2020  浜松学芸高等学校芸術科

美術コース・書道コース作品展

 ~今に芽生ゆ~

書道コース

市川 千愛  ~Chiai ichikawa~

臨 曹全碑

隷書特有の右はらい〈波磔(はたく)〉を深みのあるものにしました。文字を扁平にしつつ、文字の重心が下がらないようにし、典型的な隷書の骨格を確かなものになるようにし、横画の書き方に留意しつつ作品を仕上げました。

白楽天詩

この詩は新秋の雨夜の状況を歌ったものです。全体を見た時に字間をどれだけ美しく見せられるかを研究しました。1年半学んだ隷書の魅力をこの作品に込めました。

臨 高野切第三種

仮名臨書がとにかく苦手で、時には大きな紙に普通の筆で書いて線の折り返しはどこにあるか確認しながら作品づくりをしました。線が震えて、弱い線に見えてしまうこともよくあり、筆も自分に合うものはどんなものか、などを考えながら制作しました。

本田宗一郎の言葉

若気の至りとは、若くて無分別であるためにしでかす失敗や恥のこと。シンプルな色使いにし、書風の力強さを存分に出せるように工夫しました。縦に2行の作品なので、中心がずれないように何回も書き直しました。

百人一首より

この歌は禁断の恋を歌ったものです。構成を考える時、文字の流れや空間の響きや間の取り方をよく考え、作品作りをしました。この作品のメインとなる「難波」という部分が目立つよう、字典から色々な形を取ってきて、納得がいくまで何度も組み合わせました。

李白詩

この詩は月を観て故郷を思う情を述べたものです。線が全て直線的で1文字でも斜めになってしまうとバランスが崩れてしまいます。画数の少ない字は扁平にし、画数の多い字は伸ばして全ての字の空間が均等になるようにしました。繊細な作品になるよう線をなるべく細くしました。

西郷隆盛詩句

耐雪梅花麗とは苦難や試練に耐え、それを乗り越えた時に大きく成長できるという意味で、西郷隆盛が妹コトの三男・政直のアメリカ海軍兵学校留学に際して贈った詩の一節です。縦196㎝の大きな板に得意な隷書で堂々とした作品にしました。

浦野 楓夏  ~Fuka urano~

空海「聾瞽指帰(ろうこしいき)」

空海が書いた特徴ある起筆と整った右上がりの線にひかれました。強さが出るように筆の押し込みを強くし、じっくり時間をかけて仕上げました。空海の書の中で最も有名な風信帖とは違い、入唐以前の書の持つ立体感や迫力を感じていただけたら嬉しいです。

日日是好日

日日是好日(にちにちこれこうにち)は禅語の一つで毎日が良い日という意味です。これは私が人生の中で一番大切にしたい言葉の一つです。書としての技法はもちろん、文字が作り出す表情についても研究しました。白墨がもたらす柔らかな雰囲気についても感じていただけたら嬉しいです。

臨 小島切

私は小島切を約2年間、自分が追求する名筆として書き続けてきました。筆の開閉がとても魅力的で伸びやかさと明るさのある作品なので、1本の筆でふり幅のある表現が出来るように時間をかけてゆっくり書いています。書道コースに在籍している私の集大成の作品であり、思い入れ深い作品になりました。

若山牧水の歌

私がこの作品で一番注目して欲しいところは作品全体のまとまりです。縦に真っすぐ流れていく文字の美しさや、アクセントになっている文字との調和など一つの作品としてのまとまりを表現できるようにしました。一つ一つの文字がバランスを保ちながら調和している魅力的な作品に仕上げました。

神龍

3枚の板を生かし、書と図像の龍が融合した迫力のある作品になったと思います。「神龍」は羊毛の筆を使って一画に思いを込めるようにじっくり時間をかけて書きました。金箔を使って華やかに仕上げられたのでとても存在感のある作品になったと思います。

宝容

「宝容」とは、貴重な体験で得たものを自分の心の中に納めるという意味の造語です。大きな印材を占める二つの文字「宝容」の「うかんむり」を安定させるため、角度やバランスについても研究しました。文字が放つ存在感を強調するため、ダイナミックに印刀を使って刻すことを意識しました。

北嶋 栞菜  ~Kanna kitajima~

臨 隷書張衡霊憲四屏

私はこの古典の迫力に圧倒され、書き込んできました。堂々とした雄偉な線質と、その中に見られる流麗さを表現するために形や深度、速度を意識して書きました。また、横画間にできる白の空間の美しさが際立つようにし、紙に刻み込むような横画とそれを支える縦画の調和を図りました。私が圧倒されたこの書の魅力が、私の作品を通して多くの人に伝わったらと思います。

杜少陵詩

少陵は杜甫の号。「詩聖」と評される杜甫ですが、彼の人生は壮絶なものだったそうです。そのことを知り、自分と重ね合わせた時にこの詩を見つけました。杜甫の詩は社会の状況を冷静に見る特徴を持ちます。穂先の効いた起筆・収筆、そして所々に見られる渇筆で人生の厳しさと冷静さを表現しました。

竜田川

「竜田川に降り散った紅葉が乱れて流れているようだ。もし竜田川を渡ったら、紅葉で織り上げられたこの錦は途中から絶ち切れてしまうだろうか」という歌です。竜田川の流れを表現するために、縦の動きの流麗さと筆の抑揚を意識しました。「紅葉で織り上げられた錦」をイメージした掛け軸に仕上げてもらいました。

臨 寸松庵色紙

美しい唐紙に、和歌1首が絶妙なバランスで散らし書きされている寸松庵色紙に惹かれています。行の傾き加減や余白の広さに神経を研ぎ澄ませ、作品全体に揺るぎない安定感が出せるよう努力しました。四季折々の自然もイメージし、落ち着きの見える作品に仕上げました。

晴耕雨読

晴耕雨読は「田園で世間のわずらわしさを離れ、心穏やかに暮らすこと」です。このご時世、コロナウイルスによって非日常の日々が続き、今後もまだまだ予断を許さない状況です。そんな時だからこそ、心穏やかに過ごそうという想いを込めてこの作品を刻しました。水中を風流に泳ぐ魚をイメージし、作品と一体化させました。

外山 実咲  ~Misaki toyama~

臨 石門頌

羊毛長鋒の筆を使い、のびやかなうねりのある筆運びができるように速度を変え、リズムをうつ感じで書きました。穂先まで神経をいき届かせるには、なかなか の集中力が必要です。渇筆の部分は、筆の面を変えながら、同じようなかすれならないように工夫しました。

黄庭堅詩

黒々とした墨の魅力を最大限に引き出すように堂々と落ち着いた線で書くようにしました。直線的で力強く肉太でどっしりとした線に注目して頂きたいです。左右の払いを鋭く、かっこよくなるよう表現しました。

臨 粘葉本和漢朗詠集

穏やかで落ち着いた和様漢字は行間を整えることでスッキリとし、バランスが良くなりました。肩の力を抜いて軽やかでゆったりとした線を意識しました。原本通りに紋様入りの料紙を使い、平安時代の王朝文化、王朝文学をよみがえらせる気持ちで書きました。

春の歌

文字に大小をつけ、文字と空間のバランスをとることに気を付けました。行の傾きを一定にして全体を調和させることや墨の潤渇、筆の入り方や抜き方まで意識して書きました。春の暖かな日差しが柔らかく輝きわたり、周りがほほ笑んでいる様な情景を是非想像してみてください。

わらひ

金子みすゞさんの詩です。木に刻していても、筆で書いた時のように墨量感のある文字の姿になるように工夫しました。背景は木目を生かしたところも特徴です。この詩の意味を知り、たくさんのわらいの花を咲かせていけたらいいですね。

飛泉挂碧峰

「飛泉挂碧峰」は李白の詩の一部で「緑の山に滝が飛沫(しぶき)をあげている」という意味です。赤と白が美しく映えるように何度も補刀し、一部に雅味を入れることで表情の豊かさを表現しました。デザイン性のある印となるようにメリハリをつけ、生命感と美しさとがあふれたものになるように心がけました。

千秋万歳

千秋万歳は長い年月や長生きを祝う言葉です。この先も家族が長生きであるように思いを込めて作りあげました。背景を暗めの色にすることにより、金色の文字が光輝いて見えると思います。とても迫力のある作品に仕上げることができました。

堀田 夏帆  ~Kaho hotta~

臨 呉昌碩臨石鼓文

呉昌碩の書には、深く黒い線から湧き出る力強さと重厚感のある生きた線に魅力を感じます。重心の位置や 起筆での勢い、骨格の確かさにこだわり、生き生きとして立体感のある作品になるように書き上げました。穂先の巻き込み方や深さ、速度、リズムまで徹底的に表現しました。

李白詩

上品で穏やかな作品を目指しました。1行の流れを際立たせ、5枚で一つの作品となるように工夫しました。筆の弾力を生かしながら横に広がる文字をゆったりと、縦の流れはリズムに乗って動きを出しました。雰囲気を統一させるために穏やかな気持ちを継続させ、楽しみながら書きました。

于謙詩

私は2年生の頃に、上品で淀みのない線に惹かれ、篆書を書き始めました。この作品は、深く押し込むように書く線と穂先をとおしてはっきり見せる線の二つの表情があり、それを楽しみながら書き上げました。上品さも残しつつ、黒々とした迫力で見た人をはっとさせるような作品を目指しました。集大成にふさわしい作品になったと思います。

臨 中務集

中務集の特徴であるキリッとした張りのある線が出せるように突き返しを強くしました。筆を沈めて書くところと穂先を使って繊細に書くところの区別を意識し、リズムよく勢いのある作品に仕上げました。また、の びやかで流れのある直線的な連綿を表現するため、何度も試行錯誤を繰り返しました。

秋の歌

「景色を目で見ただけでは、秋が訪れたのか、はっきりとは分からないが、風の音を耳にすれば、おのずからはっと秋の訪れを感じさせる。」季節の移り変わりはとても美しいと思います。その美しさを表現するためにシンプルな構成で自然な流れを意識しました。また2行目で大胆にかすれを入れ、変化をつけました。

白居易句

「飛んでゆく鳥を見ていると大空に消えてゆく。遠くから吹く風が襟元を掠(かす)めて心地よい。」自然の壮大な様子を篆書で表現し、迫力のある作品に仕上げました。柿渋と胡粉(ごふん)(貝殻から作られる、炭酸カルシウムを主成分とする顔料)で着色し、シンプルかつ穏やかな作品にしました。木の素材の温かみを感じてください。

韋応物詩

初めて多字数の印に挑戦しました。丸みがある清々しい線質になるように、時間をかけ補刀までこだわりました。中国清代の傑出した書家・篆刻家である鄧石如(とうせきじよ)風の丸みのある線に雅味を取り入れることで、伝統的で古典的な味わいと現代的な部分とを融合させました。

増和 陽菜  ~Haruna mashiwa ~

臨 呉譲之臨天発神讖碑

「牛鬼蛇神(ぎゅうきだしん)(怪しげで幻のような作風)」「篆(てん)(篆書)にあらず隷(れい)(隷書)にあらず」と言われている奇怪な 書を表現するために起筆を強く打ち込み収筆まで意識を行き渡らせたり、刻むように細かな渇筆を入れたりしました。文字の間に彩墨で線を入れ、空間を引き締めるように全体構成を工夫しました。

王文治詩

この作品では筆を二本使い墨の潤渇、運筆の緩急、筆圧の強弱に変化をつけ、様々な線質を表現することで立体感や力強さを出しました。文字の配置や行の中心を通すのに苦戦しましたが、3行がお互いに引き立て合い、まとまりのある作品になるように努力しました。

元好門詩

初めて隷書作品に挑戦しました。この作品では伸びやかな横画と横への動きを表現するために筆を細かく揺らしながら書き、平面的な線にならないように試行錯誤しつつ書き上げました。墨の潤渇が自然に感じられ、統一感とまとまりのある作品になるようにしました。

臨 高野切第一種

行の流れやすっきりとした線の上品さに惹かれ、臨書を始めました。この書の上品さ、格調を表現するために、ふっくらとした潤筆と食い込むような渇筆のコントラストを意識してゆったりと書きました。高野切の魅力の一つである、真っすぐな行がゆがんでしまわないように最後まで気を抜かず書き上げました。

四季の歌

四季をテーマとし、古今和歌集から歌を選びました。料紙(仮名用の加工紙)の大きさや形、配置を変え、散らし書きにすることで「自然」を表現しました。1年の四季の移り変わりを意識し、「春」から始まり「冬」で終わるように和歌を配置しました。この作品から日本の四季と日本特有の文字文化である仮名の上品さを感じ取って頂きたいです。

ブッダの言葉

この言葉は「友人とはどんな時もお互いに理解し、高め合い、支え合うものである」という意味です。私は高校に入学して、この言葉通りの素敵な8人の友人に出会い多くの経験をし、幸せで充実した高校生活を送ることが出来ました。この作品はそんな8人に感謝の気持ちを込めながら書きました。

舎近謀遠者労而無功

この語句は身近なところや今をおろそかにして、遥か将来のことばかりを考えることです。一字一字に枠を付け特徴的な印にしました。枠の太さや雅味に変化を付けることで一字一字を楽しむことが出来るように、草稿作りに一番時間をかけました。

雲外蒼天

努力して試練を乗り越えれば快い青空が望めるという意味の四字熟語です。力強く伸びやかな横画や払いが特徴的な爨宝子碑(さんぽうしひ)の書風で雲の向こう側に広がる青空を表現しました。刻す際には筆で書いた線質を残すよ うにして丁寧に刻しました。「蒼」と「天」の間にあ る丸い木目を生かすため、柿渋を使用したので綺麗な木目を味わって下さい。

鳶飛魚躍

この語句の意味は「全ての生き物が生まれ持った性 質に従ってその性質を楽しみながら自由に生きること、平和であること。」文字は天発神讖碑(てんはつしんしんひ)の書風で自然の偉大さを表現し、釣りが好きな父に沢山美味し い魚を釣ってきて欲しいという願いを込めて優雅に泳ぐ魚を表現しました。印を魚の形にし、細部までこだわったのでそこも是非見て頂きたいです。

増田 海音  ~Mion masuda~

臨 九成宮醴泉銘

九成宮醴泉銘は中学2年生のときから取り組んできた思い出深い古典です。今回は金泥墨(きんでいずみ)の細字で臨書を試み、高校生活での成長をこの1枚に託しました。端正な書風の魅力を引き出せるよう、一字一字を紙に刻みつけるイメージで丁寧に書くことを意識しました。立体感のある理想の作品像に近づいたと思います。

杜甫詩「丹青引贈曹将軍覇」

行草作品は苦手克服への挑戦でした。書き始めた当初から仕上げる段階まで各字の動き、各行の流れ、そして全体の調和に至るまで課題は多くありました。特に筆運びから空中動作を踏まえ、時間の経過を表現することに試行を繰り返しましたが、少しずつ技法を習得していく過程で苦手意識が薄れ、自身でも成長を感じました。

臨 針切

この作品は針のような鋭い線質から「針切」と名付けられています。高校1年生の後半からほぼ毎日練習を重ねてきました。鋭くも仮名本来の柔らかさを兼ね備 えた線質と呼吸が感じられようなリズミカルな筆の動きを追求してきました。

若山牧水の歌

針切の臨書を通して学んだ「行の流れ」「リズムの出し方」「線の出し方」を応用しました。また、同じ字が何度か重なるため、平仮名と変体仮名を使い分けたり、構成で雰囲気を変えたりして大人っぽい作品に仕上げました。

雲過知禅意泉流見道心

「雲過…」は雲が通り過ぎるのを見て、無我の境地を知り、水が流れる音を聞いて、正しい道を行おうと決意するという意味です。「泉流見道心」の各字を傾け、下の字が受け止めていくような構成にし、言葉の意味 とスタイルが調和するよう工夫しました。筆で書いた勢いとリズムを生々しく表現できるよう意脈や擦れの 部分を慎重に刻しました。

高詠詩

五言律詩を七行で構成するにあたり、いかに自然な余白を生み出せるかを考えました。画数の多寡で一行に入れる字数を変える必要があり、何度も草稿を練り直し納得のいく作品へと帰着しました。

山西 咲璃  ~Sari yamanishi~

臨 呉譲之 宋武帝与臧勅

私は、大人しい性格とは正反対の騒がしい性格です。この作品と出会うまでは、荒々しい行書ばかりを好んで書いていましたが、この作品の細くスラっと長い脚のような線にすごく魅力を感じ、自分らしさとはかけ離れた繊細で大人びた書に初めて挑戦した作品です。私の書いた他の荒々しい書と比べてギャップを感じてみてください。

鳳は、古代中国で徳のすぐれた天子の世に現れると伝えられている想像上の霊鳥(鳳凰)。その伝説の大きな鳥が優雅に羽ばたく様子をイメージし、自分が優れた才能を併せ持った人に成長したいという期待を込めました。未来に向かって羽ばたきたいと思い、紙面から一部はみ出すように大きく書き、この文字が紙から羽ばたいていきそうな勢いを出しました。

劉廷璣詩

この詩の途中に出てくる「秋成社鼓撾」は「秋の祭りの太鼓の音が聞こえてくる」という意味です。そのため、秋の祭りをイメージし、文字が何となく躍っているような感じがする帛書の書風にし、楽しみながら書いてみました。

高適詩

これは印篆という四角いスタイルの篆書を書いた作品です。篆書が得意になれたので、せっかくなら刻字で篆書の作品を作ろうと決心しました。四角形に全部の文字が整うようにし、古代色である藍染めの藍色をイメージして色を塗り、和風な感じにしてみました。

校訓

校訓を書きました。これを書こうと決めたきっかけは、高校で書道を専門的に学ぶことができる学校が東海地区で初めてできたのは浜松学芸高校だということを知ったためです。そんな貴重な場所で学んでいる証というか、私にとっては自慢なので、校訓を選びました。

臨 升色紙

升色紙は、全体的に細い線で流れがゆったりとしていて、見ているとなんだか気持ちが和らぐような作品です。字と字が重なり合っている所もあるのにごちゃごちゃして見えないのがまた美しいポイントの一つです。この作品を初めて見た時に大人しく優しい感じと思ったので、その印象を大切に書きました。

恋歌

高校入学後、2年の頃まで正直言って仮名の良さがイマイチよく分らず、中途半端な気持ちで取り組んでいました。3年生になって仮名の美しさに気づき、それをどう表そうかと何度も何度も締め切り直前ま 試行錯誤を繰り返し、やっと辿り着いたのが今回出の作品です。

剛健篤実

私は1、2年生の頃、篆刻が大の苦手でした。自信が持てず、線も形も不安定な作品ばかりで、褒められたことはほぼありません。このままではみんなに置いて行かれると思い、家でも練習をし、色んな人からアドバイスをもらいました。自分にも自信が付き、今回の作品を見てもらうとわかる通り、線が太く力強い作品に仕上げることができました。

吉原 美歩  ~Miho yosihara~

臨 光明皇后楽毅論

細い線の中でもメリハリがあり、抑揚のある線に惹かれて高2から楽毅論の臨書を始めました。一つの字の中に力強い線と繊細な線を表現し、作品に立体感が出るよう仕上げました。約1年間の集大成であるこの作品を通して、自分の成長を感じることができました。

楽道

楽道には、道を楽しむという意味があります。自分のこれから先の道が楽しいものになるように、この言葉を選びました。太く力強く表現する線や繊細に表現する線など、色々な線質が出るよう工夫しました。これまで篆書(金文)は書いたことがなく、今回初めてチャレンジし、一からのスタートで不安でしたが、リズム感と全体構成に注目してみていただきたいです。

『荀子』の語

人は道徳を師とも友とも思わねばならない、思いやりや命を大切にする心、くじけずに努力する心など人間が人間らしく生きるために必要なこの語句に惹かれました。作品に立体感を出すために文字に大小をつけ、北魏時代の楷書のスタイルを意識して書きました。大きな作品なのでなるべく離れたところから全体を見て、立体感を感じていただけたら嬉しいです。

臨 香紙切

香紙切は強い線の中にある大きな動きの連綿が美しい作品です。おおらかな部分だけではなくリズムよく素早く、小気味よく筆を動かす部分もあるので、それらの調和を意識して書きました。この作品を通して仮名の書のことをより一層知ることができ、もっともっと追求したいと思うことができました。

百人一首より

皆さんに馴染みのある百人一首の恋の歌を書きました。何枚かの扇を重ねて配置することで、よりまとまった構成になるように意識しました。同じ散らし方にならないようにし、文字の流れが出るよう工夫しました。それぞれの歌から恋の情景を想像しながら楽しんでいただけると嬉しいです。

高浜虚子の句より

高浜虚子の句から二句を選び書きました。やわらかい雰囲気を出すために普段使っている筆よりも柔らかい筆を使いました。短冊形の紙が6枚そろった時に、まとまって見えるようにするのが難しかったです。白牡丹と金亀子の各俳句からの情景を想像しながら見てください。

ミゲル・デ・セルバンテスの言葉

行動の中で感謝を示そう。この言葉に共感し、刻字作品にしました。大きな板に感謝と記し、その下に誰でも読める書体で言葉を刻し、馴染みやすい作品になるようにしました。刻字は労力のいる作業が多い分、達成感を感じることができました。大きなノミで刻したはつりの部分に注目して見ていただきたいです。

呉錫麒詩

高校で初めて学んだ篆刻の集大成となる作品にすることができました。字をデザイン調の枠で囲い、見る人も楽しめるようなものを意識しました。細い線を表現するのは大変でしたが、赤と白が上手く調和した納得のいく作品に仕上げることができました。

書道コース共同制作(共通課題)

和凧 

墨流しの技法で紙を染め、それぞれが想いを込めて文字を書きました。

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