空気膜パウチは、デザインされたパターン紙を包装用ナイロンポリに挟み、高温と圧力の条件下で作成されます。この正方形のユニットは、4つのパウチから構成され、最もシンプルな構造ですが、空気を充填すると平面的なパターンから立体的な鞍形状に変化します。空気を入れると、パウチの太さ(直径)が減少し、このユニットが平面状態から変形する原因となります。この変形に伴い、ユニットは双安定性を持つようになります(一つのユニットに対して2つの安定形状が存在します)。こうして多数のユニットを連結することで、変形可能でプログラム可能な曲面を作成することができます [Zhang et al. 2023]。— 張一葦
この構造体は、空気パウチのインフレーションによって収縮するモーター「パウチモーター」[Niiyama et al. 2015] を平面上にパターニングしたものと考えることもできます。収縮のパターンが平面に収まらないため面外への分岐座屈が起こります。このようにして平面を脱した構造は平面を境界にして二つの安定状態を持つため双安定構造になります。相安定のユニットを敷き詰めてを並べるとそれぞれのユニットのオン・オフの組み合わせでさまざまな形状が作れますが、すべての組み合わせのパターンを作れるわけではありません。— 舘知宏
Yiwei Zhang, Tomoya Tendo, Tomohiro Tachi, "Modular Design of Multistable Pneumatic Structures From a Flat Pattern of Air Pouches", Proceedings of the IASS Annual Symposium 2023Niiyama, R., Sun, X., Sung, C., An, B., Rus, D., & Kim, S. (2015). Pouch motors: Printable soft actuators integrated with computational design. Soft Robotics, 2(2), 59-70.photo:Choku KIMURA