太極八法と4つ、12種類の勁:けい
太極拳の武術的特徴として、とても幅広い動作の応用方法があり、それは一拳種の中で「文化的特徴」が備わっています。
それは「太極拳文化」における精神性、動作原理、武術的用法があげられます。
その中で「勁:けい」(力の流れる道筋)における、動作原理での「実感」「判明」「「確信」」「理解」を体得し、
実践していくことが長く、太極拳運動における進化を目指すことでは、最も重要な意識感覚になります。
太極拳運動
〇原理
意識:以心行気、以気運身、心為令、気為旗、腰為載、拳勢呼吸、眼神注視・自然視
身法:手法、歩法、体幹、立身
放松:両肘、腰、股関節、全身
〇応用
化勁:粘・走
発勁:引・拿
打手歌 王宗岳
掤捋擠按 須認真、上下相隨 人難進。 任他巨力来打我、牽動 四両撥千斤。
先ずは姿勢について「身法十要」
提起精神 虚領頂勁 沈肩墜肘 手与肩平 含胸抜背
気沈丹田 松腰松胯 尾閭中正 胯与膝平 立身中正
(※これが、不足したままだと、自分自身の太極拳での進化を感じることができず、「偏差」と呼ばれる妄想・空想的で精神面も動力面でも、
不自然な意識を高めてしまう太極拳をする人が出てきてしまう理由です。そういった太極拳になってしまうと、精神的、肉体的にも不合理になることを本場の中国武術界は厳しく戒めています)
太極十三勢「太極拳八法、掤、捋、擠、按、採、挒、肘、靠」
「歩法五種、進、退、左顧、右盼、中定」
(あるいは 進、退、右顧、左盼、中定)
の中で、太極八法で「勁:けい」(用法のための動力の道筋)と4つ12種類です。
掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)、采(ツァイ)、挒(リエ)、肘(ジョウ)、靠(カオ)の8技法
掤(ポン)は、撥ね返す感覚での、弾力のある「勁:けい」」
捋(リュー)は、相手からの攻め技を、立円、横円、斜めの円を用いて流す「勁:けい」
擠(ジー)は肘から手首までの前腕部分に意識を置き、技を受けながら攻守の逆転を計る展開のために用いる「勁:けい」
按(アン)は、掌で片手、あるいは両手で押さえながら行う「勁:けい」
采(ツァイ)は、指先を使って相手の手首や肘などを掴む動作での「勁:けい」
挒(リエ)は、技への展開を計るために、バランスを崩すために行う動作での「勁:けい」
肘(ジョウ)は、相手との近距離で肘からの攻めを行う動作での「勁:けい」
靠(カオ)は、肘を用いるよりも更に近い距離にあった場合に肩の前部、あるいは後部から攻めを行うための「勁:けい」
これが太極八法での「勁:けい」であり、
化(ホヮ)の、勁では、2種類。
「粘勁:ねばり強く、離れずに接すると勁」と「走勁:力の流れに従って動いていく感覚の勁」
発(ファー)の勁も2種類。
「引勁:相手が動かない場合は引いて導き、相手からの押されて来た場合は押される力に弾力を以て引きながらも防御のための勁」
拿(ナー)の勁では、「拿」という言葉で表現してあるように「拿捕」という言葉での拿であり、ある一瞬間に動きを捕らえる意識での勁」
提(ティー)が、起勢で用いる基本での「勁:けい」は、両手の甲の部分を意識して下から上へ、内在意識でも動力を用いるのが、「勁:けい」
沈(シェン)は、掌、肘、肩、腰、膝、足の裏へ、上から下へ沈むように下降していく「勁:けい」となります。
「先有柔、先有松、才有剛、才有硬」「松、活、弾、抖」
太極拳技法は大架(行架)と小架(用架)とで練功方法と意識は異なる。
用架には、解招と推手とある。
析招
甲と乙(甲が攻め:乙が守衛)
対拳打
〇上歩擠 シャンブージー
甲:拗左弓歩衝拳 乙:左退歩単手擠
甲:右順弓歩衝拳 乙:右進歩双手擠
〇高探馬 ガオタンマー
甲:拗左弓歩右衝拳 乙:右退左進歩 高探馬 ガオタンマー
〇.搬攔捶 バンランチュイ
甲:拗左弓歩右衝拳 乙:右退左進歩 搬攔捶 バンランチュイ
〇.擺蓮 ダンバイ リィェン
甲:拗左弓歩衝拳 乙:左退歩単擺蓮 ダンバイ リィェン
双擺蓮 シュアンバイ リィェン
甲:右順弓歩衝拳 乙:左退歩双擺蓮 シュアンバイ リィェン
〇雲手 ユンショウ
甲:拗左弓歩衝拳 乙:退歩雲手 ユンショウ
甲:拗右弓歩衝拳 乙:退進雲手 ユンショウ
対掌打
〇単鞭 ダンビィエン
甲:右順弓歩推手 乙:右退歩 採手 下点腿 套歩 靠(カオ)
〇摟膝拗歩 ロゥシー アオ ブー
甲:右順弓歩推手 乙:左進歩 摟膝拗歩 ロゥシー アオ ブー
龍身蛇形太極拳での推手は、小架式で、
順歩、拗歩で左右の4種類のパターンでの太極拳の持つ、武術意識での技法で安全な攻守感覚を掴めるようにします。
私達の太極拳での、推手では、先ずは、この12種類をしっかりと掴んで、
だんだんと龍身蛇形太極拳での対人での動作用法で、推手から入って「析招」に入れるようにしていきます。
推手用法 四正手(定歩推手) 四偶手(活歩推手)
〇手揮琵琶 ショウホイピーパー
〇玉女穿梭 ユィニューチュアンソウ
〇閃通臂 シャントンペイ
〇右金鶏独立 ヨゥジンジードゥーリー
〇肘底看捶 ヂョウディカンチュイ
〇十字手 シー ズー ショウ
〇上歩擠 シャンブージー
〇如封似閉 ルーフォンスービィ
そうなると単練(1人で行う練功)対練(2人で行う攻守の練功)にも、更に動作意識が高まるので、
すべての動作の「勁力での力点への意識や、相手の身体特徴で身長の長短における腕や足腰の位置や長さの違いの中でも、
各々の勁力における「力の大小」「方向」「角度」が「四方:前後左右」にと正確に働いて動かせること:コントロールが向上します。
私たちの太極拳では、すべての動作で単練だけでなく、対練、析招(動作用法)を行います。
太極拳十三勢(13技法)の勁法。
掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)、采(ツァイ)、挒(リエ)、肘(ジョウ)、靠(カオ)の8技法から、
相互に、実際に 掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)、の動作での組み合わせた四方、四正での手法:四正手での「定歩」
采(ツァイ)、挒(リエ)、肘(ジョウ)、靠(カオ)の用法で、隅々まで進攻できる技法の四隅手、
そこから「進歩」「退歩」での「単練」練習を行い、
そこから「対練:対人」での練習へ移り双推掌である按(アン)を効能を理解するためにと同時に、
用法で技を極める時に用いる捋(リュー)を意識できるようにした応用練習と対練を行います。
そして太極十三勢「太極拳八法、掤、捋、擠、按、採、挒、肘、靠」
「歩法五種、進、退、左顧、右盼、中定」
での大事な身体意識感覚、「外形:外側から見える型」に加えて「内在意識」
「一動全動」「節節貫通」「一気貫穿」を対打における身体用法を「単練」そして「対練」
外側と内面での「動作原理」や意識感覚、「勁:けい」を包括した「内外相修:内側意識と外側式が結び付き、陰陽:内外が合い修まる」の充実度を高めます。
太極拳の動作原理を知るうえで、とても重要なことは相手との接した時から始まる、時空間の中で「勁:けい」(力の流れる道筋)
において「力の大小」「方向」「角度」が「四方:前後左右」にと正確に働いて動かせることで、初めて太極拳でいうところの武術意識と用法と応対方法での理解を皆さんができるように目指しています。
そして歩型と歩法の進歩退歩での推掌、按(アン)そして擠(ジー)の組み合わせ動作練習。
先ず一番重要な「掤(ポン)」と「掤(ポン)」の触覚と反応、反射での練習を、人を変えながらも、これらを繰り返す練習を行うと、
自然的に「意識と力」の結びつきを感じられてきて、太極拳用法の内在意識感覚、に重要な「意:思い」「用:応対法」「力:勁:けい(力を通す道筋)」が結びつくようになります。
そして「意・気・力」
は「意」は、
太極十三勢「太極拳八法、掤、捋、擠、按、採、挒、肘、靠」
「歩法五種、進、退、右顧、左盼、中定」
の動作意識での「力の大小」「方向」「角度」が「四方:前後左右」にと円運動:立円:横円:斜め円を正確に、
相互に確実に働いて左右の両手・左右の両足・左右の大脳を正確に反応し動かし反応し合えることが
「太極拳技法」での動作原理での「実感」「判明」「「確信」」「理解」を体得するというものになります。
そして「気」は、
「力」が出来てきて、そうすることで太極拳の意識での気の流れ(動作意識)、
呼吸法での呼気、吸気の向上、酸素が含まれた血液が全身に回ることで、活気付いて身体全体が温まり、
太極拳世界で云う「意気力」での「勁:けい(力を通す道筋)」は「意」から始まり、そして「気」
「気遣い」あるいは「気を合わせる」感覚が掴めると常に調節できる意識感覚が向上し、自然体で呼吸法ができるようになり脳内酸素量が増えて心地良くなれるのは、
その「力」が正しく全身に道筋が通じていく実感の「勁」の体感が自身の脳の反射が速くなり活性化、つまりは喜ぶ=面白く感じてきます。
推手で重要なのは「化勁:粘勁と走勁」「発勁:引勁と拿勁」であり、発勁で 甲が「拿」乙が「引」
化勁で、その後に甲は「粘」乙は「走」甲乙が変じると入れ替わる。
甲:右掤(ポン)、按(アン)、左掤(ポン)
乙:右掤(ポン)、擠(ジー)、左掤(ポン)
甲:左掤(ポン)、擠(ジー)右掤(ポン)
乙:左掤(ポン)、按(アン)、右掤(ポン)
聴勁をしていくうちに、技の隙を附いて「化勁」をかけていく技法が捋(リュー)
鈎手(鈎状の手を使い掴む)采(ツァイ)、
流れを導いて予測外の展開へと崩していくの技法が挒(リエ)、
肘打ちや、流れを肘で用いる技法が肘(ジョウ)、
肩の前部、後部、首から肩と腕を使って行う体当たりが靠になります。
これからの練習活動では、龍身蛇形太極拳50式での「50動作」の動作用法での「攻防技術」「攻守の展開」を、
太極十三勢「太極拳八法、掤、捋、擠、按、採、挒、肘、靠」
「歩法五種、進、退、右顧、左盼、中定」
先ずは、これらを「絶対音感」のような感覚で、身に着けて、
「相対音感」の反応のように反射して「技」と「技」を「相修:相修めて」
内在意識、動作原理を、実際にとこなせるように進めます。
龍身蛇形太極拳 推手とは
龍身蛇形太極拳では、太極拳技法の核心として、太極拳精神の具現化として「技法を感じながら動き、動きながら感じる」「音のない会話」の実践を高い次元の練功では重視しています。
太極拳推手(すいしゅ)は太極拳技法における重要な練功方法の一つです。
太極拳修養者は、初めには、全身運動機能を高めるための単練から学び、次のステージとしては対になって相互の技法が正しく機能して応用できるかを図り、臨機応変能力を高める練功です。
推手の練習を通して、その独特の技術による「攻防:攻める・守衛」の能力を養うことができます。
太極拳が成立した当初の昔から推手と套路は車の両輪と言われ、実は推手をやらなければ太極拳は本当の意味で理解できないと言われています。
方法は相対した二人が塔手勢(互いの手の甲から手首にかけての面あるいは点を接触させた体勢)となり、お互いの腕を触れ合わせつつ決められた動作を繰り返して行い、套路の正しさ(姿勢の崩れ、肩肘の沈み具合、放鬆の程度、掤勁の有無など)・相手と適切な接触を保つ技術(粘連黏随)・相手を感じる能力(聴勁)など太極拳としての要求をより高いレベルで満たすことができ理解すること(=撞勁・神明)を目指します。
古伝の太極拳では、「健身 修身 防身」の3要素の融合を体得することを重要にしており、
順番としては1、健身 2、修身 3、防身としている。太極拳推手(二人で組み合って内勁を練る技法)よりも、套路を練るなら武道としての太極拳の基本を身につけることがまず最初に行う事としています。
太極拳は武芸、予防医学体育、思想哲学の融合体であり、技法の本質として本来は相手に勢いを伝え、そして勁(自然な力)を交わしながら対錬などを行うものであるとしています。
従って、套路においても、その型にはどのような勢が生まれ、そしてどのような自然な力が働いているのかを知り、それを套路の中に備えて動くとしています。
龍身蛇形太極拳 推手
基本姿勢
甲(先攻 後守):1、陰陽 2、陽陽 3、陽陰 4、陰陰
乙(先守 後攻):1、陰陽 2、陰陰 3、陽陰 4、陽陽
右手を意識して考え、内側向きを「陰」 外側向きを「楊」
内側向きを「守衛」 外側向きを「攻進」
甲の場合:1、右陰手・左手陽手(中立)
乙の場合:1、右陰手・左手陽手(中立)
甲の場合:2、右陽手・左陽手(攻)
乙の場合:2、右陰手・左陰手(守)
甲の場合:3、左陰手・右陽手(中立)
乙の場合:3、左陰手・右陽手(中立)
甲の場合:4、右陰手・左陰手(守)
乙の場合:4、右陽手・左陽手(攻)
甲の場合:1に戻る
乙の場合:1に戻る
甲(先攻 後守):1、陰陽 2、陽陽 3、陽陰 4、陰陰
乙(先守 後攻):1、陰陽 2、陰陰 3、陽陰 4、陽陽
甲は右回りに動き続けて、乙は左回りに動き続ける(両輪の例え、の実践)
推手で重要なのは「化勁:粘勁と走勁」「発勁:引勁と拿勁」
技法は四正手で「掤、捋、擠、按」4通りが攻守で、
攻めは先、守るは後(1回ずつで攻守が逆転を繰り返す)
先 甲:右回りで動く
後 乙:左回りで動く
定歩:陰陽手で右足前 左足後ろ
活歩:陽陰手の際に、進歩・退歩で左足前 右足後ろ 先攻 後守で前後に歩く
甲:右掤(ポン)、按(アン)、左掤(ポン)
乙:右掤(ポン)、擠(ジー)、左掤(ポン)
甲:左掤(ポン)、擠(ジー)右掤(ポン)
乙:左掤(ポン)、按(アン)、右掤(ポン)
補注:太極十三勢
「太極拳八法、掤、捋、擠、按、採、挒、肘、靠」
「歩法五種、進、退、左顧、右盼、中定」の実践。
八法のうち「四正手を”掤、捋、擠、按”」「四隅手を”採、挒、肘、靠”」という。
養生導引操功法
坐功
自然盤瞑想 首回し左右 首伸ばし前後 手首、肘、肩回し 内~外 外~内
自然盤 腰回し左右 或いは 単盤 腰回し 同方向(6回)
長座 蹴上げ左右 坐式擺蓮・里合(6~8回)
坐式足裏蹴(6回 ゆっくり3回 力強く3回)
股関節揺らし 股関節ほぐし
坐盤式柔法(片足乗せ 左右)
弾指
親指+人差2種 人差+中指 親指+人・中・薬・子指 表裏2種
小指+親 薬指+親 中指+親 人差+親 表裏2種
古式五禽戯 虎戯 四足歩法 長座式歩法
坐式 両手托天
站功
集気站椿 天人合一 陰陽交合
膝回し左右 腿六関節ほぐし 骨盤回し(左右 或いは同方向6回)
燕飛勢(高中低 3セット) 肩ゆるめ
揺腰(脇腹ほぐし) 通臂勢
※摺拳怒目勢(秋分~冬至) 烏浴督狼(冬至~春分)
波浪勢 仰呼
通天採気
・頸椎ひねり左右~下~上 同方向2回 (冬至~春分)
・大廻旋式左右 (2回)
腹式呼吸法、撃腹、按摩
臥功
自然盤・胡坐式 直伸性平衡(腹筋)
臥式 瞑 想
両手足放松
揺背中
自然盤瞑想(両結手式)
坐式両手托天
呼吸法
胸式・腹式 呼吸法
口~口 口~鼻 鼻~口 鼻~口 鼻~鼻 (片方押さえ左右式)