話題提供 大浜 発言要旨
ご紹介いただきました大浜です。よろしくお願いいたします。
富士川の河川環境、その現状と課題ということでお話ししたいと思いますが、いくつかの項目に分けて進めていきたいと思います。
先ず、富士川の特長、二つめにこのようなことに至った経緯、状況の把握、これまで漁連で行ってきた濁りへの対応、そして現在の状況と今後の課題になります。
富士川の特長として3つありますが、先ず一つ目が非常に大きい土砂生産です。
これが山梨県ですけども、富士川の流域には一部長野県と静岡県がありますが、ほとんどが山梨県です。
その周辺には大きな山、富士山、北岳、間ノ岳と日本1位から3位の山があります。そこから流れ出す川は急峻な斜面を下っています。
実は富士川の西側には南アルプスがあり、毎年4mm隆起しています。これは日本で有数かと思ったら、世界でも有数の隆起スピードだそうです。さらにはその横に糸魚川-静岡構造線が走っている。正式には断層帯というそうです。まあ断層ですから、崩れやすい。崩れやすくて、盛り上がるということで、土砂生産が非常に盛んということになります。
土砂生産量が多いと、川へ流れ出す土砂の流下が多い。土砂の流下が多いということはやはり濁りやすい。このようにたまった砂が流れていくと。淵が埋まり、いわゆる釜が埋まる釜無川ということになります。
今回の話は富士川の支流早川、その早川へ南から流入する雨畑川があります。この雨畑川の話が中心になります。この雨畑川の流域には御池の沢といわれる崩壊地があります。山の向こう側には有名な七面山の大崩れがあります。
雨畑川の更に支流の稲又谷川には八潮崩れがありますが、今回の濁りに関しては、ここがかなり効いていると考えられます。
八潮崩れは、長さが1600m、幅が180m、深さが40mありますが、ここの所が令和元年に大きく崩れました。そして、これが現在までに濁りに大きな影響を与えてきたと考えられます。
特徴の二つ目水力発電。富士川水系の水力発電所は57カ所、最近増えてきた小水力発電所は28カ所。抜けているところがあるかもしれませんいが、非常に多くの水力発電所が富士川水系にはある。全部合わせると44万キロワットで小さい原発1基分もある。
富士川に中でも早川は、特に高度に水が利用されていて、広河原で取水された水は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、もう一回県外で利用されるので、9回発電に利用されている。その9回利用された水は直接海に放水されている。それは山が海に迫っていることによる。
この早川水系ですが、早川の流末の許可取水量は(毎秒)30トンあり、この裏の波木井の発電所で発電が行われているが、その際の維持流量は(毎秒)1トンでしかない。このように高度に水利用がなされている。
魚の関係ですけれども、野呂川の上流にはヤマトイワナという珍しい魚が、非常に高いところに住んでいるが、今回の話は富士川本流の中下流部で大きなアユが釣れる。いわゆる尺アユというやつです。
ちょっと古い平成8年ですが、釣り具メーカーのダイワというところが大鮎コンテストを行いました。大鮎コンテストは本州と四国九州ブロックに分けて行いましたが、本州ブロックは1位から5位まで富士川が全部占めている。10位までのうちでも8から9人は富士川でした。あまりにも富士川が多いのでそれ以降は中止になった。
アユが釣れる年は、おとり屋さんには魚拓がこんな感じで並んでいる。違うものも移っているがほとんどが尺鮎。
一杯獲れた平成21年は、28cm以上が一つのおとり屋さんで100尾以上釣れていた。全体では相当獲れていたと思われる。(グラフを)見てみると更にもっと獲れている年もあるが、実は獲れていない年もある。獲れていない年は、濁ったり台風が来たりして釣れなかったのであろうと考えられる。富士川の環境の特徴をよく表していると考えられる。
アユ釣り非常に楽しい釣りで、釣れるとなるとどんどん川の中まで入っていってしまって、人によっては命をなくしてしまうことさえある。
その釣りが近頃低迷している。アユ釣りの年券、日釣り券がちゃんと売れている漁協もあるが、特に富士川漁協は平成23年以降めっきりと落ちている。
アユ釣りでアユが釣れないのは、アユがいないから。アユがいない理由としてカワウによる食害、冷水病の発生、河川環境の悪化等が考えられる。
早川から流れ込む濁り、これがアユに影響を与えているということが考えられた。
私らもなんとなく気付いていたが、静岡の民間の会社が調査会社に社会貢献として富士川の河川環境、特にアユについて調査をしてもらった。
どういう結果が出たかというと、魚が少ない、特にアユの生息数が少ない。これの原因として濁水の長期化と遡上阻害が影響しているのではないか。
マスコミの報道が行われて、富士川死の川などという報道もあったが、この際に行政としての対応は何ら行われなかった。
その後、今日いらしている静岡新聞さんが令和元年1月1日に特集を開始して、それ以降いろいろなことが明らかになって来ました。
たとえば砂利の洗浄汚泥が投棄されていたり、若しくは凝集剤の毒性が問題視されたりしたのです。
さて、濁りの原因といわれる平成23年に何があったかといいますと、実は平成23年には10年に一度の出水があり、土石流が春木川と御池の沢で発生しています。平成24年にも、また御池の沢で土石流があり、これが関係しているのではないか(と考えられる)。先ほどいった令和元年の稲又谷でも土石流が出ている。
濁りの発生状況を何回か行って調べてみました。行くたび毎に状況が違うのですが、雨が降った後は、上流は澄んでいるが下流は真っ黒であったり、それも帰るときにはかなり違うという場合もありますし、上の方は澄んでいるけど(雨は降っていないのに)なぜかだんだん濁ってくる場合もあり、ここから濁っているという明確な場所はわからない、何の原因かわからない。また調査に行くときと帰りでは、同じ場所なのに濁り方がかなり違っているということもあった。
けれども、下流の雨畑川の合流から下流がやはり(いつも)濁っている。濁った雨畑川の上流には雨畑ダム湖があり、その上流に崩落地がある、このあたりが関係しているのではないか。
ということで(現地に)行ってみますと、雨畑ダム湖内には土砂が異常に堆積し、防災上危険な状態になっている。
雨畑川の支流の稲又谷川は濁りが継続しているし、雨畑ダムの(中では)土砂を搬出しなければならないということで、流路の中を重機がガシャガシャと掘っている。
実は同じようなことがあちこちで行われている。これとこれは稲又谷川、これは雨畑ダム、これは早川の本流。行く度に今日はこっち、明日はこっちということで、あちこちで(流路の掘削が)行われていて、先ほどまで綺麗だったのが濁っている。私らに言わせるとやりたい放題の状況であった。
雨が降ったときやはりは雨畑川も濁るし、早川も濁る。雨畑川の方が濁っているけれどもどちらも濁る。場合によっては早川だけ濁ったり、雨も降っていないのに雨畑川だけ濁ったりする。また両方澄んでいるときもある。
何(が原因)なんだろう
実はその時、平成26年から令和3年まで発電所の改修があちこちで行われっていた。発電所(の改修で)多分20年か30年間川に流れていなかった水が、今度川に流れてくることで土砂を巻いているのではないか。
また、発電用の沈砂池から排砂が行われているという実態がある。
西山ダムの写真、これは改修が目的ですが、毎秒40トンの水が来るとゲートを開けるということで、多分ここに何かたまっていたものが排出されている。
どれが原因なのかわからないが、礫河原に突如泥がたまる時があった。
泥が溜まることはおかしくないが、礫のところにこれだけ溜まるのはおかしい。
じゃあ濁りの原因は何なんだろうということで、私が行きだしたここ数年で言うと、自然的要因として特に大きかったのが雨畑川。上流の稲又谷川には崩壊地があり、その下のダムに堆積している。(これが大きな原因)というのが私どもの考えです。
この土砂が雨が降ると動き出している。
ただし雨が降らないときにも濁ることがある。これはやはり人為的要因なのでしょう。人為的要因として考えられるのが、雨畑ダムや河川改修の流路掘削でガシャガシャ掘る、これをやられると、それこそ濁る。
それから砂利採取の洗浄汚泥、ニッケイ工業は間違いないのですが、それ以外でも若しかしたらやっていたのかもしれない。
発電用のダムの排砂も間違いない。
発電用施設の改修も何らかの影響があったかもしれない。
さてどれが原因なのか?
影響が何なのか考えてみますと(直接的の物であれば)濁りの程度なのか、頻度なのか、それとも継続時間なのか。
もしかしたら直接(的なのもの)ではなくて、餌が減っているのかもしれないということも考えられる。
さらに(成分として)は、先ほどからいっている濁りなのか、それとも泥なのか、泥を含む土砂なのか、さらに凝集沈殿剤のような有害物質なのか、(これらについて)全部調べないと(その原因は)分からない。
原因を突き止めようとしたのですが、チョット難しいのではないか。時間でも場所でも(濁り・流量とも)変わってくるので、なんだか良く分からない。
(つまり、)人為的影響については、 複数の要因が関与しているので、原因特定は困難で、定量化ほぼ不可能と考えられた。
(そこで、)自然の現象に対しては対応困難ですけれども、人為的原因へは対処すべき。
原因を突き止めたいとやってきたのですが、チョット申し訳ないが、明らかに出来ないだろう。けれども濁りをなくすことは出来るのではないか、そこで、(濁りの状況を把握し、)関係者と連携して改善を図るということをやってきました。
これまでやってきたこととして、県峡南建設事務所身延支所は県の河川管理者ですが、河川巡視を強化してもらいました。それと同時に私たち漁業関係者と合同パトロールを行いました。砂利採取場とか脱水汚泥の堆積場、工事現場。若しくは砂利協同組合、建設業協会などに対し、濁りが出るとどのような影響があるのかを説明した。
それと同時に 関係者に対し次の事項を要請しました。県や国、関係企業に対し、濁り発生を抑止してください。また、砂利の洗浄汚泥を適正に処分してください。環境再生の協議会を設置して欲しい。
そして、これら活動をブログに掲載してきました。
現在のところの状況何ですけれども、濁っていない。特に稲又谷川が、これは、(雨畑)ダムにある発電所の改修が終わったので、水が(稲又谷川の濁りが出る部分)を流れない。いわゆるバイパスで下へ流れるようになった。
ダムの中でも流路を直接掘らなくなった。
幸か不幸か発電所が再開して、一番濁るところを水が流れない
ダム湖の中の状況ですけれども、これまで全体を掘り下げるため、先ず水路をガサガサ掘って居たのですが、それはやめていただいた。水路を掘るのであれば、先に掘っておいて切り回してもらう、その時には少し濁るかもしれないが、(短時間で濁りは収まる。)濁りが発生しないように作業工程が改善された。
これらにより、濁りの頻度と期間がかなり減少し、早川流域で約100mmの降雨があっても3日程度で澄む。泥が堆積する状況も、ほとんど確認できなくなった。
今年は大きな出水がなかったと言うこともあるが、改善傾向にあると言える。透視度が80cm以上ある日(の割合)が、増加している。
水生昆虫ですけれども、今日いらしている篠田さんが調査しているが、あの当時は非常に少なかった川虫も増加している。
そのようなことで、今年はアユが釣れている。1週間前の23日に27cmのアユが釣れている。
昔の魚拓のグラフになるが、日ごとに釣れるアルの大きさが上がってゆくが、この印が今回のアユと言うことで多分9月になれば、尺アユが12年ぶりに釣れるような状態になっている。
水産的課題ですが、濁りについてはかなり改善しています。ただし、堰堤で上りにくいという状況、発電用取水で川が減水している、砂の流下等々の問題がある。
引き続き県や国の関係者と連係して行かなければならないと考えている。
漁連の活動にご協力いただいた、県の河川管理者、富士川・早川漁協、山梨大の岩田先生、県立大の箕浦先生、地球研の皆様、関係企業、今回のきっかけを作っていただいた静岡新聞にお礼を言いたいと思います・・・・。
とここで終わるつもりであったのですが、
この活動を行って分かってきたことが幾つかある
水力発電・砂利採取、これは早川町の重要な産業で、これがなくなれば川は綺麗になるのだろうけども、持続的発展のために、なくすことは出来ない
山腹崩壊・土砂堆積にはすごい物がある、これに対するために災害防止と環境保全を進めていかなければならない。流域土砂管理を進める必要があるだろう。
河原には一部堆積した汚泥があるだろうし、リニア建設残土についてもどうするのか、これらの多くの課題に対処するためには、継続して流域の関係者が協議する仕組みが必要なのではないだろうか。
昨日の新聞に出ていたが、県と国と流域市町村と日軽金で、富士川中流域の河川の環境づくりに資するプロジェクトの会議がついこの間行われた。
また、国は維持流量を富士川に設定するといっている。
さらに、昨日静岡の芝川ではふるさとの川は今と題し、川づくりを考えるシンポジウムが開催されている。
(これら)行政組織とかつ流域住民が連係した流域ガバナンスの構築が望まれるのではないかと考えている。
この流域ガバナンスについては、この後に詳しく説明が行われる予定です。