■学校名
福島県立ふたば未来学園中学校
■代表者名
箱崎真香 (3年)
■他メンバー
なし
■担当教員(指導者)
佐々木路代、 松浦弘志
馬と共に生きる!
■作品概要
馬のことやサラブレッド、引退馬について知らない方たちに、馬について知ってもらえるようなプレゼンテーションを作成しました。
下記、プレゼンテーションの内容の概要です。始めに、200種類という多くの馬の品種が誕生してきたことも踏まえ、馬と人々は昔から共に生きてきたということを提示しています。
次に馬の品種の中でも特に耳にする競走馬(サラブレッド)について、他の品種とは違う脚の細さについて説明しています。1つの脚で125kg も支え走らなければならないということを伝え、サラブレッドの凄さを感じてもらい、走ることに特化したサラブレッドは特に脚の怪我や病気によって競馬を引退しているという現状を伝えています。そこから引退した馬は何処へ行くのかを考えてもうため99%という数字を提示し、この数字は競馬、馬術を引退した馬の殺処分率であることを知ってもらいます。そこから、何故引退馬が殺処分されているのかを詳しく解説しています。競馬から引退した馬は競争心が強く気性が激しい馬が多く、人間に恐怖心を持っている馬もおり乗用馬になりにくく、引き取り先が少ないこと、次に引退馬の養護費用が非常に高いこと、最後に競走馬を経済動物としか見ていない馬主がいることを例として挙げています。しかし殺処分されることによって生きることができる動物もいること、馬肉は動物園の肉食動物や犬のえさとなり、私たち人間の食卓に並んでいること、殺処分のすべてが悪いということではないという現状も同時に提示しています。
これらを踏まえて今まで行ってきた活動を詳しく説明しています。ただ話を聞くだけではなくスライドや動きも含めて内容を理解してもらい、発表を通して引退馬や殺処分についてどう考えてもらうかを大切にしました。
■探究の動機や目的
私は約3年前、幼稚園からの友人に乗馬クラブの少年団のお誘いをきっかけに少年団を通して馬に触れ合い始めました。少年団の主な活動は馬のお世話です。その後徐々に競馬にも興味を持ち始め、私の活動している乗馬クラブの殆どが競馬を引退した馬、「引退馬」だということが分かりました。また、引退馬の99%が殺処分されているということが分かりました。
初めは殺処分率を0%にすべきだと考えていましたが、調べていくうちに本当に殺処分をなくすことはできるのか、またはなくすべきかと疑問を持つようになり、それから私の探求は殺処分を0%にすることを目標にするのではなく引退馬の現状を知ってもらうきっかけを作ることにしました。
■探究の方法や内容
まず初めに川内村にて引退馬を引き取っているという「みどりのまきば」さんにお話を伺いに向かいました。この牧場では昼夜放牧という放牧を行っています。飼っている5頭のうち3頭は元競走馬、残りの2頭は馬術の引退馬でした。牧場主である黒澤さんは私と似たような経緯で引退馬の現状を知り、1頭でも多くの引退馬を救いたいという思いからこのみどりのまきばを始めたそうです。牧場にいる馬は2011年の東日本大震災を経験した馬だったり、殺処分される寸前だったところを引き取られた馬だったりなど様々でした。
次に葛力創造舎の代表理事長下枝浩徳さんにZOOMでお話をお聞きしました。葛力創造舎とは過疎化が進んでしまっている葛尾村の資源を使って事業を行い地域に再投資する仕組みを循環させる人材を生み出すことを目的としている企業です。そしてこの葛尾村は過去にサラブレッドを生産、農耕馬を飼っていました。まさに馬と共に生きていた村です。そして下枝さんは葛尾村に伝わる馬のお祭りを復活させたいとおっしゃっていました。またZOOMにて引退馬協会さんの代表理事 沼田恭子さんとお話を伺いました。競走馬はどのような経緯で殺処分されているのか、これから競馬はどうなるべきかをお話しした。関係者でなければ知ることができないことを聞くことができました。最後に南相馬市にある厩舎みちくさのオーナー渡部南さんと電話を通してお話ししました。渡部さんは海外に馬術を学びに行った経験があり、日本と海外の引退馬を含む馬に関する考え方の違いを詳しく聞くことができました。
■感想と今後の課題
ゲームの影響により競馬に対する印象が変わったという人が多いと思います。そんな競馬ブームが到来しているなかで、競走馬に興味を持つ人が増えています。その一方で引退馬に興味を持つ人が少ないという印象を受けました。インターネットで調べてもわからないことを直接関係者の方々とお話しできたのは大きな一歩だと思います。より多くの人に引退馬の現状を知ってもらいたいと思っています。
またふたば未来学園生と『引退馬の殺処分は0%にするべきか』という問いで話し合いをしたところ馬肉を必要としている動物や人がいるため0%にすることは難しいという意見が多く見られました。この話し合いを通して馬券から出た利益の一部を引退馬の支援に充てることができれば、1%でも殺処分を減らすことができるのではないかと考えました。
今後は下枝さんとの協力のもと馬と共に活動、宿泊できる『馬泊』を来年より進めていきます。具体的な内容は今後決めていきたいと思っていますが、普段自然と触れ合うことができない子供たちを対象に葛尾村の名所を引き馬で回ったり、葛尾村で採れた野菜で料理をしたりなどを計画しています。
馬と触れあい、共に活動してどう感じてもらうかを大切にしていきたいと思います。またホースセラピーなども取り入れ、より馬を身近に感じてもらいたいと思っています。
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