付箋で記入いただいたものに回答を加え取りまとめました。(文責は実行委員会にあります。修正等が必要な場合にはご連絡ください)
参加したきっかけ・川への想い
Q:富士市四ヶ郷堰堤の魚道は何t/sでアユが遡上出来るのか?
A:「四ヶ郷堰の魚道機能評価」が公表され、詳細の結果が記載されています。ただし、流路が変わると魚道への流入量も大きく変化するため、一概に河川流量が何t/sあれば遡上できるとは言い難いところがあります。魚道の流量としては、隔壁越流部の水深が3~10cm、流速が1m/s以下であればアユが遡上しやすい状況といえます。
Q:十島下流の河川維持流量は毎秒何トンが望ましいか?
A:魚を含めた環境にとっては、流量全部が河川を流れることが好ましいとは考えますが、これは一方的な見方でもあります。検討すべきは、現行の維持流量が、代表魚種の体高×2倍の水深を根拠に流量が設定されるなど、その算出手法に問題が多いことです。現時点でも多くの関係者から理解が得られやすい、科学的な手法があるにもかかわらず、設定手法の再検討が行われていないことが一番の問題だと考えています。
〇 北海道ニセコなどは粉雪という資源を大切に守りスキーやスノーボードでオリンピックで金メダルを取る子が育ち文化が根付いた。川に水があれば地域の未来は変わると思う。
〇 天竜川・大井川・長良川に関心をもっており、富士川にも興味を持ち始めたので来ました。 なぜ!こんなに川をいじめてしますのでしょう!
〇 富士川舟運に関心があります。流域の人の交流に向けて川下りや関連したイベントなどを開催できればと思います。
〇 発電業(日軽)は放水量等を守っているのか
〇 濁りの発生要素の大きいものから対策を
〇 私は旧芝川町に住んでいてここ10年富士川が水が少なく昔と全然違う。地域の川の祭りもできない位水量も少ない。
〇 誰も富士川と触れあわなくなってしまった。昔の富士川に戻ってもらいたい。
〇 雨畑本村地区の住民です。集落が埋まってしまわないようお知恵を貸して下さりますようお願いします。
〇 2010年から富士川を拠点としてアウトドア業をさせていただくうえで、だんだんきれいさがよどんでいく中、もどかしさを感じていました。
〇 今年から静岡県側富士・富士宮区域で、ここ10年の見ることができなかったアユの群れを見ることができ、今後もよりきれいな富士川を多くの人に感じてほしく、この機会に勉強させていただきたかった。
〇 1997年に地域交流センターさんがZボートを持ち込んでからJC.商工会で2000~2008年富士川くだりイベントしました。川遊びが身近にできる富士川であってほしい
〇 「流域ガバナンス」の到達イメージが判然としません。
〇 流域全体のガバナンスが必要では? もっと広い活動にする必要があるのではないか? 様々なコンフリクトがあることも再認識する必要もあるのでは?
防災↔堰堤建設 利水(経済)↔環境レクリエーション
〇 特に水利用については上流から下流にかけての実態の把握(情報共有)が必要ではないか。「ある場所の取水の経済性の評価も含む」
〇 雨畑川~早川~富士川の様々なデータ分析に驚くと共に感謝いたします。
〇 富士川を支える支流の整備の有り方、魚道等
〇 岩田先生、大浜さんからのお誘い
〇 このワークショップへ参加すれば雨畑ダムの河川への影響について学べるのではないかと思って参加しました。
〇 河川については長期、本質的にみてどう持続可能な状態にするのか見出す必要がある。(個別の立場・利権の枠を除いて)
〇 自然要因だけでなく、人為的要因によって濁った水が、海に流れ込み、そこで生活している魚たちは私たちの体内に食事を通して入ってくる可能性がある。いずれ自分たちにも危険が及ぶことを頭に入れ、人為的要因による水質汚濁を減らせるように考えながら生活したいと思いました。
〇 ラフティングに興味持ちました。現状の情報確認
〇 富士川の最近の環境でどんなことが問題になっているか知りたくて参加しました。土砂について初めて知ることばかりで勉強になります。
富士川の河川環境(大浜秀規)への質問に対する回答とコメント
Q:取水・砂利採取は河川資源の切り売り、あるいは収奪です。受益者や事業者はその行為に伴う影響を最小にすべき。今はそのしくみがないのが問題なのでしょう。
A:ご指摘いただいたように、許可権者である国や県は基準に基づき判断しているものの、判断基準における環境影響緩和策が時代にそぐわなくなっているのだと思います。
Q:H24の台風による災害はS57年災の出水より中流域では大きかったことから、中流域では渓岸崩壊が多くなり河川ぞいが崩れることから、いつまでも濁りが収まらない状況も。
Q:濁りの件 川底に粘土のある土が沈殿、付着することで、水草や生物の状況はどのように変わっているのか。状況は違いますが、茅ヶ崎沖の海底などで沈殿したレジ袋等により海藻などがなくなって生物が少なくなっているため、同じようなことが川でもおこっているか知りたかった。
A:河川における食物連鎖の一つとして、川底の石に生える付着藻類を水生昆虫が食べ、その水生昆虫を魚が食べるという流れがあります。通常の出水時に流下する泥や砂は、流れの緩いところにたまるか、溜まらずに更に下流に流れていってしまいますが、人為的に流下した泥は石に付着し付着藻類を枯死させ、川底に堆積した砂は水生昆虫の生息場所を消失させ、その影響は魚類にも及び、従来の生物相を変化させると考えています。
Q:雨畑、稲又谷からの土砂は下流域にたまり続けていくのか?土砂がたまりコケがつきにくくなるのではないか
A:雨畑、稲又谷からの土砂の下流域への堆積物については、鷹野さんの発表にあるように富士川合流より下流における濁りの成分としては早川水系由来のものが多いものの、堆積物としては早川水系由来のものが少ない結果になっていることから、たまり続けるというよりは流れ続けるのかも知れません。今後継続的な調査が求められることだと思います。また、流量に変化がなく人為的な濁りがあった場合、ご指摘いただいたように河床に泥が沈着し付着性藻類の生育に影響を与えると考えられます。
Q:早川の濁りの原因について、人為的原因の特定は困難で定量化はほぼ不可能。としておられますが、どうして原因特定に向けてそのように消極的で居られるのですか?
A:特定の者による違法行為で濁りが発生していると推定された場合には、行政や司法の関係部局との連携した上での対応も考えていたのですが、そのような状況を把握するまでには至りませんでした。このため、濁りの原因特定から、濁りの発生抑制に目標を移しています。その結果、現在では濁りが発生する作業を行う場合、関係事業者が河川管理者へ事前に連絡するなどルール化が進んできており、原因不明の人為的な濁りの発生は殆どなくなりました。過去に違法行為が行われていた可能性はあると思いますが、濁りが発生していない現時点では、その特定は更に困難と考えています。このため、漁業関係者としては、現在の状況を維持していくことに注力することが、我々の事業目的に合致していると考えています。
Q:かつて大型のアユが名物となっていたが、他の川にない何が良かったのか。大型化する理由が富士川アユを復活させる重要な要素がありそう。
A:一般的にいわれているのは、水が盆地で暖まり、かつ、川が南流し日当たりが良いことから、他の河川に比べ水温の上昇が早いこと、また、日当たりが良く、栄養塩も十分に供給されているため藻類の繁殖が良いこと、白鳳石と呼ばれる表面が滑らかでアカ付きも良く、アユの食みやすい石が多いこと、竿の届きにくい淵があり大物が残りやすいことなどが挙げられています。令和4年度に尺鮎はでなかったものの29.5cmの大アユが十数年ぶりに釣れました。
Q:富士川に入れる道路駐車場を整備してほしい。現在、富士川に入るのに導入路がなく、遠くて行けない。釣りに行けない。
A:富士川は、他の河川に較べ河原へ侵入できるところが少ない河川です。ただし、上流から流れ着いた又は投棄されたゴミもかなり多い河川です。このため河川管理者がゴミの不法投棄を懸念して進入路を閉鎖することも理解できなくありませんが、今後関係者間で協議を進め、何らかの対策を講じることで川とふれあえる環境の整備を進める必要があると思います。
Q:河川工事業者への濁り防止啓発について、すばらしい取組と思います。富士川の濁りが上流側からの蓄積と思われる発生でしたし、ぜひ上流域からもこのような取組を進めていただきたいと思います。
A:皆様方と意見交換を踏まえて関係者と検討を進め、更に皆様方のご協力をいただきながら、富士川の環境復元を目指したいと思います。
Q:かつての富士川復活に向けて、関係者皆が折り合いがつく落としどころが見つかることを期待しています。そのためにこの取り組みが始まったことに感謝します。
A:皆様方と意見交換を踏まえて関係者と検討を進め、更に皆様方のご協力をいただきながら、富士川の環境復元を目指したいと思います。
Q:土砂や川の濁りは人間では管理できないと思います。災害の問題がありますが人口減少で空き家、空き地が増えると思いますので、より安全な場所の移動等考えてはどうでしょうか?地域の産業を土建から農業に変える方針はいかがでしょうか?
A:河川管理の新たな方法として流域治水が始まりつつあります。将来的には災害への危険度から土地利用の規制についても行われる可能性もあり、私たち地域住民の意見も踏まえた対応が期待されていると言えるのだと思います。
Q:今後、気候変動の影響で極端な気象現象が起こりやすくなる、と予測されていますが、土石流被害防止や再生可能エネルギー利用など各種ダムの役割も大きいと思います。バランスのとれた議論が進むことを期待します。
A:皆様方と意見交換を踏まえて関係者と検討を進め、更に皆様方のご協力をいただきながら、富士川の環境復元を目指したいと思います。
○ 本来の生態系を取り戻したい。
○ 近代化以前の富士川の下流部や早川の状況を比べることができるとよが難しそう(濁り、水質、水量、魚などの状況)
○ 砂防堰堤をつくることが目的になってしまっているように思える
○ 南アルプスの西側の河川と比べると砂防工事、ダム、取水、砂利取りなど差があって河の状況のちがいがわかるかも知れません。
○ 魚の増加は、やはり渓流や山の環境が良くなれば自然と増えていくと思います。また、増水時に魚達が逃げる(避難)支流を増やす(堰堤をなくす等)にも効果があると思います。
富士川の濁水の起源と河川生物への影響(岩田智也・鷹野真也)への質問に対する回答とコメント
Q:鷹野さんへ
雨畑ダムの上流・下流でSS濃度が変化しないのは、雨畑ダムの貯水容量が小さいからであって、ダム一般の傾向と異なるのは、このダム特有の事情では?
雨畑ダムの影響・早川の砂利採取のせいで、下流への礫の流下が少ないと考えられませんか?
A:(1)ご指摘の通り、雨畑ダムの貯水容量は堆砂により大きく減少しており、現時点では流入土砂はほぼ自然流下(スルーシング)の状態でダム下流へ流出していると考えられます。このようなダムによる土砂の貯留効果の減少が、雨畑ダムの上流・下流間で懸濁物質(SS)濃度が変化しない要因となっている可能性があります。一方、私たちのデータは、雨畑ダムからの土砂流出が濁りの原因であるとの懸念に対して、ダム下流でSS濃度が顕著に上昇しているわけではない(ダムが濁りの原因ではない)ことを示すものであると考えています。
(2)ご指摘の通り、雨畑ダム(他の河川工作物も)による土砂の貯留や河道の砂利採取が、富士川下流の河床堆積物の組成に影響を及ぼしている可能性は充分にあると考えられます。富士川流域全体で土砂収支を見積り、ダムや砂利採取の影響を評価する必要があり、今後の課題と考えられます。
Q:今なぜ濁りが話題に。どうして濁りについて行政の対応
A:2011年以降、富士川の濁りがきつくなり、時を同じくして河川環境の劣化やアユの個体数減少、川への産業廃棄物(汚泥)の投棄、駿河湾のサクラエビ不漁などの問題があらわれてきました。また、雨畑川の上流では山腹崩壊によりダムが土砂で埋まり、周辺住民への浸水被害などの影響が出ています。そのため、濁り(土砂流出)の原因と対策、環境影響が富士川に関わる人々にとって大きな問題となっております。濁りの発生には様々な要因が関わっており、行政も種々の対応をされていますので、河川管理者から話を伺う機会を設ける方向で検討していきたいと思います。
Q:岩田先生へ
環境DNAのデータについて。早川合流後(下流)で魚種が増えたのは、本流の影響と考えれば良いのではないでしょうか? 合流点よりかなり上流の様子を比較するとどうなのでしょうか?
また飯富橋~塩ノ沢は田園地帯の流域のように見えます。これより下流(南部橋より下流)は、また悪くなっているのでは?
A:早川の合流点前(飯富橋)と合流点下流(塩ノ沢)では魚種は16種から12種への減少しており、さらに下流の南部橋、蓬莱橋では7種に減りますので、濁りが魚類に影響を及ぼしている可能性はあります。また、ご指摘いただいたとおり、合流点下流(塩ノ沢)の河川水には、富士川上流域や支流(常葉川など)の水に含まれるDNAが混入している可能性もありますので、結果の解釈には注意が必要です。河川水辺の国勢調査等のデータを活用して、適切な調査地点を選定して比較していきたいと思います。
Q:濁りについて
低(少)水位の時のSSの成分に差はあるのか? 水の色が異なるようだが? 雨畑・早川-堆積しにくい 富士川ー堆積しやすい
A:低水位時と高水位時では、富士川下流の懸濁物質(SS)に占める雨畑川・早川上流・富士川上流由来のSSの割合に違いがありました。各河川から運ばれるSSは、流域の地質や植生などによって成分(元素濃度や有機物含有率など)が異なるため、水位の変化によって水(濁り)の色にも変化が出ると考えられます。雨畑川や早川由来のSSが堆積にしにくい要因については、粒度組成などから今後明らかにしていていく予定です。
Q:富士川が、日軽金放水路が、駿河湾に流入する色や、澄むまでの日数にも差があるので、どこから差は出るのか?
A:今回の話題提供では言及しませんでしたが、放水路から流出する濁水についても調査を行っています。放水路と富士川下流の懸濁物質(SS)のSr同位体比を比較したところ、両者に大きな違いは見られませんでした。そのため、放水路から流出するSS成分は富士川河口から流出するSSとほぼ同じであると考えています。一方で、雨による出水により富士川のSSの成分が変化しますし、雨の降る場所によっても、SSの供給源が変化すると考えられます。例えば、富士川上流域で強い降雨が発生すれば、茶色味を帯びた富士川上流域に特有のSS成分の割合が増えますし、早川流域で強い降雨が発生すれば、南アルプスに特徴的な灰色味を帯びた粒子が多く流出しているようです。このように、雨の降る場所やタイミング、懸濁物質の流出特性(流れやすさ)などが、濁りの澄み方や駿河湾に流入する際の濁りの色に影響しているのではないかと考えています。今後解析を進めながら、ご質問により詳細に回答できるようにしていきたいと思います。
Q:Srは食性の指標となりますか?
A:水に溶け込んだSrが生物に取り込まれるため、生物の体のSr同位体比は生息場所の環境を表すと言えます。耳石に含まれるSr同位体比を用いて生息履歴の研究が行われています。一方、生物の食性を知る上では、炭素・窒素同位体比を用いた手法の方がより多様な研究のツールとして確立されています。ご参考までに、私たち総合地球環境学研究所が運営しているホームページ「同位体環境学がえがく世界」(https://www.environmentalisotope.jp/)の中でそのような研究例を簡単且つわかりやすく紹介していますので、よろしければご覧下さい。"
Q:日軽金さんの榑坪の取水→発電→駿河湾へSS高濃度の水が駿河湾に直に行く? 排水前に十分に濾過を
A:日本軽金属の取水口から放水口にいたる河川水の導水経路と利用の詳細については把握できていない点がございますので、改めて確認をしたいと思います。
Q:岩田先生へ
流域ガバナンスへの考え方について
桂川・相模川では、山梨・神奈川了見で協議会を作り、流域ガバナンスの仕組み作りに1998年から取り組んでいます。多様な立場、思惑での課題共有や取り組みは、いろいろ苦労があります。共通の太陽とも言える物が必要と思うのですが、それを見つけてゆくこつなどアドバイスが欲しいです。
A:関係者が関心事を共有して活動を共にしていくことが重要であるとのご指摘、大変勉強になります。私がかつて参加していた研究では、住民との対話の中で流域の共通関心事が見出された例(地元の湧水や田んぼの生き物)がありました。富士川では、上流と下流をつなぐ生き物であるアユ、サツキマス、サクラエビのほか、濁り、水量、プラスチックなどはその候補になるかと思います。今後の対話の機会のなかで、見出していければと考えていますので、是非ご指導・ご協力をお願いいたします。
Q:底生動物は季節性があるので3月と10月を比較するのは、単純には難しい。モニタリングはどこかでされていないか? モニタリングは重要である。
A:ご指摘の通りです。モニタリングの拡充を要望していくとともに、過去に実施されたデータの発掘と整理、公開が重要と考えます。また、草の根レベルの調査も有効と考えますので、今後も調査を続けていきたいと思います。
Q:「濁りによる河川生物への大きな影響がないという意味ではない」県と国がいっている言葉と同じ。誰も責任を取らないようなむなしさを感じる。皆基準内という。じゃなぜ魚がいないのか? 昔と違うのか?
A:ご質問は自然科学の手法に関して、本質的なご指摘をいただいていると思います。濁りや水量の影響を評価する際には、統計学的な基準値(有意水準5%など)を上回る大きな変化が検出された場合には「影響あり」と判定することができます。一方で、統計学的に有意に違いが認められない小〜中程度の変化の場合には、「影響があるとは言えない」と解釈をせざるを得ません。そのため、発表ではご指摘いただいたような歯痒い説明となりました。現在の解析方法では、地域の皆さんが感じている河川環境の変化を捉えることができていないのかもしれません。魚の減少や昔から川が変わってしまったという声(経験知)が多くあげられていますので、それらを掬い取りながら評価する手法を試みていきたいと思います。
Q:甘(雨)畑ダムは、今後どおなるのか。
A:雨畑川上流域には世界有数の隆起・崩壊地があり、上流域には現在も大量の土砂が河道に堆積しているため、ダムへの土砂流入は今後も継続的に引き起こされると考えられます。これによる周辺住民への浸水・土石流被害や下流への影響が懸念されるため、日本軽金属は堆積土砂対策としてダム湖内の土砂の浚渫・移動・搬出をおこなっています。この堆砂土砂の撤去量を上回る土砂流入が発生すれば、雨畑ダムの堆砂量が再び上昇することになりますので、継続的あるいは根本的な土砂対策が必要です。また、撤去した土砂の搬出先の確保も大きな課題となっています。さらに、雨畑ダムでの土砂対策は、周辺住民だけでなく、下流や沿岸の人々の暮らしや、生物、環境にも影響が及ぶ可能性がありますので、流域全体でこの問題を捉え、今後どのように流域管理を行なっていくのかを議論しながら行政や日本軽金属と一緒に考えていくための枠組みが必要ではないかと考えています。このように、今後の雨畑ダムの行方は、行政、企業による施策・対策だけでなく、住民の声も重要になるものと考えており、そのための活動を進めていきたいと考えています。是非、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
Q:早川というたった一本の川からの土砂堆積が1割をきるのは、流域全体を考えると著しく少なくないのではないか? (富士川の濁水の起源の鷹野先生の??(発表)に対して)
A:今回お示ししたデータからは、富士川下流域における早川由来の堆積土砂は約1割(11%)と推定されました。ご指摘頂いたように、これは富士川流域に占める早川流域の面積割合(富士川ー早川合流地点で約17%)と比べると、ほぼ同じ、またはやや少ないと言えます。一方、富士川下流域の懸濁物質(SS)に含まれる早川由来のSSの割合は40~70%以上と流域面積に比して多く、早川由来のSSが富士川の濁りに大きく寄与していることが明らかとなりました。堆積土砂に含まれる早川由来のSSの割合(約1割)と合わせて考えると、早川由来の懸濁物質の多くは堆積することなく海に運ばれていると考えられます。説明が不十分でしたが、私たちがお伝えしたかったのは後者のプロセスでした(流れている濁り成分の多くが海に流出)。
Q:雨畑川由来のSSが堆積せずに海に流入しているかどうか、今後どのように調べて行かれるのでしょうか?
A:今後、SSと堆積物の粒度分布や元素濃度、鉱物組成等を分析して雨畑川由来の懸濁物の特性を詳細に明らかにし、検証できればと考えています。
川で遊ぶ、川で働く(大窪毅)への質問に対する回答とコメント
Q:ラフティングでゴミひろいでお世話になりました。見た目よりもゴミの多さに驚きました。ゴミの環境への流出をへらす啓発を進めていきたいですね
A:富士川のゴミの問題は、つまるところ流域に住む人々の川(地域の自然環境)への関心の無さの表れにも思えます。出来る限り関心を持ってもらえるような活動をしていきたいですね。
Q:2013年に初めて早川を見たときは、本当に澄んできれいだったのですが、今ではそのころが幻だったかのように濁ってしまったのが悲しいです。川の復活のために、一住民として出来ることがあるのか、何ができるのか知りたいです。
A:河川環境の悪化を知らない人、また知っていてもあきらめている人が流域に暮らす人の大半の様には思います。私たちがこの問題を誰かと話すこと、それ自体が一つの大事なアクションなのではないかと考えています。
Q:海岸等の漂着ゴミ調査に行くこともありますが、富士川流域はとてもゴミが多いといつも感じています。ゴミ拾いのイベント等ありましたら、もっと大々的にやってほしいです。是非参加したいです。
A:川のゴミ拾いは定期的には開催しているので、本流堂のHPやブログ等に告知します。
Q:漁協や釣り人、地域の方々でもゴミ拾いを細々でもしています。川が改善され釣り人が戻った際に、川館校でもめない対策を(話し合い)します。それぞれの趣味で対立する話を良く耳にします。
A:実は長良川でも、釣り人(漁協)とラフティングの事業者組合の間にはある程度の溝があるのが現状です。しかしながら両者の間には協定や取り決めが作られ、お互いに話し合いができる環境を作り、問題があれば解決させるための努力してきた実績があります。いきなり全ての関係者が納得できる答えは見つけることが出来ないものだと思うのですが、何もない富士川の現状から比べると、とても参考になる取り組みがあると思います。
○ 私たちの小さいころの豊かな富士川を取り戻し、後世に残すことができれば。
○ きれいな川を取り戻したい。そして人工物をなくして四万十川のようにしたい。
○ 大窪さんの川への想いが印象的でした。
○ ユネスコエコパークとしてどうかかわる。
○ 大窪さんの水量の話に共感
高度な水利用の影響を見るには、流域を通じての水量(流量)変化に注目すべきだと思います。上流から下流の流量の変化はどうなっているのでしょうか。
○ 藻類を減らすためには、取水を減らし水量を増やすこと以外にできる対策はないのでしょうか。