国立市 講演会の内容詳細

国立市公民館 2021 中川 越 講演内容&演目(3回講演分)


●講演タイトル(仮題)

文豪たちの傑作手紙 部門別ベスト・スリー!

〈ユーモア部門・感動部門・表現の工夫部門・恋愛部門〉

●講演趣旨

夏目漱石は門下生に頼み事をするとき、ビスケットをかじりながら手紙を書いて、深い親愛を見事に表現しました。太宰治はたった4文字で、人生の欄外に置くべき哀しい情熱を印象深く伝えました。そして、青春のとき芥川龍之介は、輝ける未来を信じ、明るさに満ち溢れる溌剌とした手紙を、漱石に届けました。

――過去30余年間に10万通に及ぶ文豪たちの手紙に接した中で、私の心を大きく動かした手紙を、ユーモア・感動・表現の工夫・恋愛の各部門に分け、選りすぐった3通ずつを、やさしく読み解きながらご紹介します。


●講演内容

■ユーモア部門■

●第1回講演

第1位 「ビスケットをかじりて試験の答案を検査するに」 夏目漱石

第2位 「遂に大デブと結婚というはしたなきことになりました」 織田作之助

第3位 「一人でカーニバルをやってた男」 中原中也 

●第2回講演

第1位 「夫婦は親しきを以て原則とし 親しからざるを以て常態とす」 夏目漱石

第2位 「あんまりかわいいから人に見せたら丈夫そうだというのだ」 森鴎外

第3位 「わたくしほどえらい人には無之候あいだ」 芥川龍之介 

●第3回講演

第1位 「神経衰弱で死んだら名誉」 夏目漱石

第2位 「ハイ コンニチハ 何卒雑炊の味噌一かさ被下度候。ハイ サヨナラ」 良寬 

第3位 「此世をば どりゃお暇に線香(せんか)の煙(けむり)と共に はい 左様なら」 十返舎一九 

■感動部門■

●第1回講演

第1位 「今日からつくつく法師が鳴き出しました」 夏目漱石 

第2位 「山の便りお知らせいたします」 梶井基次郎

第3位 「寒かろう痒かろう人にあいたかろう」 正岡子規 

●第2回講演

第1位 「春風は自在に吹かん」 夏目漱石

第2位 「立つなら幾千年でも黙って立ってろ」 高村光太郎

第3位 「風の中を自由に歩けるとか」 宮沢賢治

●第3回講演

第1位 「世の中は 自己の想像とは 全く正反対の現象でうずまっている」 夏目漱石

第2位 「自然の美しいのは僕の末期の目に映るからである」 芥川龍之介 

第3位 「あなたに書けと命ずる根拠をお極めなさい」 リルケ


■表現の工夫部門■

●第1回講演

第1位 「貴地松林の秋の深さを一緒に送って頂いたよう」 島崎藤村  

第2位 「来た、来た、来た、有難うござりまする」 尾崎紅葉 

第3位 「転居はとりもなおさず家庭的旅行」 北原白秋 

●第2回講演

第1位 「倹約をして御金を御ためなさい。時々拝借に出ます」 夏目漱石 

第2位 「御地はどうか知らねど火燵の内より一寸御見舞申上候」 尾崎紅葉

第3位 「清さんの夢が僕の寝床の中に」 内田百閒  

●第3回講演

第1位 「お目にかかる価値のない男です」 夏目漱石  

第2位 「怠け癖の上に目前の金に追われて」 川端康成

第3位 「私の自画像としては私の著作以上に適切なものはありません」 有島武郎

■恋愛部門■

●第1回講演

第1位 「五月のそよ風をゼリーにしてもってきてください」 立原道造

第2位 「文ちゃんの口から かざり気のない返事を聞きたい」 芥川龍之介

第3位 「コヒシイ」 太宰治

●第2回講演

第1位 「私の過去はすべて未完成」 島崎藤村

第2位 「おれの様な不人情なものでも頻りに御前が恋しい」 夏目漱石

第3位 「ゆき子さん、私は」 竹久夢二

●第3回講演

第1位 「キスを五つ贈る」 徳富蘆花

第2位 「今度逢わばお前様を殺すか」 北原白秋

第3位 「命の外なら何でもすてる」 佐藤春夫

※以上36書簡(23人)を中心に、関連書簡も多数加え、ご紹介します。