集めた情報を整理して、分析しよう

整理・分析

情報の整理 とは 

「情報の整理」とは、情報を分析しやすいように整えることです。集めた情報には、真偽が怪しかったり、形式が揃っていなかったり、分析の対象にならないものが混じっていたりすることがあります。それらを整理して分析しやすくするのが整理の目的です。

情報を整理するだけで、何かに気いたり、どんなことが言えそうかなんとなくわかってきたりします。

探究の目的に即して、どうやって情報を整理するかを考えます。例えば、パソコンなどを使って、ベン図や座標軸などの図にしたり、グラフをつくったりするとよいでしょう。また、カードに書き出して整理したり、ホワイトボードを使って整理したりしてもよいかもしれません。Google マップを使ってマッピングするような方法もあります。

情報の分析 とは

「情報の分析」とは、集めた情報の傾向を読み取ったり、集めた情報を情報源(どのような人から得た情報か、どの新聞社から得た情報かなど)ごとに分けて比較したり、ちがいがあるとすれば、その差異は確実にちがっているのかを検討したりすることです。

そうすることで、集めた情報から何が言えるかが明確になります。

整理した情報から目的に即して、情報間の位置関係や順位、またビフォーとアフターの変化などを整理し、そこから見えてくる傾向、例えば類似点と相違点などを分析します。また必要に応じて、数値データを用いて統計情報(合計頻度中央値平均値分散標準偏差相関係数)を算出してその傾向を読み取ることは、分析にとって有効な方法です。

〈 整理・分析 〉で行うこと
整理・分析のスライドは次のステップで進みます。

1. 情報の整理をする

2. 分析の方法について理解する

3. 情報を分析する

4. 課題に対してどのようなことがわかったかを確認する


- - -  ワークシート  - - -

3_情報の整理・分析

Google スライドのテンプレートです

- - -  ルーブリック 情報の整理・分析  - - -

3.ルーブリック_整理・分析

「整理・分析」の具体的な進め方

1.情報の整理をする

1-1 文字ではない情報文字化しよう

情報の整理に進む前に、情報を文字として扱えるように変換します。

【 スライド 3 】

1-2 質的情報を分析できるようにしよう

文献やインタビューデータはそのままでは整理・分析するのが大変です。したがって、大事な部分に焦点化したり、数量化して量的情報に変換したりします。

数量化の方法には主に次の 2 つのやり方があります。

 

質的情報を量的情報に変換することで、時系列ごとの傾向把握や情報グループごとの差異を見出すことができ、その後の分析の幅が広がります。

【 スライド 4 】

2.分析の方法について理解する

2-1 情報の全体像から、分析の方針を決めよう①

集めてきた情報全体から、探究の課題に対してどんなことが言えそうか、予想します。情報を集めたり、整理したりする過程を通して、どんなことが言えそうか、まずは想像してみることが大切です。

【 スライド 5

2-1 情報の全体像から、分析の方針を決めよう

質的な情報(言語を中心とした情報)を分析するときは、そこに記載されている内容を解釈し、共通項や特徴(他とはちがう差異項)に目を向けます。

また、量的な情報は、数字をどの角度から分析するのか、どの区切りや単位で分析するのかで、見えてくる傾向が変わってくることに注意しながら、分析方法を検討しましょう。

【 スライド 6

2−2 集めた情報ごとに分析方法を決めよう

分析の全体方針が決まったら、次は、集めた情報ごとに具体的な分析方法を決めます。2-1の分析方法を参考にしながら、データの種類ごとに、どの分析方法で行うかを表にまとめます。

後で情報を取り出しやすくするために、集めた情報(データ)をデジタル化し、リンクを貼り付けておきます。


集めた情報はどんな特徴をっていたか気づきを入れておくと、情報の名前からだけでは見えてこない特徴がかり、後で利用しやすくなります。またその情報が質的な情報なのか、量的な情報なのかも記載していくと、分析の方法を選ぶ際に見当がつきやすくなります。
データの量や記載したい内容が多い場合は、別途 Google スプレッドシートにまとめなおすとよいでしょう。

【 スライド 7

量的な情報の整理・分析の仕方にはいくつかのテクニックがあります。

特に数値化された情報を整理する場合は、そのままの数値ではその情報から特徴や傾向を読み解くことは難しいので、ヒストグラムをつくることで分析を行える場合があります。

ヒストグラムは、データをいくつかの階級に分け、度数分布表を作成してからグラフを作成します。

例えば、時間軸に沿って、数値化された情報をある時間帯ごとにまとめその数をカウントしグラフ化することでその傾向を読み取れます。あるいは、表を使って、どのマス目(セル)の数値が大きいかなどをひと目でわかるように可視化します。

なお、分析の方法については、下記の「おすすめの分析方法」に説明を記しています。

3情報を分析する

3-1 情報の傾向を調べよう

2-2 で集めた情報を、2-1 で考えた分析方法を使って分析してみましょう。

の結果をスライドに貼り付け、その下に、読み取った傾向について、説明書きを作成します。

グラフの目盛りやカウントする数値レンジ(範囲)を変えたり、グラフの種類を変えたり、表の行や列の項目を変えたりして、さまざまな視点から傾向を探ると、読み取れる内容にも深まりが出てきます。

【 スライド 8

4課題に対してどのようなことがわかったかを確認する

4-1 課題に対してどのようなことがわかったかを確認しよう

3-1 で情報から読み解いた傾向が、そもそも自分が解決しようとしていた課題に対してどのような意味をもっているのかを確認する必要があります。傾向を読み解いてそのままにしていては、課題解決に進めないからです。

課題を改めて記載し、その内容を確認します。

記載した課題の解決に向けて、どのような情報が今集まっているのか、その情報を分析して見えてきている傾向はどのようなものか、傾向から読み取れることは何かを書き出します。


課題解決に向けて、まだ足りない情報はないか、何を読み取る必要があるか、現在ある情報から視点を変えてさらに詳細に分析をしていくのがいいのかなど、必要に応じて、前のプロセスに戻ることも検討しましょう。

【 スライド 9

おすすめの分析方法

① シンキングツールを使う

シンキングツールは自分の思考の補助になる道具です。 「比較する」「分類する」「理由付ける」など、思考するときのさまざまなパターンを図で表現できるようにしています。 それぞれのツールの特長を知ったうえで、探究活動と組み合わせると、情報をうまく整理・分析ができ自分の考えをつくり出すことに繋がります。

ベン図

比較する

Yチャート
(Xチャート/Wチャート)

多面的にみる・分類する

バタフライチャート

多面的にみる(賛成・反対)

クラゲチャート

理由づける

ピラミッドチャート

焦点化する・抽象化する・
構造化する

ウェビング
(イメージマップ)

広げる

座標軸

順序づける・比較する

フィッシュボーン

多面的にみる・見通す
(要因の分析)

表にまとめる


グラフ化する

グラフ化は数値化できる情報(データ)を視覚的にわかりやすくしてくれる表現方法です。グラフ化してわかりやすくすることで、得られた情報の傾向が分析しやすくなるだけでなく、発表時に自分の意見を相手に伝えやすくなります。

棒グラフ

同じ尺度の複数のデータを並べて
その大きさを比較したいとき

折れ線グラフ

あるデータが時系列に沿ってどのように
変化しているか、その傾向を大まかにつかみたいとき

円グラフ

ある量に占める内訳や構成を
直観的に知りたいとき

散布図

2 つのデータの相関関係を見たいとき 

レーダーチャート

5 種類以上のデータから特性を見ようとするとき

箱ひげ図

データの分布を把握したいとき 

ヒストグラム

量的データの分布の様子を見るとき 

グラフ化することで、情報の集中度、外れている値なども視覚化できます。数値化された情報からある傾向を読み取る際に、平均値、中央値、最頻値、分散、標準偏差などが用いられることがあります。よく用いられる平均値などは、大きく外れている数値が1つ入るとその値が大きく変わります。その場合、その外れた値を入れない方が、その情報から傾向を読み取ることができる場合があります。そのためにも、情報の分布の様子をグラフに可視化することは、数値処理をしていくうえで重要な手続きとなります。

偏差値という言葉を聞いたことがあると思います。偏差値は、実測値、平均値、標準偏差を用いて算出されます。その算出方法を見ると、それが何を表しているか、意味が理解できます。関心がある人は調べてみましょう。