Active Textile

Active Textile—Square
上條陽斗、木島凪沙 2022
Haruto Kamijo, Nagisa Kijima

Active Textileは予め張力をかけておいた布にラミネートフィルムを接着した後に、張力を解放して全体を収縮させることで曲面を作る手法です。平面から簡単に曲面を得られる点が特徴です。

ここでは例として正方形を用いたActive Textileの制作過程を示しました。—上條陽斗、木島凪沙

関連研究発表:上條陽斗、木村正子、木島凪沙、仙福孝太朗、舘知宏 「ラミネートフィルムを用いた曲面テキスタイルの設計と製造」 4DFF2022

Active Textile—Cube
上條陽斗、木島凪沙 2022
Haruto Kamijo, Nagisa Kijima 2022

Active Textileはラミネートフィルムの座屈を用いて曲面を作っているため、座屈の分岐によって鏡映対称な二通りの応力が等価な状態を取ることができます。このように構造物が二つの状態で安定した状態を持つ性質は“bi-stability”と呼ばれます。

本作では正方形を敷き詰めたActive Textileを多層に重ねて頂点を固定しました。各層がbi-stabilityを持ってフリップすることで、全体が畳まれた状態から立方体に展開した状態までを行き来するmulti-stabilityを持つ構造が得られました。

原案は田崎祥、足立航人との協働により生まれました。—上條陽斗、木島凪沙

一つ一つの層がbi-stabilityを持ち、それらがn個直列連結されていると、安定状態は2のn乗個となります。均一に引っ張っても同時には展開せず一つずつ順番に展開しますが、その順序は予測はできません。どの順序で展開するか、どの順序で畳まれるか、行きと帰りの順序は同じかどうか、などを観察しても面白いでしょう。 — 舘知宏

Active Textile—Moiré
木島凪沙、上條陽斗 2022
Nagisa Kijima, Haruto Kamijo

Active Textile を2枚重ねると、もやもやとした波のような模様があらわれます。

これはモアレ、または干渉縞と呼ばれ、周期的な細かい模様が僅かにずれて重なることにより起こる現象です。Active Textileでは、メッシュ状のチュールが曲面として立ち上がることにより、2枚のチュールの距離が場所によって変化してずれが生まれます。

本作では、正六角形から正方形に徐々にパターンが変わるタイリングを用いてActive Textileを作製し、鏡に映すことでモアレを生じさせました。モアレは敷き詰めパターンや鑑賞者の視点に合わせて揺れ動きます。— 木島凪沙、上條陽斗

ラミネートフィルムで作られた四角形ユニットに着目すると、チュールは縮むのに外枠が長さを保とうとして自律的に鞍型に変形します。鞍型のユニット一つに着目すると、どちらの対角線が盛り上がるかで二種類のモードを取りえますが、隣接するユニット同士が互いに影響しあうため、すべてのモードが結晶のように揃っていきます。しかし、Moiréでは場所によってユニットの初期形状が少しずつずれていることによって、領域によって異なる結晶構造を好むようです。よく見ると、その境界である「結晶粒界」を観察することもできます。 — 舘知宏