菅江真澄映像

監督からのメッセージ


新年のごあいさつ 2003年1月

六か所村尾駮を行く真澄イメージ

六か所村尾駮を行く真澄イメージ

 明けましておめでとうございます。


 昨年は、『菅江真澄の旅』で明け暮れた1年でした。正月と小正月は雪に覆われた下北で過ごし、旧正月も岩手や秋田をまわっていました。今年は、うって変わって故郷の群馬県で、平穏な正月を送っています。

 思えば、真澄は47回の正月をよその土地で過ごし、各地の正月行事を刻銘に記録しています。恐ろしいほどの徹底した記録精神です。わたしも、記録映画の仕事を始めてから、仕事先で正月を送ることが多く、その度に故郷の家族に対して申し訳ないという後ろめたさを感じたものです。しかし、真澄の故郷を顧みない姿勢の徹底振りには、わたしなど足元にも及びません。真澄と故郷の間に何があったのか、書き残したものがないので分りません。でも、真澄は、三河の国にのこした父母については、痛切な思いを時々書いています。決して、家族への思いがなかったわけではないようです。

 昨年11月に、東京と秋田で『菅江真澄の旅』シリーズの刊行を記念して上映会が行なわれました。久し振りに観客の皆さんと作品を通して直接触れ合うことができて、楽しい時間を過ごすことができました。東京では、第1巻「真澄の生涯」、秋田では第6巻「秋田編」のそれぞれ1作だけの上映でしたが、他の作品も是非見たいという反応が寄せられ、作り手としてはうれしく思いました。ただ、全巻を見ると4時間半にもなるので、できれば、自宅のビデオでゆっくりご覧いただければと思います。と言っても、紀伊國屋書店では、今のところライブラリー用のビデオしか発売していないので、個人で購入するには値段が高すぎます。お近くの図書館などで買っていただき、それを借りて見ていただくしかないのが辛いところです。

 今年は、できるだけ上映会などを通じて、直接ご覧いただける機会を作りたいと考えております。山形県や群馬県で上映の準備が行なわれています。日程が決まり次第、お知らせ致します。

 今後の映像制作については、いくつかの企画が練られておりますが、もう少し具体化してからお知らせ致します。