・ワイルドウイリーシリーズの比較

◆ボディ

ボディの違いは基本は変わらないのですが、初代と2ではデザイン上の変更がありました。

フロントグリルのスリットのデザイン変更です。

初代では実車同様、縦型スリットのデザインだったのが、2ではタミヤオリジナルの横型スリットのデザインに変更されています。

また、デザインと同時に構造も変更されており、初代では確か分離パーツでスリットの裏にラジエターデザインのパーツをネジ止めで付けていだのですが、2では一体型パーツに変更されています。

フロントガラスのパーツも初代はネジを一本外すと実車同様、前にパタンと倒れる凝ったものだったのですが、2ではロールバーへの固定式に変更されています。

これらの変更はコストダウンと軽量化のためだと思われますが、やはりコストダウンのための必要性があったものと思います。

なにしろ、初代と2が発売された時代背景は全く異なっており、初代は1982年発売ですので、まだ、バブルが弾ける前の日本に活気のあった時代であり、2が発売された1999年は、すでにバブルは弾け、徐々にものが売れなくなってきている時代です。デフレも徐々に進行しており、当然それは玩具業界にも影響していたわけで、設計の段階から共用部品を使ったり、パッケージングからしてコストダウンの影響がうかがえました。こう改めて語ると切ないものもあるのですが…。

それは、当時2の販売価格にも現れており、私も発売当日に秋葉原に購入しに行ったのですが、確かキットが8000円位で、かなり安いと感じたのを覚えています。

私はこれまでタミヤのラジコンを十数台組み立ててきたのですが、まず商品の大きなパッケージを開けると、ブリスターパック(透明のプラスチック型に入れたパッケージ形態)にモーターやサスペンションの部品が整然と並んでおり、初めて箱を開けてそれらを眺めた瞬間いつもワクワクしていたのを覚えています。

しかし、このブリスターパックのパッケージングも時とともに徐々に少なくなっていったのを感じたこともありました。

話は横道にそれてしまいましたが、2の発売は非常に嬉しくて発売まで待ち遠しい思いをしました。

◆シャーシ

【初代】

初代ワイルドウイリスのシャーシはバスタブ型の密閉式でバランスの良い形をしていたと思います。

いま見てもメカ的にバランスが良くてカッコいいなと思います。それはワイルド・ウイリスのシャーシが完全オリジナルで設計されていたことも影響しているものと思います。

そしてその後このシャーシをベースとして数台のシリーズが展開されました。よく知られたところではシティターボ・ウイリーレーサーですが、その他にも、オペルアスコナ400ラリー、アウディクワトロラリーなど、ワイルド・ウイリスを含めて四種が展開されました。

・アウディ クワトロ ラリー

・オペル アスコナ400 ラリー

・シティターボ ウイリーレーサー

ワイルド・ウイリスとシティターボはショートホイールベース、オペルアスコナとアウディクワトロは構造的には大きく変わらないのですが、ロングホイールベース化されていました。

あまり知られていないのですが、ワイルド・ウイリスには前期型と後期型が存在していたようです。

これはあとになって知った話なので、自分の持っていたワイルド・ウイリスがどちらなのかわからないのですが、前期型の問題点を改善した後期型の存在が確認されています。

このシャーシの採用はワイルド・ウイリスが最初になりますので、一応ワイルド・ウイリスの専用設計として開発されたと言ってもよいかと思います。(バリエーションは当初から考えられていたのでしょうが…)

小学生当時は、コスト削減のためのシャーシや部品の共用、製造の効率化などは頭の隅にもありませんでしたが、いま、よくよく見てみるといろいろなメーカー事情も読み取れて興味深く思いました。

しかしこの時代の車たちは、けっこう贅沢な作りをしていたなぁと、いま見ると思います。

現在では効率と製品のバランスが優先されますが、この時代は開発者の思いやこだわりを反映させることができたのだと思います。

今は完全に部品の共用が前提で開発されている車が多い(タミヤ車の場合)ため、残念ながら、オリジナル性の面での魅力は下がってしまったのではないかと思うのです。

【2代目】

2のシャーシもオリジナルではあるのですが、一部他の車種の部品を流用しています。

流用部品はギアボックスになり、これはワイルドウイリー2の少し前に発売された、ワイルドダガーの部品を使っています。また、タイヤもランチボックスからの流用となります。

ワイルドウイリー2が発売された当初、完全オリジナルだと思っていたので、この事実を知ったとき、すこし残念に思ったのを覚えています。

それでも、さすがタミヤ、ツボは押さえてあり、ジープ等の四輪駆動車の特徴であるラダーフレームを再現しており、2のシャーシも魅力的に仕上がっています。

◆タイヤ

初代のタイヤはワーゲンオフローダーのものを利用しています。このタイヤは同時代のシボレーブレイザーにも使用されており、いま大人になって改めて見てみるといろいろな部品の流用がわかります。

ワイルド・ウイリスも同様にタイヤを流用されていたわけですが、たまたま使われたこのタイヤがワイルド・ウイリスの魅力を更に高めていると思います。

タイヤの種類は実車でいうサンドタイヤになります。これは砂地用のタイヤになるのですが、その形状(デザイン)、大きさ、太さ、ホイールデザイン、ホイール色が、ワイルド・ウイリスのコミカルなボディデザインと相まって色褪せない魅力になっているのだと思います。

2代目になってそのタイヤにランチボックスのタイヤが採用されました。

採用の理由は様々だと思いますが、やはりその当時の商品ラインナップの中でサイズ的にも一番適したものがこのタイヤだったのではないかと思います。

初代と比べてかなり幅広になったため、車体とタイヤのバランスには一部賛否があるようです。

私も初代のディメンション(寸法)が好きなのですが、2代目のディメンションもありだと思っています。写真以上に実車の方がかっこいいのは間違いないです。

いろいろなサイトで、2代目の車体に初代のタイヤサイズに近いものを履かせている方もおり、私もそれを参考にタイヤを購入し時々履かせています。(タイヤの詳細については他の章で詳しく説明しようと思います)

また、2代目の太いタイヤになったことによりコーナーでの安定性が増したことはメリットです。

初代はちょっとしたことでよく転んでいましたので。

友達と走らせて、私のワイルド・ウイリスだけが転ぶので、よく走って起こしにいっていました。

タイヤとデザインの賛否はともかく、初代にも、2代目にもそれぞれ魅力があります。

◆モーター

モーターは初代も2代目もマブチRS-540SHモーターです。初代のモータのピニオンは打ち込み式だったためモーターを交換する場合、どうしたら良いのか小学生ながらに悩んだこともありました。

ただ、小学四年生ではパワーのあるモーターを買う財力もないため、その必要もなかったのですが、当時、タミヤではブラックモーターというオプション製品を扱っていて、それに交換できたらよりパワフルにウイリーするのではないかといったことも想像していたりしました。

2代目のモーターもノーマルのRS-540タイプのモーターなのですが、ノーマルのモーターにも何種類かあり、2代目では、通称ジョンソンモーターと言われるノーマルに比べ若干トルクがあると言われるているモーターが使用されています。

バギータイプの商品には、このジョンソンモーターを用いることが多いようです。

◆バッテリー

初代ではラクダ型バッテリー、2代目では通常のレーシングパックが使用されています。

また、搭載方法も異なっており、初代では車台に対して横置きになっていますが、2代目では縦置きになっており、ボディを載せたままでも、車台後方から脱着が可能になっています。

ラクダ型バッテリーが終売になったと何かで知ったときにふと思ったのが、ワイルド・ウイリスに新しいバッテリーが必要な場合は自作しかないなぁ、といったことでした。

初代のワイルド・ウイリスを走らせていた当時、バッテリー容量は1200mAhでした。今でこそリチウムポリマーバッテリーで4000~5000mAhという、当時からすると驚くような容量になっています。

1200mAhという容量は、今でこそ、入門用のおまけバッテリーの様な容量ですが、当時としてはその容量が普通だったのです。

そして、ワイルド・ウイリスは金属パーツも使われ丈夫だったのですが、その重さが災いして燃費は非常に悪いものでした。

弟がスバルブラッドを手に入れた話は「ワイルド・ウイリスとの出会い」の章で話したのですが、そのスバルブラッドはRS-380SHモーターを使用していたため、スピードはそれほど早くなかっのですが、その軽さも相まって、ワイルド・ウイリスと比べるとものすごく燃費がよかったのです。

一緒走らせていても、私の方がすぐにバッテリーが無くなり、弟は私の倍近くの時間走らせている…。

また、友達とレースもどきの様なことをしても、一番最初にバッテリーが切れるのは私のワイルド・ウイリスでした。

好きなように走り回れるのは、残念ながらマンガの中だけでした(「ワイルドウイリーとラジコンボーイ」の章参照)。

この点だけは、子供ながらになんとも言えない思いをしていました。

経済力があれば、バッテリーを買いだめして連続走行もできるのですが(実際、お金持ちの子供はそれができたのですが)、当時バッテリーも高価でバッテリー単体で6000円近くしていたように記憶しています。

また充電時間が十数時間もかかったため、短い充電時間で楽しむには、AC電源による充電器ではなく、車のバッテリーから電源を取るDC急速充電器が必要でした。こちらも一万数千円もしたため小学生の私には手が出ませんでした。また、車用のバッテリーの調達も必要となりました。

それに比べると、今は恵まれていますよね。

バッテリーの性能も進化しているので、走行時間も長く、少ないバッテリーで長い時間走行できます。価格もインターネットで探して安価に手に入れることができるようになりました。

でもその当時は、ラジコンは10分走行させて終わり、というような状況でした。

いまだと30分位は十分走らせられるので、技術の進化には目を見張ります。

今からラジコンを始める人はラジコンの走行時間について十分満足が得られるのは羨ましい限りです。