・文献によって情報が違う。
大石天狗堂の前田俊行氏によると、任天堂の「大統領」がよく売れその後に日本骨牌の「大隊長」等類似の商標商品が販売された。当時商標登録は珍しかった[1]。と発言している。
しかし江橋祟氏によると「大隊長」の花札が当時市場で最も評価されていて、模造品を防ぐために大手の花札屋は明治二十年代から商標登録制度を活用していた。任天堂の「大統領」が人気を博したのは「大隊長」の後である[2]。としている。
熱い矛盾である。
何故こうなっているのか分からないが、こうした事例は日本の花札やトランプの歴史において頻出する問題で、圧倒的資料の少なさが原因になっていると思われる。
業界最大手の任天堂の社名由来すらあやふやなんだから、そりゃ花札やトランプの記録なんて残ってないわな(笑)といった感じだ。
私としては実際に家業を継承している前田俊行氏の発言を支持したいが、実業家が自分達の歴史に詳しいか、と言われると全くそうではないし、研究者である江橋氏の情報が誤りだとも思えないので、任天堂の記事では矛盾が発生しない形で記載している。
せめて「私の履歴書」か、ニンテンドーミュージアムで花札やトランプに関する任天堂側の見解が公開されていればよかったのだが…。
また、松井号の「新都の花」や任天堂の「都の花」の名称と明治時代に人気のあった山田美妙 の文芸雑誌「都の花」に何か関連性はないか調べてみたが何も見つからなかった。
・城が描かれたベトナムの花札。
神戸大学附属図書館デジタルアーカイブ
https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/np/search/simple/?lang=0&mode=0&kywd=%E8%8A%B1%E6%9C%AD
東▫︎地方に流行っている花札の模様に日本の城があり
我が南方の友仏印の横顔(1-4) (4)ずっと昔から隣組 第一頁飾る安部仲麿 6頁より引用
安南(ベトナム)の日本の影響に関する記事で日本文化の影響で花札に日本の城が描かれていると記されているのだが、私はこの様な花札の絵柄を見た事がないため気になっている。
探してみたがちょっと分からなかった。
現代なら会津花札の8月に城が描かれているため一致するものの、この時代には原型がないと思う。
花札に城が描かれることは珍しいので、完全オリジナルの図案だと思うのだが、はっきりしない。もしくは桜や水仙を城と言っているのか?
これを広めた?おえいさんが伊万里の出身との事なので九州の地方札なのかもしれない。
江橋たかし氏が運営するサイトが詳しい→https://japanplayingcardmuseum.com
1.吉海直人(2002)『インタビュー「大石天狗堂を訪ねて」前田俊行さんに聞く』「同志社時報」113pp54
2.江橋祟(2014)「花札」法政大学出版p247 吉海直人(2002)