宮島でのシカとのつきあい方
シカとの正しいつきあい方
宮島のシカは野生動物です~奈良から連れてきたものではなく,地域固有の個体群です.DNAを使った研究でも裏付けられています.
シカの暮らしや宮島の自然を守るため,1)近づかない,2)触らない,3)餌をやらない,の原則を守りましょう.
シカに餌をやらないというのは,広島県や廿日市市などの行政で決められたルールです.ルールを守りましょう.
餌付けによりさまざまな問題が生じます.市街地周辺にもイノシシなどが出て危険な状況です
個体数の増加とそれに伴う自然への影響~植物への被害や森林の天然更新の阻害,それにともなう土砂災害など
シカの行動パターンの変化~行動範囲や近親での繁殖,プラスチックゴミの誤食,人慣れすることで警戒心が低下し自動車への接近による事故など
感染症の危険性~感染症の蔓延,シカからヒト,ヒトからシカへの感染(人獣共通感染症)や,マダニを介した病気(SFTS:重症熱性血小板減少症候群)など
その他~間接的な他の動物(イノシシやカラスなど)の餌付けによる被害拡大,持ち込む餌とくにドングリや牧草が自然やシカに与える悪影響(遺伝的構造の破壊やプリオンの持ち込み),科学的に正確でない情報の拡散,ネット上での宮島の誹謗中傷とそれに伴うイメージダウン
餌をやらなくても野生動物にとっては問題ありません.むしろ餌をやることが自然にとって害になります
宮島の自然は豊かです.さまざまな種類の植物が多く生えています.シカはいろいろな植物を食べる植物食動物です.シカは時期や場所に応じて多くの植物から選択して食べていますので食料不足になることはありません.
それぞれの個体の生死は自然の営みの一部です.その地域の個体全体でも年による増減があるのが普通です.
絶滅の危機に瀕する生物種については,環境省はじめ行政が対応を行っています.
生態系や生物多様性のバランスを狂わせてしまい,場合によっては大量絶滅につながります.
ネット上では,行政や専門家以外から発信された情報については十分注意しましょう.また,情報源を示していない場合は情報源を確認しましょう.
よくある誤解やフェイク
よくある誤解として,以下のものがあります.
「餌が無いから植生に被害が出ているのだ」というものがありますがこれは大きな誤解です.シカは自然にある植物を食べて生活しています.宮島の自然は瀬戸内海でも希有な存在で,非常に植物が種数だけでなく量的にも豊かです.四季を通じてさまざまな植物を食べることができるため,シカがあれだけの数存在できているのです.食べるものが無ければそもそも存在できません.餌があっても人間が与える餌はシカにとって麻薬のようなものです.無理解な人間の与える餌は高カロリーであったり,シカの健康を害するものを含んでいるため,シカの健康を害します.また,餌付けをすることでその場所の付近に滞在する時間が長くなり,周辺の植生を何もしない状態よりも過剰に利用することになります.結果として,餌付けを行う場所の周辺の植生に被害が出てしまいます.
「ゴミを食べるのはお腹が空いているからだ」は,現場をほとんど知らない方がよく行う主張です.プラスチックというものは自然界には存在しなかったものなので野生動物には区別できません.シカは人の食べ物の匂いにも反応します.このため,食べ物の匂いの付いたプラスチック容器なども誤って食べてしまいます.また,餌付けをされている個体は人間が持ってくるものは食べることができるものが多いことを学習しているため,人が持っているものによく反応し,結果的に本来食べることができないものまで食べてしまいます.これらのプラスチック類は消化さず,胃などの消化管の中に残ってしまいます.プラスチックの量が多くなると,十分に栄養を吸収できなくなったり,最悪の場合死んでしまう個体もでてきます.このような状況をなくすため,シカに干渉しない(さわらない・餌をやらない・距離を保つ)というのが非常に重要です.
「餓死している」という根拠のない主張もありますが,フェイク情報です.現地でそのような個体は確認されていません.また,観光に訪れた方々が多くの写真を公開されていますが,これらをみてもそれに該当するような個体は確認できません.餓死するような状態の個体は腰の周辺の肉付きの状態などで確認することができます.
「餌がないから車に近づく」という主張もありますが,フェイク情報です.車からあるいは車の近くで餌やりを行うと,車に近づくようになります.実際,車からビスケットなどを与えている方がいることがわかっています.車に近づくことが原因と考えられる接触事故の危険もあります.
「栄養不足・餌不足で毛が抜けている/毛並みが悪い」というものがあります.野生動物は季節に応じて毛が変わります.宮島のシカも夏毛と冬毛で全く異なり,とくに冬毛から夏毛になる時期にはごっそりと抜けるほどです.毛の抜け替わりを知らない方もいるようですが,わざとウソをついて場合があります.季節に応じて毛が抜け替わるのは自然なことですので心配ありません.
「宮島のシカは奈良から連れてきたものだ」という主張がありますが,これを肯定する情報はありません.日本列島に分布するシカは生物学的にはニホンジカという種ですが,地域ごとに遺伝的に異なることが知られています.東西の集団の違いはとくに大きなもので,兵庫県あたりに境界があることが知られています.奈良のシカは東の集団に属する一方,宮島のシカは西の集団に属しています.また,宮島の集団は広島や山口の集団と近いものの,ある程度遺伝的に独立した集団であることが明らかになっています.これらを総合的に考えると奈良のシカと宮島のシカは別の集団と言えます.
「宮島の鹿は神の使い」という主張がありますが,宮島では神の使いはカラスです.嚴島神社の神事でもカラスが関係するものがあり,現在でも行われております.宮島の対岸の旧大野町にある大頭神社の説明でも同様の内容が記されています.参照:https://ogashira.jp/about/
関連するサイト・参考になるサイト
広島県環境基本条例 http://www3.e-reikinet.jp/hiroshima-ken/d1w_reiki/H407901010003/H407901010003.html
厚生労働省 > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康 > 感染症情報 > 動物由来感染症 > ダニ媒介感染症 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164495.html
プリオンについて:北米のシカを襲う“ゾンビ病”──異種間でも感染した謎の病気の正体とは https://wired.jp/2018/02/08/zombie-disease/
Save the Deer in MIYAJIMA ~宮島の鹿問題を考える~ https://miyajimadeer.blogspot.com/
#宮島の鹿 #世界遺産 #宮島 #厳島 #広島県 #鹿
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