身の回りの人工物やの自然の中にはしわしわやひらひらが遍在しています。いずれも平面的であったり緩やかに曲がっていたものが、急に波状の細かな繰り返しパターンを持ち始める「座屈」現象によって引き起こされています。
しわしわは、紙のように薄い材料を縮めようとするときに引き起こされる分岐座屈です。材料は実際には縮まずにシワを寄せることで「実質的な縮み」を生じます。狭い場所で成長しようとする生体の膜にも同様のパターンが現れます。このようなしわしわは身の回りの薄膜、材料、衣服、食べ物、人体、昆虫など様々なところに見られます。
ひらひらは、伸び縮みの率が面内で指数関数的に変化する場面で生じます。面の中心から縁にかけて成長率が 増加しながら成長する differential growth(偏差成長)では、成長率の勾配によって生じるひずみが最終的に平面内で適合できなくなることによって面外変形が引き起こされ、ひらひらとした曲面形状が自己組織的に生成されます。
ここでは、しわしわとひらひらを採集したり生成する試みを行っています。関連して、薄膜が引っ張られて脆性破壊を起こすひび割れも採集しています。
しわしわの生成をシミュレーションで生成しています。現れるしわしわパターンと構造的な折紙テセレーションは類似しており、シワの観察は機能的な折紙テセレーションの発見につながるかもしれません。— 舘知宏
differential growthの仕組みをシミュレーションし、ひらひらをつくりだしています。ここでは、円周が半径に対して双曲線正弦(hyperbolic sine)となるような成長を与えることで、半径を変えずに一定負曲率曲面を構成しています。ひらひらの個数が増加していきますが、新しいひらひらは外縁部から発生し内側に移動するように見えます。— 舘知宏
photo:Choku KIMURA