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現在、自治体などによって様々な不登校支援がありますが、お住まいの地域にはあまり無い、利用しにくい、という方もいらっしゃるかと思います。でも、体験談ならどこにいる方とも共有できて、その中には励みになるもの、支えになる言葉、希望に繋がる小さなヒントが見つかるかもしれないと思い、不登校や学校教育に関わりがある人たちのインタビューページを作りました。
第一弾は、中学校で不登校を経験した男の子のお母さんへのインタビューです。
お子さんが不登校になってから高校進学されるまでの期間に、悩みながらもご夫婦で助け合い、学校に積極的に支援を求めてお子さんを支える環境を整えていったエピソードを伺いました。
不登校は地域や学校、年齢や家庭によって様々な課題や困難があると思います。インタビューを読んで、「うちもこうしなければ」と感じる必要はなく、「そういうご家庭もあるんだな。我が家ならどうするかな」など、考えるヒントにしていただければ嬉しいです。
インタビュアーとしていろいろお聞きしながら、私自身もとても励まされました。ぜひご覧ください。
注)インタビューの時期や場所は非公開ですが、かなり前に伺った内容を改めて書き起こし、お子さんとご本人の許可を得て掲載しています。また、プライバシー保護のため一部の情報等を変更していますが、主な内容はほぼ変更せずに掲載しています。
お話を伺った人:ひまわりさん(仮称) 息子さんが中学生の頃に不登校を経験。
オヤタケ(以下、オ):
こんにちは!ひまわりさん
今日はインタビューにご協力くださり、ありがとうございます!
ひまわりさん(以下、ひ):
よろしくお願いします(*^^*)
オ:今は平日の昼間ですが、息子さんは今日は学校ですか?
ひ:はい。今は通信制高校に行ってます。
オ:そうなんですね。高校は楽しそうですか?
ひ:そうですね。登校日は毎週ほぼ休まず通ってます。
オ:毎週!ずいぶん元気になられたんですね。
ひ:今の高校がとても合っていたみたいです。見学に行った時に息子がすごく気に入って、先生方もとても親身になってくれるので、親の私も「ここなら安心かも」と感じました。入学してからも、見学の時の印象通りの学校でした。
オ:それは良かったですね。
あまり振り返りたくないかもしれませんが…まず不登校だった頃のお話も少し質問しても良いですか?
ひ:いえいえ、もう大丈夫です(^^)
息子は中学の途中から不登校になり、そのまま学校に行かずに卒業しました。
オ:そうなんですね。理由について息子さんから何か聞いていますか?
ひ:息子の話では、「勉強がきついし、校内のルールが多すぎて辛い」といった話がありました。息子の通っていた中学校は指導熱心な先生が多くて、テストも頻繁にあったので、そのスピードと量について行けずに辛くなったんだと思います。
オ:なるほど…。でも今は通信制高校に元気に通えているんですよね。中学校とは何が違ったのでしょう?
ひ:中学の頃と違い、今の高校は通信制なのである程度自分のペースで学習を進められますし、テスト前には先生方が個別に丁寧に指導してくれるので、息子もテストで達成感が持てるようになり、自信が回復していきました。不登校になる直前の頃のように勉強が苦痛にならなくなったみたいです。
オ:息子さんとの相性がとても良い高校なんですね。
中学校の頃の話に戻りますが、不登校中に学校から補習などのサポートは受けられましたか?
ひ:最初の頃は全然無くて…。それが何ヶ月も続いたので、私の方から「息子も生徒として支えてほしい」と思い切って要望してみました。それから担任の先生がよく家庭訪問に来てくれるようになり、そこで勉強も教えてもらったりしました。これはすごくありがたかったです。
オ:それは大きな変化ですね。お母さんの行動力が先生の考えや姿勢を変えたのかもしれませんね。
ひ:待っているだけだといつまでも変わらないと感じたんです。結果として担任の先生が熱心に息子を支えてくれるようになり、私も相談する機会ができて、本当に助かりました。
オ:息子さんが不登校になった直後は、お母さんは息子さんの不登校をどんなふうに受け止めていましたか?
ひ:最初はどうしたら良いのかわからず、息子に「早く行きなよ」と急かしてしまったりしてました。今思うとホントにNGな対応でした。でも次第に、息子は弱いんじゃなくてむしろ勇気がある、強さがあるからこそ不登校をしているんだ、と思うようになったんです。
オ:そう思うようになったのは、何かきっかけがあったんですか?
ひ:ちょうどその頃、たまたま親からの虐待を周りの大人に伝えた子の話を聞いて、「この子は勇気を振るって自分を守ろうとしたんだ」と感じたんです。そこから息子の不登校に対する自分の考え方が変わり始めて、息子の強さを信じて支えようと思うようになりました。
息子は幼い頃から控えめなタイプだったので、不登校のような目立つ行為をするのは簡単ではなかったと思うんです。不登校をすること自体がすごく力がいることですし、それを続けるのも強さがないと難しいんじゃないか、と思うようになりました。
オ:不登校をしている息子さんのことを「強さ」と捉えなおすのは簡単なことではないように私は思います。本当にすごいな、と感じました。
その当時、お父さんは息子さんの不登校をどう思われていたんですか?
ひ:夫は私と逆で最初から寄り添う姿勢でした。
オ:それもすごいかも。お母さんが支えようとしても、お父さんはなかなか寄り添ってくれないという話もありますから…。
ひ:夫はかなり柔軟な方かも(笑)うちは共働きで、当時私は朝早くに出勤し、その後は夫が息子のそばにいることが多かったんです。出勤途中に夫からメールで息子の様子や接し方の提案をもらったりしていました。夫が息子の不登校を叱ったりすることはなかったですね。
オ:ご夫婦で息子さんを理解して支えていたんですね。息子さんは家庭内ではどんな様子でしたか?
ひ:家族と一緒にいる時は特に口論とかもなく、家族でご飯を一緒に食べたり、家の中では元気な様子でした。でも、将来への不安を強く感じていたことから、「死にたい」と言うこともありました。
オ:息子さんは家庭内では安心して過ごせたんですね。私も不登校の子にとって家の中が安全で安心な場所であることはとても大事だと思っているので、聞いていて嬉しかったです。一方で将来を思うと死にたくなる気持ちもあった…確かに進路選択は周りに情報がないと不安ですよね。
息子さんの不登校のことで、ひまわりさんや息子さんがどこかに相談に行ったり、参考にした情報やサイトはありましたか?
ひ:特に無かったです。息子は当時、家から出て誰かに会うこと自体難しかったですし、スクールカウンセラーも学校に行かないと会えないので…。私が学校に行った時にスクールカウンセラーに息子のことを相談したこともありましたが、問題を解決してくれるわけではないんですよね。ただ、私自身の心の内面を見直す機会にはなったかな、と思います。
情報探しでも、不登校について調べようとネットを検索したりしましたが、どれも同じようなことが書いてあったりして参考にできるようなサイトは見つけられませんでした。結局、担任の先生が家庭訪問してくれるようになって、その際に私からも先生にいろいろお話しできたことが一番支えになっていたと思います。
オ:そうだったんですね。担任の先生の家庭訪問がひまわりさん親子を大きく支えたんですね。お聞きしていて、ひまわりさんの行動が学校や担任の先生の姿勢にも変化を起こして、それが息子さんだけでなくひまわりさんも支えることにつながった…ひまわりさんが助けを求めた行動が次々に良い方向に周りを動かしていったように感じました。
ひまわりさんご自身のことを少し伺いたいのですが、息子さんが不登校の頃、ひまわりさんの体調はいかがでしたか?
ひ:心労がすごかったです!24時間ずっと心配していました。
オ:それは大変でしたね…。確かに、私も息子が不登校になって一番辛かった時期はあまり眠れなかったです。その時、どんなふうにご自身をケアしていましたか?
ひ:うーん…特に何も(笑)昼間は職場にいるので、学校やスクールカウンセラーに相談するには仕事を休まなくてはならないんです。だから自分のケアは何もできませんでした。やっぱり担任の先生が家庭訪問に来た時に色々相談できたことが大きかったですね。あと、それ以上追い詰められなかったのは、不登校期間がそんなに長くならなかったこともあると思います。
オ:なるほど…確かに学校も役所も窓口は平日昼間ですから、平日に働いている親には難しいですよね。そのような中で担任の先生が家庭訪問という形で家族に寄り添ってくださったのは本当に良かったですね。
次に、差し支えない範囲でお聞きしたいのですが、息子さんが不登校になったことで新たに発生した家計支出はありましたか?
ひ:仕事柄、夫は在宅ワークすることもあるので、生活費目立って増えたものはありませんでした。息子が昼間にトイレで使う水道代と電気代が若干増えた程度かも(笑)ただ、進路選択の時に息子が安心して通える学校が私立の通信制高校しかなかったので、「不登校にならなければ公立の高校も選べたかも…」と思うと、むしろ卒業後の支出が予想より増えたかもしれません。でも、今通っている通信制高校は息子には必要な場所なので、そう思えば高すぎるとは思わないですけど、うーん…でもちょっと高いかな(苦笑)
オ:最後に、最近の息子さんの様子とひまわりさんのお気持ちや体調についてお聞かせください。
ひ:息子は中学の時は勉強が嫌いでしたが、今は先生方からとても手厚いサポートがあるので、学習にも達成感を持てるようになり、楽しそうに高校生活を送っています。親としてはまだ不安もありますが、早いうちに不登校という形で立ち止まって、自分にあった環境を考えることができたのは、今振り返ると良かったのかもな、と思います。
私の体調は、最近健康のためにウォーキングしています。今日も9,000歩、歩いてきました(^^)
オ:9,000歩⁉私は今日たぶん1,000歩も歩いてないかも…(汗)
とても元気なご様子で、聞いていてとても嬉しかったです。私も息子のコタケの将来など考えるとまだ不安がありますが、同じような思いの方とお話できてとても励まされました。
ひまわりさん、今日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
ひ:こちらこそ、我が家の体験談が少しでも誰かのお役に立てたらうれしいです。
インタビュー後記
ひまわりさんはとても朗らかな方で、楽しくお話しさせていただきました。それでも、お子さんが不登校になった時は、共働きで子供に寄り添いきれていなかったのでは、という葛藤を抱えていらっしゃったこともあったそうです。しかし、不登校のきっかけや背景要因は複雑なことが多く、母親が外で働くことが不登校の明らかな原因になるなら、今頃不登校の人数は19万人どころではすまないのでは、と思います。また、お子さんのことで自分を責めてしまうのは、それほどお子さんのことを真剣に考え、自分にできることを見直したり、全力で支えたいという真摯な気持ちがあることの裏返しのように私は思います。そんなお母さんが不登校のお子さんとの対話を通じてその子に合った支え方を見つけていけたら、お子さんも安心して回復のためのエネルギーを蓄えられるかもしれません。ひまわりさんが悩みながらも「今、できること」に集中する強さとしなやかさに、同じ母親としてリスペクトを感じました。改めて、ご協力ありがとうございました!