格化等)や大学院返還免除の変更(教員向け返還免除や授業料後払い制度の導入等)についても、議題として取り扱っています。
また、本グループは上記に加え、グループ参加校とJASSOとの意見交換会を実施しています。このJASSOとの意見交換会は、JASSO職員の方々と大学における奨学金現場の手続き等についての意見交換や奨学生の現状を伝える場となります。毎年継続して実施しており、これを機会に手続き業務の効率化、問題点の改善を図っていただく等の効果をあげています。
開催日時:2024年6月14日(金)15:05~16:35
開催場所:立教大学 池袋キャンパス
参加人数:24人
主な議題:
会員紹介(担当業務や抱えている業務課題)
年間スケジュールの説明
直近のJASSO奨学金の制度変更開始についての意見交換
活動報告:
自己紹介
2024年度会員の自己紹介を行い、各自の担当業務や業務課題の共有を行いました。その後名刺交換も行いました。
年間スケジュールの説明
研究会の実施方法(11月のJASSOとの意見交換会の説明(議題調整や実施形態)や平時の意見交換の流れ等)説明を行いました。
直近のJASSO奨学金の制度変更開始についての意見交換
その後、3~5名程度の小グループに分かれ、2024年から開始されたJASSOの直近の制度変更に関する対応状況の共有を行いました。
開催日時:2024年7月26日(金)13:00~16:45
開催場所:早稲田大学 戸山キャンパス
参加人数:21人
主な議題:
JASSOとの意見交換会に向けての議題調整
2024年度JASSO制度変更に伴う意見交換
夏期合宿および次回研究会の実施について
活動報告
JASSOとの意見交換会に向けての議題調整
11月に実施するJASSOとの意見交換会に向けて、個別の希望に沿って業務ごとに3グループに分けたうえで、議題調整を行いました。事前に収集した議題を踏まえて、グループ毎に議論しながら議題の選定を実施しました。
2024年度JASSO制度変更に伴う意見交換
2024年度から実施されたJASSO制度変更(第4区分創設や奨学金申込方法の変更(マイナンバー情報を基に審査等)について、各大学の対応状況や発生した課題について、情報共有を行いました。
開催日時:2024年8月29日(木)10:00~17:00
開催場所:オンライン開催
参加人数:26人(会員:20名、非会員6名)
主な議題:
【グループ別議題】
・JASSO貸与奨学金全般(第一種奨学金学力基準変更、生計維持者退職等)
・高等教育の修学支援制度全般(廃止(返還が必要)の学生の取り扱い、2024年度からの多子世帯向け支援拡充等)
・JASSO大学院奨学金全般(授業料後払い制度、教員対象の返還免除制度等)
・学内奨学金全般(外国人向け奨学金制度、学内奨学金の提出書類等)
・民間団体奨学金全般(周知方法や外部業者の利用等)
活動報告:
本来、この時期に夏期合宿研修が予定されていましたが、台風10号接近に伴う荒天のため、中止となりました。その一方で、夏期合宿に向けた事前課題を確認したところ、主にJASSOの制度変更に伴い各大学にて対応および秋から活発化する学内奨学金業務に関する対応に苦慮していたため、内容を選別し、計3回(各90分)オンライン(ZOOM)形式にて小グループに分かれて研究会を実施しました。
また、夏期合宿に参加予定だった非会員校の奨学金担当者等も招待のうえ、実施しました。非会員の方やCグループ会員以外の参加者においても、本研究会における他大学との有機的な情報共有に関して好評をいただくことができました。
開催日時:2024年9月20日(金)14:00~17:30
※同日11:00~12:30に日本私立学校振興・共済事業団による
「高等教育の修学支援新制度関連業務説明会」も開催
開催場所:立正大学 品川キャンパス
参加人数:22人※「高等教育の修学支援新制度関連業務説明会」には24校53人参加(各校経理担当者等を含む)
主な議題:
【高等教育の修学支援新制度関連業務説明会】減免資金交付事業等の変更点・注意点について
【第4回グループ研究会】キャンパスツアー、JASSOとの意見交換会に向けての議題調整
活動報告:
【高等教育の修学支援新制度関連業務説明会】
第4回グループ研究会に先んじて、高等教育修学支援制度の授業料等減免部分に関して、日本私立学校振興・共済事業団を招聘し説明会を実施していただきました。特に制度開始から4年が経過した時点での注意点や2024年度からの高等教育修学支援制度の制度変更における変更点等を説明していただきました。なお、この説明会には、各大学の奨学金担当者に加え、希望があった場合には、授業料等減免業務を担当している経理担当者等も参加しました。
【第4回グループ研究会】
第2回に引き続き、グループごとに分かれて意見交換会における最終議題調整や発表担当者ごとに論点の整理を行いました。
開催日時:2024年11月14日(木)13:15~16:45
開催場所:大正大学 巣鴨キャンパス
参加人数:24人 ※JASSO側26名
主な議題:キャンパスツアー、JASSOとの意見交換会
活動報告:
会員におけるキャンパスツアーの後、JASSO担当職員団と合流し意見交換会を実施しました。
給付・家計急変・適格認定グループ
高等教育修学支援制度内の給付奨学金やその家計急変採用、適格認定の事項について意見交換を行いました。
自宅外通学者の認定を大学進学前に可能とする扱いが昨年度入学者から実施され、その簡易的な効果検証等をJASSO側から共有してもらいました。また、給付奨学金と第一種貸与奨学金の併用者は第一種奨学金の月額が調整されますが、この点についての学生側の理解に時間を要し、毎年度発生しうるため、抜本的な改修等を会員側から求めた際には、JASSO側も併給調整に関するクレーム内容等に理解を示し、建設的な意見交換がなされました。
一方で、昨年度の意見交換会でも議題にあがった件(給付奨学金採用後に家計が恒常的に改善したため、学生の希望による辞退の実装)に関しては、条例を基に改善される見込みがないことがJASSO側より伝えられました。
異動補導・大学院全般・その他グループ
処理が煩雑な異動手続きのマニュアルや毎年制度の改変がある大学院奨学金に関する件等について意見交換を行いました。
異動補導業務に関しては、一部学生自身が手続きを申請することができるようになったが、そのようなペーパーレス化促進の取り組みの予定があるのかを業務効率化の観点から質問したところ、検討を進めている旨の回答をいただけました。
大学院関連業務では、主に授業料後払い制度について、大学および学生側が理解、利用しやすいように情報が提供されてほしい旨を会員側から伝えると、JASSO側も一定の理解を示し、次年度の書類については、改善する予定との回答をいただけました。その他にも本制度の運用しづらさ(申請可能時期、学費納入との兼ね合い等)について会員側から意見を伝えましたところ、JASSO側としても改善方法を模索しており、有益な意見交換がなされました。
出願・採用・返還誓約書グループ
学生が申請時に利用する「スカラネット下書き用紙」や選考に利用するシステム、採用決定後に提出が必要となる「返還誓約書」に関する件等について意見交換を行いました。
本年度から給付奨学金同様に貸与奨学金の家計審査においてもマイナンバー情報が大きく用いられ始めたことにより、緊急応急採用や生計維持者の途中転退職発生時、学生に不利益が生じている点について議論しました。
また、学生向けスカラネット入力下書き用紙についても、学生の誤解、誤記入を招く部分(特に多子世帯の扶養人数等)について、JASSO側へ共有したところ、一定の理解を得ることができました。
その他、ペーパーレス化が進み始めた奨学金業務のなかで、依然として電子化が進みづらい返還誓約書およびその付属書類について、学生不備も多く、大学も労力をかなり割かれるため、会員側からJASSO側へ改善案を伝えました。
【意見交換会総括】
制度設計の狭間にいる学生への支援の必要性や、多くの学生が不便に感じている奨学金の手続きや説明箇所について、会員側から具体的な学生の背景を添えてJASSOへの共有を行いました。大学側から共有した内容について理解を得られたもの、JASSOとして早急な改善が難しいもの等が互いに示され、両者の意見を聞く貴重な機会となりました。終了後にJASSOとの名刺交換会を実施し、会員校と日本学生支援機構側で有意義な時間を過ごすことが出来ました。
開催日時:2024年12月19日(木)11:20~15:30/2024年12月20日(金)10:15~15:00
開催場所:龍谷大学 深草キャンパス
参加人数:27人(会員21人、非会員6人含む)
主な議題:
【共通議題】
・意見交換(「2025年度在学採用に係る取り扱い変更(連絡)」、高等教育修学支援制度の適格認定(学業)・継続願等)
【グループ別議題】
・高等教育修学支援制度(多子世帯の学生への説明、適格認定(家計)後の学生フォロー等)
・JASSO貸与奨学金全般(学生異動手続の電子化、学力特例の取り扱い等)
・JASSO大学院奨学金全般(授業料後払い制度の運用、返還免除制度等)
・学内奨学金全般(経済支援型奨学金の運用、JASSO奨学金との併給等)
・民間団体奨学金全般(周知方法、面接前指導や添削等)
【講演】
多子世帯を学生へ分かりやすく伝える方法および質疑応答(講師:札幌大学 水戸 康徳 様)
活動報告:
夏期に中止された合宿研修の代替として、冬期研修が実施されました。
今回は第3回同様に非会員の方も交え、1泊2日の日程のなかで5回の小グループ研究会を実施しました。非会員の方も、例年よりも多く、会員と顔を合わせることができたため、より円滑に研修に臨むことができました。
全体共通の議題では、直近に控えたJASSOおよび高等教育修学支援制度の適格認定(学業)を実施し、特例の取り扱いや膨大な件数を処理する際のフロー等、効率化と正確性を担保すべく、情報共有が実施されました。
以降の小グループ研究会では、参加者の希望テーマを確認のうえ、グループ分けを行い、各グループで意見交換を行いました。JASSO専従の担当者、学内奨学金専従の担当者および兼務している担当者の方が漏れなく、自身の抱えている大小の疑問を持ちより、解決策の共有や業務内容の理解ができ、有意義な研究会となりました。
研修最終日の終盤には、学生向け動画説明会の先駆者である札幌大学の水戸氏を招聘し、2024年度から高等教育修学支援制度が拡充される多子世帯の説明方法について講演していただきました。また、質疑応答の際には、学生への説明における肝要な点(説明会スライド作成や学生への深い意識付けの方法等)を教示いただき、新たな知見を得ることができました。
奨学金業務については、「JASSO奨学金(および高等教育修学支援制度)という共通のプラットフォームに自大学の学生を円滑かつ正確につなげる」という大学間に共通の至上命題があります。この共通の課題に対する各大学のアプローチを共有したり、業務での疑問を容易に確認し合える点がCグループに参加するうえで一番大きなメリットになります。
奨学金業務は大学生活を送るうえで必要となる経済支援だけではなく、経済的な理由での休退学に直結する業務のため、高負荷、高緊張のなかで日々の業務にあたられている職員の方が多くいらっしゃると思われます。その際に、ふとした疑問や違和感を自身で処理するのではなく、Cグループでの1年間の研修を通じて、他大学の同じ目線、環境で勤務している方へ相談できる「有機的な関係性」が構築できるのは、日々の業務の円滑さや正確性を上げるにとどまらず、相互に刺激し合い、より良い学生対応、学生支援につながるものだと考えます。
本年度については、高等教育修学支援制度を中心に制度変更が実施されるとともに、次年度の変更が予告されるなかで、会員間の「有機的な関係性」が力になった1年でありました。(特に本年度は入職間もない職員の方が参加してくださっていたので、お役に立てていれば幸いです。)
次年度以降も上記関係性の構築に加え、制度変更が予想される奨学金業務に対する意見交換をはじめ、外部団体を招いての説明会やゲストスピーカーの招聘等、奨学金担当者の業務能力向上に役立つ研究会を実施する予定です。来年度も奮ってご参加ください。