「情報収集」とは探究の課題に関する情報を収集することです。情報収集を行うことで、課題について深く理解し、課題を解決するための方法を探すことができます。
情報収集の方法は、インターネット、図書館、博物館、人から聞くなど、さまざまな方法があります。いきなり情報収集の調査に入るのではなく、どの収集方法が適しているか事前に検討します。
ただやみくもに情報を集めるのではなく、以下の観点を意識しながら情報を集めるとよいでしょう。
課題の原因は何か、なぜそれが問題なのか、課題となるのか
今、課題を取り巻く状況はどうなっているのか、誰がどう関わっているのか
他のところではどうなっているのか、どう解決しようとしているのか
すでに提案されている解決策は何か
どのような解決策がありえるか
解決策を実行したときに何がどうなりそうか
「情報収集」は、何かについて検索して終わりではありません。問題の解決に向けて、必要な情報を計画的に探していく複雑なプロセスです。情報を集める方法は大きく分けて4パターンあります。
1. 読んでわかる情報の収集(論文や書籍、新聞、インターネットなどによる調査)
2. 聞いてわかる情報の収集(インタビューやアンケートによる調査)
4. やってわかる情報の収集(科学的実験、社会に対するアクション)
ここでは、これまでに誰かが書いて残しているものから情報を得ます。「読んでわかる情報」には、書籍や新聞など紙に記載されているものと、Web などの電子データがあります。
1-1 わかっていること、知りたいことを明確にしよう
いきなり情報収集にとりかかるのではなく「今、わかっていること」を明らかにしたうえで「知りたいこと」を洗い出します。
【 スライド 5 】
1-2 それぞれの方法のメリットとデメリットを知ろう
読んでわかる情報には「論文や書籍」「新聞」「インターネット」などの方法があります。それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、情報収集を開始します。
複数の方法を組み合わせることはもちろん、同じ方法の中でも聞く対象の人数や種類を増やすことで、より多角的で客観的な情報を得ることが重要であると伝えましょう。
【 スライド 6 】
2-1 情報の内容を記録しよう
文献リストに、文献名や著者名、要点などを記録することで、後で参照できるようにします。また、情報には情報源が曖昧なものや、情報がかなり古いものなどがあるので、情報源や発信された時期をチェックするようにします。
リンク先の 文献リストのテンプレート のフォーマットに沿って、自分の文献リストを作成します。
入手した情報は、いつでも情報源をたどれるように、どこに掲載されていた情報かを記録します。この作業を怠ると、成果をまとめるときに再度情報を検索したり、読み直ししたりしなくてはいけなくなるので、確実に記録するようにしましょう。
3-1「読んでわかる情報」の収集を振り返ろう
1-1で明確にした「知りたいこと」について、情報を集めることができたかを確認します。情報が不足している場合や、情報を収集している段階で「もっと知りたい」ことが発生した場合は、再度調べる必要があります。
【 スライド 8 】
ここでは、人々がどのような考えをもっているのかを知るために、インタビューをしたり、アンケートを取ったりして情報を集めます。調査する相手や質問内容を決めて、聞いてわかった内容を記録に残していきましょう。
1-1 わかっていること、知りたいことを明確にしよう
いきなり情報収集にとりかかるのではなく「今、わかっていること」を明らかにしたうえで「知りたいこと」を洗い出します。
【 スライド 11 】
1-2 それぞれの方法のメリットとデメリットを知ろう
聞いてわかる情報には「インタビュー」「アンケート」などの方法があります。それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、情報収集を開始します。
複数の方法を組み合わせることはもちろん、同じ方法の中でも聞く対象の人数や種類を増やしたりすることで、より多角的で客観的な情報を得ることが重要であると伝えましょう。
【 スライド 12 】
2-1 インタビュー調査をする相手を決めて、
下調べをしよう
インタビュー対象を決めて、事前にインタビュー対象について調査をします。
特定の人にインタビューをする場合は、最低限 Web 検索等、公開されている情報でわかることは調べていきましょう。誰でもわかることを聞くことは失礼になります
インタビュー対象者が「商店街の通行人」など、特定の人ではない場合は、どんな人たちなのかをイメージするための事前調査をしましょう
【 スライド 13 】
2-2 どのように依頼するか決めよう①
依頼方法には、いろいろな手段があります。インタビュー対象者にあわせて、適切な方法を選びます。
【 スライド 14 】
2-2 どのように依頼するか決めよう②
実際に依頼をする際に、依頼内容を整理します。
学校外の人にインタビューをする際には、トラブルにならないように、依頼前に一度、教員が内容を確認しておくことをおすすめします
依頼は社会のルールを考慮して丁寧に行います
整理した 4 項目と、何に対して返事をもらいたいのかを具体的に(取材可否を聞きたいのか、誰を紹介してほしいのかなど)依頼をする相手に伝えます
【 スライド 15 】
2-3 街頭調査の注意事項を知ろう
街頭調査を行う場合は、事前に許可の申請が必要になることが多いです。場所によって手続きが異なるため、調査を行う前にルール確認し、許可をもらいます。
【例】
ショッピングモールなど…施設を管理している人に計画を伝えて、許可をもらいます。
公道…道路使用許可をとる必要があります。調査を実施する道路を管理する警察署に計画を伝えて、相談のうえ申請します。
申請から許可まで時間がかかることがあるので、早めに相談するようにしましょう。
【 スライド 16 】
2-4 質問する内容を決めよう
インタビュー内容を具体的に決めます。インタビューの時間は限られているので、「必ず聞くこと」と「時間があれば聞くこと」に分けて考えます。
質問内容が浅いと感じる場合は、その質問をしたら相手はどう答えると思うかを想像させてみると、自分たちの知りたい内容が、この質問で聞き出せるかイメージしやすくなります。
以下のようなインタビューの方法を伝え、どちらの形で進めるのがよいか考えさせるとよいでしょう。
構造化インタビュー:準備した質問の通り順番に聞くインタビューの仕方
半構造化インタビュー:相手の回答に合わせて柔軟に聞く順番や聞き方を変えるインタビューの仕方
【 スライド 17 】
2-5 インタビュー調査の結果を記録しよう
インタビュー時の録画・録音を確認しながら、質問内容と回答を対応付けて表を作成します。知りたかったことが明確になったか確認します。
インタビュー時には、やりとりを録音または録画するようにします。その際、インタビュー対象者には事前に録音・録画の許可をもらいましょう。
【 スライド 18 】
3-1 アンケート調査をする相手を決めよう
誰を対象にアンケート調査を実施するのかを決めます。また、アンケートでどんなことを調査したいのかを明らかにして、調べたい内容と対象者があっているのかを確認します。
【 スライド 19 】
3-2 どのように調査するかを決めよう
アンケートには、いろんな手段があります。アンケート対象者にあわせて、適切な方法を選びます。
【 スライド 20 】
3-3 アンケートに記載する内容を考えよう
アンケートを作成する前に、構成を考えます。
注意事項では、回答をどのように処理するか、何のために用いるか(「探究学習以外には用いない」など)などを明確にしておきましょう
学校外の人にアンケートをする際には、トラブルにならないように、調査前に一度、教員が内容を確認しておくことをおすすめします
【 スライド 21 】
3-4 質問する内容を決めよう①
回答形式には、どのような種類があるのかについて理解します。
【 スライド 22 】
3-4 質問する内容を決めよう②
アンケートの内容を具体的に決めます。質問内容にあわせて、どの回答形式が適しているのかもあわせて考えます。
アンケート作成する際、回答者に負担をかけないためにも、質問項目を「必須」と「任意」に分けるとよいでしょう。
【 スライド 23 】
3-5 アンケート調査を実施する前にチェックしよう
アンケートが完成したら、チェックリストを使って内容に問題がないか生徒自身でチェックを行ったうえで、教員の許可をもらいアンケートを実施します。
学校外の人にアンケートをする際には、トラブルにならないように、依頼前に一度、教員が内容を確認しておくことをおすすめします。
【 スライド 24 】
3-6 アンケート調査の結果を記録しよう
アンケート調査の質問内容と回答結果を記録します。
Google フォーム でアンケートを実施した場合は、回答結果の URL や、回答結果のグラフをコピーしてスライドに貼り付けるとよいでしょう
フォーム 以外の方法で実施した場合も、回答結果は Google スプレッドシートに記録することで、後で整理・分析しやすくなります
【 スライド 25 】
4-1「聞いてわかる情報」の収集を振り返ろう
1-1で明確にした「知りたいこと」について、情報を集めることができたかを確認します。情報が不足している場合や、情報を収集している段階で「もっと知りたい」ことが発生した場合は、再度調べてみる必要があります。
【 スライド 26 】
ここでは、自分が設定した課題に対して、調査する場所の時系列の変化を観察したり、くまなく観察して特徴を捉えたりすることで情報を集めていきます。どうすれば自分の知りたい情報を集めることができるのか、調査する場所や手段などの計画を立てていきましょう。
1-1 わかっていること、知りたいことを明確にしよう
いきなり情報収集にとりかかるのではなく「今、わかっていること」を明らかにしたうえで「知りたいこと」を洗い出します。
【 スライド 29 】
1-2 それぞれの方法のメリットとデメリットを知ろう
「行ってわかる情報」には、時間による変化を観察する方法と、場所をくまなく横断的に観察する方法があります。「横断的」というのは、調べたいことが、同じ時間に異なる場所でどのようになっているかを調べるやり方です。それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、情報収集を開始しましょう。
【 スライド 30 】
2-1 現地調査をする場所を決めて、下調べをしよう
①訪問先を決めます。インタビュー対象者が適切でないと正確なデータが得られず、まちがった結論につながる可能性があるので、自身の探究の目的にあった対象者を選定するようにします。
②インタビュー対象者について事前調査しましょう。よいインタビューができるように、対象者が過去にやってきたことやどのようなことを考えているかについて、情報をできるだけ集めておきます。
事前に以下も確認しておきましょう。
・どうやって現地へ行くか
・何時頃が調査しやすいか
・何人で行くのが効率的か
・何カ所で調査するか
・(必要であれば)写真やビデオの撮影は可能か
※ 事前に許可が必要か
【 スライド 31 】
2-2 現地調査をする手段を決めよう
記録方法には、記録ノートや写真・動画、音声があります。
それぞれの記録方法を確認して、決めた方法に○を書きます。
【 スライド 32 】
2-3 現地調査の計画を立てよう
① 2-1、2-2の内容をふまえて訪問の計画を記録します。
② 訪問場所では、具体的に何に着目して観察してくるのかを「記録項目」に書きます。
【 スライド 33 】
2-4 現地調査の結果を記録しよう
現地調査の実験結果を記録します。
情報量が多い場合は、Google スプレッドシートに結果を記録したほうが便利でしょう。
【 スライド 34 】
3-1「行ってわかる情報」の収集を振り返ろう
1-1で明確にした「知りたいこと」について、情報を集めることができたかを確認します。情報が不足している場合や、情報を収集している段階で「もっと知りたい」ことが発生した場合は、再度調べる必要があります。
【 スライド 35 】
ここでは、自分が設定した課題に対して、科学的な実験をしたり、社会にアクションを起こしたりして情報を集めていきます。前者は、自分たちの仮説を実験条件を決めて検証をする実験方法です。後者は、自分たちのアイデアを人や社会を対象に実行してみる実験方法です。
1-1 わかっていること、知りたいことを明確にしよう
いきなり情報収集にとりかかるのではなく「今、わかっていること」を明らかにしたうえで「知りたいこと」を洗い出しましょう。
【 スライド 38 】
1-2 それぞれの方法のメリットとデメリットを知ろう
やってわかる情報には「科学的な実験をする」や「社会にアクションを起こす」などの方法があります。それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、情報収集を開始します。
【 スライド 39 】
2-1 実験の計画を立てよう
知りたい内容について、どんな集団に尋ねるとよいか考えましょう。また、調べたい内容と対象者が合っているか確認します。
【 スライド 40 】
3-1 実験の結果を記録しよう
実験は「同じ方法・条件」であれば「同じことが起きる」という再現性が求められます。どのような手順、場所、日時に何を行ったかを正確に記録しておきます。
情報量が多い場合は、Google スプレッドシートに結果を記録したほうが便利でしょう。
【 スライド 41 】
4-1「やってわかる情報」の収集を振り返ろう
1-1で明確にした「知りたいこと」について、情報を集めることができたかを確認します。情報が不足している場合や、情報を収集している段階で「もっと知りたい」ことが発生した場合は、再度調べる必要があります。
【 スライド 42 】