大江戸でっどらいんひぃろぉず きゃんぺぇん

狂 言 怪 談

【全体事前情報】

■全三話

■登場ヴィラン:いろいろ(和風組織が主)

■オリジナルキャラクター要素:有

■世界観の独自解釈要素:強

■傾向:江戸時代、人情物、妖怪物、PL2人向け

■GMに要するルールブック

・基本ルールブック(R1)・デッドラインヒーローズ同人サプリメント:ファインド・ウィークネス(以下D2)

■ストーリー理解にあると便利なサプリメント等

・ブラックジャケットRPGルールブック

■キャンペーン概要

 時は江戸時代末期。 幕末の動乱を間近に控えながらも、しかし文明開花の音は未だ遠く。 二百年に渡り続いた平穏な時代の中で、町人文化花盛り。そんな時代。 それは人と妖の境界が未だ曖昧であった時代。 片や人、片や人外。 異なる領域に生きる二人の英傑ならざる英傑が、一人のペテン師と出会うところから、この物語は幕を開ける。

 道を通せば角が立つ。 倫を外せば深みに嵌まる。 彼誰《かわたれ》誰彼《たそがれ》丑三刻に、そっと通るは裏の径。 所詮浮き世は夢幻と、見切る憂き世の狂言芝居。 身過ぎ世過ぎで片をばつけて、残るは巷の怪しい噂──。

■世界観について

 江戸時代が舞台となります。江戸時代末期の天保年間を想定していますが、時代背景が大きくシナリオに関わってくるわけではない為、「時代劇でよく見るなんとなく江戸時代」だと思ってもらえると良いでしょう。必要であれば年代をズラせもします。 のちに超人種と呼ばれることになる存在は未だ未分化の存在として市井に紛れ、人の世に隠れながら、あるいは人ならざるものとして、ひっそりと暮らしています。 現代とは倫理観が異なり、人と妖の境界が曖昧であった時代といえるでしょう。 また、のちにファースト・カラミティと呼ばれる「世界の上書き」が発生する以前の物語である為、いくらかの組織やNPCの設定を「敢えて」公式設定から少し外して描写しています。

■参考書籍

『巷説百物語シリーズ』/著:京極夏彦

■GM向け情報(NPC/ロスト処理について)

■NPC:修験の御六(しゅげんのおろく)/立ち絵

 舌先三寸で人を誑かすことを得意とする、修験者姿のペテン師。 全国をまたにかけながら、妖怪と人、双方からの揉め事を金で請負い解決する生業をしている。 欺す賺す騙る謀るを駆使し、時に人の行いを妖怪の仕業へ仕立て、妖怪の行いを人の仕業へと仕立てる事で丸く収める小悪党。手段を選ばぬ反面、幼児の涙を嫌い、立場の弱い無宿人や妖怪たちの願いを叶えようとするなど、義侠心にあつい面も持つ。 人とも妖怪ともつかぬ言動を繰り返すが、その身がいずれのものであるかは定かではない。 天狗に育てられたのだなどとも嘯くが、それがどこまで真実であるのかも……はてさて。
 シナリオの狂言廻し役であり、PC達を物語へと引き込みながら、時に協力し、時に対立することになる、このキャンペーンのメインNPCである。敵なのか、味方なのか、人なのか、妖怪なのか。謎めいた人物として演出しつつ、卓ごとに好きに個性や脚色をはやしてしまえばよいだろう。

■ロストが発生した場合

 処理は各々の卓に委ねるが、諦めて点数を引き継いだ新しいキャラクターシートを作ろう。 妖怪であるPC2などの影響を受けて人外として蘇るもよし、ロストしたPCの関係者として新しいキャラを作るもよし、いっそ開き直って全話違うPCで独立した一話完結話として遊ぶも良しである。

第一話「小豆洗い誘拐事件」

【事前情報】

 チャレンジ:2 クエリー: 初期グリッド: リトライ:

【主な登場ヴィラン組織】

百寄夜會

【あらすじ】

 ある大雨の日のこと。 生きる世界を異とするはずのPC1とPC2は、雨宿りにと山中の荒屋へと足を踏み入れる。 足を踏み入れればそこには、先んじて雨宿りをしていた旅の者が幾人か。 更け行く夜半、一人の行者がひょんなことを口にした。 「怪談話をしませんか」 これは、人と妖の境が、未だ曖昧であった頃の物語。

▼シナリオ本文

第二話「神体山伏盗難事件」

【事前情報】

 チャレンジ:2 クエリー:5 初期グリッド:3 リトライ:

【主な登場ヴィラン組織】

山伏ドット虚無

【あらすじ】

 あの雨の日の邂逅から、一月後の夜のこと。 PC2のもとに、あの時のペテン師こと、修験の御六が現れた。 御六は言う。「すまねェ下手こいた。万事一切丸く納めてみせるから、三日間だけPC1を守ってやってくれ」 同時期、PC1のもとには不気味な虚無僧集団が奇襲をかける。 虚無僧は言う。「修験の御六はどこにいる」

▼シナリオ本文

第三話「蛇腹太夫殺人事件」

【事前情報】

 チャレンジ: クエリー:4(内バトル1) 初期グリッド: リトライ: バトル:2

【主な登場ヴィラン組織】

・百寄夜會・盤外視座(BJR不所持でも進行可能)

【あらすじ】

 遊郭『ばけや』の女郎、蛇腹太夫・薄雲が殺された。 神体山伏盗難事件で謎めいた女郎のことを知っていたPC1とPC2は、事件の調査へと乗り出した。 しかし蛇腹太夫の知己であるはずの修験の御六は、この件には手を出すなの一点張。 果たして二人は修験の御六の妨害を乗り越えながら、事件の真相に辿り着けるのか?

▼シナリオ本文

狂言怪談・外伝

以下はキャンペーン三話をクリアしたPC向けの外伝シナリオです。舞台は遠野・北森藩。修験の御六の身柄を巡り、人と妖の陰謀劇に巻き込まれる英雄たちの物語。まずは『GM向け注意書き』を参照の上、内容をご検討ください。
【追加:2022.07.16】

【GM向け注意書き】


 外伝と銘打ったこの前後編のシナリオには、円滑にゲームを進行するにあたり、ハードルとなる点がいくつかあります。 公開したからといって、本編を遊んだ人全てがこの外伝を楽しめるとは限りません。遊ぶ・遊ばないの選択肢は常にGMとPLに委ねられます。GMは事前に以下の情報と外伝の内容を参照し、遊ぶ/遊ばないを判断し選択しましょう。
 まず、これらのシナリオでは、デッドラインヒーローズRPGの兄弟システムにあたるブラックジャケットRPGに登場する組織「盤外視座」が本格的に登場します。データを参照する箇所もあるため、本編とは異なり、GMは同書の所持が必須となります。
 次に、シナリオ全体のストーリー構造が、「窮地に陥った修験の御六をPCたちが救出するために、リスクを背負いながらも、自分の意志で動く」というものとなっています。つまり、NPCがピーチ姫のポジションに置かれている以上、キャンペーン内での修験の御六とPCたちとの関係性や結末如何では、PCの動機づけが困難な場合もあるということです。ただのビジネスライクな関係というだけでは、動機付けに乏しくなるでしょう。GMは事前に、PCたちと御六の関係を踏まえ、これらの動機付けについてどう処理するかが求められます。
 最後に、この前後編のシナリオでは、特に後編となる「狂言芝居人妖怪談」では、非常に多くのマスターシーン、それもNPCの一人称視点のものが発生します。これは「騙し」をテーマとした本シナリオに於いて、PLがPCのRPを行いやすく、かつ没入感を阻害しないよう試みたものですが、同時に「PLがただ聞いているだけ」の状況や、「吟遊GM」と呼ばれる状況が発生しやすい土壌となっています。 「マスターシーンの要不要を判断し、情報としてだけ伝え、ゲームを進行する」「PLが退屈しないよう、マスターシーンの処理を工夫する」などの努力がGMには求められるでしょう。
 こういった問題点を多数抱えた本作であるため、一度は公開に足らずと判断していましたが、ありがたくも「GMをしたいのでシナリオを見せてほしい」といった要望をいくらか受けたこともあり、恥を偲んで公開いたします。 また、上記に挙げた本シナリオのハードルは、GMとPLの協力や同意の上であれば、決してクリアできない問題ではないでしょう。その暁には、幕府、人間、妖怪入り乱れたケレン味あふれる大江戸DLHワールドで、騙し賺しに切った張ったの英雄譚を、どうぞご堪能ください。
2022/07/16 鋏定規

【外伝・前】御前試合霊能合戦

【事前情報】

 チャレンジ:3 クエリー:4 初期グリット:4 リトライ:3

【主な登場ヴィラン組織】

・盤外視座

【あらすじ】

 修験の御六が捕らえられ、処刑が決まる。 江戸の町に張り出されたお触れからそれを知ったPC1は、馴染みのペテン師を救う為に、PC2と共に一計を案じる。 かくして御六の恩赦を求め、目指すは陸奥国・北森藩。 そこで行われる『御前試合霊能合戦』に勝利し、ペテン師を本物の修験者へと仕立て上げんとする二人。だがそれは、人と妖の裏社会を巻き込んだ陰謀の始まりにすぎなかった。

▼シナリオ本文

【外伝・狂言芝居人妖怪談

【事前情報】

 チャレンジ:3 クエリー:4 初期グリット:4 リトライ:3

【主な登場ヴィラン組織】

・盤外視座・百寄夜會

【あらすじ】

 修験の御六は行方を晦ませ、PCたちは爆炎と共に海へと呑まれた。 再び目を覚ました時、PC1とPC2の前には、それぞれに意外な人物が立っている。 御前試合の裏でひしめく、人と妖の陰謀劇。 英傑ならざる英傑よ、数多の呪いに終止符を打つ為に、全てを騙せ。

▼シナリオ本文