切り紙モアレ

切り紙モアレ
中村凪、岩瀬英治 2023
Kirigami Moiré
Nagi Nakamura, Eiji Iwase 2023

微細な切り込みを入れた切り紙シートを重ねた時に現れるゆらぎの景色を切り取りました。“七夕飾り” として慣れ親しんでいる切り紙構造ですが、実は単純に引っ張るだけでは中央部がくびれて歪んだ形状へ展開してしまいます。そのため、特に正方形に展開するような幅の広い形状は歪みなく展開変形させることが困難です。我々は微細な加工技術および引っ張り端部のつかみ方を工夫することで、歪みのない均一な展開変形を実現しました。本作品はこの展開手法を用いているため、微細でかつ非常に高い周期性が生み出すモアレ(:周期的な模様を重ねた時に生じる”ズレ”の模様)や偏光による色や見え方の変化を強く観察することができます。中村凪

早稲田大学岩瀬研究室ではキリガミ・オリガミをMEMS (Micro Electro-Mechanical Systems)へ応用する研究を行っています。引っ張って起き上がるというキリガミの性質はスケールに依存しないため、微細なスリット加工の解像度の限界まで細かい立体構造が作ることができます。— 舘知宏

本作品は,JSPS科研費22H04954 (基盤研究(S) 「切り紙構造が誘起する折り紙構造の学理創出とデバイス実証」)の助成を受けたものです.

photo:Choku KIMURA