毎月主に第2金曜日にオンラインで開催しております
10/14(金) 15:30~17:00
浅尾 泰彦 (福岡大学)
小圏の圏の幾何学、圏の森田同値
アブストラクト:幾何学において「空間」をどのようにモデル化するかにはいくつかの手法が知られている(位相空間、単体複体、単体的集合、鎖複体、スペクトラムなど)。単体複体はトポロジーにおいて基本的な空間モデルであるが、そのface poset をとることで小圏と思うこともできる。小圏の圏では「Thomasonモデル構造」によって単体的集合と「同じ」ホモトピー論が展開できる(他にもあるらしい)。一方で「圏の森田同値」という概念があり、代数の森田同値の類似となっているらしい。森田同値不変量としてHochschildホモロジーがあるが、圏の森田同値は「圏のHochschildホモロジー」を不変にするのか。そうであれば、圏のHochschildホモロジーが導来関手となるような(森田同値が弱同値となるような)良いモデル構造が小圏の圏に入るのか。このようなことが気になっていますので何かご存知の方は教えてください。
11/11(金) 15:30~17:00
名取 雅生 (東京大学)
配置空間、Bott周期性、バルク・エッジ対応
アブストラクト:分類空間や一般コホモロジーの表現対象として現れる配置空間に興味があります。古くはMilgramによる分類空間の構成、Dold-Thomの定理、SegalのΓ-spaceの理論やSegalのconnective K-homologyなどに現れます。K理論の基本的な定理であるBott周期性の証明には1. 初等的なもの、2. 族の指数を使うもの、3. Morse理論を使うもの、4. Pontrjagin環を計算するもの、5. quasifibrationを使うものなど様々なものがあります。1. と2. に関係する別証明として、配置空間を用いたものが得られつつあるので、あまり詳細には立ち入りませんが、紹介したいと思います。これは物理のトポロジカル物性の分野におけるバルク・エッジ対応に関する考察の中で得られたものです。また、別の話題として、圏の分類空間とgraphical language(string diagram)の関係について気になっていることがあるので、その説明もしたいと思います。
12/9(金) 15:30~17:00
松本 遼河 (東北大学)
量子群の表現の圏化
アブストラクト:KhovanovとLaudaはKLR代数の射影加群の圏を用いて、量子群の半部分代数の圏化を行いました。
またWebsterは、KLRW代数の導来圏を用いて、量子群の可積分加群のテンソル積表現の圏化を行いました。
さらにDupontとNaisseは、dg-KLRW代数のdg導来圏を用いて、量子群のヴァーマ加群のテンソル積表現の圏化を行いました。
本発表では、上記の研究について私の理解していることと疑問に思っていることについて発表しようと思います。
また、時間があれば私の現在行っている研究についても発表しようと思います。
1/13(金) 15:30~17:00
野田 真沙衣 (信州大学)
Diffeology
アブストラクト:980年代初頭、Souriauは可微分多様体の一般化としてDiffeology を構成し、その構造はIglesias-Zemmourにより体型化されました。古典的な多様体の圏と異なりDiffeologyの圏は圏としての豊富な構造を持っています。(例えば余極限や極限を持つ、カルテシアン閉である等)この様な性質により多様体の枠組みで考察困難な対象もDiffeology において可能となる場合があります。近年では層の理論やQuillenのモデル圏の構造、スタックやGroupoidに関連した研究も進んでいる様です。当発表ではDiffeologyの概念の解説、及びDiffeologyの圏と可微分多様体や位相空間の圏との関連を具体的な形で述べていきます。
2/10(金) 15:30~17:00
景山 諒平 (東北大学)
単体的集合の高次ホロノミー
アブストラクト:可微分多様体に対し, その上のベクトル束と接続が与えられるごとに元の多様体の基本亜群の表現, すなわち基本亜群から一般線形群への函手が得られることが知られている. この表現はホロノミー表現と呼ばれている. これを基本亜群ではなく2圏やより高次の圏の表現へと拡張することが考えられており, その構成法の一つにChenの反復積分を使うものがある.
今回単体的集合上の積分と呼べるものを導入することで単体的集合の高次ホロノミーを構成した. 本発表では単体的集合上の積分を中心に単体的集合のホロノミーの構成について紹介する.
3/10(金) 15:30~17:00
堀内 遼 (佛教大学)
categorical spectrumの組合せ的表示
アブストラクト:一昨年くらいにStefanichは空間からスペクトラムを作るような操作の類似を(∞, ∞)-圏に対して行い、出来上がったものをcategorical spectrumと名付けました。そして去年Campion-Masudaはcategorical spectrumの良いテンソル積を定義しました。
一方、1963年にKanはスペクトラムの組合せ的な記述を与えました。それは今ではcombinatorial spectrumと呼ばれています。そしてBrownは1973年にcombinatorial spectrumのテンソル積を(up to homotopyで)定義しました。
この講演ではこれらの研究を簡単に紹介して、そこから自然に生まれる疑問を述べてみたいと思います。