藍野大学 医療保健学部 臨床工学科
Dept. of Medical Engineering, Aino univ.
人工心肺制御学研究室
(山﨑ゼミ)
E.C.C.L Extra-Coporeal Circulation Laboratory,
Dept. of Medical Engineering, Aino univ.
人工心肺制御学研究室
(山﨑ゼミ)
E.C.C.L Extra-Coporeal Circulation Laboratory,
藍野大学 医療保健学部臨床工学科 人工心肺制御学研究室のホームページです。
臨床工学技士の主要な業務分野のひとつに、人工心肺や、ECMO(Extra-coaporeal membranous oxygenation)などの補助循環があります。
当研究室ではこれらの機械的循環補助に関する臨床課題の解決に向けた研究に取り組んでいます。
人工心肺装置やECMOは、心臓手術や重症心不全・呼吸不全の治療では欠かせないものとなっています。一方で、人工心肺による体外循環は、その特殊性から様々な影響を生体にもたらすことが知られており、ときに合併症を引き起こす要因となります。このような臨床課題の解決を目標に以下のテーマに取り組んでいます。
1.小動物における体外循環(人工心肺・補助循環)モデルの開発
これまで体外循環の実験は中型大型動物に限られており、統計学的優位性の実証が困難であることや経済的にも大きな負担となっていました。当研究室で進めている小動物(SD rat)における体外循環モデルは、これらの課題を解決するとともに、体外循環にまつわる未だ解明されていない基礎的な生理的反応を明らかにすることができます。小動物における体外循環モデルの実現には多くの技術的課題が残されていますが、急性モデルから長期生存モデルにも取り組んでおり、これらのモデルの成立により薬理面や病態面、材料面、操作技術に関する研究への応用が期待されます。
(1)急性・長期生存モデル(rat)の確立に向けた研究、卒研 S.R 34.6%→5例>30日
(2)補助循環モデルの開発(rabbit, pig)
補助循環モデル(pig)における拍動流の検証(共同, biology, 2020)
2.Cardiopulmonary bypass surgery in swine: a training model
技術訓練用の開心術・人工心肺モデル(swine)の開発
開心術における人工心肺の操作は、複雑な生体反応に対して的確な判断と操作技術が求められます。当研究室では、株式会社ニプロ 医療研修施設iMEPの協力のもと教育用として生体(swine)を用いた開心術・人工心肺・心筋保護のモデルの開発をおこなっています。2016年から生体による体外循環教育を導入し、これまでに30例以上の人工心肺症例を実施しています。2020年からは、送血用ポンプに遠心ポンプの使用を開始するとともに、2021年からは、世界初となる超低体温下での逆行性脳灌流、脳分離体外循環を加えたモデルの確立に取り組んでいます。
体外循環教育モデル(生体)(学内科目:手術実践実習)
2016 4例 Weaning rate 76.1%, 35/46
2017~2018 8例 Weaning rate 100%
2019~2020 8例 Weaning rate 100% 血液心筋保護液の導入
2021~2022 8例 Weaning rate 100% 遠心ポンプの使用開始、逆行性脳灌流・脳分離体外循環の実施、逆行性心筋保護注入の開始
3.心臓カテーテル用デバイス開発
(1)カテーテルインサータの開発と試作(27th日本心血管カテーテル治療学会報告, 2018)
4.膜型人工肺の性能劣化メカニズムの解明(NETs)
5.高気圧酸素治療における創傷治癒効果に関する検証
6.周産期(妊婦)の体外循環に関する研究
1.Yutaka Fujii; Nobuo Akamatsu; Yasunori Yamasaki ; Kota Miki; Masayuki Banno; Kenta Minami; Shuji Inamori, Development of a Pulsatile Flow-Generating Circulatory Assist Device (K-Beat) for Use with Veno-Arterial Extracorporeal Membrane Oxygenation in a Pig Model Study. Biology 2020, 9(6), 121
2.Yasumori Yamasaki; Teruyuki Hayashi; Takeshi Nakatani; Hideki Yotsuida; Takayuki Nishigaki; Yuzo Takahashi; Shuji Inamori; Kuji Kagisaki; H Hagino; T Ishizaka; Toshikatsu Yagihara, Early Experience with low-prime(99mL) Extracorporeal membrane oxygenation support in children.ASAIO journal 2005 Vol 52, No1pp.110-114
図1.臨床使用した膜型人工肺の免疫染色(DAPI)による評価
中空糸に付着した血栓構造にDNA成分が含まれることを示しており、血栓形成に白血球が関与している可能性を示唆しています。
Analysis by the DAPI(4',6-diamidino-2-phenylindole) Immunostaining of the membrane oxygenator for clinical use, The 38th Annual Scientific Meeting of The Japanese Society of Extra-corporeal Technology In Medicine 2012
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図2. 膜型人工肺の酸素運搬能の検証
膜型人工肺の酸素運搬能の評価はAAMI基準による条件で行われますが、臨床使用中は、この条件から大きく逸脱した状況下で使用されます。そこで入口側の血液条件をAAMIの基準から大きく逸脱させたときの膜型肺の性能評価をおこなっています。
図3.ラット人工心肺モデル
ラット用膜型人工肺(0.05㎡)とローラポンプの組み合わせによる体外循環回路を構成しています。400g~600gの体重に対応し血流量、酸素加・脱二酸化炭素がおこなえることを実証しています。このシステムを基に、体外循環モデルとしての確立と抗炎症性の評価を進めています。