SARS-CoV-2レプリコン
COVID-19の原因となるSARS-CoV-2の遺伝子はRNAウイルスで最も大きな、約30000塩基からなります。HCVの遺伝子が約10000塩基なのでSARS-CoV-2 は3倍大きなサイズです。このため、人工的にレプリコンの遺伝子を組み立てることが技術的に難しくなります。
HCVレプリコンの作成では、HCV陽性の感染者由来の血清に含まれるHCVを鋳型にしてRT-PCRによりレプリコンの遺伝子を作成しました。
SARS-CoV-2レプリコンは、2000-3000塩基のフラグメントを10個人工合成し、鋳型を一切使わずに組み立てる方法で作成しました。
レプリコンの遺伝子はプラスミドに組み込むことで大腸菌で増やす事ができますが、通常使うプラスミドでは20000塩基を超えるDNAを組込むことができないため、SARS-CoV-2レプリコンのDNAは細菌の人工染色体 (BAC)に組み込んであります。
レプリコンの構造領域の遺伝子はルシフェラーゼ遺伝子(発光する酵素)などに置換しているため、感染性の粒子は産生されません。