エピジェネティクスとは?

エピジェネティクスとは?

人間の子供は「人間」、犬の子供は「犬」、ネズミの子供は「ネズミ」、多分みなさん当たり前のことだと思っていると思います。突然人間から「犬」が生まれたり、人間から「サル」が生まれたら吃驚ですよね。そして、少し生物を勉強したことがある人だとこの特異性は「DNA」と呼ばれる遺伝物質によって決定されていることは知っていると思います。ヒトであれば「お父さん」、「お母さん」から DNA を受け継ぎ、受精という過程を経て、1つの細胞が分裂を繰り返し最終的には約60兆個の細胞から出来た「人間」という個体が出来上がります。しかし、ここで疑問に思ったことはありませんか?細胞分裂は基本的には全く同じコピーを作ります。もともと1つの細胞から分裂を繰り返すということは、全ての細胞が同じ DNA を持っていることになります。ではなぜ、分裂を繰り返すと強大な大きな丸い固まり“○”にはならず、目は目に、鼻は鼻に、個々の臓器はきちんと規則正しく、正しい位置に臓器を形成し、きちんとした人間が出来るのでしょうか?つまり DNA の継承だけでは説明が付かず、その他に何か重要なものがあることを示しています。このように DNA 配列に依存せず、遺伝子の発現機構が何かしらにより調節され、個々の細胞の特性を出している、しかもこの情報は世代を超えて受け継がれていく、この現象を総称して「エピジェネティクス」と呼んでいます。一卵性の双子は全く同じ DNA 配列を持っているため、見た目はそっくりですが、よく観察すると性格をはじめ、いろいろと異なっている点があるのも代表的な「エピジェネティクス」の例の1つです。また、近年、後天性疾患をはじめとする様々な疾患が「エピジェネティックな遺伝子の発現調節機構」に起因することが明らかとなり注目を集めています。