De・DNA(脱 DNA)プロジェクトは、クライオニクスの研究、
及びターミナルケアを含む実用的なクライオニクス事業の実現を
目指しています。
具体的には、クライオニクス実用化へのあらゆる問題に対処していくため、
生体組織になるべくダメージを与えないクライオニクス技術の基礎的研究を
行っています。
また、本プロジェクトでは、社会的な啓発活動、ホームページや関連書籍の
出版、その他のメデイア活動を通じて、さまざまな情報発信や意見交換の場
を提供しています。
クライオニクス論の紹介(抜粋)
脱・DNAプロジェクトは、実用的クライオニクスを実現する先端科学技術の開発と、クライオニクスを合理的に受容できる社会の構築を目指した新しい人間の生き方を提唱しています。そのホワイトペーパーは、『クライオニクス論 ―科学的に死を克服する方法― 要約版』に示されていますので、是非一度お目通し下さい。
クライオニクス論の本文第3章より
私たちの魂を保存する現代の科学技術
De・DNA(DNAの支配から逃れた脱DNA)としての人間は、本来封じられていた個体としての存在意味を求めるようになりました。De・DNA(DNAの支配から逃れた脱DNA)にとって、生きるために必要な情報はDNAの遺伝情報だけではなかったのです。個体の存在を規定しているものは、脳の中に形成されたユニークな世界像であり、記憶という形で保存された経験情報の束です。ここでいう経験情報とは、生体構造と一体化したものであって、その実体は脳の中の神経ネットワークによって保持された有機的な生体構造のことです。人間の魂は、後天的に形成された複雑な神経ネットワーク構造に収められており、個体ごとに固有のものである以上、他の個体では決して再現することはできないのです。
私たちはこれまでほとんど何の躊躇もなく、死んだ後の身体を火葬や土葬などによって無分別に破壊してきましたが、それは取り返しのつかない重大な誤りであるかも知れないことに気がつく必要があります。私たちは、個の存在についてもっと慎重に扱うべきであり、その終わり方について、もっと真剣に考えなければならないのです。何よりもまず、脳の中にある神経ネットワーク構造を破壊すれば、私たちの経験情報は永遠に失われ、魂の永続性は現実として閉ざされてしまうことを問題視すべきでしょう。未来の人類が人間の歴史を見返したとき、彼らの目には、生体構造を無分別に破壊する火葬や土葬のような行為が極めて稚拙な行為であり、個体の存在を踏みにじる野蛮な風習のように映るかも知れません。
私たちはDe・DNAとしてユニークな存在であり、「個として生きる」ことを目指すのであれば、個体の尊厳を守る手だてを早急に打つ必要があります。それを端的に表現するならば、クライオニクスによって神経ネットワーク構造を保存したまま埋葬するということです。個体の尊厳を本気で守るのであれば、死後の遺体を無碍に破壊するのではなく、価値あるものを保存しようとするのが本来のあり方のはずです。つまり、クライオニクス論とは人間が死んだ後に行われる埋葬方法を根本的に見直すことを提唱するものです。クライオニクスの実用化に際しては、迅速に行わなければならない精度の高い前処理を考えると、現在の葬儀場のように、クライオニクス処理が確実に遂行できる環境を整えていく必要があります。このような新しい埋葬文化は、個体が不死となる世界を作り出すものではありませんが、個体の死に対する考え方を根本的に変革していくことになるでしょう。