総合火力演習予行に行って参りました

2014年8月21日 陸上自衛隊東富士演習場畑岡地区

区分 部隊研修

参加者数 42名

台東出張所イベント情報にも掲載されています。

http://www.mod.go.jp/pco/tokyo/taitou/event.html

文:幹事長

解説:広報担当

このたび東京大学戦史研究会が自衛隊コネクションを再び発揮していただき、我々もそのおこぼれに再度あずかる事が出来ました。東京大学戦史研究会様に頂いたこの御恩は、日本海が乾上がり、富士山がすり減るまで忘れません。

0620集合・状況開始……の予定でしたが、当会幹事長が寝坊した為に5分ほど遅れました。彼は敗北主義者であり、戦友を裏切った為に野戦憲兵の手により即時処刑されました。また彼はただ死んで終わるものではなかった為地獄の火の中に投げ込まれました。

当会幹事長(画像はイメージ図)

海老名サービスエリアでの休憩(喫煙休憩をした人が自衛隊の引率の方と当会会員で九割以上を占めていた)(広報担当注:当会は喫煙者が多く、喫煙場では引率の自衛官の方と親しくお話することができた)をへて、富士演習場に到着しました。学も教養もないと佐藤大輔にいつもぶん殴られているのでよく覚えていませんが、74・90・10の各々が発する戦車砲の炎と爆風に新鮮な喜びを感じました。ブラウン管や液晶画面を通して見る兵器の発砲はやる気がない。砲口を向けて発砲を始めたと思ったら爆風も衝撃も無く終わりやがった。ちなみにもう日本では自衛隊くらいしか野戦砲が動いてないらしい、と彼らから聞いた。そして自衛隊は軍隊じゃないから、既に日本に軍隊は無いと(意味不明)

※早稲田大学戦史研究会からのお詫び

陸上自衛隊が保有する火力の熱さ、ヤバさ、そして間違いなさに感激し見呆けてしまった為に写真を一枚も撮っておりません。このような事態に際しまして、当会は関係者を所沢の教化所に送り労働教化刑に処す事と致しました。ご理解のほどよろしくお願い致します。(終)

― 解説 ―

このたび自衛隊東京地方協力本部台東出張所のご好意により、東京大学戦史研究会をはじめ我々「戦史研究会」を称する各大学の学生を総合火力演習見学会に招待していただきました。チケットの確保のためには大変ご尽力していただいたこともあって、このようなイベントに招待していただいたことを、この場を借りて感謝申し上げたいと思います。とりわけ、見学会で引率していただいた台東出張所の小島二等陸曹、黒木二等陸曹には心より感謝の意を申し上げます。

実弾射撃を間近に体感することができる富士総合火力演習の一般見学は非常に人気があり、今年のチケットの競争倍率は24倍と入手が困難です。そんな中で同演習予行に参加でき、さらに天候に恵まれたことは棚からぼた餅とも言うべきかもしれません。

さて、豊かな連想と、鋭い語感をもって綴られている流暢な文体に定評のある当会幹事長の記事ではありますが、その真髄を理解するためには些かの補足を必要とすると考えます。しかし、彼がその労を取られることはありませんでした。そこで今回は補足に代えて、ここに解説を書き加えることとします。

集合に遅刻する幹事長

早朝0620、見学会のバスの出発予定時刻、東大、中央大、明治大の各大学からの参加者は既にバスに乗り込んでいたが、我々早大戦史研8名は朝日の射す路上に立っていた。幹事長の遅刻は、彼の日頃の行いからしてあまりにも予想通りであった。

バス車内の差し入れ

バスは10分程遅れて出発し、引率の自衛官、学生側の主催者(東大戦史研)からの挨拶が終わったところで、「1号車のバスから差し入れがある」とのお達しがあった。我々学生約40名?は2号車に割り当てられていて、1号車には自衛官の父兄の方等の参加者が割り当てられていた。その差し入れの内容として突拍子もなくあげられた「トマト、ブドウ…」、容器の中の多量のミョウガや漬物等の品々には少し調子を狂わされた気がした。

東富士演習場

駐車場に入るバスの渋滞を抜けて駐車場に到着。降り立つここは富士山麓、旧上九一色村のちょうど裏側にあたる東富士演習場。辺り一面に広がる高原地帯は風が吹くと涼しかったが、日差しが射すと暑く、上九一色村で過ごした日々を思い起こす景色と気候であった。

戦車砲の炎と爆風

演習は、前段で陸上自衛隊の主要装備の紹介、後段で「島嶼部に対する攻撃への対応」という内容であった。火砲の砲声と爆風の衝撃を体感できたことに感動したというのが当会参加者の一致した感想である。さらに後段の実戦を想定した演習では、次から次へと瞬く間に部隊を展開し、目標を制圧する様相を目の当たりにし、近代戦の圧倒的な火力と目まぐるしさに目の覚めるような思いをした。映像では分からない砲声と爆風を体験して、ただただ、この機会を得られたことに満足していたのである。

△92式地雷原処理用ロケット弾による硝煙

演習終了と同時に、渋滞を避けるように足早に駐車場へ戻る。日差しの暑い中、夢見心地であった。

△総火演会場から駐車場までの砂利道をしばらく歩く

謎のトーチカ

沢山のバスが停車する駐車場にて、しばらく引率の自衛官を交えて喫煙トークをした後、そういえば来るときに見つけたトーチカを見に行こうということになった。駐車場の片隅に放置されているドーム型のトーチカである。トーチカ内は多数の落書きがあった。

△謎のトーチカ

△トーチカ内からは高原を見渡せる

△駐車場を見る

その後

つづいて、昼食場所ということで連れて来られた所は、なんだかよくわからないけど立派な建物がある公園。東富士演習場の程近くにある「富士山樹空の森」という公園だというが、妙に綺麗に整備されていて、お土産コーナーには自衛隊グッズがあり、そして園内にUH-1H多用途ヘリコプターが展示されていた。多数の自衛隊の基地を擁する御殿場市には、潤沢な資金があるとかないとか、そういう話を伺った。

総火演に大満足しつつも我々は、ここに来て心に引っかかるものがあることを感じていた。他大学の参加者との交流をまだ一切行っていないという点である。またしてもコミュ障の本領此処にありというわけにはいかないと、何か適切な話題を見つけようとして見つけたのは、お土産コーナーで売られているカブトムシだった。夏も終わりに近づき、彼らの生命も残り僅か。ある者は仰向けになって息絶え、ある者はもがきながら交尾をし、そのまま固まってしまっている。その様子を会話の糸口として、東大、中央大の方々と交流することができた。もがきながら息絶え、死に行く姿は生命を感じさせ、ここに戦争とつながる物があるとの「感覚」を、戦史を学ぶ者同士だからこそ共有することができたのかもしれない。

△公園入り口はガラス張りで近代的な建物

△とても整備された園内

△UH-1H多用途ヘリコプター

帰路につく、疲れからか不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまうこともなく、多くが安らかな眠りにつくうち無事に上野に到着した。上野で集合写真を撮影して解散となった。充実した一日に、心地よい疲労感を感じるのであった。

△帰路につく

ところで、このツアーを通して感じたことがあった。各大学の戦史研究会それぞれの特色、雰囲気をなんとなくではあるが見ることができたが、その中において早大戦史研が浮いていることを感じたのである。大人しい方がほとんどである他大学の戦史研究会と当会には温度差があるのかもしれない。興味関心の対象もそれぞれで異なっていることであろう。吸う人も吸わない人も、飲む人も飲まない人も様々である。しかし、たとえそんな制約があったとしても、各大学戦史研究会の交流が細々とでも続けられればと我々は希望するのである。

2014年8月25日掲載