「つべこべ言わずに行動だ!」
筆記具愛好会の挑戦
筆記具愛好会の挑戦
鈴木寿明 さん
文学部史学科 3年生
倉本浬さん
文学部史学科 2年生
木村磨騎志さん
文学部日本文学文化学科 2年生
こんにちは!今日は日本の大学で2つしかない文房具サークルである「東洋大学公認サークル・筆記具愛好会」さんに、インタビューしてみようと思います!
私たち井上円了哲学センターと筆記具愛好会は深い関係がありまして・・・
そうですね、よく井上円了哲学センターにおジャマしています(笑)
筆記具愛好会・会長の鈴木さんは井上円了に関連した活動をよく行ってくれることで、井上円了哲学センターでは有名で!
はい、円了先生の大ファンですから!!
(笑)
円了先生ファンになったのは、いつからなの?
私は小さい時から歴史好きで、いわゆる偉人伝に興味がありました。
偉人の人間性や、活躍した時代の社会的、政治的、経済的背景から成し遂げたことを見ることが大好きで。
4年間自分が通うのだから、大学を創った学祖は凄い大切だと思いました。なので大学受験の時には、各受験校の学祖を調べ尽くしました!
東洋大学を受験した際に、円了先生の銅像を見かけて「やっと会えた!」と嬉しくなっちゃって!試験後に白山キャンパス5号館前の円了像と記念写真を撮りました。
その後、入学してから三浦節夫先生の「チャレンジャー井上円了」を手に取ったことで、更に円了先生に強く惹かれました。
そして円了先生が、社会に教育を広げるために創立した東洋大学。私は東洋大学の取り組みには、今でも円了先生の理念が随所に表れていると感じています。
それに気付く度に「東洋大学が大好きだ!入れて良かった!」と思っています。
そんな私の円了先生と東洋大学が大好きな気持ちを、大学在学中に円了先生に関連した活動をして、少しでも広げていきたいと考えています。
日本文学文化学科2年の木村です。2023年4月から筆記具愛好会に入りました!
それまで円了先生の名前は歴史の授業で知っている程度でしたが、筆記具愛好会の活動で、円了先生についてドンドン詳しくなりました。
史学科2年の倉本です。
私は2023年の秋に筆記具愛好会に入りました。
倉本さんは、「円了教育のエリート」です!
円了教育のエリート?
鈴木さんっ!(笑)
私は東洋大学京北中学校出身※で、円了先生のことは中学から知っていました。
ただ在学中は、中学時代に円了先生が妖怪博士と呼ばれているのが面白いな~と思ったくらいで、そこまで関心が強かったと言われると・・・(苦笑)
※東洋大学京北中学校・高校は円了先生が創立。
お二人とも、筆記具愛好会に入ってから、円了先生への造詣が深くなっていたのですね!皆さんは円了先生のどんなところに魅力を感じますか?
私は高校教員を目指しているので、円了先生の「生涯学習」への理念に強く惹かれます。
今、リカレント教育が社会での必要性を増していますが、円了先生が行った全国巡講は一種のリカレント教育であり、時代を先取していたと感じています。
そして今も東洋大学では「講師派遣事業」という形で、円了先生の理念を引き継いでいます。
私の地元の神奈川県寒川町役場の方と話す機会があったのですが、「東洋大学の講師派遣事業は、諸経費無料で大学の知を地域に届けることができるから、非常に有難いし、素晴らしい活動だ。」と仰っていました。
この言葉を聞いて改めて「東洋大学生で良かったー!」と思いました!
鈴木さんと同じで、実は私も教員を目指しています!
だからこそ、円了先生の「全ての人に教育を」という理念に強く共感しています。
教育は人の能力を開花させる力があると信じています。しかし、円了先生の生きた明治時代もですが、現代も教育機会の格差が完全に解消したとは言えないと感じています。その教育機会を、広く多くの人に届けようと行動した円了先生の理念は、素晴らしく、私も教員になって目指していきたいと感じています。
3人とも同じで恐縮です!私も将来は教員になりたいと考えています。
私は円了先生の「妖怪学」の考え方が好きです。円了先生の唱えた妖怪学は、妖怪自身を研究するのではなく、妖怪が生まれる考え方や、心の迷信を解明するものです。その答えに辿りつくまでのプロセスを重視する姿勢は、教育にも必要だと思っています。
偶然ですね!3人とも教員志望なんですね!そして円了先生について深く理解してくださっていて、ありがとうございます!
「人を育てる」ことがミッションの教員志望の方には、円了先生の言葉や行動は共感するポイントが多いのかもしれませんね。
はい、それはあると思います。
ただ、ここまで円了先生に詳しくなれたのは、鈴木さんがドンドン始める、サークル活動の影響が大きいと思います!
鈴木さんの活動は勢いがありますね!円了先生にちなんだサークル活動とは、どのようなことをしていたの?
2023年の白山祭(大学祭)で筆記具愛好会は「クジ引き」を行ったのですが、そこで参加賞 として円了先生のシオリを作りました!
前に國學院大学の図書館を訪問した際に、館内で井上毅のシオリを配布していて。國學院大学では井上毅の遺した文書と図書が「梧陰文庫」という形で所蔵をしているからだと思うのですが。
その時に「これだ!円了先生もシオリにすれば手に取りやすいし、実用的だ!」と思って、円了先生バージョンを作成したのです。
ただ、これが想像以上に大変で・・・
どう大変だったの?
当初、8パターンのシオリのデザインを作っていました。
これなんですけど・・・
円了の写真、白山キャンパスの円了先生の銅像、京北高校の円了先生の銅像、中島徳蔵、大倉邦彦・・・
よくこんなに準備したね!!!すごいね!!!!
私は学祖・円了先生のシオリを配るなら、ちゃんと大学の許可を取りたくて。そこで白山祭実行委員を通じて、学生部・井上円了哲学センター事務室などなど・・・様々な東洋大学の方からご意見を頂き、シオリ配布の確認をして貰いました。
あの時の鈴木さんは、ずっとバタバタと忙しそうでしたね・・・
尊敬する円了先生のグッズを配るからね。ちゃんとしたかったんですね。
確認の結果、7パターン用意していたのが、2パターンのみ許可が下りて配布が認められました。
許可が出たのは、下記デザインの②と⑦でした。
2パターンになった時は、いつも元気な鈴木さんがションボリしていました。・・・でも結果的に、これが功を奏します(笑)
どうして功を奏したの?
有難いことなのですが、想像以上にクジが人気で、用意していたシオリが初日でほとんど無くなっちゃって!
もし8パターンあったら、追加の準備が大変なことになっていたと思います。
しかも白山祭で用意したシオリは、裏に手書きで円了先生の名言を書いています。ですから1枚準備するのも手間がかかって大変で・・・。
初日が終わってから、大急ぎでシオリの増産をしました。
結局夜にキャンパスが閉まるまで作業していたのかな・・・。
最後の方は名言を書き過ぎて、手が痺れていましたね。
意識が朦朧としながら名言を書いたのですが「円了先生の名言・・・素晴らしいなぁ・・・」と思いました(笑)
でもこの時の経験で、円了先生の名言への理解が深まりました!
名言入りのシオリを配れたことで、部員はもちろん、参加者にも円了先生を知ってもらえたと思っています。
大変でしたけど、今となっては良い思い出です!
あと、白山祭の出店教室に学長の矢口悦子先生が来てくださったんです!!矢口学長にも円了先生のシオリを渡すことが出来て、すごい嬉しかったです!
それは記念になる思い出だね!
今、2ケ月(2024年3月~5月)の期間限定で、博物館前と大学生協にもシオリを置いているそうですね。そちらの反響はいかがですか?
それが、すごい勢いでシオリが捌けていきます。博物館の前に100枚、白山生協に40枚ほど置いたのですが、一週間で無くなりました。
あまりにも早く無くなるので、風で飛ばされてるのかな・・・と思っていました(笑)
こちらで置いているシオリの裏には、サークル名とサークルのSNSに繋がる二次元バーコードが記載されています。
サークル勧誘のチラシ配布は学内で認められていません。この二次元バーコード入りのシオリが問題ないか、これも白山祭の時と同様に、皆さまに確認して頂きました。
サークル活動で円了先生を扱うのに、ルールを適正に確認するなど、本当に気を遣っているんですね。
私が筆記具愛好会に入ったのは2022年4月ですが、その時は僕と先輩2人の計3人しか部員がいなくて。
コロナ禍の影響で、サークル活動が全くできなくて、廃部の危機でした。
ちゃんと学内の関係各所に確認するのは、もちろん学祖の円了先生を扱うというのもあるのですが、ここまで部員が増えた今のサークルを大切にしたいというのも大きな理由です。
そんな鈴木さんの努力もあって、今はX(旧Twitter)のフォロワー数は1,000人近くいます!
今年の新入部員は過去最高の15人でした!
すごいですね!それだけ皆さんの活動が実っているんですね!
お陰様で、筆記具愛好会はこれからも続いていけそうです!ちなみにここまでフォロワー数が増えたのは、SNSで展開している「円了書写」の影響かもしれません。
円了書写?それはどのような活動なのですか?
円了書写とは、円了先生の名言を書写して、自分のお気に入りの文房具と共にSNSに投稿する活動です。
私たちは2023年5月22日から、毎週月・木曜日の午前10時に円了に関する書写のお題を出して、書写活をしてもらっています。
元々「朝活書写」という形で、朝に書写をして、それをTwitterにアップする活動が有名で。それに着想を得て、円了先生バージョンを展開してみようと思って始めたのがキッカケです!今は倉本さんが中心となって、円了先生の名言や著作から、お題を出してくれています。
毎日お題を書く大変さはありますが、今では私たち部員以外の一般の方も、円了先生の言葉を書写してくれています。そして円了先生の言葉の感想を投稿してくださる方もいるんです!そういった反応を見ると嬉しいですね!
書写に、シールやマスキングテープ、カラフルなインクで装飾して投稿してくれる方もいます。そうやって円了先生の言葉の書写を大切に作ってくれる様子を見ると、活動の手応えを感じますね!
鈴木さんを中心に、筆記具愛好会の皆さんは、自分たちで考えて行動に移し、その結果、周りをどんどん惹き込んで、どんどん活動が活発になってきている印象を受けます!
この「まず行動に移す」というのは、円了先生の教えにもあります。
「つべこべ言わずに行動せよ」
活動が目的である理由は
活動して後知るべきである。
活動其者の中に理由が存在して居る。 【「哲学の極致」】
『井上円了100の金言』https://www.toyo.ac.jp/dp/enryo/maxim/#page=63
皆さんはこの言葉を体現していると思いますし、皆さんを見ていると行動する大切さが伝わって「自分も頑張ろう!」と思えます!
最後に、皆さんのお好きな円了先生の言葉を書写してもらっても良いですか!
はい!
3人とも、ありがとうございました!
これからも筆記具愛好会の活動を応援しています!!
鈴木さんの行動力は凄すぎるよ!!!笑
石黒忠悳(いしぐろ ただのり)は、1868年(明治元年)に井上円了が10歳の時に私塾に迎え入れ、1869年(明治2年)の春まで漢学や算数を教えました。
碑文には、円了が弟子の一人であったことを記しています。