■学校名
宮城県名取高等学校
■代表者名
鎌田真由香(3年)
■他メンバー
佐々木怜(3年)、菅野陽大(3年)
■担当教員(指導者)
二階堂慧
馬の歴史で岩沼市を盛り上げたい!
−岩沼市の観光ルートへの「馬の歴史めぐり」の導入−
■作品概要
私たちの通う名取高校は岩沼市にある。岩沼市にも伊達政宗公騎馬像があることを知ったことをきっかけに、岩沼が馬と関わりがあるのではないかと仮説を立て、岩沼の馬の歴史について研究を始めた。その中で、岩沼は昔から交通の要所であり、旅の途中での馬の交代の場所であったことが分かった。また、江戸時代には各地の馬が竹駒神社前の馬市で売り買いされ、賑わっていたこと、明治時代になっても軍馬供給地として大きな役割を果たしていたことがわかった。そして、フィールドワークを行う中で、その歴史を伝える遺跡や、人の生活に馬が密接に関わっていたことを示す絵馬や馬頭観音像などが残っており、その歴史資源を観光に生かせないかと考えるようになった。具体的には、岩沼市を観光に訪れる人が馬の歴史に触れてもらう機会を作るために、すでにある観光地に馬の歴史スポットを加えた観光パッケージのプランや、馬の歴史を含んだ1日周遊プランを考えた。
■探究の動機や目的
私たちは、歴史とまちづくりに関心のある3人で、地元の高校生として岩沼市で新しいことを企画したいと考えてきた。その中で、岩沼市には竹駒神社や馬事博物館などがあり、馬と深い関わりがあるのではないかと考えるようになったのが研究のきっかけである。調べるうちに、岩沼には深い馬との関わりの歴史があることが分かった。しかし、市民に馬の歴史について発表したとき、そのことを知る人は少ないことに気づいた。このように岩沼の馬の歴史はとても魅力的であるが、その歴史的資源が埋もれているという現状をふまえ、それを観光に活用し地域を活性化していくべきではないかと考え、研究を行った。
■探究の方法や内容
岩沼市の学芸員や生涯学習課の職員の方にインタビューを行うことで、岩沼市の馬の歴史について助言をいただいた。また、助言の中で教えていただいた内容が本当であるかどうか検証を行うために、自分たちで市の図書館で文献調査を行ったり、実際にフィールドワークを行い、その遺跡がどのようなところなのかを確かめたりした。その中で、岩沼市は古代には交通の要所として玉前駅がある場所であり、そこは旅の中で馬の交代の場所だったことや、江戸時代には馬市があり、各地の馬の取引で賑わっていたこと、明治以降には軍馬の供給地として大切な役割を果たしていたことが分かった。
市の図書館でこのことについてのポスター発表を行ったが、あまり認識されておらず、歴史的資源としての馬の歴史が見過ごされ、活用されていないことに気づいた。この現状をふまえ、魅力的な岩沼の馬の歴史について知ってもらう観光プランを立てようと考えた。岩沼市は仙台市からも近く、訪れる人は多いため、その人たちをターゲットにした。具体的には、岩沼を観光に訪れる人に馬の歴史についても知ってもらうことを目的とし、すでに知られている観光スポットに馬の歴史スポットを「ちょい足し」した観光プランを複数立てた。
■感想と今後の課題
私たちは岩沼市にある名取高校に3年間通ってきたが、岩沼が馬の歴史と関わりがある場所だとは思ってもいなかった。その原因として、これまで、『奥の細道』の松尾芭蕉が訪れた「二木の松」や、アニメ「バクテン」のモデルとなった聖地であることなどが観光PRに使われている一方で、馬の歴史についてはあまりPRできていないことが考えられる。仙台空港が岩沼にあったり、仙台駅からも近かったりするため、それらの観光スポットを訪れる人は多く、そのような人たちに向けて効果的なPRをしていけば、馬の歴史を用いた観光による地域の活性化ができるのではないかと考えている。
そして、私たち名取高校は岩沼市との連携し、高校生の力で地域を変えようと取り組んでいる。実際、今年の3月に岩沼市の「新総合計画づくりのための高校生ワークショップ」に私たちは参加した。このワークショップの中で、若者の声を地域が求めていること、そして私たちが声を上げることで地域の未来を作ることができることを実感できた。今回の研究を通して、今知られている観光スポットに馬の歴史スポットを組み入れた具体的な観光プランを複数作ることができた。そのため、今後は岩沼市役所にこのプランについてプレゼンテーションを行い、観光PRに取り入れてもらえるように働きかけていきたいと考えている。
作品データ(発表動画)