ネット依存、スマホ依存、ゲーム依存・・・
ICD-11やDSM-5では「ゲーム」だけが疾患として認定されています。
そのほか、ゲームはしないけれど、動画をずっと見ている、SNSをずっとやっている、その結果社会生活に支障をきたしている方がいらっしゃるのもまた事実です。
当院では、ゲーム依存(ゲーム行動症)をメインにしつつも、電子機器コンテンツ利用によるコントロール障害、生活の中心的利用、生活や健康に支障が出ても使用し続ける方々を、包括的に診療しています。
ただし、ギャンブル障害(金銭を目的とした電子機器の利用)や、強迫的性行動症(マッチングアプリにより不貞行為を繰り返す方など)買い物依存(ネットショッピング目的での利用)は対象としておらず、関連病院をご紹介しています。
©Nanase Kobayashi
そんなに重症じゃないけど受診していいの?
ゲーム行動症は若年者ではより進行が早いことが知られており、より早期での介入が重要です。しかし、当院の外来は平日日中のみとなっているため、学校や仕事に通いながらの通院はやや不便かもしれません。そのような場合は関連のクリニックでご相談に乗ることも可能です。
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本人に治療意欲がない
依存症は「病識がない」つまり自身を客観的に見て、問題だと感じることや、問題を軽視してしまうという特徴があり、これは依存症の症状の一つでもあります。
本人の問題意識を確認しながら、少しずつ生活を振り返ることができるように促し、変わるための気持ちの準備をしていく。この階段を少しずつ登っていく必要があり、そのためには「強制的な治療」ではなく「自ら気づき、変わる意欲をもつ」ことがとても重要です。診察や治療プログラムはそのきっかけを提供することを目的としています。その変化には重症であればあるほど時間がかかり、一般的には回復には半年から2年はかかると言われています。
強制的な治療は本人との関係が悪化し、かえって問題を悪化させてしまうこともあります。
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診察では何をするのか?
ネットやゲームに依存してしまうのは、単にゲームが楽しい、という理由だけではありません。問題は「ゲーム以外に楽しめることがない」というゲーム以外の部分に問題が隠れていることがほとんどで、その背景には精神医学的な疾患であるうつ病、不安障害、神経発達症(自閉症スペクトラムや注意欠陥多動症)、友人関係や学業不振、家族関係での不適応による適応障害、睡眠障害などがあります。これらを、診察や心理検査で丁寧に紐解いていきます。
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