Japanese

G.C.ウィリス先生の日本語ホームページへようこそ!

このウィリス先生のWebサイトは2011年にスタートしました。

当初は英語版だけでしたが、日本からのアクセスが多いため、日本語ページを追加することにしました。

英語ページの日本語訳のほか、ウィリス先生に関する日本語Web記事へのリンクなどをのせていく予定です。


●G.C.ウィリス先生とはどんな人ですか?(英語ページHomeの日本語訳)

ジョージ・クリストファー・ウィリス(2世)先生(1923-2012)は、中国生まれのカナダ人です。

先生は、医師、医学教育者、医学研究者、そしてキリスト教伝道者として、カナダ、英国領バーミューダ、シンガポール、ボルネオ、エチオピア、そして日本で働かれました。

医師としては、現役時代にハワイ大学医学部教授、またモントリオール総合病院の救急部ICU科長をつとめられ、それ以前にはボルネオ島のジャングルの中で診療所を自ら建てて(!)開業していました。

このボルネオ時代にウィリス先生は「病歴・身体所見・簡単な臨床検査だけで90%以上のケースを正しく診断する」という独自の臨床スタイルを完成されたのです。

先生の臨床診断と医学教育の能力は非常に優れていたため、沖縄県立中部病院や舞鶴市民病院での門下生を中心に、今なお先生を尊敬する臨床家は少なくありません。

ウィリス先生は臨床医学の本を2冊執筆しておられます。"Bedside Medicine(邦訳名:Dr.ウィリス ベッドサイド診断)"と"Clinical Laboratory Methods for the Office or Outstation(邦訳名:救急室で役立つ臨床検査の実際)"は、日本語に翻訳され、医学書院から出版されました。

先生は金銭にも世間的名声にも興味がなく、著書の英語での出版には同意されませんでした。ただ晩年になって周囲の勧めもあり、主に発展途上国の近代的設備に乏しい状況で働く医師のためにと、著書のコンピュータファイルをWeb上で公開することを許可されました。本サイトのDownloadのページで、そのPDFファイルを無料で入手できます。

またウィリス先生が模擬患者さん(息子のビルさん)を相手に、視診、触診、聴診といった基本的診察技術の実演を行うビデオをYouTubeで視聴可能です。本サイトのVideosのページからアクセスして下さい(日本語字幕版もあります)。このビデオで模擬患者さんが着ている服は、沖縄中部病院の昔の病衣だそうです。

G.C.ウィリス先生は2012年1月2日、自宅でマーガレット夫人に看とられて亡くなられました。

「私達の地上の住処である幕屋(肉体)が滅びても、神によって天に建物が備えられていることを、私達は知っています。それは人の手で造られたものではなく、天国にある永遠の住処です。」<コリントの信徒への第2の手紙 5章1節>


●ウィリス先生の生涯(英語ページPersonal Historyの日本語訳)

1923年、中国江西省廬山で4人同胞の末子として出生。父はGeorge Christopher Willis(1世)、母はJean Ogston Malloch。両親はキリスト教宣教師であり、上海でキリスト教関係の本を扱う書店を経営していた。

1948年、カナダのマギル大学医学部を卒業。同年、新卒看護師であったMargaret Hannaと結婚。

1949-1950年、英領バーミューダのKing Edward Vll Hospitalで勤務。

1950-1951年、カナダのLabrador州Cartwrightで勤務。

1951-1954年、カナダのMontreal General HospitalとVeteran's Hospitalで勤務。

1953年、カナダのRoyal College of Physicians and Surgeons' medalで内科系最優秀研究賞を受賞。研究テーマは「動脈硬化:物理的ストレス、細胞外基質およびアスコルビン酸の役割(Atherosclerosis: The Role of Physical Stress, the Ground Substance and Ascorbic Acid)」

1954-1955年、英国ロンドンで熱帯医学と衛生学の学位を取得し、Royal College of Physicians in Edinburghのメンバーとなる。

1956-1959年、シンガポールのSingapore General Hospitalで勤務。

1959-1967年、キリスト教伝道者の父親とともに、ボルネオのサンダカンでChristian Medical Clinicを開業。そのかたわらジャングルの中にあるKadazanでも病院を建設・運営した。臨床検査に関する著作「Clinical Laboratory Methods for the Office or Outstation(邦訳名:救急室で役立つ臨床検査の実際)」は、この時の経験から生まれた。

1967-1971年、カナダに帰国し、オンタリオ州のSault Ste. Marieで内科医として勤務。

1971-1975年、カナダのケベック州モントリオールに移り、Montreal General Hospitalの救急部で勤務。

1975-1980年、ハワイ大学教授として日本の沖縄中部病院で若手医師を指導。ここで臨床診断学に関する著作「Bedside Medicine(邦訳名:Dr.ウィリス ベッドサイド診断)」の執筆を始めた。もともとは早朝勉強会のテキストであったという。

1980-1984年、沖縄からカナダに戻り、再びモントリオールのMontreal General Hospital救急部で勤務。

1984-1985年、マギル大学の医療支援プログラムの一環として、エチオピアのアジスアベバにあるBlack Lion Hospitalで医学教育にあたる。

1985-1990年、日本の舞鶴市民病院に招かれ、臨床医を指導。

1990-1992年、医療の第一線から引退。カナダケベック州のShawvilleに住み、Pontiac Communitiy Hospitalで内科・熱帯医学に関する専門的助言を行う。

2012年1月2日、カナダケベック州Shawvilleの自宅で死去。

G.C.ウィリス先生はその生涯を通じて、医学とともにキリスト教伝道に力を尽くされました。マーガレット夫人と60年以上にわたる結婚生活を全うされ、8人の子供、16人の孫、そして16人の曾孫がおられます。先生の長男Dr. George Christopher Willis(3世)は、内科医としてシンガポールで勤務中です。

「こういうわけで、私たちはこれだけ多くの証人に囲まれているのですから、すべての重荷と、からみつく罪とをかなぐり捨てて、私たちに課せられた競争を頑張って走りぬきましょう。私たちの信仰の導き手であり、完成者である主イエスを見上げて、走り続けましょう。主イエスキリストは、御自分の受けるべき栄光のために、十字架の苦しみと恥辱とを耐え忍び、神の御座(みざ)の右に座するに至ったのです。」<ヘブライ人への手紙 12章1-2節>

「私は自分の戦いをりっぱに戦いぬき、走るべき行程を走りつくし、信仰を守り通しました。今や、正義の冠が私を待っています。来るべき日には、正義の審判者である主イエスキリストが、それを授けて下さるでしょう。そしてその冠は私ばかりでなく、主の出現を待ち望む全ての人々に与えられるのです。」<テモテへの第2の手紙 4章7-8節>

●業績

G.C.ウィリス先生の医学的業績は、大きく2つの分野に分けられます。

1つめは、日本の臨床家によく知られた、病歴聴取と身体診察(と簡単な臨床検査)による、臨床診断の技術です。

ウィリス先生はボルネオなどで僻地医療に従事しながら、医療レベルをできるだけ落とさないようにと工夫・勉強を続け、ついには「病歴聴取と身体診察(と簡単な臨床検査)で90%の症例を正しく診断できる」という臨床スタイルを確立するに至りました。

2つめは、動脈硬化の成因と治療に関する基礎医学的研究です。これは本来の医学的重要性からいえば、上記の臨床診断学よりもずっと大きいのですが、残念ながら現在ではほとんど埋もれてしまっています。

ただ面白いことに、広い世界の中にはこの業績を正しく評価している人もいて、「カナダ人内科医G.C.ウィリスの発見はノーベル賞に値する」と主張するホームページもあります(下記リンク)。

http://www.cholesterol-and-health.org.uk/scurvy-4.html

このページはいわゆる正統的医学研究の系統には属さないため、本サイトの英語ページにはリンクをはりませんでした。ただウィリス先生は晩年にこのページの記事を読んで、自分の研究が完全に忘れ去られたわけではない(いつの日か後継者が現れる可能性がある)と知り、とても安心されたということです。

動脈硬化に関するウィリス先生の研究成果を顕彰するために、上記リンクの日本語訳動脈硬化は壊血病(ビタミンC欠乏症)の症状なのか?と、ウィリス先生の晩年の論文「Treatment of Atherosclerosis (2009年5月)の日本語訳動脈硬化の治療についてを作りました。論文中にギニアピッグという実験動物が出てきますが,これは日本でいうモルモットのことで,ウィリス先生はこれを自宅で飼って(!)実験に使っていたそうです。

●その他

Dr.ウィリス名医への道(よき臨床医になるための秘訣とは?)

http://midoripsy2010.blogspot.jp/2011/09/dr.html

ウィリス先生の聴診器(先生御愛用の聴診器について)

http://midoripsy2010.blogspot.jp/2010/09/blog-post.html

ウィリス先生のフレンツェル眼鏡(眼の観察をする診察道具です)

http://midoripsy2010.blogspot.jp/2012/04/blog-post_29.html

ウィリス先生の視野検査装置(患者さんの視野を調べる装置[?])

http://midoripsy2010.blogspot.jp/2011/06/blog-post_04.html

ウィリス先生の深度覚測定器(深部感覚[位置覚]の一種である深度覚を調べる道具です)

http://midoripsy2010.blogspot.jp/2011/01/blog-post_23.html

ウィリス先生の身体診察ビデオ(その1)

http://midoripsy2010.blogspot.jp/2010/10/blog-post_27.html

ウィリス先生の身体診察ビデオ(その2)

http://midoripsy2010.blogspot.jp/2010/11/2.html

ウィリス先生の身体診察ビデオ(その3)

http://midoripsy2010.blogspot.jp/2014/02/3.html