Research
研究紹介
研究紹介
当研究室では、デジタル技術が脳と心に及ぼす影響の解明とデジタル技術を活用した診療・支援モデルの開発を柱に、ゲーム行動症をはじめとする多様な精神疾患、産業メンタルヘルス領域までを視野に入れた学際的研究を推進しています。
当研究室は、行動嗜癖の一種であるゲーム行動症(Gaming Disorder)の神経基盤の解明を目指しています。MRI・fMRIをはじめとする脳画像解析と行動データを統合し、
・脳構造的・機能的変化の定量化
・新たな診断バイオマーカーの探索
・将来的な治療ターゲット候補の特定
を進めています。さらに、スマートフォン過剰使用やインターネット依存などWHO未認定の周辺問題も対象に、デジタル行動嗜癖全体の理解と介入法の開発を視野に入れています。
ゲーム行動症の発症状況や関連要因を把握するため、複数の集団を対象にした調査研究を進めています。生活習慣や心理社会的背景など多面的なデータを収集・解析し、発症リスクの理解と早期介入につながる知見の蓄積を目指しています。
スマートフォンアプリを活用し、ゲーム行動症患者の診断補助と治療支援をリアルタイムで行う臨床研究を推進しています。行動ログや自己記録、ウェアラブルデータを組み合わせ、症状変化を高精度に捉えることで、個別化治療や早期介入につながる新たな診療モデルの構築を目指します。
産業現場でのメンタルヘルス支援を自動化するため、ストレスチェックや認知行動療法(CBT)を搭載したオンラインシステムを開発中です。従業員が日常的に利用できるアプリを通じ、評価から介入まで一貫したサポートを提供し、労働生産性向上とメンタルヘルス不調の早期発見を両立させる仕組みを探究しています。
入院・外来を問わず幅広い診療現場で利用可能な、デジタルツインの概念を応用した医療支援システムを研究開発しています。IoT機器やスマートフォンアプリを通じて取得した行動・睡眠・服薬などの多様なデータを統合し、患者の状態を多角的に把握。これにより医療スタッフは診療計画や安全管理を効率化でき、患者自身も自身の健康状態をリアルタイムに確認し、生活習慣の改善や治療への主体的な参加がしやすくなります。スタッフと患者が協働できる次世代のデジタル医療モデルを目指しています。
eスポーツに関する既存の国内外文献を系統的にレビューし、長時間プレイによる身体・精神的影響や健康リスクに関するエビデンスを整理し、得られた知見を基に、安全にeスポーツを楽しむための健康管理ガイドラインの基盤となる科学的根拠を構築し、競技団体や医療機関による実践的指針づくりに貢献します。