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日本国法令
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日本国法令
校正公示中
日本国法令 中小企業 振興基準
本基準は、下請中小企業振興法(昭和45年法律第145号。以下「法」という)第3条 第1項 の規定に基づき、親事業者、及び下請事業者双方が、適正な利益を得てサプライチェーン全体の競争力向上につなげていく、共存共栄の関係を築くことを目指し、下請取引における、下請事業者の事業運営の方向性、親事業者が行う発注等の在り方等を示すことにより、下請中小企業の振興を図ろうとするものである。
下請事業者の事業活動は、親事業者の発注の在り方に大きな影響を受けるものであり、まず何よりも、親事業者と下請事業者の 取引の公正 と、これを通じた下請事業者の適正な利益の確保が図られなければならない。
その上で、下請中小企業を含むサプライチェーン全体で付加価値向上を目指すことができるような、親事業者と下請事業者の相互理解と信頼によって支えられる、互恵的な取引関係 を構築していく必要がある。
このため、親事業者は、下請事業者の存在価値や潜在力を、長期的、かつ、広範な視野から捉え、共存共栄を図っていくべきである。
他方、下請事業者は、親事業者に対し、発注内容・契約条件の明確化、発注・対価の決定方法の改善、契約条件の書面交付を求めるなど、自らが提供する付加価値について、正当な評価を受け、適正な利益を得るために、協議・交渉を申し入れるほか、脱炭素化を始めとする グリーン化、電子受発注の導入を始めとする情報化等の自助努力を行うべきである。
更に、需要者(顧客)も含めたサプライチェーン全体での価格転嫁が実現するよう、親事業者、及び下請事業者の取組が望まれる。
また、本基準は、下請事業者、又は親事業者の事業を所管する省庁(以下「事業所管省庁」という)の担当大臣、その他関係行政機関の長が、法の目的を達成するために行う指導、及び助言の根拠となる考え方を示すとともに、事業所管省庁が、業種別に策定する「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」(以下「業種別ガイドライン」という)の策定、又は改定に当たり参照されるものである。
また、本基準は、事業者団体等による「自主行動計画」の策定、又は改定に当たり、主要な要素の一つとして参照され、並びに親事業者、及び下請事業者の望ましい取引慣行の遵守等を、事業者の代表者名で宣言する「パートナーシップ構築宣言」のひな形の作成、又は改定に当たり参照されることが期待される。
校正公示中
日本国法令 中小企業 振興基準
1 下請事業者の努力
下請事業者は、生産年齢人口の減少等に伴う人手不足、経済の国際化の一層の進展等に適切に対応するため、働き方を見直し、魅力ある職場づくり に努めるとともに、脱炭素化を始めとするグリーン化、電子受発注の導入を始めとする情報化等の課題に適切に対応するため、技術開発、設備投資、親事業者、その他の事業者との連携等により、生産性の向上、及び「製品、若しくは情報成果物」の「品質、若しくは性能」の改善、又は役務の品質の改善 に努めるものとする。
メモ:要約
人手不足への対応。
経済の国際化への対応。
魅力ある職場づくり。
グリーン化。
電子受発注の導入などの情報化。
技術開発と設備投資の推進。
生産性の向上。
製品の性能の改善。
情報成果物の品質の改善。
薬務の人室の改善。
2 親事業者の努力
親事業者は、下請事業者が働き方改革、生産性の向上等に取り組むことができるよう配慮して、下請事業者に対する発注条件、取引条件等 を設定するよう努めるとともに、下請事業者の グリーン化、情報化等を支援し、また、下請事業者、その他の事業者と既存の取引関係、系列、企業規模等を超えた連携を進めること等により、サプライチェーン全体における付加価値向上、及び、共存共栄の実現に努めるものとする。
校正公示中
日本国法令 中小企業 振興基準
1 発注分野の明確化
⑴ 親事業者は、下請事業者が長期的な需要見通しの下に、経営方針を立てることができるよう、下請事業者に対する 発注分野(※)をできる限り具体的に定め、提示するものとする。
その際、下請事業者は親事業者から提示された情報の秘密を保持するものとする。
※ 親事業者自らがどのような物品を製造、若しくは、修理し、どのような 情報成果物 を作成し、又は、どのような 役務 を提供するのかを明らかにした上で、下請事業者に何を発注するのかを指し示す具体的内容をいう。
⑵ 親事業者は、⑴ の規定により提示した発注分野を、できる限り変更しないよう努めるものとする。
親事業者は、自らの都合により、やむを得ず発注分野を変更しようとするときは、下請事業者に対し、その経営に著しい影響を及ぼさないよう、相当期間前に、当該変更の内容を明示するものとする。
2 長期発注計画の提示及び発注契約の長期化
親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者が、安定的かつ合理的な生産、又は、提供を行うことができるよう、発注計画期間を長期化し、かつ、これに沿った発注を行うよう努めるものとする。
3 発注の安定化、リードタイムの確保等
⑴ 親事業者は、下請事業者に対する発注に係る物品、情報成果物、及び、役務(以下「物品等」という)の発注量の大幅な変動を、できる限り回避するものとし、特に、発注量を親事業者の生産量、又は、提供量の変動の増減率以上に変動させないよう努めるものとする。
⑵ 親事業者は、発注量をできる限り平準化させるものとするほか、将来の発注に関する事前情報の精度の向上、物品等の標準化、及び、規格の整理統合に努めるものとする。
⑶ 親事業者は、下請事業者に発注するときは、下請事業者の生産に必要なリードタイム、原材料の最小購入単位等を十分に考慮して発注するものとする。
⑷ 親事業者は、発注予定数量を下請事業者に提示し、その後、合理的理由なく発注予定数量と実際の発注数量に大きな乖離(かいり)が生じた場合であって、下請事業者から要請があったときは、その費用負担の軽減に配慮しつつ、下請事業者と十分に協議を行い、余剰となる製品在庫、及び、残材の買取りを行い、並びに労務費、外注費、その他の諸経費の増加分を支払う等の措置を講ずるものとする。
4 納期及び納入頻度の適正化等
⑴ 納期、及び、納入頻度は、下請事業者にとって無理がなく、かつ、労働時間の短縮 が可能なものとなるよう、親事業者、及び、下請事業者が協議して決定するものとする。
その際、親事業者の需要により、多頻度小口配送等を要請する場合には、その必要なコストは親事業者が負担するものとする。
⑵ 親事業者は、下請事業者の労働時間短縮等の働き方改革の妨げとなる週末発注・週初納入、終業後発注・翌朝納入、発注内容の変更等を抑制するとともに、下請事業者の納入事務の軽減に協力するものとする。 親事業者の都合により、やむを得ず、下請事業者が残業、休日出勤等により対応せざるを得ない短納期発注、週末発注等を行う場合には、親事業者は、その追加コストを負担するものとする。
⑶ 親事業者は、発注後における発注内容の変更、追加発注、支給材(親事業者から支給される原材料、半製品、部品、資材等をいう。以下同じ)の支給の遅延等により、あらかじめ定めた納期が、下請事業者にとって無理なものとなった場合には、下請事業者の不利益にならないよう、その納期を変更する等の措置を講ずるものとする。
5 設計図、仕様書等の明確化による発注内容の明確化
⑴ 親事業者は、不当なやり直しが生じないよう、発注に際して下請事業者に対して示すべき設計図、仕様書等の内容を明確にするものとする。
⑵ 親事業者は、既に発注した物品等に係る設計、仕様等を変更しようとするときは、下請事業者に損失を与えることとならないよう十分に配慮して変更するものとし、かつ、その変更による追加コストは親事業者が負担するものとする。
6 契約条件の明確化及び書面等の交付
親事業者は、発注内容が曖昧な契約とならないよう、下請事業者と十分に協議を行った上で、発注内容、納期、価格、付随費用(型、治具等の費用、運送費、保管費等をいう)、支払手段、支払期日等の契約条件について、書面等(電子メール、その他の電磁的記録を含む。以下同じ)による明示、及び、その交付を徹底する。
7 発注の手続事務の円滑化等
親事業者は、下請事業者に対する発注手続、及び、支給材、設備貸与等に関する手続の事務の円滑化、及び、明確化に努めるものとする。
また、親事業者は、下請事業者の労働時間の短縮のため、下請事業者の要請に応じ、生産、又は、配送システムの見直し等の取組を共同して行うものとする。
8 取引停止の予告
親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者との取引を停止し、又は大幅に取引を減少しようとする場合には、下請事業者の経営に著しい影響を与えないよう最大限の配慮をする観点から、相当の猶予期間をもって予告するものとする。
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日本国法令 中小企業 振興基準
1 一般的留意事項
⑴ 下請事業者は、生産性の向上等を図るための施設、又は設備の導入に努め、製品開発、品質管理、現場作業等の技術の向上に努めるとともに、経営管理、及び人事・労務管理の改善に努めるものとし、また、その業種、及び業態の実態に応じ、他の事業者との事業の 共同化 に努めるものとする。
⑵ 親事業者は、下請事業者の要請に応じ、下請事業者の施設、又は設備の導入、技術の向上、並びに経営管理、及び人事・労務管理の改善に際し、助言、研修、従業員の派遣等の協力を行うとともに、下請事業者が事業の 共同化 を進めやすくなるよう適切な措置を講ずるものとする。
2 情報化への積極的対応
⑴ 下請事業者は、管理能力の向上、事務量の軽減、事務の迅速化等の業務工程の見直しによる効率性の向上のため、必要な セキュリティ対策 と併せて、次の事項に積極的に対応するよう努めるものとする。
① 情報化に係る責任者の配備、及び企業内システムの改善(業務のデジタル化推進 を含む)。
② 中小企業共通EDI(電子データ交換)等による電子受発注。
③ 電子的な決済等(インターネットバンキング、電子記録債権、全銀EDIシステム 等の活用)。
⑵ 親事業者は、⑴の下請事業者による取組を支援するため、下請事業者の要請に応じ、管理能力の向上についての指導、標準的なコンピュータ、ソフトウェア、及びデータベースの提供、オペレータの研修、セキュリティ対策 の助言、及び支援、並びに国、及び地方公共団体による情報化支援策の情報提供等の協力を行うものとする。
⑶ 親事業者は、サプライチェーン全体の業務工程の見直しによる効率性向上を図る観点から、⑷に掲げる事項に留意しつつ、下請事業者に電子受発注、及び電子的な決済等の導入を積極的に働きかけるものとする。
また、自社並びに、その子会社、及び関連会社において下請事業者との取引に用いている自社の電子受発注、又は電子的な決済等に係る システムの共通化 に努めつつ、業界、企業系列等を越えたサプライチェーンで 共通化された電子受発注、又は電子的な決済等に係るシステムへの接続に努めるものとする。
⑷ 親事業者は、下請事業者に対し 電子受発注 等を行う場合には、次の事項に留意して、これを行うものとする。
① 下請事業者に対し、電子受発注 等を導入する効果、コスト負担等の説明を十分に行うこと。
② 電子受発注 等を行うか否かの決定に当たっては、下請事業者の自主的な判断を十分に尊重することとし、これに応じないことを理由として、不当に取引の条件、又は実施について不利な取扱いをしないこと。
③ 下請事業者に対し、正当な理由なく、自らの指定するコンピュータその他の機器、又はソフトウェア等の購入、又は使用を求めないこと。
④ 下請事業者に対する電子受発注等に係る指導等の際、併せてその経営、財務等の情報を把握すること等により、その経営の自主性を侵さないこと。
⑤ 自らが負担すべき費用を下請事業者に負担させないこと。
⑥ 下請事業者が、不測の不利益を被ることがないよう、親事業者、及び下請事業者双方の費用分担、取引条件等について、事前に基本契約書、又は、これに準ずる書面等により明確に定めておくこと。
⑦ その他政府により定められている電子受発注等についての指針を遵守すること。
3 事業承継に向けた取組
⑴ 下請事業者は、事業承継計画の策定、事業承継・引継ぎ支援センターの活用、その他の方法により、事業承継 に向けた計画的な取組を行うものとする。
⑵ 親事業者は、下請事業者の 事業承継 の意向、及び状況の把握に努めるものとし、サプライチェーン全体の機能維持のため、必要に応じて計画的な 事業承継 の準備を促す等、下請事業者の事業承継に関し、積極的な役割を果たすものとする。
具体的には、下請事業者と対話した上で、その実態に応じ、事業承継 の円滑化に向けた経営改善支援、後継者の育成、引継先のマッチング支援等を行うよう努めるものとする。
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日本国法令 中小企業 振興基準
1 対価の決定の方法の改善
⑴ 取引対価は、合理的な算定方式に基づき、下請事業者の適正な利益を含み、下請事業者における賃金の引上げ、労働時間の短縮等の労働条件の改善が可能となるよう、親事業者、及び下請事業者が十分に協議して決定するものとする。
その際、親事業者は、以下に掲げる行為を始めとする、客観的な経済合理性、又は十分な協議手続を欠く協議を行わないものとする。
〔取引対価の協議に関する望ましくない事例〕
① 目標価格、又は価格帯のみを提示して、それと辻褄(つじつま)の合う内容の見積り、又は提案を要請すること。
② 過度に詳細な見積りを要請し、それを下請事業者が十分に作成できないことを理由として、協議を拒むこと。
③ もともと転注するつもりがないにもかかわらず、競合する他の事業者への転注を示唆して、殊更(ことさら)に危機感を与えることにより、事実上、協議をすることなく、親事業者が意図する取引対価を下請事業者に押し付けること。
④ 競合する他の事業者が、取引対価の見直しの要請をしていないこと、親事業者の納入先が取引対価の見直しを認めないこと等を理由として、協議を拒むこと。 また、下請事業者は、国・地方公共団体、中小企業の支援機関 等に相談する等して積極的に情報を収集して交渉に臨むよう努めるものとする。
⑵ 親事業者、及び下請事業者は、毎年9月、及び3月の「価格交渉促進月間」の機会を捉える等により、少なくとも年に1回以上の協議を行うものとする。親事業者は、発注の都度、協議を行うものとするほか、継続的な発注について下請事業者からの申出があったときは、定期的な協議に応じるものとする。
さらに、労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストが上昇した場合、又は発注内容を変更した場合であって、下請事業者からの申出があったときは、定期的な協議以外の時期であっても、遅滞なく協議に応じるものとする。
⑶ 親事業者、及び下請事業者は、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(令和5年11月29日 内閣官房新しい資本主義実現本部事務局・公正取引委員会。以下「労務費の指針」という)(または、こちら)に掲げられている、「事業者が採るべき行動/求められる行動」を適切にとった上で、取引対価を決定する。
その際、「労務費の指針」別添「価格交渉の申込み様式」の活用も併せ、労務費の上昇分を適切に転嫁できるよう協議するものとする。特に、最低賃金(家内労働法(昭和45年法律第60号)に規定する最低工賃を含む)の引上げ、人手不足への対処等、外的要因により下請事業者の労務費の上昇があった場合には、その影響を十分に踏まえるものとする。
⑷ 労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストが増加した場合には、親事業者は、予め定めた価格改定タイミングは、もちろんのこと、その期中においても、価格変更を柔軟に行うものとする。
特に原材料費やエネルギーコストの高騰があった場合には、適切なコスト増加分の全額転嫁を目指すものとする。
⑸ 取引対価の決定の際、親事業者、及び下請事業者は、取引の対象となる物品に係る特許権、著作権 等、その他知的財産権の帰属、及び二次利用に対する対価、並びに当該物品等の製造等を行う過程で生じた財産的価値を有する物品等や、技術等に係る知的財産権の帰属、及び二次利用に対する対価についても十分考慮するものとする。
⑹ 親事業者、及び下請事業者は、⑴から⑸までに掲げるもののほか、品質、又は性能、仕様の変更、発注数量、又は納入頻度の多寡(量産時と量産期間終了後の変化を含む)、納期の長短、代金の支払方法、諸経費(運送費、保管費、電子受発注、又は電子的な決済等に係るコスト、環境対応コスト等)、市価の動向等の要素を考慮して、取引対価を決定するものとする。
⑺ 親事業者は、以下に掲げる行為を始めとする、客観的な経済合理性、又は十分な協議手続を欠く原価低減要請(原価低減を求める見積り、又は提案の提出要請を含む。以下同じ)を行わないものとする。
また、親事業者、及び下請事業者双方が協力して行った原価低減活動の効果を、取引対価に反映する場合には、当該効果に対する双方の寄与度を踏まえ、合理的に取引対価を設定するものとする。
〔原価低減要請に関する望ましくない事例〕
① 具体的な根拠を明確化せず、又は目標数値のみを提示して、原価低減要請を行うこと。
② 原価低減要請に応じることが、発注継続の前提であることを示唆して、事実上、原価低減を押し付けること。
③ 口頭で削減幅等を示唆した上で、下請事業者から見積書の提出を求めること等、書面等の記録を残さずに原価低減要請を行うこと。
〔取引対価への反映に関する望ましくない事例〕
① コスト削減効果を十分に確認せず、取引対価の低減を押し付けること。
② 下請事業者の努力によるコスト削減効果を、一方的に取引対価の低減に反映すること。
⑻ 親事業者、及び下請事業者双方は、それぞれ取引対価の協議の記録を保存するものとする。
⑼ 親事業者は、下請代金支払遅延等防止法 に関する運用基準(平成15年公正取引委員会事務総長通達第18号。以下「下請法運用基準」という)に違反事例として掲げられている「一律一定率の単価引下げによる買いたたき」、「合理性のない定期的な原価低減要請による買いたたき」、「下請代金を据え置くことによる買いたたき」等の、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号。以下「下請法」という)で禁止する買いたたきを行わないことを徹底する。
その際、特に、以下のような方法(取引価格への反映の不当回避)で取引対価を決定することは、下請法上の買いたたきに該当するおそれがあることに留意するものとする。
① 労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと。 ② 労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストが上昇したため、下請事業者が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面等で下請事業者に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと。
2 納品の検査の方法の改善
⑴ 親事業者は、下請事業者に発注をしようとする場合には、納品(役務の提供を含む給付の提供をいう。以下同じ)の検査の実施方法、実施時期、当該発注に係る物品等の適正な検査基準、検査の結果不合格となった物品等の取扱い、及び納品の過不足の場合の処理の方法を、あらかじめ下請事業者と協議して定めるものとする。
⑵ 親事業者は、⑴の規定により定めた検査の実施方法、及び検査基準に基づき、納品後、速やかに納品の検査を行うものとする。
⑶ 親事業者は、自ら納品された物品等の検査を行い、又は書面等により委任して下請事業者に物品等の検査を行わせ、当該検査を合格とした場合であって、その後、親事業者の納入先等からの指摘により当該物品等の引取り、やり直し又は損害賠償を行うこととなったときは、当該物品等の不具合の有無、及びその原因を明らかにし、その引取り、やり直し、又は損害賠償に必要となる人員の手当、金銭の支払い等について、親事業者が、すべてを負担せず、下請事業者にも負担を求めることの必要性、及び合理性の有無を、十分に確認するものとする。
親事業者は、下請事業者にも、当該負担を求めることとなる場合には、親事業者、下請事業者、それぞれが当該物品等に係る納品により得た取引対価を勘案しつつ、下請事業者と十分に協議を行い、親事業者、及び下請事業者双方が合理的な割合で負担(費用の分担)するものとし、一方的に下請事業者に引取り、やり直し又は損害賠償を負担させないものとする。
3 支給材の支給及び設備等の貸与の方法の改善
⑴ 親事業者は、下請事業者に支給材を支給しようとする場合には、以下に掲げる行為に留意しつつ、支給材の保管の方法、及び瑕疵(かし)がある場合の取扱い、支給材の所要量の算定方法、及び残材の処理の方法、支給の時期、並びに対価の決定方法、その他支給について必要な事項を、あらかじめ下請事業者と協議して定めるものとする。
〔支給材に関する望ましくない事例〕
① 生産終了後、長期間にわたり、支給材を保管させること。
② 残材の買取りについて明確な取決めをせず、負担を一方的に押し付けること。
⑵ 親事業者は、下請事業者に設備等を貸与しようとする場合には、⑴の支給材と同様、必要な事項を、あらかじめ下請事業者と協議して定めるものとする。
4 下請代金の支払方法の改善
⑴ 親事業者は、発注に係る物品等の受領後、下請代金をできる限り速やかに支払うものとする。また、当該受領をした日から起算して60日以内において定める支払期日までに、下請代金を支払うことを徹底する。☞ 会社規則では「当日払い/翌日払い/週払い/14日~30日後払い」
⑵ 下請代金の支払いは、できる限り現金によるものとする。少なくとも賃金に相当する金額については、全額を現金で支払うものとする。
⑶ 約束手形(為替手形の場合を含む。以下同じ)、一括決済方式(※)及び電子記録債権(以下⑶において「手形等」という)により下請代金を支払う場合には、当該手形等の現金化に係る割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、当該コストを勘案した下請代金の額を、親事業者、及び下請事業者双方で十分に協議して決定するものとする。
当該協議を行う際、親事業者、及び下請事業者双方が、手形等の現金化に係る割引料等のコストについて具体的に検討できるよう、親事業者は、支払期日に現金により支払う場合の下請代金の額、並びに支払期日に手形等により支払う場合の下請代金の額、及び当該手形等の現金化に係る割引料等のコストを示すものとする。
※親事業者、下請事業者、及び金融機関の間の約定に基づき、下請事業者が下請代金の全部、又は一部に相当する 下請代金債権 を担保とし、又は譲渡し、金融機関から、当該下請代金の額に相当する金銭の貸付け、又は支払いを受けることができることとし、親事業者が、当該 下請代金債権 の額に相当する金銭を当該金融機関に支払うこととする方式をいう。
⑷ 親事業者、及び下請事業者は、約束手形の利用廃止等に向け、次の取組を進めるものとする。
① 約束手形、一括決済方式、及び電子記録債権のサイト(約束手形の交付日から満期までの期間又はこれに相当する期間をいう。以下同じ)については、60日以内とするよう努めるものとする。 ② 約束手形は、できる限り利用しないよう努めるものとする。また、約束手形の利用を廃止するに当たっては、できる限り現金による支払いに切り替えるよう努めるものとする。
なお、親事業者、及び下請事業者は、以下のイからハまでに掲げる方針が政府により示されていることに十分留意しつつ、①及び②の取組を進めるものとする。
イ 公正取引委員会、及び中小企業庁が、おおむね令和6年までに、60日を超えるサイトの約束手形、一括決済方式、及び電子記録債権を、下請法上「割引困難な手形」等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とすることを前提として、下請法の運用の見直しの検討を行うこととしていること(「手形等のサイトの短縮について」(令和4年2月16日 20211206 中庁第1号・公取企第131号))。
ロ 令和8年の約束手形の利用の廃止に向けた取組を促進する旨、閣議決定されていること(「成長戦略実行計画」(令和3年6月18日 閣議決定))。
また、令和8年の約束手形の利用廃止に向け、各業界における具体的な段取り・ロードマップを策定するよう、事業所管省庁から事業者団体に対し要請されていること(「第3回中小企業等の活力向上に関するワーキンググループ」(令和4年2月22日)資料1)。
ハ 金融業界に対し、令和8年に手形交換所における約束手形の取扱いを廃止することの可否について検討するよう要請されていること(「第9 3回中小企業等の活力向上に関するワーキンググループ」(令和4年2月22日)資料1)。
⑸ ⑵から⑷までの取組は、サプライチェーンの川下側にあって、川上側に与える影響の大きい親事業者から率先して実施し、業種間をまたぐ取組を含め、サプライチェーン全体で取組を進めるものとする。とりわけ、業種全体で取組が遅れている業種に属する親事業者、各業種において主導的な立場にある親事業者、自社の属する業種内の他の事業者と比べて、特に取組が遅れている親事業者等は、率先して支払条件の見直し(約束手形、一括決済方式、及び電子記録債権のサイトの短縮、現金による支払いへの切替え等)を進めるものとする。
⑹ 親事業者は、下請代金の支払方法として一括決済方式を用いる場合には、次の事項に留意して、これを用いるものとする。
① 一括決済方式への加入、及び脱退については、下請事業者の自主的な判断を十分尊重すること。
② 一括決済方式に加入した下請事業者に対し、支払条件を従来と比べ実質的に不利となるよう変更しないこととし、及び一括決済方式に変更することによって生じる費用を負担させないこと。
また、一括決済方式に加入しない下請事業者に対し、それを理由として、不当に取引条件の設定、又は実施について不利な取扱いをしないこと。
③ その他政府により定められている一括決済方式についての指針を遵守すること。
⑺ 親事業者は、下請代金の支払方法として電子記録債権を用いる場合には、次の事項に留意して、これを用いるものとする。
① 電子記録債権による支払いについては、下請事業者の自主的な判断を十分尊重すること。
② 電子記録債権の活用によって見込まれる、下請代金の支払い又は受取に係る費用、手続事務等の軽減の効果について、十分な情報提供の取組を進めること。
③ その他政府により定められている電子記録債権についての指針を遵守すること。
⑻ 建設、大型機器の製造、その他発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、親事業者は、前払い比率、及び期中払い比率をできる限り高めるよう努めるものとする。
5 金型、樹脂型、木型等の型又は治具に係る取引条件の改善
⑴ 親事業者、及び下請事業者は、「型取引の適正化について」(令和2年1月17日 20200110中第2号)を踏まえ、「型取引の適正化推進協議会報告書」(令和元年12月 型取引の適正化推進協議会)に掲げられている「型取引の基本的な考え方・基本原則について」に基づき、型(金型、樹脂型、木型等の型、又は治具をいう。以下同じ)に係る取引を行うものとする。
その際、型に係る取引条件の明確化のため、取り決め事項の書面化を進める参考例として示している同通達附属資料「型の取扱いに関する覚書(ひな形)」の活用を推奨する。
⑵ 親事業者は、下請法運用基準に違反事例として掲げられている「型・治具の無償保管要請(法令違反)」を行わないことを徹底する。
6 働き方改革の推進を阻害する取引慣行の改善
⑴ 親事業者は、自らの取引に起因して、下請事業者が労使協定の限度を超える時間外労働、休日労働等による長時間労働、及びこれらに伴う割増賃金の未払い等、労働基準関連法令 に違反することのないよう十分に配慮して、下請事業者と取引を行うものとする。
☞ 一部の 会社規則 は、労働基準関連法令 より厳しくしてあるので参照すること。
⑵ 親事業者は、やむを得ず、短納期、又は追加の発注、急な仕様変更等を行う場合には、下請事業者が支払うこととなる残業代等の増加コストを負担するものとする。
⑶ 大企業である親事業者による、働き方改革の下請事業者へのしわ寄せ等の影響も懸念される中、親事業者は、下請事業者の人員、業務量の状況をできる限り把握することに努めるものとし、以下に掲げる行為を始めとする、下請事業者の働き方改革を阻害し、又は不利益となるような取引、若しくは要請を行わないものとする。
〔親事業者による下請事業者へのしわ寄せ等の不利益となる事例〕
① 適正なコスト負担を伴わない短納期発注、又は急な仕様変更。
② 無理な短納期発注に対する納期遅れを理由とした受領拒否、又は減額。
③ 親事業者自らの人手不足、又は長時間労働の削減による検収体制の不備に起因した受領拒否、又は支払遅延。
④ 親事業者自らの人手不足、又は長時間労働の削減に起因した、適正なコスト負担を伴わない人員の派遣要請、又は付帯作業の要請。
⑤ 過度に短納期となる時間指定配送、過剰な賞味期限対応、若しくは欠品対応に起因するリードタイムの短い発送、又は適正なコスト負担を伴わない多頻度小口配送。
⑥ 納期、又は工期の特定時期への過度な集中。
校正公示中
日本国法令 中小企業 振興基準
法 第2条 第5項 の特定下請事業者が、法 第8条 第1項 の特定下請連携事業計画を作成するに当たっては、以下の内容を満たすものとする。
1 特定下請連携事業の目標
特定親事業者以外の者との取引を開始、又は拡大し、特定下請取引(※) への 依存の状態を改善 すること。
なお、特定下請取引への依存の状態の改善とは、3~5年以内の計画期間内に、特定親事業者への取引依存度が年1%以上低下することをいう。
※長期にわたり、特定の親事業者に依存して行われている下請取引であって、おおむね総売上高の20%以上を占めている取引をいう。
2 特定下請連携事業の内容
⑴ 組織体制
複数の下請事業者、その他の事業者で構成する連携体(以下単に「連携体」という)が1つの事業体として活動できるよう、明確な目的、及び事業方針を参加事業者間で共有し、事業目標を定めていること。
また、参加事業者間で規約等を策定し、対内的な役割分担、対外的な取引関係における責任体制の在り方等を明確化すること。
⑵ 中核となる者の存在
参加事業者が、それぞれの経営資源を有効に活用して事業活動を行うため、連携体内でリーダーシップを発揮し、事業連携の核となる者が存在すること。
⑶ 知識連携及び取引連携の組合せ
ノウハウの共有、及び向上に向けた活動(知識連携)並びに取引先開拓に向けた活動(取引連携)を組み合わせた活動であり、活動による個々の下請事業者における効果が目的等において明確となっていること。
⑷ 特定親事業者以外の者の課題等に対応した製品又は役務の提供
課題解決型ビジネスを実施するものであり、以下のいずれかの内容を行うものであること。
① 連携においては、ノウハウ等の向上に向けた活動、及び受注獲得の活動を組み合わせて、それらが相互に作用しつつ、事業活動を行うこと。
② 市場、及び顧客との情報交換を実施し、取引先の課題、及びニーズを把握していること。
③ 自社、及び連携体メンバーの強み、及び弱みを分析し、技術、ノウハウ等の組み合わせによる相乗効果を発揮して、課題解決の幅を拡大していること。
④ 顧客に対して企画、及び提案を実施する等、顧客の課題、及びニーズに対応した製品、又は役務を提供すること。
⑸ その他留意事項
① 特定下請連携事業計画は、特定下請事業者が主体的に参画する必要があること。
② 新たな事業活動は、個々の中小企業者にとって新たな事業活動である場合には、既に他の事業者において採用されている技術、方式等を活用する場合であっても、原則として該当すること。
校正公示中
日本国法令 中小企業 振興基準
1 一般的留意事項
⑴ 親事業者は、下請事業者の自主的な事業の運営を尊重するものとし、下請事業者が行う取引先の開拓、変更等、及び仕入先との間における取引対価の決定等(以下「取引先の開拓等」という)について、不当に干渉しないものとする。
特に、親事業者への取引依存度の高い特定下請事業者、及び小規模事業者である下請事業者が、自主的に行う取引先の開拓等については、特段の事情がない限り干渉しないものとする。
⑵ 親事業者は、協賛金、協力金、陳列応援の要請、センターフィー(※)の提供要請、試作品、又はサンプルの作成要請、その他名目のいかんを問わず、下請事業者に対し金銭、役務、その他の経済上の利益の提供を要請する場合には、あらかじめ負担額、及び、その算出根拠、使途、対価を含めた提供の条件等を明確にした上で、下請事業者の直接的な利益に十分に配慮して協議を行い、書面等により合意するものとする。
※メモ:センターフィーとは、小売業が卸売業者やメーカーなどの納入業者に請求する物流センターの使用料。
2 自然災害等への対応に係る留意事項
⑴ 自然災害等への備えに係る留意点
親事業者、及び下請事業者は、自然災害、サイバー攻撃、感染症、国際情勢の変化等の事業活動の基盤における重大な障害(以下「自然災害等」という)の発生に伴い、サプライチェーンが寸断されることのないよう、中小企業等経営強化法(平成11年 法律 第18号)に基づく 事業継続力強化計画、又は、連携事業継続力強化計画 の策定、ひいては 事業継続計画(BCP:自然災害等の発生後の早期復旧に向けた取組等を定めた計画)の策定、及び 事業継続マネジメント(BCM:BCP等の実効性を高めるための平常時からのマネジメント活動)の実施に努めるものとする。
☞ メモ:
⑵ 自然災害等が発生した場合に係る留意点
① 下請事業者が留意する事項
親事業者、及び下請事業者双方の責めに帰すことができない自然災害等により被害が生じた場合には、下請事業者は、その事実の発生後、速やかに親事業者に通知するよう努めるものとする。
② 親事業者が留意する事項
イ 自然災害等による下請事業者の被害状況を確認しつつ、下請事業者に、取引上一方的な負担を押し付けることがないよう十分に留意するものとする。
ロ 自然災害等によって影響を受けた下請事業者が、事業活動を維持し、又は再開する場合には、できる限り、その復旧を支援するとともに、従来の取引関係を継続し、又は優先的に発注を行うよう努めるものとする。
校正公示中
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1 下請取引の紛争に関する協議及び紛争解決のあっせん
⑴ 親事業者は、下請事業者から取引条件の改善、下請代金支払等下請取引の紛争に関する協議の申出があった場合には、協議に応じるものとする。
⑵ 親事業者は、下請取引の紛争に関する協議において、下請事業者から、下請企業振興協会 が行う 紛争解決のあっせん等、裁判外紛争処理手続(ADR) の利用の申出があった場合には、手続の活用について応諾するものとする。
⑶ 下請事業者は、必要に応じて、下請企業振興協会 が行う紛争解決のあっせん等を活用すること等により、紛争の円滑な解決に努めるものとする。
2 下請取引に係る紛争の未然防止及び取引の適正化のための体制整備
親事業者は、下請事業者が取引上の問題に関し、取引への影響を考慮して、申し出ることが難しいという実情を十分に踏まえ、以下のような体制の整備に努める(⑶については、体制を整備する)ものとする。
⑴ 下請事業者が取引条件について不満、問題等を抱えていないか定期的な聞き取りを行う等、下請事業者が申出をしやすい環境を整備すること。
⑵ 調達担当部署と異なる第三者的立場の相談窓口を設置し、匿名性を確保しつつ、下請事業者からの相談、苦情の申告等に応じること。また、当該相談窓口を設けていること等に関し、定期的に下請事業者に通知すること。
⑶ 調達に係る責任者から担当者に至るまで、下請取引を行う上で必要な関係法令等(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)、下請法、本基準、及びパートナーシップ構築宣言を行っている事業者においては自社の パートナーシップ構築宣言 を含む)に対する理解を深めるよう、社内における研修、啓発、教育等を十分に実施すること。
3 下請事業者に対する威圧的交渉の禁止
親事業者は、下請事業者に対し、取引価格に関する協議、その他取引上の交渉、協議等を行うに当たっては、交渉の目的を大きく逸脱する言動、交渉の手段として不適切な言動等の相当範囲を超えた言動により、当該下請事業者の責任者、又は担当者に精神的、又は身体的な威圧を加えることを通じ、下請事業者の取引上の意思決定を特定方向に強制する等の不当な取扱いをしないものとする。
校正公示中
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1 下請取引の機会の創出の促進
⑴ 法 第15条 第1項 の規定により、下請中小企業 取引機会創出 事業 の認定を受けた者(以下「認定事業者」という)の事業活動が、下請中小企業の取引先の拡大等、下請中小企業の振興を図るために重要であることに鑑み、発注者は、認定事業者による取引先の開拓、変更等について不当に干渉すること等により、認定事業者の事業遂行を妨げないものとする。
⑵ 認定事業者の事業活動は、中小企業者、及び当該中小企業者に対する発注者の間に入り、当該中小企業者が有する技術、生産能力等の強みを踏まえ、適正な取引対価等の取引条件で、当該中小企業者に対し、再委託をすることであることに鑑み、認定事業者は、「再委託をする見込みのある中小企業者」の強みを自ら把握するよう努めるものとする。
⑶ 認定事業者は、「再委託をする見込みのある中小企業者」と提携契約等を締結する際は、他の事業者との取引を制限すること等、不当に中小企業者の取引の機会を減少させるような条件の取引を行わないものとする。
⑷ 認定事業者は、「再委託をする見込みのある中小企業者」が当該再委託をした行為の一部について更なる再委託を認める場合においても、適正な取引の確保に努めるものとする。
⑸ 認定事業者は、その事業活動を通じて下請中小企業の取引の機会の創出が適正に行われるよう、次の事項に留意しつつ事業を行うものとする。
① 発注者から委託を受けた行為につき、再委託をする中小企業者を決定した場合において、再委託をしなかった中小企業者から理由の説明を求められたときは、原則として当該中小企業者に再委託をしないこととした理由を示すこと。
② 提携契約等を締結している中小企業者に対し、取引機会の創出のために必要な助言、及び情報の提供を行うこと。
⑹ 認定事業者との取引が、中小企業者の経営において重要な役割を担い、影響力を持ち得るものであることに鑑み、認定事業者は、取引条件の書面等による明示、及び、その交付、中小企業者と共同して行う電子受発注、及び電子的な決済等の導入に向けた努力、取引対価の適切な決定その他の本基準が示す内容のうち、親事業者のよるべき事項を踏まえて取引を行うものとする。
⑺ 認定事業者は、中小企業者との取引に当たり、取引対価と別に手数料等 を設定し、又は変更する場合においては、中小企業者の不利益となる価格設定となることのないよう、中小企業者と十分に協議して決定するものとする。
2 基本契約の締結
親事業者、及び下請事業者は、継続的取引に関しては、その取引に関する基本的な事項を定めた契約を締結し、当該契約に基づき、取引を行うものとする。
3 報酬債権、売掛債権その他の債権の譲渡の円滑化
⑴ 下請事業者にとって、債権譲渡禁止特約 は金融機関への担保提供、又は債権譲渡による資金調達の妨げとなることから、下請事業者の円滑な資金調達を推進するため、親事業者は、下請事業者との間における基本契約の締結の際に、債権譲渡禁止特約 を締結する場合であっても、信用保証協会、預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条 第1項 に規定する金融機関等、並びに親事業者、及び下請事業者双方で適切と確認した相手先に対しては、債権の譲渡、又は担保提供 を禁じない内容とするよう努めるものとする。
⑵ 親事業者は、下請事業者から、報酬債権、売掛債権、その他の債権の譲渡、又は担保提供のために、基本契約等において締結された 債権譲渡禁止特約 の解除の申出があった場合には、当該申出を十分尊重して対応するとともに、当該申出を理由として不当に取引の条件又は実施について不利な取扱いをしないものとする。
⑶ 親事業者は、債権譲渡禁止特約 を解除していない場合であっても、下請事業者からの要請に応じ、報酬債権、売掛債権、その他の債権の譲渡の承諾(対抗要件の具備)に適切に応じるよう努めるものとする。
☞ メモ:正当な債権が「暴力団」に渡らないように契約に明記すること。
4 計算書類等の信頼性確保
下請事業者は、取引先の拡大、資金調達先の多様化、資金調達の円滑化等のため、「中小企業の会計に関する基本要領」(PDF)(平成24年2月1日 中小企業の会計に関する検討会)又は「中小企業の会計に関する指針(Web)」(PDF)(平成17年8月1日 日本税理士会連合会・日本公認会計士協会・日本商工会議所・企業会計基準委員会)に拠った、信頼性のある計算書類等の作成、及び活用に努めるものとする。
☞ 「中小企業の会計に関する基本要領」(PDF)
☞ 「中小企業の会計に関する指針(令和5年(2023年)5月10日改正)」(PDF)
5 知的財産の保護及び取引の適正化
⑴ 親事業者、及び下請事業者は「知的財産取引の適正化について」(令和3年3月31日 20210319中庁第6号)を踏まえ、「知的財産取引に関するガイドライン」(PDF) に掲げられている「基本的な考え方」に基づき、知的財産権 等(知的財産権及び技術上、又は営業上の秘密等(ノウハウを含む)をいう。以下同じ)に係る取引を行うものとする。
その際、知的財産権 等の取扱いに係る、取引条件の明確化のため、同通達附属資料「契約書ひな形」の活用を推奨する。
⑵ 知的財産の保護
① 下請事業者は、自らが権利を有する知的財産について、特許権、著作権等の 知的財産権 の取得、秘密保持契約による営業秘密化等により、管理保護に努めるものとする。
② 親事業者、及び下請事業者は、知的財産権 等の取扱いに関し、契約内容を明確化し、書面等により契約を締結するものとする。
その際、親事業者は、下請事業者の事業活動に影響を及ぼすことのないよう、迅速に契約を締結するものとする。
〔取扱いを明確にすべき事項〕
イ 知的財産権等に係る対価の決定方法。
ロ 知的財産権等の権利の所在、二次利用、貸与等に係る対価及びその許諾等の手続。
ハ 秘密保持義務等の期間。
⑶ 知的財産権の譲渡等の適正化
親事業者は、下請事業者から著作権の譲渡を受ける場合であっても、著作者人格権は一身専属的な権利であり、下請事業者に対し、譲渡を求めることはできない ことに留意するとともに、十分な協議を行うことなく、著作者人格権の不行使を求めないものとする。
☞ メモ:如何なる支配力を以てしても、不当(強要/脅迫)に、知的財産権を求めることは禁止されている。
6 フリーランスとの取引
多様な働き方の拡大等に伴い、フリーランスとして安心して働ける環境の整備が求められている。
発注時の取引条件を明確にする書面等を交付せず、又は交付する書面等に発注時の取引条件を明確に記載しない場合には、親事業者は、発注後に取引条件の一方的な変更等を行いやすくなり、また、後に当該変更等が行われたことを明らかにすることが困難となる場合も生じ得ることから、親事業者は、下請事業者であるフリーランスとの取引においても、発注時の取引条件を明確にする書面等の交付を行う等、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(令和3年3月26日 内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)を踏まえた適切な取引を行うものとする。
7 業種別ガイドライン及び自主行動計画
⑴ 業種に応じて下請取引の実態、取引慣行等は異なることから、親事業者、及び下請事業者は、適正な取引条件、及び取引慣行を確立するため、事業所管省庁が策定した 業種別ガイドライン を遵守するよう努めるものとする。
その際、親事業者は、マニュアル、社内ルール等を整備することにより、業種別ガイドライン に定める内容を自社の調達業務に浸透させるよう努めるものとする。
⑵ 事業者団体等は、親事業者、及び下請事業者の間の個々の取引の適正化を促すとともに、サプライチェーン全体の取引の適正化を図るため、本基準、及び、業種別ガイドライン に基づく活動内容等を踏まえた「自主行動計画」を策定し、それに基づく取組結果を継続的にフォローアップするとともに、当該フォローアップの結果を踏まえ、「自主行動計画」を定期的に改定するよう努めるものとする。
親事業者の取組はサプライチェーン全体に大きな影響を与えることから、親事業者は、こうした事業者団体等の取組に対し積極的に協力するものとする。
また、「自主行動計画」を策定していない事業者団体等は、その策定に努めるものとする。
8 パートナーシップ構築宣言
⑴ 親事業者は、下請企業振興協会 の パートナーシップ構築宣言 ポータルサイト に掲載されている ひな形 を基に、パートナーシップ構築宣言 を行うよう努めるものとする。
また、パートナーシップ構築宣言 を行った親事業者は、取引の適正化に向けた施策の進展、自社を取り巻く取引環境の変化等を踏まえ、定期的に宣言内容の見直しを行うよう努めるものとする。
⑵ パートナーシップ構築宣言 を行った親事業者は、自社の パートナーシップ構築宣言 について、社内における広報、訓示、研修等を通じ、営業、調達等に係る現場の担当者まで浸透するよう努めるものとする。
また、下請事業者に対し、自社が、パートナーシップ構築宣言 を行っている旨、及び、その内容の周知に努めるものとする。
9 支援施策の活用
親事業者、及び下請事業者は、下請法 に関する講習会、又はシンポジウムに積極的に参加するよう努めるとともに、「型取引の適正化について」 附属資料「型の取扱いに関する覚書(PDF)」や「知的財産取引の適正化について」附属資料「契約書ひな形」、「労務費の指針」別添「価格交渉の申込み様式」をはじめとする、価格交渉、その他の取引適正化に関するハンドブック、事例集等の活用を推奨する。また、下請事業者は、下請かけこみ寺における窓口相談又は弁護士相談、価格交渉支援に関するセミナー等を活用するよう努めるものとする。
附 則
1.この基準は、令和6年3月25日から施行する。
2.令和4年7月29日付け20220722中第2号は廃止する。
振興基準
本基準は、下請中小企業振興法(昭和45年法律第145号。以下「法」という)第3条 第1項 の規定に基づき、親事業者、及び下請事業者双方が、適正な利益を得てサプライチェーン全体の競争力向上につなげていく、共存共栄の関係を築くことを目指し、下請取引における、下請事業者の事業運営の方向性、親事業者が行う発注等の在り方等を示すことにより、下請中小企業の振興を図ろうとするものである。
下請事業者の事業活動は、親事業者の発注の在り方に大きな影響を受けるものであり、まず何よりも、親事業者と下請事業者の取引の公正と、これを通じた下請事業者の適正な利益の確保が図られなければならない。
その上で、下請中小企業を含むサプライチェーン全体で付加価値向上を目指すことができるような、親事業者と下請事業者の相互理解と信頼によって支えられる、互恵的な取引関係を構築していく必要がある。
このため、親事業者は、下請事業者の存在価値や潜在力を、長期的、かつ、広範な視野から捉え、共存共栄を図っていくべきである。
他方、下請事業者は、親事業者に対し、発注内容・契約条件の明確化、発注・対価の決定方法の改善、契約条件の書面交付を求めるなど、自らが提供する付加価値について、正当な評価を受け、適正な利益を得るために、協議・交渉を申し入れるほか、脱炭素化を始めとするグリーン化、電子受発注の導入を始めとする情報化等の自助努力を行うべきである。
更に、需要者(顧客)も含めたサプライチェーン全体での価格転嫁が実現するよう、親事業者、及び下請事業者の取組が望まれる。
また、本基準は、下請事業者、又は親事業者の事業を所管する省庁(以下「事業所管省庁」という)の担当大臣、その他関係行政機関の長が、法の目的を達成するために行う指導、及び助言の根拠となる考え方を示すとともに、事業所管省庁が、業種別に策定する「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」(以下「業種別ガイドライン」という)の策定、又は改定に当たり参照されるものである。
また、本基準は、事業者団体等による「自主行動計画」の策定、又は改定に当たり、主要な要素の一つとして参照され、並びに親事業者、及び下請事業者の望ましい取引慣行の遵守等を、事業者の代表者名で宣言する「パートナーシップ構築宣言」のひな形の作成、又は改定に当たり参照されることが期待される。
第1 下請事業者の生産性の向上、及び製品、若しくは情報成果物の品質、若しくは性能、又は役務の品質の改善に関する事項
1 下請事業者の努力
下請事業者は、生産年齢人口の減少等に伴う人手不足、経済の国際化の一層の進展等に適切に対応するため、働き方を見直し、魅力ある職場づくりに努めるとともに、脱炭素化を始めとするグリーン化、電子受発注の導入を始めとす1 る情報化等の課題に適切に対応するため、技術開発、設備投資、親事業者その他の事業者との連携等により、生産性の向上及び製品若しくは情報成果物の品質若しくは性能又は役務の品質の改善に努めるものとする。
2 親事業者の努力
親事業者は、下請事業者が働き方改革、生産性の向上等に取り組むことができるよう配慮して、下請事業者に対する発注条件、取引条件等を設定するよう努めるとともに、下請事業者のグリーン化、情報化等を支援し、また、下請事業者その他の事業者と既存の取引関係、系列、企業規模等を超えた連携を進めること等により、サプライチェーン全体における付加価値向上及び共存共栄の実現に努めるものとする。
第2 発注書面の交付、その他の方法による親事業者の発注分野の明確化、及び親事業者の発注方法の改善に関する事項
1 発注分野の明確化
⑴ 親事業者は、下請事業者が長期的な需要見通しの下に経営方針を立てることができるよう、下請事業者に対する発注分野(※)をできる限り具体的に定め、提示するものとする。 その際、下請事業者は親事業者から提示された情報の秘密を保持するものとする。 ※親事業者自らがどのような物品を製造若しくは修理し、どのような情報成果物を作成し、又はどのような役務を提供するのかを明らかにした上で、下請事業者に何を発注するのかを指し示す具体的内容をいう。
⑵ 親事業者は、⑴の規定により提示した発注分野を、できる限り変更しないよう努めるものとする。 親事業者は、自らの都合により、やむを得ず発注分野を変更しようとするときは、下請事業者に対し、その経営に著しい影響を及ぼさないよう、相当期間前に当該変更の内容を明示するものとする。
2 長期発注計画の提示及び発注契約の長期化
親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者が、安定的かつ合理的な生産又は提供を行うことができるよう、発注計画期間を長期化し、かつ、これに沿った発注を行うよう努めるものとする。
3 発注の安定化、リードタイムの確保等
⑴ 親事業者は、下請事業者に対する発注に係る物品、情報成果物及び役務(以下「物品等」という。)の発注量の大幅な変動をできる限り回避するものとし、特に、発注量を親事業者の生産量又は提供量の変動の増減率以上に変動させないよう努めるものとする。
⑵ 親事業者は、発注量をできる限り平準化させるものとするほか、将来の発注に関する事前情報の精度の向上、物品等の標準化及び規格の整理統合に努めるものとする。
⑶ 親事業者は、下請事業者に発注するときは、下請事業者の生産に必要なリードタイム、原材料の最小購入単位等を十分に考慮して発注するものとする。
⑷ 親事業者は、発注予定数量を下請事業者に提示し、その後、合理的理由なく発注予定数量と実際の発注数量に大きな乖離が生じた場合であって、下請事業者から要請があったときは、その費用負担の軽減に配慮しつつ、下請事業者と十分に協議を行い、余剰となる製品在庫及び残材の買取りを行い、並びに労務費、外注費その他の諸経費の増加分を支払う等の措置を講ずるものとする。
4 納期及び納入頻度の適正化等
⑴ 納期及び納入頻度は、下請事業者にとって無理がなく、かつ、労働時間の短縮が可能なものとなるよう、親事業者及び下請事業者が協議して決定するものとする。その際、親事業者の需要により、多頻度小口配送等を要請する場合には、その必要なコストは親事業者が負担するものとする。
⑵ 親事業者は、下請事業者の労働時間短縮等の働き方改革の妨げとなる週末発注・週初納入、終業後発注・翌朝納入、発注内容の変更等を抑制するとともに、下請事業者の納入事務の軽減に協力するものとする。 親事業者の都合により、やむを得ず、下請事業者が残業、休日出勤等により対応せざるを得ない短納期発注、週末発注等を行う場合には、親事業者はその追加コストを負担するものとする。
⑶ 親事業者は、発注後における発注内容の変更、追加発注、支給材(親事業者から支給される原材料、半製品、部品、資材等をいう。以下同じ。)の支給の遅延等により、あらかじめ定めた納期が下請事業者にとって無理なものとなった場合には、下請事業者の不利益にならないよう、その納期を変更する等の措置を講ずるものとする。
5 設計図、仕様書等の明確化による発注内容の明確化
⑴ 親事業者は、不当なやり直しが生じないよう、発注に際して下請事業者に対して示すべき設計図、仕様書等の内容を明確にするものとする。
⑵ 親事業者は、既に発注した物品等に係る設計、仕様等を変更しようとするときは、下請事業者に損失を与えることとならないよう十分に配慮して変更するものとし、かつ、その変更による追加コストは親事業者が負担するものとする。
6 契約条件の明確化及び書面等の交付
親事業者は、発注内容が曖昧な契約とならないよう、下請事業者と十分に協議を行った上で、発注内容、納期、価格、付随費用(型、治具等の費用、運送費、保管費等をいう)、支払手段、支払期日等の契約条件について、書面等(電3 子メールその他の電磁的記録を含む。以下同じ)による明示及びその交付を徹底する。
7 発注の手続事務の円滑化等
親事業者は、下請事業者に対する発注手続及び支給材、設備貸与等に関する手続の事務の円滑化及び明確化に努めるものとする。 また、親事業者は、下請事業者の労働時間の短縮のため、下請事業者の要請に応じ、生産又は配送システムの見直し等の取組を共同して行うものとする。
8 取引停止の予告
親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者との取引を停止し、又は大幅に取引を減少しようとする場合には、下請事業者の経営に著しい影響を与えないよう最大限の配慮をする観点から、相当の猶予期間をもって予告するものとする。
第3 下請事業者の施設又は設備の導入、技術の向上及び事業の共同化に関する事項
1 一般的留意事項
⑴ 下請事業者は、生産性の向上等を図るための施設又は設備の導入に努め、製品開発、品質管理、現場作業等の技術の向上に努めるとともに、経営管理及び人事・労務管理の改善に努めるものとし、また、その業種及び業態の実態に応じ、他の事業者との事業の共同化に努めるものとする。
⑵ 親事業者は、下請事業者の要請に応じ、下請事業者の施設又は設備の導入、技術の向上並びに経営管理及び人事・労務管理の改善に際し、助言、研修、従業員の派遣等の協力を行うとともに、下請事業者が事業の共同化を進めやすくなるよう適切な措置を講ずるものとする。
2 情報化への積極的対応
⑴ 下請事業者は、管理能力の向上、事務量の軽減、事務の迅速化等の業務工程の見直しによる効率性の向上のため、必要なセキュリティ対策と併せて、次の事項に積極的に対応するよう努めるものとする。
① 情報化に係る責任者の配備及び企業内システムの改善(業務のデジタル化推進を含む。)
② 中小企業共通EDI(電子データ交換)等による電子受発注
③ 電子的な決済等(インターネットバンキング、電子記録債権、全銀EDIシステム等の活用)
⑵ 親事業者は、⑴の下請事業者による取組を支援するため、下請事業者の要請に応じ、管理能力の向上についての指導、標準的なコンピュータ、ソフトウェア及びデータベースの提供、オペレータの研修、セキュリティ対策の助言及び支援並びに国及び地方公共団体による情報化支援策の情報提供等の協力を行うものとする。 4 ⑶ 親事業者は、サプライチェーン全体の業務工程の見直しによる効率性向上を図る観点から、⑷に掲げる事項に留意しつつ、下請事業者に電子受発注及び電子的な決済等の導入を積極的に働きかけるものとする。また、自社並びにその子会社及び関連会社において下請事業者との取引に用いている自社の電子受発注又は電子的な決済等に係るシステムの共通化に努めつつ、業界、企業系列等を越えたサプライチェーンで共通化された電子受発注又は電子的な決済等に係るシステムへの接続に努めるものとする。 ⑷ 親事業者は、下請事業者に対し電子受発注等を行う場合には、次の事項に留意して、これを行うものとする。 ① 下請事業者に対し、電子受発注等を導入する効果、コスト負担等の説明を十分に行うこと。 ② 電子受発注等を行うか否かの決定に当たっては、下請事業者の自主的な判断を十分に尊重することとし、これに応じないことを理由として、不当に取引の条件又は実施について不利な取扱いをしないこと。 ③ 下請事業者に対し、正当な理由なく、自らの指定するコンピュータその他の機器又はソフトウェア等の購入又は使用を求めないこと。 ④ 下請事業者に対する電子受発注等に係る指導等の際、併せてその経営、財務等の情報を把握すること等により、その経営の自主性を侵さないこと。 ⑤ 自らが負担すべき費用を下請事業者に負担させないこと。 ⑥ 下請事業者が不測の不利益を被ることがないよう、親事業者及び下請事業者双方の費用分担、取引条件等について、事前に基本契約書又はこれに準ずる書面等により明確に定めておくこと。 ⑦ その他政府により定められている電子受発注等についての指針を遵守すること。 3 事業承継に向けた取組 ⑴ 下請事業者は、事業承継計画の策定、事業承継・引継ぎ支援センターの活用その他の方法により、事業承継に向けた計画的な取組を行うものとする。 ⑵ 親事業者は、下請事業者の事業承継の意向及び状況の把握に努めるものとし、サプライチェーン全体の機能維持のため、必要に応じて計画的な事業承継の準備を促す等、下請事業者の事業承継に関し積極的な役割を果たすものとする。具体的には、下請事業者と対話した上で、その実態に応じ、事業承継の円滑化に向けた経営改善支援、後継者の育成、引継先のマッチング支援等を行うよう努めるものとする。
第4 対価の決定の方法、納品の検査の方法その他取引条件の改善に関する事項
1 対価の決定の方法の改善
⑴ 取引対価は、合理的な算定方式に基づき、下請事業者の適正な利益を含み、下請事業者における賃金の引上げ、労働時間の短縮等の労働条件の改善が5 可能となるよう、親事業者及び下請事業者が十分に協議して決定するものとする。 その際、親事業者は、以下に掲げる行為を始めとする、客観的な経済合理性又は十分な協議手続を欠く協議を行わないものとする。
〔取引対価の協議に関する望ましくない事例〕 ① 目標価格又は価格帯のみを提示して、それと辻褄の合う内容の見積り又は提案を要請すること。 ② 過度に詳細な見積りを要請し、それを下請事業者が十分に作成できないことを理由として、協議を拒むこと。 ③ もともと転注するつもりがないにもかかわらず、競合する他の事業者への転注を示唆して殊更に危機感を与えることにより、事実上、協議をすることなく、親事業者が意図する取引対価を下請事業者に押し付けること。 ④ 競合する他の事業者が取引対価の見直しの要請をしていないこと、親事業者の納入先が取引対価の見直しを認めないこと等を理由として、協議を拒むこと。 また、下請事業者は、国・地方公共団体、中小企業の支援機関等に相談する等して積極的に情報を収集して交渉に臨むよう努めるものとする。
⑵ 親事業者及び下請事業者は、毎年9月及び3月の「価格交渉促進月間」の機会を捉える等により、少なくとも年に1回以上の協議を行うものとする。親事業者は、発注の都度、協議を行うものとするほか、継続的な発注について下請事業者からの申出があったときは、定期的な協議に応じるものとする。さらに、労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストが上昇した場合又は発注内容を変更した場合であって、下請事業者からの申出があったときは、定期的な協議以外の時期であっても、遅滞なく協議に応じるものとする。
⑶ 親事業者及び下請事業者は、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(令和5年11月29日 内閣官房新しい資本主義実現本部事務局・公正取引委員会。以下「労務費の指針」という。)に掲げられている、「事業者が採るべき行動/求められる行動」を適切にとった上で、取引対価を決定する。その際、「労務費の指針」別添「価格交渉の申込み様式」の活用も併せ、労務費の上昇分を適切に転嫁できるよう協議するものとする。特に、最低賃金(家内労働法(昭和45年法律第60号)に規定する最低工賃を含む。)の引上げ、人手不足への対処等、外的要因により下請事業者の労務費の上昇があった場合には、その影響を十分に踏まえるものとする。
⑷ 労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストが増加した場合には、親事業者は、予め定めた価格改定タイミングはもちろんのこと、その期中においても、価格変更を柔軟に行うものとする。特に原材料費やエネルギーコストの高騰があった場合には、適切なコスト増加分の全額転嫁を目指すものとする。
⑸ 取引対価の決定の際、親事業者及び下請事業者は、取引の対象となる物品に係る特許権、著作権等その他知的財産権の帰属及び二次利用に対する対6 価並びに当該物品等の製造等を行う過程で生じた財産的価値を有する物品等や技術等に係る知的財産権の帰属及び二次利用に対する対価についても十分考慮するものとする。
⑹ 親事業者及び下請事業者は、⑴から⑸までに掲げるもののほか、品質又は性能、仕様の変更、発注数量又は納入頻度の多寡(量産時と量産期間終了後の変化を含む。)、納期の長短、代金の支払方法、諸経費(運送費、保管費、電子受発注又は電子的な決済等に係るコスト、環境対応コスト等)、市価の動向等の要素を考慮して、取引対価を決定するものとする。
⑺ 親事業者は、以下に掲げる行為を始めとする、客観的な経済合理性又は十分な協議手続を欠く原価低減要請(原価低減を求める見積り又は提案の提出要請を含む。以下同じ。)を行わないものとする。また、親事業者及び下請事業者双方が協力して行った原価低減活動の効果を取引対価に反映する場合には、当該効果に対する双方の寄与度を踏まえ、合理的に取引対価を設定するものとする。
〔原価低減要請に関する望ましくない事例〕 ① 具体的な根拠を明確化せず、又は目標数値のみを提示して、原価低減要請を行うこと。 ② 原価低減要請に応じることが発注継続の前提であることを示唆して、事実上、原価低減を押し付けること。 ③ 口頭で削減幅等を示唆した上で、下請事業者から見積書の提出を求めること等、書面等の記録を残さずに原価低減要請を行うこと。 〔取引対価への反映に関する望ましくない事例〕 ① コスト削減効果を十分に確認せず、取引対価の低減を押し付けること。 ② 下請事業者の努力によるコスト削減効果を、一方的に取引対価の低減に反映すること。
⑻ 親事業者及び下請事業者双方は、それぞれ取引対価の協議の記録を保存するものとする。
⑼ 親事業者は、下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準(平成15年公正取引委員会事務総長通達第18号。以下「下請法運用基準」という)に違反事例として掲げられている「一律一定率の単価引下げによる買いたたき」、「合理性のない定期的な原価低減要請による買いたたき」、「下請代金を据え置くことによる買いたたき」等の、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号。以下「下請法」という。)で禁止する買いたたきを行わないことを徹底する。 その際、特に、以下のような方法で取引対価を決定することは、下請法上の買いたたきに該当するおそれがあることに留意するものとする。 ① 労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと。 ② 労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストが上昇したため、下請事業者が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理7 由を書面等で下請事業者に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと。
2 納品の検査の方法の改善
⑴ 親事業者は、下請事業者に発注をしようとする場合には、納品(役務の提供を含む給付の提供をいう。以下同じ。)の検査の実施方法、実施時期、当該発注に係る物品等の適正な検査基準、検査の結果不合格となった物品等の取扱い及び納品の過不足の場合の処理の方法を、あらかじめ下請事業者と協議して定めるものとする。
⑵ 親事業者は、⑴の規定により定めた検査の実施方法及び検査基準に基づき、納品後、速やかに納品の検査を行うものとする。
⑶ 親事業者は、自ら納品された物品等の検査を行い、又は書面等により委任して下請事業者に物品等の検査を行わせ、当該検査を合格とした場合であって、その後、親事業者の納入先等からの指摘により当該物品等の引取り、やり直し又は損害賠償を行うこととなったときは、当該物品等の不具合の有無及びその原因を明らかにし、その引取り、やり直し又は損害賠償に必要となる人員の手当、金銭の支払い等について、親事業者がすべてを負担せず下請事業者にも負担を求めることの必要性及び合理性の有無を、十分に確認するものとする。親事業者は、下請事業者にも当該負担を求めることとなる場合には、親事業者、下請事業者それぞれが当該物品等に係る納品により得た取引対価を勘案しつつ、下請事業者と十分に協議を行い、親事業者及び下請事業者双方が合理的な割合で負担するものとし、一方的に下請事業者に引取り、やり直し又は損害賠償を負担させないものとする。
3 支給材の支給及び設備等の貸与の方法の改善
⑴ 親事業者は、下請事業者に支給材を支給しようとする場合には、以下に掲げる行為に留意しつつ、支給材の保管の方法及び瑕疵がある場合の取扱い、支給材の所要量の算定方法及び残材の処理の方法、支給の時期並びに対価の決定方法その他支給について必要な事項を、あらかじめ下請事業者と協議して定めるものとする。 〔支給材に関する望ましくない事例〕 ① 生産終了後長期間にわたり、支給材を保管させること。 ② 残材の買取りについて明確な取決めをせず、負担を一方的に押し付けること。 ⑵ 親事業者は、下請事業者に設備等を貸与しようとする場合には、⑴の支給材と同様、必要な事項を、あらかじめ下請事業者と協議して定めるものとする。
4 下請代金の支払方法の改善
⑴ 親事業者は、発注に係る物品等の受領後、下請代金をできる限り速やかに支払うものとする。また、当該受領をした日から起算して60日以内において定める支払期日までに、下請代金を支払うことを徹底する。 8
⑵ 下請代金の支払いは、できる限り現金によるものとする。少なくとも賃金に相当する金額については、全額を現金で支払うものとする。
⑶ 約束手形(為替手形の場合を含む。以下同じ。)、一括決済方式(※)及び電子記録債権(以下⑶において「手形等」という。)により下請代金を支払う場合には、当該手形等の現金化に係る割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、当該コストを勘案した下請代金の額を、親事業者及び下請事業者双方で十分に協議して決定するものとする。 当該協議を行う際、親事業者及び下請事業者双方が、手形等の現金化に係る割引料等のコストについて具体的に検討できるよう、親事業者は、支払期日に現金により支払う場合の下請代金の額並びに支払期日に手形等により支払う場合の下請代金の額及び当該手形等の現金化に係る割引料等のコストを示すものとする。 ※親事業者、下請事業者及び金融機関の間の約定に基づき、下請事業者が下請代金の全部又は一部に相当する下請代金債権を担保とし、又は譲渡し、金融機関から当該下請代金の額に相当する金銭の貸付け又は支払いを受けることができることとし、親事業者が当該下請代金債権の額に相当する金銭を当該金融機関に支払うこととする方式をいう。
⑷ 親事業者及び下請事業者は、約束手形の利用廃止等に向け、次の取組を進めるものとする。 ① 約束手形、一括決済方式及び電子記録債権のサイト(約束手形の交付日から満期までの期間又はこれに相当する期間をいう。以下同じ。)については、60日以内とするよう努めるものとする。 ② 約束手形は、できる限り利用しないよう努めるものとする。また、約束手形の利用を廃止するに当たっては、できる限り現金による支払いに切り替えるよう努めるものとする。 なお、親事業者及び下請事業者は、以下のイからハまでに掲げる方針が政府により示されていることに十分留意しつつ、①及び②の取組を進めるものとする。 イ 公正取引委員会及び中小企業庁が、おおむね令和6年までに、60日を超えるサイトの約束手形、一括決済方式及び電子記録債権を、下請法上「割引困難な手形」等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とすることを前提として、下請法の運用の見直しの検討を行うこととしていること(「手形等のサイトの短縮について」(令和4年2月16日 20211206中庁第1号・公取企第131号))。 ロ 令和8年の約束手形の利用の廃止に向けた取組を促進する旨、閣議決定されていること(「成長戦略実行計画」(令和3年6月18日 閣議決定))。また、令和8年の約束手形の利用廃止に向け、各業界における具体的な段取り・ロードマップを策定するよう、事業所管省庁から事業者団体に対し要請されていること(「第3回中小企業等の活力向上に関するワーキンググループ」(令和4年2月22日)資料1)。 ハ 金融業界に対し、令和8年に手形交換所における約束手形の取扱いを廃止することの可否について検討するよう要請されていること(「第9 3回中小企業等の活力向上に関するワーキンググループ」(令和4年2月22日)資料1)。
⑸ ⑵から⑷までの取組は、サプライチェーンの川下側にあって川上側に与える影響の大きい親事業者から率先して実施し、業種間をまたぐ取組を含め、サプライチェーン全体で取組を進めるものとする。とりわけ、業種全体で取組が遅れている業種に属する親事業者、各業種において主導的な立場にある親事業者、自社の属する業種内の他の事業者と比べて特に取組が遅れている親事業者等は、率先して支払条件の見直し(約束手形、一括決済方式及び電子記録債権のサイトの短縮、現金による支払いへの切替え等)を進めるものとする。
⑹ 親事業者は、下請代金の支払方法として一括決済方式を用いる場合には、次の事項に留意して、これを用いるものとする。 ① 一括決済方式への加入及び脱退については、下請事業者の自主的な判断を十分尊重すること。 ② 一括決済方式に加入した下請事業者に対し、支払条件を従来と比べ実質的に不利となるよう変更しないこととし、及び一括決済方式に変更することによって生じる費用を負担させないこと。また、一括決済方式に加入しない下請事業者に対し、それを理由として、不当に取引条件の設定又は実施について不利な取扱いをしないこと。 ③ その他政府により定められている一括決済方式についての指針を遵守すること。
⑺ 親事業者は、下請代金の支払方法として電子記録債権を用いる場合には、次の事項に留意して、これを用いるものとする。 ① 電子記録債権による支払いについては、下請事業者の自主的な判断を十分尊重すること。 ② 電子記録債権の活用によって見込まれる下請代金の支払い又は受取に係る費用、手続事務等の軽減の効果について、十分な情報提供の取組を進めること。 ③ その他政府により定められている電子記録債権についての指針を遵守すること。
⑻ 建設、大型機器の製造その他発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、親事業者は、前払い比率及び期中払い比率をできる限り高めるよう努めるものとする。
5 金型、樹脂型、木型等の型又は治具に係る取引条件の改善
⑴ 親事業者及び下請事業者は、「型取引の適正化について」(令和2年1月17日 20200110中第2号)を踏まえ、「型取引の適正化推進協議会報告書」(令和元年12月 型取引の適正化推進協議会)に掲げられている「型取引の基本的な考え方・基本原則について」に基づき、型(金型、樹脂型、木型等の型又は治具をいう。以下同じ。)に係る取引を行うものとする。その際、型に係る取引条件の明確化のため、取り決め事項の書面化を進める参10 考例として示している同通達附属資料「型の取扱いに関する覚書」の活用を推奨する。
⑵ 親事業者は、下請法運用基準に違反事例として掲げられている「型・治具の無償保管要請」を行わないことを徹底する。
6 働き方改革の推進を阻害する取引慣行の改善
⑴ 親事業者は、自らの取引に起因して、下請事業者が労使協定の限度を超える時間外労働、休日労働等による長時間労働及びこれらに伴う割増賃金の未払い等、労働基準関連法令に違反することのないよう十分に配慮して、下請事業者と取引を行うものとする。
⑵ 親事業者は、やむを得ず、短納期又は追加の発注、急な仕様変更等を行う場合には、下請事業者が支払うこととなる残業代等の増加コストを負担するものとする。
⑶ 大企業である親事業者による働き方改革の下請事業者へのしわ寄せ等の影響も懸念される中、親事業者は、下請事業者の人員、業務量の状況をできる限り把握することに努めるものとし、以下に掲げる行為を始めとする、下請事業者の働き方改革を阻害し、又は不利益となるような取引若しくは要請を行わないものとする。 〔親事業者による下請事業者へのしわ寄せ等の不利益となる事例〕 ① 適正なコスト負担を伴わない短納期発注又は急な仕様変更 ② 無理な短納期発注に対する納期遅れを理由とした受領拒否又は減額 ③ 親事業者自らの人手不足又は長時間労働の削減による検収体制の不備に起因した受領拒否又は支払遅延 ④ 親事業者自らの人手不足又は長時間労働の削減に起因した、適正なコスト負担を伴わない人員の派遣要請又は付帯作業の要請 ⑤ 過度に短納期となる時間指定配送、過剰な賞味期限対応若しくは欠品対応に起因するリードタイムの短い発送又は適正なコスト負担を伴わない多頻度小口配送 ⑥ 納期又は工期の特定時期への過度な集中
第5 下請事業者の連携の推進に関する事項
法第2条第5項の特定下請事業者が法第8条第1項の特定下請連携事業計画を作成するに当たっては、以下の内容を満たすものとする。 1 特定下請連携事業の目標 特定親事業者以外の者との取引を開始又は拡大し、特定下請取引(※)への依存の状態を改善すること。 なお、特定下請取引への依存の状態の改善とは、3~5年以内の計画期間内に、特定親事業者への取引依存度が年1%以上低下することをいう。 ※長期にわたり特定の親事業者に依存して行われている下請取引であって、おおむね総売上高の20%以上を占めている取引をいう。 11 2 特定下請連携事業の内容 ⑴ 組織体制 複数の下請事業者その他の事業者で構成する連携体(以下単に「連携体」という。)が1つの事業体として活動できるよう、明確な目的及び事業方針を参加事業者間で共有し、事業目標を定めていること。また、参加事業者間で規約等を策定し、対内的な役割分担、対外的な取引関係における責任体制の在り方等を明確化すること。 ⑵ 中核となる者の存在 参加事業者がそれぞれの経営資源を有効に活用して事業活動を行うため、連携体内でリーダーシップを発揮し、事業連携の核となる者が存在すること。 ⑶ 知識連携及び取引連携の組合せ ノウハウの共有及び向上に向けた活動(知識連携)並びに取引先開拓に向けた活動(取引連携)を組み合わせた活動であり、活動による個々の下請事業者における効果が目的等において明確となっていること。 ⑷ 特定親事業者以外の者の課題等に対応した製品又は役務の提供 課題解決型ビジネスを実施するものであり、以下のいずれかの内容を行うものであること。 ① 連携においては、ノウハウ等の向上に向けた活動及び受注獲得の活動を組み合わせて、それらが相互に作用しつつ、事業活動を行うこと。 ② 市場及び顧客との情報交換を実施し、取引先の課題及びニーズを把握していること。 ③ 自社及び連携体メンバーの強み及び弱みを分析し、技術、ノウハウ等の組み合わせによる相乗効果を発揮して、課題解決の幅を拡大していること。 ④ 顧客に対して企画及び提案を実施する等、顧客の課題及びニーズに対応した製品又は役務を提供すること。 ⑸ その他留意事項 ① 特定下請連携事業計画は、特定下請事業者が主体的に参画する必要があること。 ② 新たな事業活動は、個々の中小企業者にとって新たな事業活動である場合には、既に他の事業者において採用されている技術、方式等を活用する場合であっても、原則として該当すること。
第6 下請事業者の自主的な事業の運営の推進に関する事項
1 一般的留意事項 ⑴ 親事業者は、下請事業者の自主的な事業の運営を尊重するものとし、下請事業者が行う取引先の開拓、変更等及び仕入先との間における取引対価の決定等(以下「取引先の開拓等」という。)について、不当に干渉しないものとする。特に、親事業者への取引依存度の高い特定下請事業者及び小規模12 事業者である下請事業者が自主的に行う取引先の開拓等については、特段の事情がない限り干渉しないものとする。 ⑵ 親事業者は、協賛金、協力金、陳列応援の要請、センターフィーの提供要請、試作品又はサンプルの作成要請その他名目のいかんを問わず、下請事業者に対し金銭、役務その他の経済上の利益の提供を要請する場合には、あらかじめ負担額及びその算出根拠、使途、対価を含めた提供の条件等を明確にした上で、下請事業者の直接的な利益に十分に配慮して協議を行い、書面等により合意するものとする。 2 自然災害等への対応に係る留意事項 ⑴ 自然災害等への備えに係る留意点 親事業者及び下請事業者は、自然災害、サイバー攻撃、感染症、国際情勢の変化等の事業活動の基盤における重大な障害(以下「自然災害等」という。)の発生に伴い、サプライチェーンが寸断されることのないよう、中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)に基づく事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画の策定、ひいては事業継続計画(BCP:自然災害等の発生後の早期復旧に向けた取組等を定めた計画)の策定及び事業継続マネジメント(BCM:BCP等の実効性を高めるための平常時からのマネジメント活動)の実施に努めるものとする。 ⑵ 自然災害等が発生した場合に係る留意点 ① 下請事業者が留意する事項 親事業者及び下請事業者双方の責めに帰すことができない自然災害等により被害が生じた場合には、下請事業者は、その事実の発生後、速やかに親事業者に通知するよう努めるものとする。 ② 親事業者が留意する事項 イ 自然災害等による下請事業者の被害状況を確認しつつ、下請事業者に取引上一方的な負担を押し付けることがないよう十分に留意するものとする。 ロ 自然災害等によって影響を受けた下請事業者が、事業活動を維持し、又は再開する場合には、できる限り、その復旧を支援するとともに、従来の取引関係を継続し、又は優先的に発注を行うよう努めるものとする。
第7 下請取引に係る紛争の解決の促進に関する事項
1 下請取引の紛争に関する協議及び紛争解決のあっせん ⑴ 親事業者は、下請事業者から取引条件の改善、下請代金支払等下請取引の紛争に関する協議の申出があった場合には、協議に応じるものとする。 ⑵ 親事業者は、下請取引の紛争に関する協議において、下請事業者から、下請企業振興協会が行う紛争解決のあっせん等、裁判外紛争処理手続の利用の申出があった場合には、手続の活用について応諾するものとする。 13 ⑶ 下請事業者は、必要に応じて下請企業振興協会が行う紛争解決のあっせん等を活用すること等により、紛争の円滑な解決に努めるものとする。 2 下請取引に係る紛争の未然防止及び取引の適正化のための体制整備 親事業者は、下請事業者が取引上の問題に関し、取引への影響を考慮して申し出ることが難しいという実情を十分に踏まえ、以下のような体制の整備に努める(⑶については、体制を整備する)ものとする。 ⑴ 下請事業者が取引条件について不満、問題等を抱えていないか定期的な聞き取りを行う等、下請事業者が申出をしやすい環境を整備すること。 ⑵ 調達担当部署と異なる第三者的立場の相談窓口を設置し、匿名性を確保しつつ、下請事業者からの相談、苦情の申告等に応じること。また、当該相談窓口を設けていること等に関し、定期的に下請事業者に通知すること。 ⑶ 調達に係る責任者から担当者に至るまで、下請取引を行う上で必要な関係法令等(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)、下請法、本基準及びパートナーシップ構築宣言を行っている事業者においては自社のパートナーシップ構築宣言を含む。)に対する理解を深めるよう、社内における研修、啓発、教育等を十分に実施すること。 3 下請事業者に対する威圧的交渉の禁止 親事業者は、下請事業者に対し、取引価格に関する協議その他取引上の交渉、協議等を行うに当たっては、交渉の目的を大きく逸脱する言動、交渉の手段として不適切な言動等の相当範囲を超えた言動により、当該下請事業者の責任者又は担当者に精神的又は身体的な威圧を加えることを通じ、下請事業者の取引上の意思決定を特定方向に強制する等の不当な取扱いをしないものとする。
第8 下請取引の機会の創出の促進その他下請中小企業の振興のため必要な事項
1 下請取引の機会の創出の促進
⑴ 法第15条第1項の規定により下請中小企業取引機会創出事業の認定を受けた者(以下「認定事業者」という。)の事業活動が、下請中小企業の取引先の拡大等下請中小企業の振興を図るために重要であることに鑑み、発注者は、認定事業者による取引先の開拓、変更等について不当に干渉すること等により、認定事業者の事業遂行を妨げないものとする。 ⑵ 認定事業者の事業活動は、中小企業者及び当該中小企業者に対する発注者の間に入り、当該中小企業者が有する技術、生産能力等の強みを踏まえ、適正な取引対価等の取引条件で当該中小企業者に対し再委託をすることであることに鑑み、認定事業者は、再委託をする見込みのある中小企業者の強みを自ら把握するよう努めるものとする。 14 ⑶ 認定事業者は、再委託をする見込みのある中小企業者と提携契約等を締結する際は、他の事業者との取引を制限すること等、不当に中小企業者の取引の機会を減少させるような条件の取引を行わないものとする。 ⑷ 認定事業者は、再委託をする見込みのある中小企業者が当該再委託をした行為の一部について更なる再委託を認める場合においても、適正な取引の確保に努めるものとする。 ⑸ 認定事業者は、その事業活動を通じて下請中小企業の取引の機会の創出が適正に行われるよう、次の事項に留意しつつ事業を行うものとする。 ① 発注者から委託を受けた行為につき再委託をする中小企業者を決定した場合において、再委託をしなかった中小企業者から理由の説明を求められたときは、原則として当該中小企業者に再委託をしないこととした理由を示すこと。 ② 提携契約等を締結している中小企業者に対し、取引機会の創出のために必要な助言及び情報の提供を行うこと。 ⑹ 認定事業者との取引が中小企業者の経営において重要な役割を担い、影響力を持ち得るものであることに鑑み、認定事業者は、取引条件の書面等による明示及びその交付、中小企業者と共同して行う電子受発注及び電子的な決済等の導入に向けた努力、取引対価の適切な決定その他の本基準が示す内容のうち、親事業者のよるべき事項を踏まえて取引を行うものとする。 ⑺ 認定事業者は、中小企業者との取引に当たり、取引対価と別に手数料等を設定し、又は変更する場合においては、中小企業者の不利益となる価格設定となることのないよう、中小企業者と十分に協議して決定するものとする。
2 基本契約の締結
親事業者及び下請事業者は、継続的取引に関しては、その取引に関する基本的な事項を定めた契約を締結し、当該契約に基づき、取引を行うものとする。
3 報酬債権、売掛債権その他の債権の譲渡の円滑化
⑴ 下請事業者にとって、債権譲渡禁止特約は金融機関への担保提供又は債権譲渡による資金調達の妨げとなることから、下請事業者の円滑な資金調達を推進するため、親事業者は、下請事業者との間における基本契約の締結の際に債権譲渡禁止特約を締結する場合であっても、信用保証協会、預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第1項に規定する金融機関等並びに親事業者及び下請事業者双方で適切と確認した相手先に対しては、債権の譲渡又は担保提供を禁じない内容とするよう努めるものとする。
⑵ 親事業者は、下請事業者から、報酬債権、売掛債権その他の債権の譲渡又は担保提供のために、基本契約等において締結された債権譲渡禁止特約の解除の申出があった場合には、当該申出を十分尊重して対応するとともに、当該申出を理由として不当に取引の条件又は実施について不利な取扱いをしないものとする。 15
⑶ 親事業者は、債権譲渡禁止特約を解除していない場合であっても、下請事業者からの要請に応じ、報酬債権、売掛債権その他の債権の譲渡の承諾(対抗要件の具備)に適切に応じるよう努めるものとする。
4 計算書類等の信頼性確保
下請事業者は、取引先の拡大、資金調達先の多様化、資金調達の円滑化等のため、「中小企業の会計に関する基本要領」(平成24年2月1日 中小企業の会計に関する検討会)又は「中小企業の会計に関する指針」(平成17年8月1日 日本税理士会連合会・日本公認会計士協会・日本商工会議所・企業会計基準委員会)に拠った、信頼性のある計算書類等の作成及び活用に努めるものとする。
5 知的財産の保護及び取引の適正化
⑴ 親事業者及び下請事業者は、「知的財産取引の適正化について」(令和3年3月31日 20210319中庁第6号)を踏まえ、「知的財産取引に関するガイドライン」に掲げられている「基本的な考え方」に基づき、知的財産権等(知的財産権及び技術上又は営業上の秘密等(ノウハウを含む)をいう。以下同じ)に係る取引を行うものとする。その際、知的財産権等の取扱いに係る取引条件の明確化のため、同通達附属資料「契約書ひな形」の活用を推奨する。
⑵ 知的財産の保護 ① 下請事業者は、自らが権利を有する知的財産について、特許権、著作権等の知的財産権の取得、秘密保持契約による営業秘密化等により、管理保護に努めるものとする。 ② 親事業者及び下請事業者は、知的財産権等の取扱いに関し、契約内容を明確化し、書面等により契約を締結するものとする。その際、親事業者は、下請事業者の事業活動に影響を及ぼすことのないよう、迅速に契約を締結するものとする。
〔取扱いを明確にすべき事項〕
イ 知的財産権等に係る対価の決定方法
ロ 知的財産権等の権利の所在、二次利用、貸与等に係る対価及びその許諾等の手続
ハ 秘密保持義務等の期間
⑶ 知的財産権の譲渡等の適正化 親事業者は、下請事業者から著作権の譲渡を受ける場合であっても、著作者人格権は一身専属的な権利であり、下請事業者に対し譲渡を求めることはできないことに留意するとともに、十分な協議を行うことなく、著作者人格権の不行使を求めないものとする。
6 フリーランスとの取引
多様な働き方の拡大等に伴い、フリーランスとして安心して働ける環境の整備が求められている。発注時の取引条件を明確にする書面等を交付せず、又は交付する書面等に発注時の取引条件を明確に記載しない場合には、親事業者は発注後に取引条件の一方的な変更等を行いやすくなり、また、後に当該変更等が行われたことを明らかにすることが困難となる場合も生じ得ることから、親事業者は、下請事業者であるフリーランスとの取引においても、発注時の取引条件を明確にする書面等の交付を行う等、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(令和3年3月26日 内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)を踏まえた適切な取引を行うものとする。
7 業種別ガイドライン及び自主行動計画
⑴ 業種に応じて下請取引の実態、取引慣行等は異なることから、親事業者及び下請事業者は、適正な取引条件及び取引慣行を確立するため、事業所管省庁が策定した業種別ガイドラインを遵守するよう努めるものとする。その際、親事業者は、マニュアル、社内ルール等を整備することにより、業種別ガイドラインに定める内容を自社の調達業務に浸透させるよう努めるものとする。
⑵ 事業者団体等は、親事業者及び下請事業者の間の個々の取引の適正化を促すとともに、サプライチェーン全体の取引の適正化を図るため、本基準及び業種別ガイドラインに基づく活動内容等を踏まえた「自主行動計画」を策定し、それに基づく取組結果を継続的にフォローアップするとともに、当該フォローアップの結果を踏まえ、「自主行動計画」を定期的に改定するよう努めるものとする。親事業者の取組はサプライチェーン全体に大きな影響を与えることから、親事業者は、こうした事業者団体等の取組に対し積極的に協力するものとする。また、「自主行動計画」を策定していない事業者団体等は、その策定に努めるものとする。
8 パートナーシップ構築宣言
⑴ 親事業者は、下請企業振興協会のパートナーシップ構築宣言ポータルサイトに掲載されているひな形を基に、パートナーシップ構築宣言を行うよう努めるものとする。また、パートナーシップ構築宣言を行った親事業者は、取引の適正化に向けた施策の進展、自社を取り巻く取引環境の変化等を踏まえ、定期的に宣言内容の見直しを行うよう努めるものとする。
⑵ パートナーシップ構築宣言を行った親事業者は、自社のパートナーシップ構築宣言について、社内における広報、訓示、研修等を通じ、営業、調達等に係る現場の担当者まで浸透するよう努めるものとする。また、下請事業者に対し、自社がパートナーシップ構築宣言を行っている旨及びその内容の周知に努めるものとする。
9 支援施策の活用
親事業者及び下請事業者は、下請法に関する講習会又はシンポジウムに積極的に参加するよう努めるとともに、「型取引の適正化について」附属資料「型の取扱いに関する覚書」や「知的財産取引の適正化について」附属資料「契約書ひな形」、「労務費の指針」別添「価格交渉の申込み様式」をはじめとする、価格交渉その他の取引適正化に関するハンドブック、事例集等の活用を推奨する。また、下請事業者は、下請かけこみ寺における窓口相談又は弁護士相談、価格交渉支援に関するセミナー等を活用するよう努めるものとする。
附 則
1.この基準は、令和6年3月25日から施行する。
2.令和4年7月29日付け20220722中第2号は廃止する。
振興基準 本基準は、下請中小企業振興法(昭和45年法律第145号。以下「法」という。)第3条第1項の規定に基づき、親事業者及び下請事業者双方が適正な利益を得てサプライチェーン全体の競争力向上につなげていく共存共栄の関係を築くことを目指し、下請取引における下請事業者の事業運営の方向性、親事業者が行う発注等の在り方等を示すことにより、下請中小企業の振興を図ろうとするものである。 下請事業者の事業活動は、親事業者の発注の在り方に大きな影響を受けるものであり、まず何よりも、親事業者と下請事業者の取引の公正と、これを通じた下請事業者の適正な利益の確保が図られなければならない。その上で、下請中小企業を含むサプライチェーン全体で付加価値向上を目指すことができるような、親事業者と下請事業者の相互理解と信頼によって支えられる互恵的な取引関係を構築していく必要がある。 このため、親事業者は、下請事業者の存在価値や潜在力を、長期的、かつ、広範な視野から捉え、共存共栄を図っていくべきである。他方、下請事業者は、親事業者に対し、発注内容・契約条件の明確化、発注・対価の決定方法の改善、契約条件の書面交付を求めるなど、自らが提供する付加価値について正当な評価を受け、適正な利益を得るために、協議・交渉を申し入れるほか、脱炭素化を始めとするグリーン化、電子受発注の導入を始めとする情報化等の自助努力を行うべきである。更に、需要者(顧客)も含めたサプライチェーン全体での価格転嫁が実現するよう、親事業者及び下請事業者の取組が望まれる。 また、本基準は、下請事業者又は親事業者の事業を所管する省庁(以下「事業所管省庁」という。)の担当大臣その他関係行政機関の長が、法の目的を達成するために行う指導及び助言の根拠となる考え方を示すとともに、事業所管省庁が業種別に策定する「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」(以下「業種別ガイドライン」という。)の策定又は改定に当たり参照されるものである。また、本基準は、事業者団体等による「自主行動計画」の策定又は改定に当たり主要な要素の一つとして参照され、並びに親事業者及び下請事業者の望ましい取引慣行の遵守等を事業者の代表者名で宣言する「パートナーシップ構築宣言」のひな形の作成又は改定に当たり参照されることが期待される。 第1 下請事業者の生産性の向上及び製品若しくは情報成果物の品質若しくは性能又は役務の品質の改善に関する事項 1 下請事業者の努力 下請事業者は、生産年齢人口の減少等に伴う人手不足、経済の国際化の一層の進展等に適切に対応するため、働き方を見直し、魅力ある職場づくりに努めるとともに、脱炭素化を始めとするグリーン化、電子受発注の導入を始めとす1 る情報化等の課題に適切に対応するため、技術開発、設備投資、親事業者その他の事業者との連携等により、生産性の向上及び製品若しくは情報成果物の品質若しくは性能又は役務の品質の改善に努めるものとする。 2 親事業者の努力 親事業者は、下請事業者が働き方改革、生産性の向上等に取り組むことができるよう配慮して、下請事業者に対する発注条件、取引条件等を設定するよう努めるとともに、下請事業者のグリーン化、情報化等を支援し、また、下請事業者その他の事業者と既存の取引関係、系列、企業規模等を超えた連携を進めること等により、サプライチェーン全体における付加価値向上及び共存共栄の実現に努めるものとする。 第2 発注書面の交付その他の方法による親事業者の発注分野の明確化及び親事業者の発注方法の改善に関する事項 1 発注分野の明確化 ⑴ 親事業者は、下請事業者が長期的な需要見通しの下に経営方針を立てることができるよう、下請事業者に対する発注分野(※)をできる限り具体的に定め、提示するものとする。 その際、下請事業者は親事業者から提示された情報の秘密を保持するものとする。 ※親事業者自らがどのような物品を製造若しくは修理し、どのような情報成果物を作成し、又はどのような役務を提供するのかを明らかにした上で、下請事業者に何を発注するのかを指し示す具体的内容をいう。 ⑵ 親事業者は、⑴の規定により提示した発注分野を、できる限り変更しないよう努めるものとする。 親事業者は、自らの都合により、やむを得ず発注分野を変更しようとするときは、下請事業者に対し、その経営に著しい影響を及ぼさないよう、相当期間前に当該変更の内容を明示するものとする。 2 長期発注計画の提示及び発注契約の長期化 親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者が、安定的かつ合理的な生産又は提供を行うことができるよう、発注計画期間を長期化し、かつ、これに沿った発注を行うよう努めるものとする。 3 発注の安定化、リードタイムの確保等 ⑴ 親事業者は、下請事業者に対する発注に係る物品、情報成果物及び役務(以下「物品等」という。)の発注量の大幅な変動をできる限り回避するものとし、特に、発注量を親事業者の生産量又は提供量の変動の増減率以上に変動させないよう努めるものとする。 2 ⑵ 親事業者は、発注量をできる限り平準化させるものとするほか、将来の発注に関する事前情報の精度の向上、物品等の標準化及び規格の整理統合に努めるものとする。 ⑶ 親事業者は、下請事業者に発注するときは、下請事業者の生産に必要なリードタイム、原材料の最小購入単位等を十分に考慮して発注するものとする。 ⑷ 親事業者は、発注予定数量を下請事業者に提示し、その後、合理的理由なく発注予定数量と実際の発注数量に大きな乖離が生じた場合であって、下請事業者から要請があったときは、その費用負担の軽減に配慮しつつ、下請事業者と十分に協議を行い、余剰となる製品在庫及び残材の買取りを行い、並びに労務費、外注費その他の諸経費の増加分を支払う等の措置を講ずるものとする。 4 納期及び納入頻度の適正化等 ⑴ 納期及び納入頻度は、下請事業者にとって無理がなく、かつ、労働時間の短縮が可能なものとなるよう、親事業者及び下請事業者が協議して決定するものとする。その際、親事業者の需要により、多頻度小口配送等を要請する場合には、その必要なコストは親事業者が負担するものとする。 ⑵ 親事業者は、下請事業者の労働時間短縮等の働き方改革の妨げとなる週末発注・週初納入、終業後発注・翌朝納入、発注内容の変更等を抑制するとともに、下請事業者の納入事務の軽減に協力するものとする。 親事業者の都合により、やむを得ず、下請事業者が残業、休日出勤等により対応せざるを得ない短納期発注、週末発注等を行う場合には、親事業者はその追加コストを負担するものとする。 ⑶ 親事業者は、発注後における発注内容の変更、追加発注、支給材(親事業者から支給される原材料、半製品、部品、資材等をいう。以下同じ。)の支給の遅延等により、あらかじめ定めた納期が下請事業者にとって無理なものとなった場合には、下請事業者の不利益にならないよう、その納期を変更する等の措置を講ずるものとする。 5 設計図、仕様書等の明確化による発注内容の明確化 ⑴ 親事業者は、不当なやり直しが生じないよう、発注に際して下請事業者に対して示すべき設計図、仕様書等の内容を明確にするものとする。 ⑵ 親事業者は、既に発注した物品等に係る設計、仕様等を変更しようとするときは、下請事業者に損失を与えることとならないよう十分に配慮して変更するものとし、かつ、その変更による追加コストは親事業者が負担するものとする。 6 契約条件の明確化及び書面等の交付 親事業者は、発注内容が曖昧な契約とならないよう、下請事業者と十分に協議を行った上で、発注内容、納期、価格、付随費用(型、治具等の費用、運送費、保管費等をいう。)、支払手段、支払期日等の契約条件について、書面等(電3 子メールその他の電磁的記録を含む。以下同じ。)による明示及びその交付を徹底する。 7 発注の手続事務の円滑化等 親事業者は、下請事業者に対する発注手続及び支給材、設備貸与等に関する手続の事務の円滑化及び明確化に努めるものとする。 また、親事業者は、下請事業者の労働時間の短縮のため、下請事業者の要請に応じ、生産又は配送システムの見直し等の取組を共同して行うものとする。 8 取引停止の予告 親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者との取引を停止し、又は大幅に取引を減少しようとする場合には、下請事業者の経営に著しい影響を与えないよう最大限の配慮をする観点から、相当の猶予期間をもって予告するものとする。 第3 下請事業者の施設又は設備の導入、技術の向上及び事業の共同化に関する事項 1 一般的留意事項 ⑴ 下請事業者は、生産性の向上等を図るための施設又は設備の導入に努め、製品開発、品質管理、現場作業等の技術の向上に努めるとともに、経営管理及び人事・労務管理の改善に努めるものとし、また、その業種及び業態の実態に応じ、他の事業者との事業の共同化に努めるものとする。 ⑵ 親事業者は、下請事業者の要請に応じ、下請事業者の施設又は設備の導入、技術の向上並びに経営管理及び人事・労務管理の改善に際し、助言、研修、従業員の派遣等の協力を行うとともに、下請事業者が事業の共同化を進めやすくなるよう適切な措置を講ずるものとする。 2 情報化への積極的対応 ⑴ 下請事業者は、管理能力の向上、事務量の軽減、事務の迅速化等の業務工程の見直しによる効率性の向上のため、必要なセキュリティ対策と併せて、次の事項に積極的に対応するよう努めるものとする。 ① 情報化に係る責任者の配備及び企業内システムの改善(業務のデジタル化推進を含む。) ② 中小企業共通EDI(電子データ交換)等による電子受発注 ③ 電子的な決済等(インターネットバンキング、電子記録債権、全銀EDIシステム等の活用) ⑵ 親事業者は、⑴の下請事業者による取組を支援するため、下請事業者の要請に応じ、管理能力の向上についての指導、標準的なコンピュータ、ソフトウェア及びデータベースの提供、オペレータの研修、セキュリティ対策の助言及び支援並びに国及び地方公共団体による情報化支援策の情報提供等の協力を行うものとする。 4 ⑶ 親事業者は、サプライチェーン全体の業務工程の見直しによる効率性向上を図る観点から、⑷に掲げる事項に留意しつつ、下請事業者に電子受発注及び電子的な決済等の導入を積極的に働きかけるものとする。また、自社並びにその子会社及び関連会社において下請事業者との取引に用いている自社の電子受発注又は電子的な決済等に係るシステムの共通化に努めつつ、業界、企業系列等を越えたサプライチェーンで共通化された電子受発注又は電子的な決済等に係るシステムへの接続に努めるものとする。 ⑷ 親事業者は、下請事業者に対し電子受発注等を行う場合には、次の事項に留意して、これを行うものとする。 ① 下請事業者に対し、電子受発注等を導入する効果、コスト負担等の説明を十分に行うこと。 ② 電子受発注等を行うか否かの決定に当たっては、下請事業者の自主的な判断を十分に尊重することとし、これに応じないことを理由として、不当に取引の条件又は実施について不利な取扱いをしないこと。 ③ 下請事業者に対し、正当な理由なく、自らの指定するコンピュータその他の機器又はソフトウェア等の購入又は使用を求めないこと。 ④ 下請事業者に対する電子受発注等に係る指導等の際、併せてその経営、財務等の情報を把握すること等により、その経営の自主性を侵さないこと。 ⑤ 自らが負担すべき費用を下請事業者に負担させないこと。 ⑥ 下請事業者が不測の不利益を被ることがないよう、親事業者及び下請事業者双方の費用分担、取引条件等について、事前に基本契約書又はこれに準ずる書面等により明確に定めておくこと。 ⑦ その他政府により定められている電子受発注等についての指針を遵守すること。 3 事業承継に向けた取組 ⑴ 下請事業者は、事業承継計画の策定、事業承継・引継ぎ支援センターの活用その他の方法により、事業承継に向けた計画的な取組を行うものとする。 ⑵ 親事業者は、下請事業者の事業承継の意向及び状況の把握に努めるものとし、サプライチェーン全体の機能維持のため、必要に応じて計画的な事業承継の準備を促す等、下請事業者の事業承継に関し積極的な役割を果たすものとする。具体的には、下請事業者と対話した上で、その実態に応じ、事業承継の円滑化に向けた経営改善支援、後継者の育成、引継先のマッチング支援等を行うよう努めるものとする。 第4 対価の決定の方法、納品の検査の方法その他取引条件の改善に関する事項 1 対価の決定の方法の改善 ⑴ 取引対価は、合理的な算定方式に基づき、下請事業者の適正な利益を含み、下請事業者における賃金の引上げ、労働時間の短縮等の労働条件の改善が5 可能となるよう、親事業者及び下請事業者が十分に協議して決定するものとする。 その際、親事業者は、以下に掲げる行為を始めとする、客観的な経済合理性又は十分な協議手続を欠く協議を行わないものとする。 〔取引対価の協議に関する望ましくない事例〕 ① 目標価格又は価格帯のみを提示して、それと辻褄の合う内容の見積り又は提案を要請すること。 ② 過度に詳細な見積りを要請し、それを下請事業者が十分に作成できないことを理由として、協議を拒むこと。 ③ もともと転注するつもりがないにもかかわらず、競合する他の事業者への転注を示唆して殊更に危機感を与えることにより、事実上、協議をすることなく、親事業者が意図する取引対価を下請事業者に押し付けること。 ④ 競合する他の事業者が取引対価の見直しの要請をしていないこと、親事業者の納入先が取引対価の見直しを認めないこと等を理由として、協議を拒むこと。 また、下請事業者は、国・地方公共団体、中小企業の支援機関等に相談する等して積極的に情報を収集して交渉に臨むよう努めるものとする。 ⑵ 親事業者及び下請事業者は、毎年9月及び3月の「価格交渉促進月間」の機会を捉える等により、少なくとも年に1回以上の協議を行うものとする。親事業者は、発注の都度、協議を行うものとするほか、継続的な発注について下請事業者からの申出があったときは、定期的な協議に応じるものとする。さらに、労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストが上昇した場合又は発注内容を変更した場合であって、下請事業者からの申出があったときは、定期的な協議以外の時期であっても、遅滞なく協議に応じるものとする。 ⑶ 親事業者及び下請事業者は、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(令和5年11月29日 内閣官房新しい資本主義実現本部事務局・公正取引委員会。以下「労務費の指針」という。)に掲げられている、「事業者が採るべき行動/求められる行動」を適切にとった上で、取引対価を決定する。その際、「労務費の指針」別添「価格交渉の申込み様式」の活用も併せ、労務費の上昇分を適切に転嫁できるよう協議するものとする。特に、最低賃金(家内労働法(昭和45年法律第60号)に規定する最低工賃を含む。)の引上げ、人手不足への対処等、外的要因により下請事業者の労務費の上昇があった場合には、その影響を十分に踏まえるものとする。 ⑷ 労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストが増加した場合には、親事業者は、予め定めた価格改定タイミングはもちろんのこと、その期中においても、価格変更を柔軟に行うものとする。特に原材料費やエネルギーコストの高騰があった場合には、適切なコスト増加分の全額転嫁を目指すものとする。 ⑸ 取引対価の決定の際、親事業者及び下請事業者は、取引の対象となる物品に係る特許権、著作権等その他知的財産権の帰属及び二次利用に対する対6 価並びに当該物品等の製造等を行う過程で生じた財産的価値を有する物品等や技術等に係る知的財産権の帰属及び二次利用に対する対価についても十分考慮するものとする。 ⑹ 親事業者及び下請事業者は、⑴から⑸までに掲げるもののほか、品質又は性能、仕様の変更、発注数量又は納入頻度の多寡(量産時と量産期間終了後の変化を含む。)、納期の長短、代金の支払方法、諸経費(運送費、保管費、電子受発注又は電子的な決済等に係るコスト、環境対応コスト等)、市価の動向等の要素を考慮して、取引対価を決定するものとする。 ⑺ 親事業者は、以下に掲げる行為を始めとする、客観的な経済合理性又は十分な協議手続を欠く原価低減要請(原価低減を求める見積り又は提案の提出要請を含む。以下同じ。)を行わないものとする。また、親事業者及び下請事業者双方が協力して行った原価低減活動の効果を取引対価に反映する場合には、当該効果に対する双方の寄与度を踏まえ、合理的に取引対価を設定するものとする。 〔原価低減要請に関する望ましくない事例〕 ① 具体的な根拠を明確化せず、又は目標数値のみを提示して、原価低減要請を行うこと。 ② 原価低減要請に応じることが発注継続の前提であることを示唆して、事実上、原価低減を押し付けること。 ③ 口頭で削減幅等を示唆した上で、下請事業者から見積書の提出を求めること等、書面等の記録を残さずに原価低減要請を行うこと。 〔取引対価への反映に関する望ましくない事例〕 ① コスト削減効果を十分に確認せず、取引対価の低減を押し付けること。 ② 下請事業者の努力によるコスト削減効果を、一方的に取引対価の低減に反映すること。 ⑻ 親事業者及び下請事業者双方は、それぞれ取引対価の協議の記録を保存するものとする。 ⑼ 親事業者は、下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準(平成15年公正取引委員会事務総長通達第18号。以下「下請法運用基準」という。)に違反事例として掲げられている「一律一定率の単価引下げによる買いたたき」、「合理性のない定期的な原価低減要請による買いたたき」、「下請代金を据え置くことによる買いたたき」等の、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号。以下「下請法」という。)で禁止する買いたたきを行わないことを徹底する。 その際、特に、以下のような方法で取引対価を決定することは、下請法上の買いたたきに該当するおそれがあることに留意するものとする。 ① 労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと。 ② 労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストが上昇したため、下請事業者が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理7 由を書面等で下請事業者に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと。 2 納品の検査の方法の改善 ⑴ 親事業者は、下請事業者に発注をしようとする場合には、納品(役務の提供を含む給付の提供をいう。以下同じ。)の検査の実施方法、実施時期、当該発注に係る物品等の適正な検査基準、検査の結果不合格となった物品等の取扱い及び納品の過不足の場合の処理の方法を、あらかじめ下請事業者と協議して定めるものとする。 ⑵ 親事業者は、⑴の規定により定めた検査の実施方法及び検査基準に基づき、納品後、速やかに納品の検査を行うものとする。 ⑶ 親事業者は、自ら納品された物品等の検査を行い、又は書面等により委任して下請事業者に物品等の検査を行わせ、当該検査を合格とした場合であって、その後、親事業者の納入先等からの指摘により当該物品等の引取り、やり直し又は損害賠償を行うこととなったときは、当該物品等の不具合の有無及びその原因を明らかにし、その引取り、やり直し又は損害賠償に必要となる人員の手当、金銭の支払い等について、親事業者がすべてを負担せず下請事業者にも負担を求めることの必要性及び合理性の有無を、十分に確認するものとする。親事業者は、下請事業者にも当該負担を求めることとなる場合には、親事業者、下請事業者それぞれが当該物品等に係る納品により得た取引対価を勘案しつつ、下請事業者と十分に協議を行い、親事業者及び下請事業者双方が合理的な割合で負担するものとし、一方的に下請事業者に引取り、やり直し又は損害賠償を負担させないものとする。 3 支給材の支給及び設備等の貸与の方法の改善 ⑴ 親事業者は、下請事業者に支給材を支給しようとする場合には、以下に掲げる行為に留意しつつ、支給材の保管の方法及び瑕疵がある場合の取扱い、支給材の所要量の算定方法及び残材の処理の方法、支給の時期並びに対価の決定方法その他支給について必要な事項を、あらかじめ下請事業者と協議して定めるものとする。 〔支給材に関する望ましくない事例〕 ① 生産終了後長期間にわたり、支給材を保管させること。 ② 残材の買取りについて明確な取決めをせず、負担を一方的に押し付けること。 ⑵ 親事業者は、下請事業者に設備等を貸与しようとする場合には、⑴の支給材と同様、必要な事項を、あらかじめ下請事業者と協議して定めるものとする。 4 下請代金の支払方法の改善 ⑴ 親事業者は、発注に係る物品等の受領後、下請代金をできる限り速やかに支払うものとする。また、当該受領をした日から起算して60日以内において定める支払期日までに、下請代金を支払うことを徹底する。 8 ⑵ 下請代金の支払いは、できる限り現金によるものとする。少なくとも賃金に相当する金額については、全額を現金で支払うものとする。 ⑶ 約束手形(為替手形の場合を含む。以下同じ。)、一括決済方式(※)及び電子記録債権(以下⑶において「手形等」という。)により下請代金を支払う場合には、当該手形等の現金化に係る割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、当該コストを勘案した下請代金の額を、親事業者及び下請事業者双方で十分に協議して決定するものとする。 当該協議を行う際、親事業者及び下請事業者双方が、手形等の現金化に係る割引料等のコストについて具体的に検討できるよう、親事業者は、支払期日に現金により支払う場合の下請代金の額並びに支払期日に手形等により支払う場合の下請代金の額及び当該手形等の現金化に係る割引料等のコストを示すものとする。 ※親事業者、下請事業者及び金融機関の間の約定に基づき、下請事業者が下請代金の全部又は一部に相当する下請代金債権を担保とし、又は譲渡し、金融機関から当該下請代金の額に相当する金銭の貸付け又は支払いを受けることができることとし、親事業者が当該下請代金債権の額に相当する金銭を当該金融機関に支払うこととする方式をいう。 ⑷ 親事業者及び下請事業者は、約束手形の利用廃止等に向け、次の取組を進めるものとする。 ① 約束手形、一括決済方式及び電子記録債権のサイト(約束手形の交付日から満期までの期間又はこれに相当する期間をいう。以下同じ。)については、60日以内とするよう努めるものとする。 ② 約束手形は、できる限り利用しないよう努めるものとする。また、約束手形の利用を廃止するに当たっては、できる限り現金による支払いに切り替えるよう努めるものとする。 なお、親事業者及び下請事業者は、以下のイからハまでに掲げる方針が政府により示されていることに十分留意しつつ、①及び②の取組を進めるものとする。 イ 公正取引委員会及び中小企業庁が、おおむね令和6年までに、60日を超えるサイトの約束手形、一括決済方式及び電子記録債権を、下請法上「割引困難な手形」等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とすることを前提として、下請法の運用の見直しの検討を行うこととしていること(「手形等のサイトの短縮について」(令和4年2月16日 20211206中庁第1号・公取企第131号))。 ロ 令和8年の約束手形の利用の廃止に向けた取組を促進する旨、閣議決定されていること(「成長戦略実行計画」(令和3年6月18日 閣議決定))。また、令和8年の約束手形の利用廃止に向け、各業界における具体的な段取り・ロードマップを策定するよう、事業所管省庁から事業者団体に対し要請されていること(「第3回中小企業等の活力向上に関するワーキンググループ」(令和4年2月22日)資料1)。 ハ 金融業界に対し、令和8年に手形交換所における約束手形の取扱いを廃止することの可否について検討するよう要請されていること(「第9 3回中小企業等の活力向上に関するワーキンググループ」(令和4年2月22日)資料1)。 ⑸ ⑵から⑷までの取組は、サプライチェーンの川下側にあって川上側に与える影響の大きい親事業者から率先して実施し、業種間をまたぐ取組を含め、サプライチェーン全体で取組を進めるものとする。とりわけ、業種全体で取組が遅れている業種に属する親事業者、各業種において主導的な立場にある親事業者、自社の属する業種内の他の事業者と比べて特に取組が遅れている親事業者等は、率先して支払条件の見直し(約束手形、一括決済方式及び電子記録債権のサイトの短縮、現金による支払いへの切替え等)を進めるものとする。 ⑹ 親事業者は、下請代金の支払方法として一括決済方式を用いる場合には、次の事項に留意して、これを用いるものとする。 ① 一括決済方式への加入及び脱退については、下請事業者の自主的な判断を十分尊重すること。 ② 一括決済方式に加入した下請事業者に対し、支払条件を従来と比べ実質的に不利となるよう変更しないこととし、及び一括決済方式に変更することによって生じる費用を負担させないこと。また、一括決済方式に加入しない下請事業者に対し、それを理由として、不当に取引条件の設定又は実施について不利な取扱いをしないこと。 ③ その他政府により定められている一括決済方式についての指針を遵守すること。 ⑺ 親事業者は、下請代金の支払方法として電子記録債権を用いる場合には、次の事項に留意して、これを用いるものとする。 ① 電子記録債権による支払いについては、下請事業者の自主的な判断を十分尊重すること。 ② 電子記録債権の活用によって見込まれる下請代金の支払い又は受取に係る費用、手続事務等の軽減の効果について、十分な情報提供の取組を進めること。 ③ その他政府により定められている電子記録債権についての指針を遵守すること。 ⑻ 建設、大型機器の製造その他発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、親事業者は、前払い比率及び期中払い比率をできる限り高めるよう努めるものとする。 5 金型、樹脂型、木型等の型又は治具に係る取引条件の改善 ⑴ 親事業者及び下請事業者は、「型取引の適正化について」(令和2年1月17日 20200110中第2号)を踏まえ、「型取引の適正化推進協議会報告書」(令和元年12月 型取引の適正化推進協議会)に掲げられている「型取引の基本的な考え方・基本原則について」に基づき、型(金型、樹脂型、木型等の型又は治具をいう。以下同じ。)に係る取引を行うものとする。その際、型に係る取引条件の明確化のため、取り決め事項の書面化を進める参10 考例として示している同通達附属資料「型の取扱いに関する覚書」の活用を推奨する。 ⑵ 親事業者は、下請法運用基準に違反事例として掲げられている「型・治具の無償保管要請」を行わないことを徹底する。 6 働き方改革の推進を阻害する取引慣行の改善 ⑴ 親事業者は、自らの取引に起因して、下請事業者が労使協定の限度を超える時間外労働、休日労働等による長時間労働及びこれらに伴う割増賃金の未払い等、労働基準関連法令に違反することのないよう十分に配慮して、下請事業者と取引を行うものとする。 ⑵ 親事業者は、やむを得ず、短納期又は追加の発注、急な仕様変更等を行う場合には、下請事業者が支払うこととなる残業代等の増加コストを負担するものとする。 ⑶ 大企業である親事業者による働き方改革の下請事業者へのしわ寄せ等の影響も懸念される中、親事業者は、下請事業者の人員、業務量の状況をできる限り把握することに努めるものとし、以下に掲げる行為を始めとする、下請事業者の働き方改革を阻害し、又は不利益となるような取引若しくは要請を行わないものとする。 〔親事業者による下請事業者へのしわ寄せ等の不利益となる事例〕 ① 適正なコスト負担を伴わない短納期発注又は急な仕様変更 ② 無理な短納期発注に対する納期遅れを理由とした受領拒否又は減額 ③ 親事業者自らの人手不足又は長時間労働の削減による検収体制の不備に起因した受領拒否又は支払遅延 ④ 親事業者自らの人手不足又は長時間労働の削減に起因した、適正なコスト負担を伴わない人員の派遣要請又は付帯作業の要請 ⑤ 過度に短納期となる時間指定配送、過剰な賞味期限対応若しくは欠品対応に起因するリードタイムの短い発送又は適正なコスト負担を伴わない多頻度小口配送 ⑥ 納期又は工期の特定時期への過度な集中 第5 下請事業者の連携の推進に関する事項 法第2条第5項の特定下請事業者が法第8条第1項の特定下請連携事業計画を作成するに当たっては、以下の内容を満たすものとする。 1 特定下請連携事業の目標 特定親事業者以外の者との取引を開始又は拡大し、特定下請取引(※)への依存の状態を改善すること。 なお、特定下請取引への依存の状態の改善とは、3~5年以内の計画期間内に、特定親事業者への取引依存度が年1%以上低下することをいう。 ※長期にわたり特定の親事業者に依存して行われている下請取引であって、おおむね総売上高の20%以上を占めている取引をいう。 11 2 特定下請連携事業の内容 ⑴ 組織体制 複数の下請事業者その他の事業者で構成する連携体(以下単に「連携体」という。)が1つの事業体として活動できるよう、明確な目的及び事業方針を参加事業者間で共有し、事業目標を定めていること。また、参加事業者間で規約等を策定し、対内的な役割分担、対外的な取引関係における責任体制の在り方等を明確化すること。 ⑵ 中核となる者の存在 参加事業者がそれぞれの経営資源を有効に活用して事業活動を行うため、連携体内でリーダーシップを発揮し、事業連携の核となる者が存在すること。 ⑶ 知識連携及び取引連携の組合せ ノウハウの共有及び向上に向けた活動(知識連携)並びに取引先開拓に向けた活動(取引連携)を組み合わせた活動であり、活動による個々の下請事業者における効果が目的等において明確となっていること。 ⑷ 特定親事業者以外の者の課題等に対応した製品又は役務の提供 課題解決型ビジネスを実施するものであり、以下のいずれかの内容を行うものであること。 ① 連携においては、ノウハウ等の向上に向けた活動及び受注獲得の活動を組み合わせて、それらが相互に作用しつつ、事業活動を行うこと。 ② 市場及び顧客との情報交換を実施し、取引先の課題及びニーズを把握していること。 ③ 自社及び連携体メンバーの強み及び弱みを分析し、技術、ノウハウ等の組み合わせによる相乗効果を発揮して、課題解決の幅を拡大していること。 ④ 顧客に対して企画及び提案を実施する等、顧客の課題及びニーズに対応した製品又は役務を提供すること。 ⑸ その他留意事項 ① 特定下請連携事業計画は、特定下請事業者が主体的に参画する必要があること。 ② 新たな事業活動は、個々の中小企業者にとって新たな事業活動である場合には、既に他の事業者において採用されている技術、方式等を活用する場合であっても、原則として該当すること。 第6 下請事業者の自主的な事業の運営の推進に関する事項 1 一般的留意事項 ⑴ 親事業者は、下請事業者の自主的な事業の運営を尊重するものとし、下請事業者が行う取引先の開拓、変更等及び仕入先との間における取引対価の決定等(以下「取引先の開拓等」という。)について、不当に干渉しないものとする。特に、親事業者への取引依存度の高い特定下請事業者及び小規模12 事業者である下請事業者が自主的に行う取引先の開拓等については、特段の事情がない限り干渉しないものとする。 ⑵ 親事業者は、協賛金、協力金、陳列応援の要請、センターフィーの提供要請、試作品又はサンプルの作成要請その他名目のいかんを問わず、下請事業者に対し金銭、役務その他の経済上の利益の提供を要請する場合には、あらかじめ負担額及びその算出根拠、使途、対価を含めた提供の条件等を明確にした上で、下請事業者の直接的な利益に十分に配慮して協議を行い、書面等により合意するものとする。 2 自然災害等への対応に係る留意事項 ⑴ 自然災害等への備えに係る留意点 親事業者及び下請事業者は、自然災害、サイバー攻撃、感染症、国際情勢の変化等の事業活動の基盤における重大な障害(以下「自然災害等」という。)の発生に伴い、サプライチェーンが寸断されることのないよう、中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)に基づく事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画の策定、ひいては事業継続計画(BCP:自然災害等の発生後の早期復旧に向けた取組等を定めた計画)の策定及び事業継続マネジメント(BCM:BCP等の実効性を高めるための平常時からのマネジメント活動)の実施に努めるものとする。 ⑵ 自然災害等が発生した場合に係る留意点 ① 下請事業者が留意する事項 親事業者及び下請事業者双方の責めに帰すことができない自然災害等により被害が生じた場合には、下請事業者は、その事実の発生後、速やかに親事業者に通知するよう努めるものとする。 ② 親事業者が留意する事項 イ 自然災害等による下請事業者の被害状況を確認しつつ、下請事業者に取引上一方的な負担を押し付けることがないよう十分に留意するものとする。 ロ 自然災害等によって影響を受けた下請事業者が、事業活動を維持し、又は再開する場合には、できる限り、その復旧を支援するとともに、従来の取引関係を継続し、又は優先的に発注を行うよう努めるものとする。 第7 下請取引に係る紛争の解決の促進に関する事項 1 下請取引の紛争に関する協議及び紛争解決のあっせん ⑴ 親事業者は、下請事業者から取引条件の改善、下請代金支払等下請取引の紛争に関する協議の申出があった場合には、協議に応じるものとする。 ⑵ 親事業者は、下請取引の紛争に関する協議において、下請事業者から、下請企業振興協会が行う紛争解決のあっせん等、裁判外紛争処理手続の利用の申出があった場合には、手続の活用について応諾するものとする。 13 ⑶ 下請事業者は、必要に応じて下請企業振興協会が行う紛争解決のあっせん等を活用すること等により、紛争の円滑な解決に努めるものとする。 2 下請取引に係る紛争の未然防止及び取引の適正化のための体制整備 親事業者は、下請事業者が取引上の問題に関し、取引への影響を考慮して申し出ることが難しいという実情を十分に踏まえ、以下のような体制の整備に努める(⑶については、体制を整備する)ものとする。 ⑴ 下請事業者が取引条件について不満、問題等を抱えていないか定期的な聞き取りを行う等、下請事業者が申出をしやすい環境を整備すること。 ⑵ 調達担当部署と異なる第三者的立場の相談窓口を設置し、匿名性を確保しつつ、下請事業者からの相談、苦情の申告等に応じること。また、当該相談窓口を設けていること等に関し、定期的に下請事業者に通知すること。 ⑶ 調達に係る責任者から担当者に至るまで、下請取引を行う上で必要な関係法令等(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)、下請法、本基準及びパートナーシップ構築宣言を行っている事業者においては自社のパートナーシップ構築宣言を含む。)に対する理解を深めるよう、社内における研修、啓発、教育等を十分に実施すること。 3 下請事業者に対する威圧的交渉の禁止 親事業者は、下請事業者に対し、取引価格に関する協議その他取引上の交渉、協議等を行うに当たっては、交渉の目的を大きく逸脱する言動、交渉の手段として不適切な言動等の相当範囲を超えた言動により、当該下請事業者の責任者又は担当者に精神的又は身体的な威圧を加えることを通じ、下請事業者の取引上の意思決定を特定方向に強制する等の不当な取扱いをしないものとする。 第8 下請取引の機会の創出の促進その他下請中小企業の振興のため必要な事項 1 下請取引の機会の創出の促進 ⑴ 法第15条第1項の規定により下請中小企業取引機会創出事業の認定を受けた者(以下「認定事業者」という。)の事業活動が、下請中小企業の取引先の拡大等下請中小企業の振興を図るために重要であることに鑑み、発注者は、認定事業者による取引先の開拓、変更等について不当に干渉すること等により、認定事業者の事業遂行を妨げないものとする。 ⑵ 認定事業者の事業活動は、中小企業者及び当該中小企業者に対する発注者の間に入り、当該中小企業者が有する技術、生産能力等の強みを踏まえ、適正な取引対価等の取引条件で当該中小企業者に対し再委託をすることであることに鑑み、認定事業者は、再委託をする見込みのある中小企業者の強みを自ら把握するよう努めるものとする。 14 ⑶ 認定事業者は、再委託をする見込みのある中小企業者と提携契約等を締結する際は、他の事業者との取引を制限すること等、不当に中小企業者の取引の機会を減少させるような条件の取引を行わないものとする。 ⑷ 認定事業者は、再委託をする見込みのある中小企業者が当該再委託をした行為の一部について更なる再委託を認める場合においても、適正な取引の確保に努めるものとする。 ⑸ 認定事業者は、その事業活動を通じて下請中小企業の取引の機会の創出が適正に行われるよう、次の事項に留意しつつ事業を行うものとする。 ① 発注者から委託を受けた行為につき再委託をする中小企業者を決定した場合において、再委託をしなかった中小企業者から理由の説明を求められたときは、原則として当該中小企業者に再委託をしないこととした理由を示すこと。 ② 提携契約等を締結している中小企業者に対し、取引機会の創出のために必要な助言及び情報の提供を行うこと。 ⑹ 認定事業者との取引が中小企業者の経営において重要な役割を担い、影響力を持ち得るものであることに鑑み、認定事業者は、取引条件の書面等による明示及びその交付、中小企業者と共同して行う電子受発注及び電子的な決済等の導入に向けた努力、取引対価の適切な決定その他の本基準が示す内容のうち、親事業者のよるべき事項を踏まえて取引を行うものとする。 ⑺ 認定事業者は、中小企業者との取引に当たり、取引対価と別に手数料等を設定し、又は変更する場合においては、中小企業者の不利益となる価格設定となることのないよう、中小企業者と十分に協議して決定するものとする。 2 基本契約の締結 親事業者及び下請事業者は、継続的取引に関しては、その取引に関する基本的な事項を定めた契約を締結し、当該契約に基づき、取引を行うものとする。 3 報酬債権、売掛債権その他の債権の譲渡の円滑化 ⑴ 下請事業者にとって、債権譲渡禁止特約は金融機関への担保提供又は債権譲渡による資金調達の妨げとなることから、下請事業者の円滑な資金調達を推進するため、親事業者は、下請事業者との間における基本契約の締結の際に債権譲渡禁止特約を締結する場合であっても、信用保証協会、預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第1項に規定する金融機関等並びに親事業者及び下請事業者双方で適切と確認した相手先に対しては、債権の譲渡又は担保提供を禁じない内容とするよう努めるものとする。 ⑵ 親事業者は、下請事業者から、報酬債権、売掛債権その他の債権の譲渡又は担保提供のために、基本契約等において締結された債権譲渡禁止特約の解除の申出があった場合には、当該申出を十分尊重して対応するとともに、当該申出を理由として不当に取引の条件又は実施について不利な取扱いをしないものとする。 15 ⑶ 親事業者は、債権譲渡禁止特約を解除していない場合であっても、下請事業者からの要請に応じ、報酬債権、売掛債権その他の債権の譲渡の承諾(対抗要件の具備)に適切に応じるよう努めるものとする。 4 計算書類等の信頼性確保 下請事業者は、取引先の拡大、資金調達先の多様化、資金調達の円滑化等のため、「中小企業の会計に関する基本要領」(平成24年2月1日 中小企業の会計に関する検討会)又は「中小企業の会計に関する指針」(平成17年8月1日 日本税理士会連合会・日本公認会計士協会・日本商工会議所・企業会計基準委員会)に拠った、信頼性のある計算書類等の作成及び活用に努めるものとする。 5 知的財産の保護及び取引の適正化 ⑴ 親事業者及び下請事業者は、「知的財産取引の適正化について」(令和3年3月31日 20210319中庁第6号)を踏まえ、「知的財産取引に関するガイドライン」に掲げられている「基本的な考え方」に基づき、知的財産権等(知的財産権及び技術上又は営業上の秘密等(ノウハウを含む。)をいう。以下同じ。)に係る取引を行うものとする。その際、知的財産権等の取扱いに係る取引条件の明確化のため、同通達附属資料「契約書ひな形」の活用を推奨する。 ⑵ 知的財産の保護 ① 下請事業者は、自らが権利を有する知的財産について、特許権、著作権等の知的財産権の取得、秘密保持契約による営業秘密化等により、管理保護に努めるものとする。 ② 親事業者及び下請事業者は、知的財産権等の取扱いに関し、契約内容を明確化し、書面等により契約を締結するものとする。その際、親事業者は、下請事業者の事業活動に影響を及ぼすことのないよう、迅速に契約を締結するものとする。 〔取扱いを明確にすべき事項〕 イ 知的財産権等に係る対価の決定方法 ロ 知的財産権等の権利の所在、二次利用、貸与等に係る対価及びその許諾等の手続 ハ 秘密保持義務等の期間 ⑶ 知的財産権の譲渡等の適正化 親事業者は、下請事業者から著作権の譲渡を受ける場合であっても、著作者人格権は一身専属的な権利であり、下請事業者に対し譲渡を求めることはできないことに留意するとともに、十分な協議を行うことなく、著作者人格権の不行使を求めないものとする。 6 フリーランスとの取引 多様な働き方の拡大等に伴い、フリーランスとして安心して働ける環境の整備が求められている。発注時の取引条件を明確にする書面等を交付せず、又16 は交付する書面等に発注時の取引条件を明確に記載しない場合には、親事業者は発注後に取引条件の一方的な変更等を行いやすくなり、また、後に当該変更等が行われたことを明らかにすることが困難となる場合も生じ得ることから、親事業者は、下請事業者であるフリーランスとの取引においても、発注時の取引条件を明確にする書面等の交付を行う等、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(令和3年3月26日 内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)を踏まえた適切な取引を行うものとする。 7 業種別ガイドライン及び自主行動計画 ⑴ 業種に応じて下請取引の実態、取引慣行等は異なることから、親事業者及び下請事業者は、適正な取引条件及び取引慣行を確立するため、事業所管省庁が策定した業種別ガイドラインを遵守するよう努めるものとする。その際、親事業者は、マニュアル、社内ルール等を整備することにより、業種別ガイドラインに定める内容を自社の調達業務に浸透させるよう努めるものとする。 ⑵ 事業者団体等は、親事業者及び下請事業者の間の個々の取引の適正化を促すとともに、サプライチェーン全体の取引の適正化を図るため、本基準及び業種別ガイドラインに基づく活動内容等を踏まえた「自主行動計画」を策定し、それに基づく取組結果を継続的にフォローアップするとともに、当該フォローアップの結果を踏まえ、「自主行動計画」を定期的に改定するよう努めるものとする。親事業者の取組はサプライチェーン全体に大きな影響を与えることから、親事業者は、こうした事業者団体等の取組に対し積極的に協力するものとする。また、「自主行動計画」を策定していない事業者団体等は、その策定に努めるものとする。 8 パートナーシップ構築宣言 ⑴ 親事業者は、下請企業振興協会のパートナーシップ構築宣言ポータルサイトに掲載されているひな形を基に、パートナーシップ構築宣言を行うよう努めるものとする。また、パートナーシップ構築宣言を行った親事業者は、取引の適正化に向けた施策の進展、自社を取り巻く取引環境の変化等を踏まえ、定期的に宣言内容の見直しを行うよう努めるものとする。 ⑵ パートナーシップ構築宣言を行った親事業者は、自社のパートナーシップ構築宣言について、社内における広報、訓示、研修等を通じ、営業、調達等に係る現場の担当者まで浸透するよう努めるものとする。また、下請事業者に対し、自社がパートナーシップ構築宣言を行っている旨及びその内容の周知に努めるものとする。 9 支援施策の活用 親事業者及び下請事業者は、下請法に関する講習会又はシンポジウムに積極的に参加するよう努めるとともに、「型取引の適正化について」附属資料「型の取扱いに関する覚書」や「知的財産取引の適正化について」附属資料「契約17 書ひな形」、「労務費の指針」別添「価格交渉の申込み様式」をはじめとする、価格交渉その他の取引適正化に関するハンドブック、事例集等の活用を推奨する。また、下請事業者は、下請かけこみ寺における窓口相談又は弁護士相談、価格交渉支援に関するセミナー等を活用するよう努めるものとする。 附 則 1.この基準は、令和6年3月25日から施行する。 2.令和4年7月29日付け20220722中第2号は廃止する。