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このページは卒業後も不登校経験によって生きづらさを抱えている方向けの情報を紹介しています。
卒業するだけでは癒せない心の傷
学校を卒業すると、周りの人はあなたに対して「新しい人生に向かって切り替えて、いやなことは早く忘れてがんばりなさい」と言うかもしれません。あなたがまだ辛い思いを抱えているのに、「いつまでもクヨクヨするな」ときびしく接する人もいるかもしれません。でも卒業というのは制度上の節目に過ぎず、いじめや学校から解放されて多少気持ちが軽くなったとしても、不登校や学校生活の中で抱えた心の痛みがゲームのリセットのように簡単に消えるほど、傷が浅くない人もいるでしょう。心身へのダメージの程度が重い方にとっては、時間が経過しても新鮮な記憶として何度も蘇ってしまったり、体調不良に悩まされるなど、自力ではどうにもできない苦しみに耐えているという方もいるかも知れません。
長く生きづらさを抱えている人も
卒業後の元不登校の人たちの「その後」のことがわかる情報を探してみたところ、いくつかの調査や専門家の話を見つけました。それらの話に出てきた方々の中には、前向きに生きようと努力し、実際大学に進学するなど見たところ問題なく過ごせていますが、内心では自分に自信が持てなかったり、すぐ諦めてしまうところがあったり、卒業後も人知れず苦労されているお話もありました。サポートを探してみたのですが、私が調べた限りでは「元不登校対象」という形での公的支援は見つかりませんでしたが、心の痛みを相談できる若者支援の窓口や相談機関をご紹介します。
様々な困難への公的・民間支援、医療機関、カウンセリングに関する情報をお伝えしています。
DVや性別違和、性暴力、貧困や生活苦、いじめ、ハラスメント、死にたいほどつらい気持ち、などの様々な悩みや困りごとの相談を無料で受け付けています。10代でも大丈夫。「いばしょがない」「だれかに話を聞いてほしい」という相談でもOK。電話だけではなく、SNSやファックスでも相談ができます。
◎「あなたはひとりじゃない」孤独/孤立対策室 内閣官房
内閣官房に設置された。孤独・孤立問題の対策チームが立ち上げた相談先を探せるサイト。18歳未満の人と、大人向けとあります。チャット形式で質問に答えていくと、今利用できる公的支援の窓口等のほか、不安の軽減方法などを紹介しているページが表示されます。
◎総合情報検索サイト 厚生労働省
住んでいる地域や相談したい内容、相談手段(電話、メールなど)で相談先や支援機関を検索することができます。
◎「年齢・性別を問わず、LINE・チャット等による相談」 厚生労働省
最近は、メールやLINEでも相談に乗ってくれるところも出てきました。私は利用したことはありませんが、電話相談の受付時間にかけられないとか、電話も緊張する方には、メールやLINEが良い人もいるかもしれませんね。
◎電話相談 「もし、あなたが悩みを抱えていたら、その悩みを相談してみませんか。」 厚生労働省
自治体が「心の相談窓口」などの名称で、いろんなメンタル面の悩みを受け付けていることもあります。面接相談の場合は予約の上、施設訪問が必要ですが、電話相談だと予約が不要な場合もあります。これは多くの自治体にあります。自治体のサービスなので、たいてい無料です。
お住まいの地域にある相談先や支援団体を、お悩みの分野ごとに検索できます。
◎こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト 厚生労働省
「眠れない、いらいらする…」などの心の健康が気になる…という時は、こちらのサイトに参考になる情報がのっています。
「Mex(ミークス)は、家族や友達・からだ・勉強など人には言えない「困ったかも」を手助けする10代のためのWebサイトです」
「家にいられないけど、行く場所がない」「親も先生も信用できない」「学校や職場がつらい」「さいきん生理がこない。もしかして…」などの悩みを抱えている10代から20代の女性のための、LINEとメールで相談できるサイトです。24時間対応ではありませんが、悩みの内容に応じて専門機関につなげる手伝いをしてくれます。緊急性が高いと判断された場合は、弁護士等の専門家が対応します。
◎「女の子のためのチャット相談」 プラン・インターナショナル・ジャパン
受付時間:月曜日:15:00〜19:00/火・木・金曜日:13:00~17:00
すごく寂しかったり、友だちや家族とうまくいっていない、暴力(ぼうりょく)をうけた、SNSでいやな目にあった、妊娠(にんしん)したかもしれない、などの不安やなやみをかかえている女の子のためのチャット相談です。
◎若者支援施設
元不登校と限定しているところではありませんが、生きづらさを抱えている若者のための、総合若者支援施設を持っている自治体があります。心理相談や就職相談など、社会での自立をサポートする機能があったりします。例えば、「子ども・若者総合相談センター」という施設があります。自治体によって名称が異なるので、少し調べないとすぐ出てこないかもしれません。設置している自治体もまだ多くはなく、都道府県レベルで約3割、政令指定都市で5割程度です。地方都市の市区町村になるともっと少ないですが、その機能を他の施設が部分的に担っている場合もあります。
◎民間の相談室・カウンセリング
民間サービスとして、地域に私設の心理相談室、カウンセリングルームなどがあれば、そこを利用する手もあります。有料になり、カウンセラーによって50分5~6,000円くらいから1万円以上とかなり幅があります。また地域差があり、全般に大都市は金額が高めになります。
自治体や支援団体などの電話相談は相談員がその都度違うことが多いですが、民間のカウンセラーや心理相談室では基本的に同じカウンセラーが担当し、しばらく継続することが多いです。いじめや虐待などで心の傷が深い人の場合、トラウマ(心的外傷)治療に対応できるカウンセラーや精神科医が望ましい場合もあるかもしれません。
トラウマに対する心理療法には様々なものがありますが、私の知る限りではEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)や暴露療法、認知処理療法などをよく耳にします。
カウンセラー選びの参考としては、公認心理師と臨床心理士のいずれかの資格保持者が一つの目安になるかと思います。公認心理師は新設された国家資格で、臨床心理士は学会認定の民間資格です。公認心理師資格はまだ始まったばかりのため、現在は二つの資格のいずれか、または両方を持つカウンセラーがいます。また、臨床心理士は大学院の養成課程(修士課程)を修了することが条件であり、心理カウンセラー資格の中では難易度が最も高い資格です。公立校のスクールカウンセラーの応募条件にもこの2つのいずれかの資格保持者を挙げているところが多いです。また、カウンセラーが所属している学会や参加した研修も参考になります。
個人的な感想としては、こうした資格保持者であっても、カウンセラーは資格取得後も研鑽してきた分野のスキルや経験、人間性などでもだいぶ違いがある印象です。カウンセラー探しは口コミも入りにくく、見つけにくいかもしれませんが、ご自身をよく理解し、回復に向けて伴走してくれるすぐれた医師やカウンセラーの方に出会えることを祈っています。
なお、費用を抑えたい場合、臨床心理士を養成している大学院(第一種指定大学院)が学生の実習機関として相談センターを開設していたりします。料金は少し安く設定されていますが、学生の実習のために臨床心理士との面談に学生が陪席したり、大学院生がカウンセラーとして面談するところもあります。
◎心療内科・精神科でのカウンセリング
クリニック内の心理士によるカウンセリングに健康保険が適用されるところもわずかながらあります。私が知る限りでは、クリニック内のカウンセリングはまず医師の診察を受け、必要と判断された場合にカウンセリングを受けることになります。カウンセリングの時間はクリニックによりますが、だいたい30分〜1時間程度です。私の知る限りでは、初回からいきなり辛い過去について詳しく話すことはなく、これまでの経緯や家族構成などを相談員からの質問に応じる形で話すことがあります。もちろん、「今は辛くて話せない」「話したくない」と答えても大丈夫です。まだ心療内科にカウンセラーが常時いるところは少ないので、事前に調べてみてくださいね。
◎『健康ライブラリー イラスト版 子どものトラウマがよくわかる本』白川美也子 監修 講談社
この本では子どもが抱えるトラウマについて解説しています。原因別には虐待、DV、いじめ、災害、死別等、また多様な症状についてもわかりやすく解説されています。ご自身でもわからない体調不良などに、こうしたつらいトラウマが隠れているかもしれません。ただし、治療が必要かも含めてこの本だけで自己判断せず、まずは医療機関に相談されることをおすすめします。また、この健康ライブラリーシリーズには大人向けのトラウマの本も出ています。
◎「斎藤環さんに聞く「治癒できる『いじめ後遺症』」」朝日新聞 2012年12月21日
少し古い記事ですが、不登校の原因の一つであるいじめが残す心の傷について、斎藤教授が臨床でのご経験も交えてお話されています。私自身も幼い頃、一時期いじめに遭っており、成人してもなお時折その時の場面を思い出して気持ちが沈むということを繰り返していました。「これは一生続くのかな」と思っていた時にこの記事を読み、斎藤先生の『病院を訪れた被害者には、「これは治る」と必ず伝えている。治療可能な病気なんだと。』という言葉に大きな勇気をもらいました。元不登校の人のための支援も必要ではないだろうか、と考えるきっかけになった記事です。
一つでも励ましや支えになる言葉や情報が見つかれば嬉しいです。
不登校経験で受けた心の傷が一日も早く癒えることをメンバー一同祈っています。
笑みの間運営メンバー一同