拝啓
皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
本学会は、日々の実践を絶やさずに積み重ねている京都府作業療法士会会員が集い、ともに研鑽を積む機会として、毎年開催して参りました学術集会です。
この度、令和6年1月13日(土)に、「第9回京都府作業療法学会」をハートピア京都にて開催する運びとなりました。
学会長として、その趣旨をご報告させていただくとともに、ご挨拶とお願いを申し上げます。
対象者と私たちがともにする「作業」を、対象者の心と体、環境に馴染むよう、作業自体の意味や価値が変化することを前提に、私たちは「療法」として用います。コロナ禍によって“出かけること”や“集まること”の在り方が変わりつつある今だからこそ、現時点での結果だけに捉われることなく、対象者自身がその作業の意味を見出し、新しい価値に結び付けられるよう、作業療法士は一(ひと)手間を惜しみません。ときには、未来に向けてその場での一(ひと)手間を敢えて作り出すことすらあります。「手間」が真心として受け止められると信じて。
一方、暮らしの中で作業療法が紡ぎ出す契機の多くは、日常的であればあるほどささやかで、「それだけのこと?」として捉えられがちです。しかし、たとえ刹那的な瞬間であっても、作業療法士はともに喜び、癒され、糧とし、今日も対象者と向き合わせていただいている、そんなふうに私は思います。多様な人材がそれぞれの事情に応じて働き方を柔軟に選べるよう、費用対効果や時間対効果が重視される現代においても、誰かのためになる、ただそれだけのことで私は今日も動き続けることができています。そこにどれだけ手間を尽くしたとしても、働き以上の見返りを求めることはありません。それは、作業療法士としての志であり、覚悟の一つです。
未来を志向していくうえで作業療法士が大切にしている手間、そしてそれを支える覚悟とはなにか。その個別性や生活の中での比重が多様だからこそ、人ならではの援助法である作業療法は、困難や逆境にあっても希望になり得る、そのような思いを巡らせ、本学会のテーマを『手間と覚悟』としました。ともに学び、確かめ合ったことが、自他の生活に生かされ、ひいては社会貢献になることを願い、手間を惜しまないという覚悟をもって準備を進める所存です。本学会の趣旨をご理解いただき、ご支援とご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
(一社)京都府作業療法士会
第9回京都府作業療法学会
学会長 森 志勇士(訪問看護ステーション 開く)