産業保健職の役割

「産業保健職の役割」の必要性

産業保健職は病院職員の健康と安全の確保するための専門職です。災害発生時において、病院職員には特有の健康問題が発生する可能性がありますので、産業保健職の役割をBCPに定めることで、災害時においても病院職員の健康管理の役割を有効に発揮できます。

具体的な健康確保施策の例:

・ 専門職(産業医、産業保健看護職、心理職など)の選任、外部への依頼

・ 専門職(産業医、産業保健看護職、心理職など)との面談

・ 専門職の相談窓口設置(産業医、産業保健看護職、心理職など)設置、啓発

良好事例1

4.2(ヘルスケア部門)

4.2.2(事業継活動における安全衛生管理)

BCPの発動後、ヘルスケア部門責任者は災害対策本部の各部門責任者が実施している事業継続活動を随時把握し、
労働安全衛生の観点から、二次災害などの危険性が高い復旧作業などを行っていないか、院内の衛生管理が徹底されているかなどの
確認を行うとともに、必要に応じて当該作業の中止や是正対応を実施させるなどの安全衛生管理を行う。

Point
多職種で連携しながら職員の健康を守る

良好事例2

担当部門:総務連絡班

必要時に、臨床心理室の所属員並びに職員それぞれが使用できるように、災害対策本部に、心理状態や対応に関するパンフレットや、患者・家族、職員の精神状態の把等に関するチェックリスト等の資料を設置する(72時間までに)。 

Point
臨床心理が中心となって、メンタルヘルス対策

良好事例3

6 心的サポート(DPAT)


発災後にPTSDや環境の激変による心理的障害が問題となることは明らかであり、対応時間が長引くほどそれらに対応するニーズは高まる。

当院は臨床心理士を配置していることから、精神科医と協同で対策チームの編成や、外部からの支援を求める。それによりカウンセリングや、気分転換を行うことを目的とする。即座の対応を求められることではないため、対応策を考える時間はある。また。心的障害は院内の医療者医療支援者にも起こりうるし、潜在的な強いストレスによる体調不良、作業能率の低下、行うべき行為のミスにつながる恐れがある。

事態が長期化する場合には、当院の対策チームにも限界があることから、外部からのサポートを受けることとし、対応を行う。


DPAT (Disaster Psychiatric Assistance Team)は全国の災害時における心のケア対応力の向上を目指しており(ホームページより抜粋),被災地での精神科医療の提供や精神保健活動への専門的支援を行っていることから、本チームへ都道府県を経由し、依頼することも視野に入れる。DPATは精神科医師(精神保健指定医)がチームにいることから、専門的な治療も行える。

Point
臨床心理士中心とした多職種連携による支援

良好事例4

6 平常時への移行(亜急性期、慢性期、中長期)

6.3. 職員や職員家族のメンタルヘルスや生活基盤の支援

大阪北部地震の経験でも、熊本地震等からの報告のなかからも、職員とその家族のメンタル支援の重要性が示唆されている。早期から部署長や同僚としてのお互いのメンタルヘルスチェックや積極的な交代制や休暇取得に加え、臨床心理士の専門的で定期的なコンサルトなどを企画して、相当の業務負荷を課したものなどは、本人が必要ないと言っている場合も、積極的に受けさせる機会を提供していく。これらは職員本人だけでなく、家族もサービスを提供する対象とすべきである。

臨時的な臨床心理士等の専門家の増員も必要となることも想定される。これらは、○○グループの支援や広域での公共機関による支援などに協力要請も一手段であると考えられる。

その他、ライフラインの長期間途絶、家屋の損壊があった場合、職員が業務復帰できるよう、避難所への案内や支援だけでなく、特に問題のあるものについては、敷地内にシェルターの設置、生活基盤回復のための資金的援助の方策など検討することも必要である。

Point
臨床心理士による専門的かつ定期的な面談

良好事例5

(3)職員の健康管理

①職員の過重労働防止

○職員の安全健康管理を最優先し、過重労働を避けるシフト表の作成、適切な労働時間管理、休日、休暇の付与を適切に行う。
 週に一日は完全休日の日を設ける。原則当直明けは12時までに帰するようにする。

○特定の職員(医師、看護師、事務担当等)に業務が重ならないように、業務のローテーションの工夫、複数担当者制などを検討する。

ひと月あたりの残業が60時間を超えたものは産業医の面談を行い、健康状態等へ助言指導する。

Point
残業時間に応じて産業医が面談を実施