<2020年度第4回研究会(通算第16回) Zoom オンライン研究会>
日 時: 2021年2月20日(土)10:00~12:00 講 師:矢島 宏紀 氏(昭和女子大学国際学部 )
テーマ: 「建国期アメリカの教会と政治―ヴァジニアの場合 」
要 旨:
本報告は、建国期のヴァジニアにおいて公定教会制とそれに対抗した教派の聖職者による議論に焦点を当て、初期アメリカにおける政治宗教関係についての研究整理と今後の研究展望を示すものである。当地の公定教会とそれに挑戦した他教派聖職者の思想をジェファソンやマディソン等の世俗指導者による議論と合わせて検討することで、一筋縄ではいかぬ建国期アメリカにおける寛容、信教の自由、政教分離論の一端を照らす。
講師紹介:
矢島先生は、植民地期・建国期を中心としたアメリカの政治、思想、宗教などをご専門とされています。現在は、独立に反対した忠誠派の思想の分析や、初期アメリカにおける自由と統合の問題を政治宗教関係から検証する試みを行っておられます。
<2020年度第3回研究会(通算第15回) Zoom オンライン研究会>
日 時: 2021年1月26日(火)10:30~12:30
講 師:北田依利氏(ラトガーズ大学歴史学部博士課程)
テーマ: 「親密圏と帝国:米領フィリピン・日本人植民者コミュニティの二世教育」
要 旨:
20世紀前半、アメリカ植民地政府と日本政府それぞれからの奨励により、日本人移民はフィリピン中に家族・コミュニティを築き、この植民者コミュニティは第二次世界大戦の終わりまで存在した。本報告は、コミュニティ建設の重要課題であった二世教育に焦点を当て、帝国主義下の教育(言語・同化政策をはじめ統治対象の管理)と移民コミュニティの教育(文化継承などコミュニティ存続への投資)の架橋の可能性を探る。日本人男性とフィリピン人女性の間に生まれた「混血児」の教育は在比コミュニティの関心事となり、混血児とフィリピン人の母親が問題化されていった。この過程で生み出された「母性」の問題を、雑誌記事や短編小説を用いて検証する。
講師紹介:
ご専門分野は、米国とアジア太平洋地域のジェンダー・セクシュアリティ、人種、移民、近代植民地主義です。米国ラトガーズ大学歴史学研究科に提出予定の博士論文 “Intimate and Intertwined Settler Colonialisms, 1903-1956 (親密で絡み合うセトラーコロニアリズム、1903-1956年)”では、米領フィリピンにおける日本人の植民の歴史とその遺産について、日本人植民者とフィリピン女性との関係に焦点を当てながら、米国と日本の帝国主義の相互補完的な発展と、セトラーコロニアリズムの歴史におけるジェンダー・人種・宗教の交錯を分析されています。これまでのご業績の詳細については、下記のCVをご参照ください。
https://rutgers.academia.edu/EriKitada/CurriculumVitae
<2020年度第2回研究会(通算第14回) Zoom オンライン研究会>
日 時: 2020年12月26日(土)10:30~12:30
講 師: 川口悠子 氏 (法政大学理工学部准教授)
テーマ: 「『新たな任務』としての放射能除染事業――ワシントン州ハンフォード・サイトにおける展示の考察」
要 旨:
ワシントン州内陸部に位置するハンフォード・サイトでは、1944年から1987年までプルトニウムが生産され、サイトは2015年にマンハッタン計画国立歴史公園の一部となった。本報告では、サイトの公開ツアーや近隣の博物館の展示において、サイトをめぐる歴史がどのように描かれているのかを探る。その際、環境汚染および健康被害など核開発の負の側面、とりわけ重要な課題となっている除染事業の扱いに焦点をあてる。
<2020年度第1回研究会(通算第13回) Zoom オンライン研究会>
日 時: 2020年9月8日(火)11:00~12:30
講 師: 増田 直子 氏 (中央大学文学部兼任講師)
テーマ: 「日系アメリカ人収容所の外から見た再定住 -チャールズ・キクチの日記を中心に-」
要 旨:
第二次世界大戦中に収容所に入れられた日系アメリカ人は1942年7月から 少しずつ西海岸以外の地域への再定住が認められた。本報告では、こうした
日系人の立ち退きや再定住の研究に従事しながら、自身も収容所からシカゴに再定住したチャールズ・キクチの日記をもとに、収容所の外に出た日系人
たちが、収容所に残っている人たちとの関係の中で、西海岸への帰還をどのように考えていたのかを考察する。